5王子×リンファ 著者:マチルダ執筆団員K様
「あの…もう止めようよ…リンファさん」
「う、うるさいわねっ!次は絶対勝てるわよ!」
「(…厄介な事になってきたなぁ)」
戦いが続く中、ちょっとした息抜きにやってみたリンファさんとの賭け事…しかしそれがとんでもない事になってしまった。
「ほら!ボーっとしてないで次!」
「次って…リンファさん…もう1ポッチも無いよ」
「うっ!」
図星を突かれ少し後ろに下がるリンファに、ファルーシュは溜息をついて受領したお金を全て彼女の手の上に置いた。
「な、何のつもりよ!」
「僕は別にお金が欲しくて来たわけじゃないから、これは全部返すよ」
「…私に同情してるの?」
「同情とかそんなのじゃなくて…僕は息抜きに…」
「あー!もう!そんなの納得できないわっ!」
受け取ったお金を突き返すようにファルーシュに渡すリンファに、これは参ったな…という表情でファルーシュは俯いてうな垂れる。
「私だってギャンブラーの端くれよ!負けて奪われたお金をむざむざ受け取るなんて恥よ!恥!」
「はぁ…」
何だってこうムキになるんだろう…ファルーシュはまた大きく溜息をついてこういう条件を提案した。
「じゃあ、最後の賭けですよ、僕が勝ったらそこで終わり、もしもリンファさんが勝ったら僕の得たリンファさんの賭け金を全部返すよ」
「何よ…その私にとても有利な条件は…」
「リンファさん?」
「王子様…本当に何も分かってないわね…」
ファルーシュの出した提案にリンファは怒りを覚えた、完全に舐められている…ファルーシュにはそんな気持ちは全然無いのだろうが、ギャンブラーとしてのプライドを傷つけられた感じにリンファは襲われた。
「さっきも言ったけどね!私はギャンブラーなの!」
「そ、それは分かってるよ…だ、だから…は、放して…い、痛い…」
「本当に分かってるの!?」
「うん、うん…だから放してぇ…」
肩を掴まれながら前後に揺さぶられるファルーシュは血の気の引いた顔で答える、これ以上されたら死んでしまう…。
「だから!私は王子様に何を賭けるかつべこべ言われる筋合いはないわっ!」
「そ、それじゃあどうすればいいの…一体何を賭けるの…ぐふぅ…」
「私を賭けるわ!」
「へ…な、何て言った?」
頭がクラクラしているのか、ファルーシュはリンファの言った事がよく聞こえなかった。
「なぁに?聞こえてなかったの?ならその銀色の髪からひょっこり出ている耳でよーく聞きなさい!」
「うん…」
「私を、私自身を賭けるは!」
「リ、リンファさん自身を!?」
「そうよ!もし私が勝ったら王子様がさっき言ったとおりにお金は全部返してもらうわ!でも負けたら王子様は私の身体を自由にしてもいいわ!弄ぶなり、食べちゃうなり何でもしなさいっ!」
「そ、そんな事言われても僕には…」
ビッキーがいる…そう言いそうになって思わず口を閉ざすファルーシュ。だがリンファはそんな事御構い無い無しでファルーシュに最後の決戦を挑む体勢に入っている。
「いいわよね、ここで引いたら命は無いわよ!」
「は、はい…分かりました…」
圧倒的力量をぶつけるかのように睨めつけてファルーシュを逃さないリンファは、コインをファルーシュに渡すとカードを引いた。
「じゃあ、始めるわよ!」
「…はぁ」
ファルーシュは再三溜息をつくと、カードを引いて彼女の賭けを不本意ながらも受ける事にした。
「…ま、負けた…う、嘘…」
「リ、リンファさん…」
「そんな!絶対ありえない!11よ!11!」
「僕は…12ですけど…」
リンファの自信ありげな顔が一気にどん底に叩き落されたような顔に変化する、それを見ていたファルーシュも気まずい顔になっていた。
「…あ、あの」
「なんで!何で一回も勝てないのよぉ!うえ〜ん!」
「リ、リンファさん…あ、あのやっぱりこれは無かった事で…」
「私の…私の身体が…こんなボウヤに…」
「き、聞いてる?」
目から滝の如く涙を流してこれからの事を絶望しているリンファには、ファルーシュの声なぞ聞こえてる訳が無く、
最初より複雑な状況下に置かれたファルーシュは頭を抱えて悩んでいた。
「ご、ごめん…リンファさん」
「はぁ…仕方ないわよね…私が言った事だもの…」
「そ、その事でなんだけど…」
「今更無しって言うのは駄目だからねぇ」
先読みで防がれてしまった最後の灯火にファルーシュは焦り始めた、好きにしても良いと言われてもそんな気はなかったし、何かしなくては帰らせてくれないし…。
「(そうか…)」
何かしら思いついたファルーシュは手をポンと叩いて、リンファから逃れる打開策をまとめ始めた。
「何してるのよ、王子様」
「ん?あ、ああ…ちょっとね、さぁ、行こう」
「え、ええ?」
ファルーシュはリンファの手を取ると宿屋の一室に向かう、そんな積極的な行動をするファルーシュに戸惑ったリンファは引っ張られるままに部屋に入っていく。
