ミレイ×4主 著者:6_656様
「フォー様、お茶が入りました」
日頃の無理が祟って昨日からユウ先生に自宅療養を言い渡されたにも関わらず、なぜか途切れることのない書類の催促のために、今日も書類に判子を押し続けていた彼の元へミレイがやってきたのは今日の午後の事だった。ここ数日なにやら悩みの相談にユウの元へ通っていたらしく、そこで彼の様子を見てくるよう頼まれた彼女は最初、作業を続ける彼を見て驚きすぐに休むように勧めたが、軍師からの要請のため断るに断れないことを彼が伝えると、「納得できない!!!」と勇ましく軍師の元へ抗議に向かった。が、十分後に意気消沈して帰ってきた。まあ無理もない……と彼は思った。
「せめてお手伝いを……」と頼む彼女の厚意に甘えて淹れてもらったお茶にありがとうと返しつつ一口飲んだ彼は、味に僅かに違和感を感じた。……?
とりあえず仕事を中断して休憩をとった彼は向かいに座った彼女にもお茶を勧めた。しばらく世間話が続いた。彼女の悩みは精神的なものらしいこと、彼の生え際がストレスのせいで後退の兆しがあること、彼女の友人のグレッチェンが幸運にも宝くじを当てたこと、彼の友人のスノウが生意気にも彼女を作ったこと彼がリタに絡まれたこと、アドリアンヌが船長の彼からもぼったくること、彼がバジルに絡まれたこと、彼が化粧品を買いに行かされたこと、彼がフレアに絡まれたこと、彼がミズバに絡まれたこと、彼が……
しばらく話しを続けていても彼女がお茶に口をつけないので彼が怪訝に思ったその時、急に彼の胸が締め付けられた。これはまさか……恋? あまりに突然の出来事に彼が胸を押さえて錯乱しているとミレイが寄って来て彼のお茶を舐めた。「大変、これはしびれ薬が入ってます!!!」なぜ解るミレイよ!! と突っ込む間もなく彼女は胸元から何故か持っている解毒剤を取り出すと彼女のお茶の中に入れ、彼に手渡す際に手を滑らせて胸元に零した。幸いにもお茶は冷めていたので焼けどはしなかったらしい彼女は頬を染めつつ胸を彼の顔に近づけて「……どうぞ」と言った。おいまさか直接吸えってか?できるかー!!! と返そうにも段々呂律が回らなくなってきている彼を見て残念そうに溜息をついた彼女はポットからお茶を注ぎなおして新しい薬を入れると口に含んだ。予備の薬あったのかよ!!! 彼が薄れゆく意識の中そう突っ込みつつ近付いてくるやや照れたようなミレイの顔を見つめていると、彼女の声が聞こえた気がした。「実はこの薬副作用があるんです。……フォー様、やさしくしてくださいね。」
その日の夜、艶やかな笑顔でユウ先生にお礼をしているミレイと、枯れ果てた姿でアグネスに発見された彼の姿があったとさ。