●本当の戦争_メモ





「本当の戦争」は戦争に関する437の質問に回答するもので、たとえば

Q:戦争に行った時、負傷したり死んだりする可能性は?
A:歩兵なら20%、歩兵以外なら2%。(←僕の要約)

このようにシンプルに答えられています。
こういった知識は何か物を作る時には参考になるし、また消費する(映画を見る、漫画を読む)時にも、より深い味わい方を可能にすると思います。

ここでは(この本を図書館に返却する前に)特に記憶に残しておくべき個所をピックアップしたいと思います。

※この本では基本的にアメリカ軍の話をしています

・世界が平和だった期間は3400年のうち268年。
・2003年初頭の時点で行われている戦争は30箇所
・女性も男性同様戦える
・アメリカ軍は自軍の損害の10〜20倍の損害を相手に与える強さがある
・新兵訓練ではわざと失敗させ、侮辱し、新兵の自尊心を叩き潰して権威に反抗できないようにする。
・基礎訓練中に全体の25%程度が何らかの怪我を負う。
・陸軍の徒歩行軍は最終段階でヘルメット+武器+重さ20ポンド(約9キロ)の背嚢で6マイル(約10キロ)
・後方業務を選んでも前線に送られる可能性はある
・陸軍と海兵隊の歩兵が最も危険で死傷者の80%が歩兵という場合もある
・新兵の初年度基本給は13000ドル。無料の食費や住居費、優遇税制なども加味すれば実質は24000ドル程度。軍人の昇級カーブは大学卒の民間人よりゆるやか。
・休暇は一ヶ月に2.5日で、一年すると30日たまる。
・20年勤務したら年金がもらえる。
・軍にも人種差別はあるが、民間よりはマシ。不和は戦時の死傷率を招くため。
・黒人は管理や支援業務に就きたがり(民間でもつぶしが利くように)、白人やヒスパニックは歩兵になりたがる傾向がある。
・女性は歩兵・機甲・野戦砲兵など特定の地上戦闘には加われない。

以下、戦場での話。

・戦闘中は月給が150ドル増えて無税になる。
・軍の糧食は3日に1度排便するだけで済むように作られている。
・前線が安定しており、戦っていない時はエクササイズをしたり、読書したり、音楽を聴いたり、テレビを見たりする。
・前線での手紙などの配送は無料。
・戦時には酒は飲めない。非番の時は飲めるが、指揮官の判断によっては飲めない。
・理想的な環境では4時間以上の連続した睡眠が取れる。それより短い時間も含めて6〜8時間睡眠が取れる。
・24時間眠らずにいると頭脳を使う能力が25%低下する。5日以上、4〜5時間しか寝れない時も同様。

・皮膚を突き破るには弾丸は秒速80M以上で飛ばなければならない。M-16は秒速730M。
・被弾は腕や足をまっすぐに貫通するのが最も無難。弾丸が脳に入ると圧力で頭蓋が破裂し、肺が傷つくと呼吸困難となる。脾臓・肝臓・腎臓は衝撃で破裂するおそれがあり、胃に食物や水が残っていると内臓に向けて押し出される。神経が損傷すると一時的に麻痺を起こし、動脈に被弾すると短い時間で失血死する。
・撃たれると大きな音と閃光に包まれ、すさまじいショックを感じる。電気のコンセントに触れたようなショック。感覚は鈍く、ぼうっとした感じがあり、酷い怪我をしたという意識はあるが痛みはない。
・負傷の40%はつま先から太もも。
・負傷した場合の死ぬ確率は20%。
・防弾チョッキは胸で受けるのが無難。背中や脇は防備が薄いので危険。胸で受ければ痣ができて骨折するかもしれないが、銃弾は貫通しない。
・腕か足を撃たれても、高速弾が血の流れに波をこしらえ、それが全身に伝わり、広範囲に損傷を与える。太ももの場合は動脈が切断されれば失血死する。
・跳弾は弾丸が変形しているため、体内で転げまわり、普通に受けるより傷が大きくなる可能性がある。
・狙撃手の最長射程の記録は2300メートル。
・股間を守る手立てはないが、生殖器の負傷は怪我全体のわずか1%に過ぎない。
・爆発は熱や破片でダメージを受けなくても、圧力波で体内を損傷する怖れがあり、爆発後48時間何の症状も出ないこともある。
・地雷は殺すより重症を負わせるように作られている。
・現代の手榴弾は半径45Mまで殺戮能力がある。1000個の破片が秒速2000Mで飛び散る。
・第二次世界対戦では、負傷者の65%が砲撃によるもの、25%が小火器、5%が地雷。
・戦争の際の手術で最も多いのは、傷の数を見誤ること。
・負傷して生き延びた場合、除隊になる可能性は20%。
・負傷で最も苦痛が激しいのは火傷。