「リンファさん、ベットに座って」
「い、いきなり何よ!」
「あれ?リンファさん、僕はリンファさんの身体を好きにしていいんだよね?」
「くっ…最低よっ」
いくら好きにしていいからと言ったからっていきなりこんな事をするファルーシュに、少々興奮をを覚えるリンファ…。肩に手を添えられると段々と近寄ってくる彼の顔を見るとなかなかいい顔…いや凄く好みの顔だと言うことに気づいてしまった。
「……リンファさん」
「…(あ、で、でも…べ、別にいいかなぁ〜なんて…)」
美しい銀色の髪に爽やかな笑顔…それよりも青く澄んだ瞳が何よりもリンファを惹きつけてしまい、見惚れると同時に秘所がジュワっと濡れる感覚を味わってしまった。
「それじゃあ…食堂のお掃除手伝って」
「え?」
予想もしないファルーシュの言葉に、目を丸くしキョトンとした表情で彼を見つめるとそこには、にこっとしている彼の笑顔があった。
「ど、どういう意味よ?」
「どういう意味って言われても、そのままの意味だけど…最近人が多くなって、レツオウさんが困ってるみたいなんだ」
「わ、私を抱くんじゃなかったの!?」
「何でそんな事する必要が…」
ファルーシュの近づけていた顔がリンファから離れると、双方の青い瞳を窓に向けて外を見る。そして一息つくと部屋を出ようとドアの方に歩いていった。
「え、あ?えー!」
「な、何?」
「だ、だって!ここまでしたら普通抱くでしょう!それなのに何でチャンスを逃すような事してるのよ!」
「い、いや、だから…僕は最初からそんな気は…」
「それって私に魅力が無いって言いたいの!?」
リンファは動揺しながらファルーシュに罵声を浴びせると、ファルーシュは振り向いてこう答えた。
「リンファさんは綺麗だし、十分魅力があると僕は思うよ」
「なっ、何真面目に言ってるの!」
またも予想しないファルーシュの言葉に、リンファは慌ててベットのシーツを身体に巻きつけてそっぽを向いてしまう、ファルーシュはクスクスと笑い、
静かに部屋のドアを開けると受付にいるマリノにリンファを休ませてあげるように話した。
「あ、マリノさん、リンファさん疲れてるみたいだから寝せてあげて」
「は、はいっ」
「じゃあ、僕はこれで…あっ、そういえば今日はルクレティアさんに呼ばれてたんだ…マズイなぁ」
そう言うとファルーシュは、作戦会議があることを思い出し、走って宿屋を出て行った。
「あ、あのボウヤは〜…もうっ!」
ファルーシュの声が聞こえなくなると、リンファは顔を真っ赤にしながら一人でぶつぶつを何かを言っていた。
「なんであんな甘ちゃん王子様に…」
リンファの脳裏に焼きついてしまったファルーシュの笑顔、そして吸い込まれそうになった蒼海の瞳…。
それが起爆剤になったのか、治まっていない情欲がより一層リンファの身体を熱くさせていく。
「むぅ…くぅん…」
勝手に動く指…それは自分のショーツの上をなぞる様に動いていく…思うのはあの甘ちゃん王子の事。
「ファルー…シュ…様…」
口に自分の服を噛み締めながら、リンファはファルーシュの幻影を見ながら一人で自慰に励んでいた…。
「さてと…」
ルクレティア達とのファレナの情勢を話し合っていたファルーシュは、会議が終るとゲオルグ、リオン共に作戦会議室を退室していた。
「王子」
「ん?」
隣にいるリオンがファルーシュにいつも通りに話しかけてくる、この前は危うい場面を目撃されて激昂されたが、今では前みたいに普通に接してくれている。
「今日は会議長かったですね」
「そうだね、でも会議なんて最初だけで、後はルクレティアさんの雑談ばっかりだったけど…」
「ええ、しかも中盤から…子供がどうとか…王子似ならとか…」
「ほう、そりゃどこの王子の事を言っていたんだ?」
ははは、と高笑いをしてファルーシュの頭をクシャクシャと荒く撫でるゲオルグは、明らかに楽しんでいるようにしか見えなかった。
「どこの王子でしょうね…」
「は、はは…本当にどこの王子だろうね…」
はぐらかす様に目を逸らしながら笑うファルーシュに対して、ゲオルグとリオンは彼に対してズバっと無表情で指を指した。
「お前だ、お前」
「王子です、ファレナ国の王子である貴方の事です」
「はは…はぁ…」
あれ以来、伝染病みたいに広まっていく噂…それに続いて否定しないビッキー…まだ小規模の被害だが、いつか兵糧責めのようにファルーシュは追い詰められていくのだろう。
「あまりそっちに力を入れすぎないことだな、お前は一応王子なんだからな」
「いいえ、ゲオルグ様!王子はこれからが重要な時です!だから一切禁止です!」
「何だ、リオン、そんなにムキになって…さては、お前妬いてるのか」
「なっ、べ、別にそんなんじゃありません!」
ゲオルグの問いに顔を真っ赤にして否定するリオン。ファルーシュは二人の会話に遅れてただ見ているだけしか出来ない。
「はっはっはっ!分かりやすいな、お前は」
