●『君主論』研究_第二一章





『尊敬され名声を得るために君主は何をなすべきか』
(第二一章では、名声を得るための方法から発展し、同盟論へ展開している)

・『偉大な事業を起こして自らを類稀な規範として示すこと以上に、君主の名声を高めるものはない』

・スペイン王の例(以下、スペイン王のやったこと)
1、王位についてすぐグラナダを攻撃し、カスティリアの封建領主の気持ちをそちらに釘付けにした。
2、教会と民衆の資金で軍隊を養い、軍備の基礎を固めた
3、宗教を利用し、マッラーニ(表面上だけ改宗したユダヤ人)を追放し財産を奪った。
4、宗教を口実に、アフリカ、イタリア、フランスなどへ攻め込んだ

・『内政に関して、比類なき実例を示すことも、君主にとって大いに役立つ

ここでマキャベリは「良い為政者ではあったらしいが奇行が多かった」とされるベルナボ・ダ・ミラーノ卿を挙げるなどし、「彼を称賛すべきか処罰すべきかをめぐっては、なるべく大きな評判を呼び起こすような方策をこそ、選ぶべきであろう」としているが、これの意図は良く分からない。

・同盟について
どちらに味方するか態度を明確にすることは、中立を守ることよりもはるかに有用である。

《戦っている勢力をA、Bとする》

(Aに味方した場合)

A、Bが自分たちより強い――Aが勝つ⇒たとえAの配下にされても、相手があなたに恩義を感じる
                  Aが負ける⇒必ずAに受け入れられる

Aが勝って、もし配下にされたとしても、人間はすぐにあなたから受けた恩義を忘れるほど酷くは無いし、勝利したからと言って、そこまで強い立場になれるわけでもないから。そして、Aが負けた場合は、あなたはAに受け入れられて(この受け入れられるという意味がどういうことかは良く分からない)、いずれ運命がAに味方したときは、あなたと分かち合うことになる。


A、Bが自分たちより弱い――Aが勝つ⇒Aはあなたの言いなりになるしかない
                  Aが負ける⇒AもBも自分より弱いから、Aを助けたならAが負けることはない



(中立を守った場合)

A、Bが自分たちより強い――Aが勝つ⇒次はあなたがAに狙われる
                  Aが負ける⇒あなたはBに襲われるので、Aはあなたに襲われないで済むからホッとする

勝った方はいざ戦争時に自分を助けてくれなかった味方などいらないし、負けた方はもちろん助けてくれなかったのだから受け入れてくれない。

・『君主たる者は自分よりも強い有力者と手を結んで第三者を攻撃するようなことがあってはならない』が、やむを得ない場合は仕方が無い。ただし、『いかなる政体もつねに安全な同盟が結べるなどと考えてはならないし、むしろ同盟は全て疑わしいと考えるべきである』。なぜなら、『物事の成り行きの常として、一つの不都合(やむをえない事態)を避けようとすれば、もう一つの不都合にめぐり合う(同盟で何かトラブる)のは必然であるから』

・都市について

『都市や政体の意向を高めようとする人がいれば、褒賞を与えなければならない』『一年のうちの適当な時期に祝祭や興行を催して、民衆の関心をそちらに逸らさなければならない』『都市の団体の会合で親しく交わり、自分が寛大な心の模範的人物であることを示さなければならない』


第二一章のまとめ

偉大な事業を起こして自らを類稀な規範として示すこと以上に、君主の名声を高めるものはない
⇒君主として勢力的にがんばれ

内政に関して、比類なき実例を示すことも、君主にとって大いに役立つ
⇒良く意味が分からない

どちらに味方するか態度を明確にすることは、中立を守ることよりもはるかに有用である
⇒中立は良いことないので、はっきりどっちかに肩入れすべき。自分より弱い政体に肩入れできるときはチャンス。(←読解ミス。岩波版は分かりにくい。弱小勢力は本当は保護すべき立場であるのに、そのどちらか一方に手を貸してもう一方を破滅に導くのだから、どちらに手を貸すにしても慎重にすべき)。逆に自分より強い政体に援助を請う時は、相手を信頼してはいけない。

都市や政体の意向を高めようとする人がいれば、褒賞を与えなければならない
⇒産業の励行

一年のうちの適当な時期に祝祭や興行を催して、民衆の関心をそちらに逸らさなければならない
⇒良く分からないが、お祭りとかで活気が出ると名声が高まるとか?

都市の団体の会合で親しく交わり、自分が寛大な心の模範的人物であることを示さなければならない
⇒市民にも接しろ

どうすれば名声を獲得できるか、という主題のはずなのに主に語られてるのは同盟の話。同盟に関しては、中立を守ろうとするな、という点と、自分より強い政体と組むな、という点が要点か。最後におまけみたいに出てくる都市に関しての話は、どれほど重要性のある話なのか良くわからない。


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