・兵士が被爆して死ななかった場合は、できるだけの延命措置を行い、死ぬまで滞りなく軍事行動に従事できるようにする。
・生物兵器にやられても人間の五感では察知できない。
・生物兵器は潜伏期間があるため、戦術兵器としての威力は小さい。
・化学兵器は信頼性が低く、結果が予想できず、破壊力が小さい。
・生物兵器、化学兵器対策に防護服をつければそれらの影響は避けられるが、視覚・聴覚・触覚がゆがめられ、肉体疲労や熱射病に陥ったり、部隊がばらばらになったり、孤立感を覚えたりする恐れがある。閉所恐怖症パニックを起こすこともある。味方への誤射も増える。通常では誤射は5%だが、防護装備をつければ20%になる。

・第二次世界対戦ではライフル兵で発砲できたのは半数以下、現在では発砲にためらいがないよう訓練しているため、ヴェトナム戦争では前線の兵士90%が発砲している。
・敵との距離が遠いほど引き金を引くのが楽になる。
・軍ではテレビゲームを訓練に使っている。
・戦闘で人を殺すと、大概は罪悪感を覚える。
・逆に殺すことを楽しむものもおり、そういった人間は男性では3〜4%、女性は1%程度。つまり、全体の2%ほどが「生まれついての殺し屋」といわれる。これらの人々が殺傷した敵兵のおそよ50%を仕留めている。
・素手で敵を殺す機会は、おそらくない。
・戦闘中に不安が高まると吐いたり漏らしたりする。不安を感じると人を殺しにくくなる。
・戦闘中は自分が傷つくことよりも、仲間が傷ついたり、仲間の期待を裏切ることを怖れる。
・勲章はなかなか貰えない。第二次世界大戦中では4人に1人だったが、湾岸戦争では140人だけ。
・教会、礼拝堂、寺院、学校、病院、大学、博物館、歴史的建造物は、軍事目的で使用していない場合は攻撃目標にしてはならない。
・軍事的に必要であれば民家を破壊、占領することは可能。
・違法な命令を上官から受けた場合は拒否しなければならない。
・高級将校は死ぬ可能性が低い。ヴェトナム戦争では将軍が1人、大佐が8人しか死んでいない。
・士官はしばしば無能により部下に殺される。ヴェトナム戦争では20〜25%の士官が部下に殺されている。
・誤射は多い。第二次世界大戦時、上陸作戦を行った連合軍は日本軍がすでに撤退していたにも関わらず、誤射により死傷者が78人出た。湾岸戦争では誤射の犠牲者は戦死者の24%、負傷者の15%。
・湾岸戦争で失われた戦闘車輛の77%は誤射による。
・戦闘中、もしくは戦闘後に15〜30%の兵士が戦闘ストレス反応を起こし、吐き気や混乱、下痢、震えなどを起こす。
・戦闘ストレスに陥った兵士の70%ほどは三日で戦闘に復帰できるが、5〜10%は二度と復帰できない。
・現代戦争ではアルコールは役に立たない。
・60日間戦闘が続けば、生き残った兵士の98%が精神的負傷者となる。残り2%は「生まれついての殺し屋」なので、2%が最初から正気でなかったと考えれば、60日間戦闘を行えば全員正気を失うと言ってもよい。
・捕虜の間も給料は支払われる。
・捕虜が自発的に敵に手を貸すと裏切り行為となり、解放された後に処罰される。
・捕虜にされた場合、脱出できる可能性は低いが、味方に救出される可能性はさらに絶望的に低い。
・死ぬまで拷問に耐えぬける者はごく稀。

・太い血管が切れると一分で失血死する。肝臓などの臓器に穴が空くと数時間で失血死する。
・死ぬ時は、意識はあっという間に薄れるらしい。
・「自分は死ぬかもしれない」と考えられるほど意識がはっきりしていれば、おそらく生き延びられる。
・戦闘中に死ぬ時、母親か妻か恋人の名を叫ぶ。
・死んだ兵士の武器や弾薬は再利用する。
・遺体は八割方回収される。
・戦争の後、軍を辞めようとする人はあまりいない。
・復員軍人の約20%が精神的苦痛を抱える。
・負傷した場合PTSDにかからないというのはウソ。
・戦争に参加した場合、自殺する可能性はわずかに高くなる。
・名誉勲章を貰うと、死ぬまで毎月600ドル貰える。他にもいくつかのちょっとした特権が得られる。


気付いたら、ちょっとピックアップしすぎました…。
いちばんビックリしたのは誤射の確率の高さでしょうか。味方射ち過ぎ。

また、兵士が人を殺すことは、やはりためらいが生じるということもビックリ。
訓練だけではどうにもならない面が出てくるのですね。
そのため、軍の訓練では敵をできるだけためらいなく殺せるようにするのがメインに据えられてる印象を受けました。

そして、戦闘に参加した者の30%が戦闘ストレスにかかり、そのうちの10%が戦線に復帰できないということは、訓練された兵士全体の3%が、一度戦闘を行うだけで無傷であっても戦闘不能に陥るということ。軍人として訓練を受けても、やっぱり人は人、あんまり強くないことが分かります。

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