「もういいです!皆さんにゲオルグ様が夜中、食堂でチーズケーキを幸せそうに食べてる事ばらしますから!」
「リ、リオン…な、何故知っている…」
「何故でしょう?」
「ま、まぁ…ファルーシュ…リオンの言うとおり、今は大事な時期だ…だから控えろ」
冷や汗を垂らしながらファルーシュに話し掛けるゲオルグ。ファルーシュは彼の言葉よりもチーズケーキだけで何故ここまで慌てるのかが不思議だった。
「じゃあな、俺は少し用事を思い出した…」
「ゲオルグ様、ご理解いただき有難うございます」
「(最近、ミアキスに似てきてるな…)」
早歩きで場を去っていくゲオルグに笑いを覚えたファルーシュは、リオンの後ろでクスクスと笑っていた。
「何がおかしいんですか?」
「い、いや…別に…」
顔は笑顔だが素人には分からない一瞬の殺気を放つリオンに、ファルーシュは口篭ってしまった。
「それじゃあ王子、もうお昼ですし…昼食でも食べに行きませんか?」
「そうだね、今日朝からいろいろあったからお腹空いたし…」
「いろいろですか…ビッキーさんとならいろいろありますよね…」
「あ、違うよ!エッチな事じゃないよ!」
「えっち…えっち…」
「ご、ごめんよー!」
「あっ!王子!待ってください!」
相変わらずの笑顔…しかし額には先ほどよりも酷い青筋が立っている…生命の危険を感じたファルーシュは一目散に階段を下りていき、それに続いてリオンも後を追ったいった。
「おもしろいですねー、言葉で表せば…三角姦計の策…ですか?ふふふ…」
「アンタ…いい性格してるよ」
「でも、もっと面白くなりそう…」
と壁からヒョイっと出てくるルクレティア、二人の会話を盗み聞きしていたのか、にこやか表情で扇を煽っていた、それを見ていたラージャはルクレティアに向かって溜息をついていた…。
「……!?」
何とかリオンを宥めて食堂についたファルーシュは、いつも見ている食堂とは全く持って違う事に吃驚した。
「す、すごいです…王子…床が鏡になってますよ」
その言葉に下を見ると、自分の顔が床に綺麗に映っている、それはまるで太陽宮の床を思い出させる程の物であった。
「ぜー、はー、ぜー、はー…こ、これで食堂に潜む巨悪はもういない!我々の勝利だ!」
「お見事です、イザベル様」
「はいはい…、ごくろうさま…、貴方たちのおかげで、もう食堂の巨悪はいなくなったわ…」
向こうから聞こえてくる変な会話にファルーシュとリオンは目を向ける。するとそこにはモップをもって息を切らしているイザベルと、
いつもと変わらなく冷静なマティアス…そして汗だくでテーブルに寄りかかっているリンファの姿があった。
「ま、まさか三人でこれをやったんですか?」
「…普通、三人でここまで出来るのかな」
床を見ながら感嘆の声を上げていると、こちらに気づいたのか、イザベルとマティアスがゆっくりと近づいてきた。
「王子…あ、安心しろ…もう食堂の巨悪は我々が正義の剣で討ち滅ぼしたぞ!」
「そ、そう…何かよく分からないけど…とりあえず、ありがとう…」
「いや、礼にはおよばん!そ、それでは行くぞ!マティアス!」
「イザベル様の仰せのままに…」
モップを食堂の天井に翳しながら歩いて出て行く二人は、モップを持ったまま通路の向こうに消えていった。
「モップ持っていっちゃいましたけど…いいんですか?」
「いいんじゃないかな…」
呆れ顔の二人は通路の方を向いたまま、モップはどうするんだろう…と同じ事を思っていた。
「あらぁ…王子様…どぉ〜?…貴方が掃除してって言ったからちゃんと掃除したわよぉ…」
「う、うん…で、でもここまでする必要は無いと思うんだけど…」
「何よぉ〜、不満があるわけ〜?」
せっかく頑張ったのに大して喜ばれもしない事に腹を立てたリンファは、ファルーシュを睨みつけて口を尖らせてしまった。
「王子、掃除を頼んだって…?」
「今日の朝にね…食堂を手伝ってって頼んだんだよ、賭け事でだけど…」
「そ、そうだったんですか…す、すみません…私てっきり…えっ」
「あああ!いいよ、いいよ!リオンが疑うのも無理ないよ!」
リオンの最後の言葉が放たれようとした瞬間、ファルーシュはその言葉を遮る様に大慌てしていた。
「…何か私、置いてけぼりじゃない?しかもお礼の一つも無いしぃ〜」
「あ、ご、ごめん…ありがとう、リンファさん、もう休んでいいよ」
「ありがとう?それだけなのぉ〜?」
ファルーシュの言葉に満足出来ないのか、リンファは妖しい微笑を見せながら立ち上がると、ファルーシュとリオンに近づいていく。
「言葉だけじゃ満足できなぁい、もっと良いものが欲しいわぁ…」
「い、良いものって…お、お金ですか?」
「た、確かに欲しいけど…今はそんな気分じゃないの…もっと良いもの…そう…例えば、王・子・様がいいわね〜」
「は、はぁ?」
リンファの細い指がファルーシュの頬に触れる、それと同時にリオンの怒りの声がリンファに向かって放たれる。
