2主×ナナミ 著者:ラドルノ様
〜第一話〜
湖に囲まれし城、ラースティア城。
始まりの紋章…輝く盾の紋章を刻みし指導者、リオウを筆頭に108星が集いし希望の古城。
人々はその軍を解放軍と呼び、真の平和を勝ち取る戦いが日々繰り広げられていた。
解放軍とハイランド軍の戦いはそれこそ当初は熾烈を極めたが、それも時が経つにつれ
徐々に解放軍の優勢へと傾き、今となっては情勢は完全に解放軍側の優位となっていた。
町は平和な雰囲気が漂い、人々の心には余裕が生まれ始めていた…
リオウもまたその内の一人である。
指導者であり英雄でもある彼だが、彼もまた一人の少年なのだ。
甘えたい年頃なのだ。
とゆうより元々は甘えん坊なのだ。
しかし英雄としての面目を守るため、“それ”を毎日抑えていたリオウである。
それはもう心に緩みが生じた時の彼の甘えぶりはレベル的にルカ=ブライトの狂乱レベルに並ぶ。
なおかつ彼は重度のシスコンなので性質が悪い。
「ナナミー!」
がばあっ!
リオウはナナミを発見するとそれはもう飛びつく勢いでナナミを抱きしめていた。
「きゃっ!?…リ、リオウ!もう驚かさないでよ」
突如背後からの襲撃にナナミは驚いてはいるものの、その表情はいたく満更そうである。
何を隠そう彼女もまた、隠れ(てるつもり)ブラコンなのである。
「ナーナーミー♪」
スリスリスリスリスリ…
リオウはナナミを抱きしめながら彼女にほお擦りをした。
ナナミも『しょうがないなぁ』とは言いながらも非常に嬉しそうである。
数秒間ほお擦りを続けていたリオウだったがハッ何かを思い出したような表情を浮かべた。
「…あ、そうだこんな事しに来たんじゃなかった…ねえナナミ、聞きたい事があるんだけど…」
「ん?何?何か相談事?悩みでもあるの?体調悪いとか?ひょっとして誰かに苛められたりしたの!?それだったら今すぐお姉ちゃんが苛めた奴をぶっ飛ばしに…!」
「お、落ち着いてよ、ナナミ」
マシンガンのようにしゃべる(叫ぶ)ナナミをリオウはなだめた。
リオウの事となるといつもの14倍は熱くなるナナミちゃん、これも愛がゆえであるのだろう(愛がゆえにぶっ飛ばされた人も少なくはない、というより多い)
ナナミをなんとか落ち着かせたリオウは再び話を続けた。
「ねえ、ナナミってさ…」
「うんうん」
「キスした事…ある?」
「ああ、きすね……キス?………うぇぇぇっ!?キスゥ!?」
「そう、キス」
「なななな、無いわよっ!」
耳まで赤くして全力で否定するナナミ。
その反応は答えが嘘か真かを十分証明した。
「そっかー、僕もした事無いんだ」
「そ、そうなの…?」
ちょっぴり(かなり×3)安心したナナミであった。
「ねえねえナナミ、それじゃあ…キスしてもいい?」
「え?え?してもいいって…誰に?」
「もちろんナナミに」
リオウはニッコリ微笑みながらそう言った。
その微笑みにクラクラきながらもナナミは冷静に考えた。
(以降ナナミあっちワールド)
“えええええっ!?キス!?キス!?
リオウが私にキス!?キスってあれよね!?お魚の方じゃないわよね!?
ちょっと待ってちょっと待って!
キスってことは…私の唇とリオウの唇が…キャーキャーキャー!やだ、もー!そんなぁー♪”
(以上ナナミあっちワールド)
…全然冷静では無かった。
クネクネと体をくねらせながらリオウを無視してもがいている。
「な、ナナミ…?」
「………へっ!?あ、ご、ごめんね」
あっち側から帰ってきたナナミは慌てて対応した。
「で、でもねリオウ、私達は姉弟だからね、そういう事はどっちかというとやっちゃいけないかなーって…」
おっとナナミちゃん、さすがはお姉さん。
弟にキチンとした常識を学ばせようとするのはさすがである。
「ふ〜ん……分かった、じゃあアイリにさせてもらおっと」
クルリと踵を返すリオウくん。
「えええっ!?駄目!そんなの絶対駄目!駄目駄目!いいよ!私に好きなだけしていいから!だから、ね?お願い、お姉ちゃんとしよう?ね?」
前言撤回。
ブラコンはどこまでいってもブラコンである事が今日(こんにち)証明された。
「本当?やったぁ!…それじゃあ早速」
ぐいっ
リオウはナナミを抱き寄せた。
フワリと嗅ぎ慣れているリオウのお日様の匂いがナナミを包む。
それだけでもナナミにとって鼻血ものだが、今回はリオウの顔がすぐ近くにあるのだ、心拍数は上昇の一方である。
「あ…ま、まってリオウ、まだ心の準備が…」
「だ〜め」
「ん…んっ!」
リオウはそう言うとペロペロとナナミの唇を舐め出した。
上唇から下唇、時にはナナミの唇ごと咥えるように舐めている。
突然の奇襲口撃とファーストキスと麗しく愛らしくて弟との夢にも見たシチュエーションに、ナナミの心臓は早鐘を打っていた。
「ん…んんっ…ぷあ…リオウ…あんまりイタズラしりゃ…んぷぅ…」
クチュクチュ…とナナミの唇を執拗に貪るリオウ。
ナナミの唇を舐め終わると今度はナナミの口内に舌を潜入させる。
「んうっ、んっ……あぷ…」
生暖かい感触と、甘味すら感じるナナミの唾液を啜りながらリオウはナナミの口内を犯していく。
時には激しく、時には優しく互いの唾液を交換し合う熱いキスは互いの思考をぼやけさせていった。
体が熱い、脚がふら付く、頭がぼやける、そんな事を思いながらナナミは夢中でリオウを求める。
「ん………こくっ、こくっ」
ナナミは懸命に口からあふれ出そうになる唾液を飲み干す。
ナナミはこの時この飲み物が素直に美味しいと感じる。
自分でも無意識にリオウの柔らかい舌を夢中で啜っていた。
ふと、突然リオウが唇を離す。
「ぷあ……?なん…で?」
自分は今ひょっとしてとても恥ずかしい事を言ったのだろうか。
頭の片隅ではそう思ったが、今のナナミにはそれすらも深く考える余力は無かった。
「ね…ナナミ、久しぶりに一緒にお風呂入ろ…」
「……うん」
優しく語り掛けてくるリオウに、ナナミは今だ高揚している体をリオウに預けつつ、幸せそうな浮いた声でそう答えた。