「お、王子に何してるんですか!」
「何って…ご主人様になった王子様にご褒美をおねだりしてるのよ、だって私…もう王子様の物だ・か・ら」
「リ、リンファさん!?何を言って!?」
「だってそうでしょ、賭け事に勝ったら私を好きにしていいわよって条件で、王子様が勝ったんだから…」
リンファの言葉にとてつもなく不穏な空気が舞い上がる、ファルーシュは背筋に冷たいものが走るのを覚えた。
「おーうーじー!さっきのは嘘だったんですかぁぁ!」
「ち、違うよ!た、確かに賭け事の内容は言っていなかったけど、仕事を手伝ってって言っただけで!僕は何もしてないよ!」
「恥ずかしいからって嘘はだめ…、激しかったわ〜王子様のア・レ…」
リンファはファルーシュに足を絡めると、わざとリオンに聞こえるように卑しく話す。それを聞いたリオンは…。
「王子…月夜は気をつけてくださいね…さぁ…お食事を済ませましょう」
「リ、リオン?」
ふっと微笑をファルーシュに見せると、椅子に軽く座るリオン…ファルーシュはそんな彼女を見て、僕の命はそれほど長くないなと思いなった。
「リ、リンファさん…とりあえず昼食でも…」
「わ、分かったわ…(あの小娘がいる間に余計な事言うとバッサリいかれそうね…何とかして王子様と…)」
「レツオウさん、今日のお勧めは何ですか?」
「お刺身などいかがでしょうか…」
レツオウがそれを進めると、リオンは笑顔でそれにしてくださいと返事をした。レツオウはそそくさと厨房の奥に入っていくと支度を始める。
「えぐっ…ひっく…怖いよぉ…お父さん…」
「シュンミン…今は耐えなさい…」
奥の厨房でそんな親子の会話がされているとも知らずに、リオンは上機嫌な感じでお食事が来るのを待っている…。
「ふふふ、王子も大変ですねぇ」
「やっぱりアンタ…いい性格してるよ」
「あらあら、そう言うラージャ提督だって…面白くて後をつけてるのでしょう?」
「当たり前だよ、こんな面白可笑しいのは何年ぶりかねぇ…」
その裏で覗かれているとも知らず、ただただうな垂れているファルーシュは、肩身を狭めながらお刺身を食していた。
異様な気を放つリオンの隣で昼食を終えるファルーシュ、皿に盛ってあった刺身を全て食すと、箸を置き椅子から立ち上がる。
「ごちそうさま、美味しかったよ」
「王子様にそう言って頂けると、私も腕を振るったかいがあります」
「シュンミンも美味しい魚をありがとう」
ファルーシュはその魚を提供してくれたシュンミンにもお礼を言ったが、彼女が厨房の奥から出てくることは無かった。
「お、王子様…シュンミンは…」
「あ、そうか…ごめん、レツオウさん…今日はもう帰るから」
「申し訳ありません…」
その事に疑問を感じる事もなく、納得するファルーシュは原因を取り除く為にここから立ち去ろうとすると、その原因が気にもせずにファルーシュに話し掛けてきた。
「王子、午後は何をするんですか?」
「え、えーと…セガイさんと戦闘訓練かな」
「えー、そんなのつまんなぁい!」
リオンとファルーシュの会話に割って入るリンファは、だるそうに不満を垂らしながら椅子に寄りかかっている。
「それにぃ〜、まだご褒美…」
「じゃ、じゃあ!僕は早くセガイさんと訓練したいから!」
掴まる前に逃げる…三十六計逃げるにしかず…多くの戦いを経験してきたファルーシュがとった最善の策である…別に策と言うほどのものではないが。
「あー!ちょっと待ちなさい!私の苦労はどうやって労うのよー!」
リンファは逃げる鼠を追いかける猫のように猛ダッシュでファルーシュの後を追う、取り残されたリオンは呆然としていたが、事の重大さに気づいて彼女もまた、二人の後を追っていった。
「お、お父さん…王子様達は…」
「大丈夫、もう行ってしまったよ…」
リオンがいなくなったのか、安心した顔で食堂の方に出てきたシュンミンの頭を、レツオウは優しく撫でてやった。
「はぁ、はぁ…何とか振り切った…」
二階に続く階段近くで息を切らしているファルーシュは、ちらちらと周りを見てはリンファとリオンの姿がいない事を確認して胸をなでおろす。
一国の王子の不祥事?がここまで酷くなるとは思ってもいなかった、それはビッキーと関係を持った時は一応覚悟はしていたけど、これほどまでとは…。
「ルクレティアさんの言葉を実現したいよ…」
頭の片隅に置いてあったルクレティアの言葉が思い出される、「夜逃げしちゃってもいいんですよ」…それが出来たらどれだけ楽であろうかと溜息をつく。
「でも、そんなことはしてられないな、よしっ、セガイさんに指南して貰いに行こう!」
落ち込んでいても仕方ない…ファルーシュは自分の顔をパンパンと両手で叩くと、気分を入れ替えて二階に下りていこうとしたのだが一人の青年が王子の方に向かって走ってくる。
「王子ー!ただいま帰りましたよー!」
「あ、あれ、カイル…だよね?」
「オレ以外にこんなカッコイイ美青年がどこにいるんですかー?」
この軽口、カイルに間違いないとファルーシュは思った、しかし兄弟のように育った彼の事を何故分からなかったのだろう…それは彼の今の姿が酷い有様だったからである。
服はずぶ濡れでそこいらには草やゴミが付着していて、更には割れた壷が頭を覆い隠して彼の顔がよく見えなかった。
「どうしたの…その姿」
「いやぁ…それがですねー、ビッキーちゃんに王子の攻略法を教えたら、いきなりミアキスちゃんに殴られて…フェイタス河に流されちゃったんですよー」
「そ、そう…それは災難だったね…って僕の攻略法って…」
「あ、やばっ…せっかく忘れていたのほじくり返しちゃった…」
壷の割れた所から手を入れて口を抑えるカイルであったが、ファルーシュの耳にはよーく聞こえていたみたいで、それを聞いたファルーシュは怒り状態になっていた。
「カイル…あれから大変だったんだよ…」
「は、ははは…でもビッキーちゃんの美味しい身体をペロペロ出来たんですから…結果オーライと言う事で…」
「反省の色が無いみたいだね…ミアキス…いるよね」
「はぁーい、お呼びですかぁ〜、王子〜」
冷たく光る蒼海の瞳が三階の廊下を見ると、どこからともなく女王騎士のミアキスが出てきてファルーシュの隣に付く。
「今日のフェイタス河の水温は分かる?」
「はぁ〜い、もう調べてありますぅ〜…確かぁ〜?5度ですぅ〜」
5度?一体何を喋ってるんだ?まるで蛇に睨まれる蛙のような心境のカイルはガクガクと震えながら立ち尽くしていた。
「お、王子…な、何をするんですか?」
「やっていいよ…ミアキス」
「カイル殿ぉ〜、今日のフェイタス河はもっと冷たいですよぉ〜」
「ひ、ひぃぃぃ!や、止めてー!ミアキスちゃん!もう冷たいのは!」
カイルの断末魔が叫び終わる瞬間、ヒュッと二人がその場から消える…ファルーシュは手と手を合わせて合掌すると、いい仕事をしたなぁ〜という顔で階段を下りて行った。
「はぁ…今日はやたら疲れるなぁ…お風呂にでも入って寝よう…」
今日もいろいろあったなぁ…とファルーシュは背伸びをしながら欠伸をすると、自分の部屋に戻って着替えの服を持って疲れを取るために一人お風呂に向かっていった…
そこで思わぬ事件に巻き込まれるとは知らないファルーシュの後に、二つの影が映っていた…。
「もっともっと面白くなりそうですね」
「アンタ…よっぽど暇なんだねぇ…なんか王子が可哀想になってきたよ」
「ラージャ提督も共犯ですよ、でも王子って鎧袖一触と言う言葉が似合っちゃいます」
「ふふふ、まぁ、最後まで見てみようじゃないか」
ファルーシュに潜むその影はより強大になっていき、ゴドウィンよりも厄介になっているのかもしれない…
真の敵は内にあり…獅子陣中の虫…二人にはまさにぴったりの言葉であったが、それを表する人物はその二人以外はいないのかもしれない…。
夕刻…まだ誰も姿の見えない銭湯に、ファルーシュは着替えと銭湯セットを片手に来たのだが、男湯には掃除中の看板が立っており入る事が出来なかった。
「…露天風呂だけしか開いてないのか」
掃除しているミルーンを呼び出すのも悪いなと思い、仕方なく露天風呂に向かっていくファルーシュは、入り口にある「王子殿下」という木札を壁に掛けておく…
こうしておけばファルーシュが入っている事が一目で分かる為、安心してゆっくりお風呂に入る事が出来るからだ。
やっと出来た一人の時間を有効に使いたいファルーシュは、母譲りの美しい銀色の髪を縛っているリボンを解いて纏っている服を脱ぐ、
そして局部を隠す為にタオルを巻くと湯煙が立ち込める露天風呂に歩いていった。
「露天風呂に一人ではいるなんて初めてだなぁ」
開放的な風呂はファルーシュの心を極限までリラックスさせた、あれ以来てんやわんやの城内になってしまい、ファルーシュの心が落ち着くのは釣堀と部屋…そしてお風呂だけになってしまった。
「ふぅ…いつもここは熱いなぁ…もうちょっと温くてもいいのに」
「そうよねぇ、こんなに熱いと慣れるまでセックス出来ないじゃない!」
「そうだね、セックス…!?」
「はぁい、王子様」
ファルーシュの目線が横に一気に移ると、そこにはバスタオル一枚で微笑を浮かべている一人の女性がいた。髪は薄い紫で綺麗な長い髪…バスタオルの下に隠されているふくよかな胸…そして見せつけるようにスラリと伸びる美脚に、
ファルーシュはその女性が誰だか分かった。
「リ、リンファさん…こんな時間にどうして…」
「あんな仕事の後だもの…汗びっしょりでいるわけにはいかないでしょ?」
「リンファさんの木札は無かった筈だけど…」
「だってぇ〜、掛けてたら王子様が入ってこないでしょう〜?」
「そ、そう…」
一気にアドレナリンが沸騰する気分になるファルーシュ、魅力的な身体を晒している彼女を犯したいから?
いや違う…慌てて逃げ出したいからだった、しかし、ここで逃げようとしても満足に動けない、だから隙を見て逃げ出そうと、リンファと冷静に会話をしていた。
「あら、逃げないの?」
「うん、久々の露天風呂だからゆっくりしたいからね、それにリンファさんがいても気にならないし」
「ちっ…つまらないわねぇ…っていうか最後の言葉は何よ(このままじゃ耳年増で終る…それだけは避けないといけないわ!)」
リンファは予想だにしないファルーシュの反応に舌打ちをして爪をかじる。
ファルーシュはそんな彼女の行動にも対応できるように注意深く言葉を選んでいた。
「あー、疲れるが取れるなぁ、やっぱりお風呂って最高だよね」
「うふふ、王子様♪お風呂よりももっと疲れが取れるマッサージがあるんだけど、試してみなぁい?」
「お断りします、僕はゆっくりしたいですから」
すぐに突き返される言葉に苛立ちを覚えてくるリンファを見て、この調子なら怒ってすぐに出ていくだろうと思ったのだが。
「何よ、何よ、何よ!」
「リ、リンファ…さん」
「せっかく私がしてあげるって言ってるのに!」
「い、いや、別に僕は…」
怒ったのは怒ったが、当初の考えとは違う結果になってしまった…。ファルーシュの顔に焦りが見え始めると同時にリンファは追撃をかけるように喋る。
「王子様、今日の賭け事の後で、私をベットに押し倒したわよね」
「う、うん…そ、それが…?」
「あの後、私どうしたと思う?王子様の事考えながらずっとオナニーしてたのよ…」
「え?え?な、何言って…」
リンファの口から放たれた言葉にファルーシュは耳を疑う。風呂に浸かっているリンファは立ち上がり暗い顔で続ける。
「思わせぶりしといて…甘ちゃんの王子の癖に…綺麗な目で見つめるから期待しちゃって…ぐすっ…責任取りなさいよぉ…」
顔を両手で抑えてすすり泣くリンファに、今まで冷たくあしらった自分に、ファルーシュはもの凄く重い罪悪感を感じた。
「ご、ごめん、リンファさん…」
「王子様…」
「僕、リンファさんがそんなに気にしてないと思って軽く見てた…だから謝らないと」
ファルーシュは沈んだ顔をして俯くと、リンファに対して謝罪をする。
それを見下ろすように悲しみの顔で見つめていた…いや…違う。
「(うふふ…効いてる効いてる♪)」
悲しみなど一切無かった…リンファは妖しい笑顔で唇から舌をベーっと出していた…泣いている様に見せかけてファルーシュを内側から落とそうという策であったのだ。
「そんなぁ…王子様…私も言いすぎたわ」
「いや、だけど…」
「そんなに謝らないで…ううん、謝っちゃだぁめ…だって私は王子様の物よ(そろそろ頃合ね!)」
「リ、リンファさん!?むぐっ!」
立ち上がっていたリンファは、また湯船の中に腰を下ろすと、ファルーシュの首に手を伸ばして、自分の胸の谷間にファルーシュの顔を埋める様に抱きしめた。
「だから、王子様の好きなように…ファルーシュ様の好きなように私の身体を犯していいわぁよぉ♪」
「ま、さか…しまったっ!騙され…ぐっ!」
完璧にリンファの手の内に掴まってしまった、頬に彼女の胸の柔らかい肌がプニプニと押し当てられる。
「どう?ビッキーちゃんのより大きくて柔らかいでしょう?」
「な、何でそれを!?」
「ふふっ、私が知らないとでも思ったの?まぁ知らなくてもファルーシュ様を奪っちゃうのは変わりないけどねぇ〜」
「う、奪うって…くぁ…」
とリンファの指がファルーシュの股間をなぞる様に触れる。突然の行為に逃げようとするファルーシュだが頭がボーっとして逃げる事が出来ない状態だった。
「のぼせちゃったのね?可愛い…早く食べちゃいたい…」
「うぁ…!」
「顔に似合わず凄いわねぇ…これで犯されると思うと…ぞくぞくしちゃう♪」
のぼせているファルーシュの首に手を回すと、リンファはファルーシュの唇をぺロッと舐めた。
「はぁん…ファルーシュ様のお・く・ち♪」
「…(た、助けて…誰でもいいから…)」
のぼせ、追加に連続のキスでもう喋る気力すらない…ファルーシュはリンファの甘い唇にされるがまま受け止めてるしかなかった。
「ん…んあ…れろっ…ちゅっ…」
激しく責め立てられる口付け…リンファは舌をファルーシュの頬や細い顎に這わせながら楽しんでいる。そして片手はいきり立ったペニスを優しくしごいて、本番の準備に取り掛かると、ファルーシュの唾液を啜いながらウットリとした顔で唇を離した。
「ぷはぁ…ファルーシュ様、このままじゃ最後まで出来ないから、お風呂からでましょうねぇ〜」
「…あ、う」
「おちんちん苦しいのね…でも大丈夫…ちゃんと私がしてあげるから」
力なく首を横に振るが却下され、引きずられながら外に引っ張り出されると、仰向けに寝かされるファルーシュ、意志とは関係なく股間のタオルには立派なテントが張られていた。
「さぁ、沢山しましょ…」
「や、や…め…」
自分の身体を覆い隠しているバスタオルを、はらりと脱ぎ捨てるとリンファの顔がファルーシュのペニスを隠しているタオルに近づき、腰にある縛り目をジワジワと解いていく。
「早く見てみたいなぁ〜、ファルーシュ様の…ア・レ」
「…頼むよ…誰か…」
動かすのにやっとの身体で抵抗をしてなんとかその場しのぎをしてみるが、まったくもって無駄な行為で終わっていく。
その間にもリンファの魔の手が忍び寄ってくる、そしてついに…。
「きゃっ!」
タオルが外された途端、ブルン!と天に向かってファルーシュのペニスが起ち上がる、リンファは頬を紅く染めながら手の中にそれを収めようと、優しく根元から亀頭までを撫でていく。
「や、やられた…お、お終いだ…」
「どうして欲しい?お口がいい?それとも…この胸で挟まれたい?」
「ど、どっちも…(遠慮したいです…って言いたいけど声が出ない…)」
「どっちも!?(観念したのかしら?まぁ、何言ってもどっちともしちゃうから関係ないわね)…もうっ、欲張りね、でもファルーシュ様のお願いだから聞いてあげちゃう♪」
「ち、違…ど、どっちも…遠慮し…うぁっ!」
少し冷えて頭が冴えてきたファルーシュだったが、身体の方が思考に追いつかず口が回らない為、誤解を招くような言葉が出てしまった、だがリンファはそんな事知ったこと無いと言う顔をしている。
「それじゃあ、挟んじゃうわよ〜」
「かはっ…」
まるでその言葉が合図だったのか、ファルーシュの太ももにリンファの二の腕が乗り、白い双つの乳房でペニスを抱擁する、その時一瞬だけどファルーシュは悦んでしまった。
「うぅん!大きい…胸からはみ出しちゃうなんて、凄く素敵ね…」
リンファは歓喜の声を上げると、胸に手を添えて真ん中に聳え立つファルーシュのペニスを擦るように上下にしごき始める。
「んっ…はぁ…あはっ…脈打ってるぅ…私の胸で暴れてる!」
「あ、あ…」
弾力性と柔らかさを備えたリンファの乳房に今まで味わった事の無い快感を感じるファルーシュ。亀頭の先端からは先走った粘液質の汁が溢れ出してきていて、射精に一歩近づいていく事を教えている。
「はむぅ…んぷっ…いいわぁ♪…ファルーシュ様ぁ」
リンファは真っ赤に腫れ上がった亀頭にキスをして、舌先で汁を舐めとりながら胸で奉仕する。ファルーシュは歯を食いしばりながらも、魅力的なリンファの身体に酔いそうになっていた。
「くぁ…も、もう…」
全身を痺れさせる様な感覚とペニスが熱くなる感覚が融合して、やっと戻ってきたファルーシュの思考をまた停止させると、ペニスの先端から白濁した液がビュッ!と力強く発射される。
「はぁぁん!射精してるぅ!ファルーシュ様の精液が、私の顔と胸を汚してるの!」
「ご、ごめん…」
誰に言うわけでもなく謝るファルーシュは身体を震わせながら、柔らかい胸の谷間を貫くように腰を浮かすとリンファに向かって王家の種子を撒き散らしていた。
その神聖で汚濁した液体は、彼女の薄紫色の髪からぺニスを挟んでいた乳房までを汚しながら付着していくと、ドロッと垂れるように滴り落ちていく。
「はぅ…んむ…美味しい…それにすごい匂いで粘々してて…嗅いでるだけでもイきそう…」
汚された後にも関わらず、鈴口に残っている精液を舐めとると、舌を動かしながら唾液と混ぜ合わせて喉越しに飲んでいくリンファ。
口の中で味を確かめる彼女の表情はとても妖艶で、無意識の内に興奮していたファルーシュは余韻に浸る間もなくリンファの胸の谷間でまた勃起してしまったのだ。
「うふっ…射精したばかりなのにまた勃っちゃたの?」
「…は、ぁ…はぁ…」
「でも、今度は私にしてね」
そう言うと胸の谷間からペニスを放すと裏筋にキスをして立ち上がり、ファルーシュの顔の上に跨るようにして膝をついた。
「どう…?綺麗でしょ…まだ誰も入った事が無いから清純よ」
「え、じゃあ…まさか…処女…なの?」
「何よその顔はぁ…まさか適当に男を貪ってる印象があるなんて、思ってないでしょうね?」
「そ、そうじゃないよ…リンファさんは本当にスタイルも良くて美人だから…恋人くらいいたんじゃないのかな?って思って…」
これだけの色気があるのだ、八方美人でも寄ってくる男も少なくは無いだろう…そう考えてしまうのも無理はない。
「残念、騙してきた人は一杯いるけど、いい男なんていなくてね」
「そ、そう…」
「だけどそのお陰で、こうしてファルーシュ様に初めてを捧げる事が出来るんじゃなぁい?」
「い、いえ僕は…」
顔を横にしてリンファの秘所から目を逸らしているファルーシュは、余計な会話をして諦めも悪く時間稼ぎをする。
もう身体の感覚も戻ってきて、意識も鋭角になってきている…少々荒げれば逃げ出す事も可能だが、もしもの時を考えてもう少し時を待つ…はずだったのだが…。
「そ、そういえば…僕の手首にいつタオルを巻いたんですか?」
「気づいてなかったの?お風呂から出した時に、逃げられないようにしてたんだけど」
「え…?」
「ギュッと二重縛りしてあるから、逃げようとしてもすぐに捕まえられるわ」
先手を打ち微笑を浮かべたリンファは片手でファルーシュの顔を、そしてもう一方は片手の人差し指と中指を使って秘所を広げて見せた。
まだ誰も姦通した事の無いと言うのは本当であろう、桜色にも例えられる綺麗な色…そしてきつく締めあげて放す事のなさそうな膣壁がそれを物語っている。
「まずは…ファルーシュ様の舌で清めてから…」
ファルーシュの顔の上に股を下ろすと、秘所を彼の唇へとあてがった。
「ふぅ…ぅ…リ、リン…ファ…さ…」
「そうそう、もっと動かして…」
吃驚しながら口を動かして喋るとリンファの愛液が流れ込んでくる。入るのを拒むように口を閉じるが、太ももで息を止められる苦しさと、わずかな隙間から染み込んむ愛液で思わず口を開けてしまう。
その事によりリンファの秘所を舐めてしまい、刺激を与えていく…まるで仕組まれていたように…。
「さすがファルーシュ様…そんなに舐めて…すっごく気持ちいい」
「うー、うー!(ち、違うよ!したくてしたいわけじゃない!)」
頭を抑えられ、秘所に押し付けられ…わずかに残る理性はもう皆無に等しくなっている。
「(ご、ごめん…ビッキー…僕は)」
耐え難い興奮にファルーシュはビッキーへの罪悪感を感じながら、この状況下で楽な方への行動を選択してしまった。
「ひゃうっ!ファ、ファルーシュ様!?…あっ…そ、そんなぁ…いきなり激しく…」
ファルーシュは舌先をリンファの膣壁に沿って、這わせながら奥へと侵入させていく。
今まで拒んでいたファルーシュの行動に驚いたリンファは、覚悟が出来ていなかったのか激しい歓喜の声を
上げながら身体を背筋を伸ばす。
「リンファさんが壊れるまでするからね…後悔はしないでよ」
「あ、あっ…あん…」
やけっぱちのファルーシュは、膣口を吸いながら舐めていく…巧みに責め立てる淫行は自慰しか経験の無いリンファに強烈な快楽を与えて、絶頂へと加速していく。
「ふあ、い、いいのぉ…」
「勝手にイッちゃ駄目だよ、僕がいいって言うまでは我慢して」
「はぅ…無理よぉ…そんなの絶対むり…ひゃぁぁ…」
変貌したファルーシュは一方的に責め立てて追い詰めていくと、リンファはそれに応える様に、蕩けそうな顔をして、止まる事の無い愛液を垂れ流す。
「やぁ…い、イク…イッちゃうわぁ!」
「ん…おっと…まだだよ」
「えっ…やだ!止めないで…」
ファルーシュはリンファがイク寸前で膣内で活発に動かしていた舌を止める、いきなり快楽を取られた当の彼女は悲しそうな顔でファルーシュの目を見つめると、彼は柔らかい笑みを浮かべた。
「駄目、このまま続けたらリンファさん勝手にイッちゃうからね」
「意地悪言わないで、お願いよぉ…」
「ふーん…それじゃあ、僕の手を縛ってるこれ取って」
「取る、取るから…早くぅ…」
完全にファルーシュに心酔しきってしまったリンファは言うがままに、ファルーシュの手に巻いていたタオルを取り外すと今度は反り起つペニスの上に膝をつく、すると待ちきれないのかクリトリスに亀頭を擦り付けて悶えていた。
「まだ、まだぁ…?早くファルーシュ様の…」
「僕の何?」
「ファルーシュ様の…ファルーシュ様の大きくてすごぉいおちんちんを…ここに」
だらしなく涎を垂らして混濁する意識の中、精一杯のおねだりでファルーシュに頼み込むリンファ。
「どうしようかな…?」
「も、もういいでしょ…おねがぁい…」
「はぁ…最初で最後だからね」
必死で懇願するリンファに折れたファルーシュは、彼女の太ももに手を添えると微笑を浮かべる。
あの時と同じ顔、同じ青い瞳、濡れていて輝きが増している銀色の髪…リンファの感情が一気に高ぶる。
「…じゃあ…私のあげちゃうからね♪」
「…もう一回言っとくけど、これだけだから…」
了承を得たリンファは、硬く勃起しているファルーシュのペニスを優しく掴むと、秘所の中に誘導しながら亀頭を膣口に触れさせた。
「ねぇ…処女って…その…痛いのよね?」
リンファは不安そうな顔でファルーシュにお願いをする。ファルーシュは安心させたい一心でリンファの頬を擦りながら…。
「僕が支えてあげるから、心配しないで」
と言って微笑みを見せると、ファルーシュに対して開放的だったリンファが突然恥ずかしがって、黙って頷くだけだった。
「い、いくわよ…」
「うん、無茶しないでゆっくりでいいからね」
気遣うようにファルーシュが喋ると、リンファの手でペニスをズリュっと膣内に挿入させていく。
「ん、くぅ…あぁぁ…」
リンファは苦しみの表情を浮かべながらもゆっくりと腰を下ろしていき、亀頭まで挿入されると口を開けながらファルーシュの顔を恋しそうに覗き込む。
「はぁ、はぁ…」
「痛い?」
ファルーシュの問いにも答えられないくらいに夢中になるリンファ。ペニスは更に奥まで入っていき、もう少しで全部膣内へと収まってしまいそうになっていた。
後一歩…後一歩でファルーシュに処女を捧げて一つになれる…リンファは最後の勇気を振り絞ってファルーシュのペニスを全て膣内へと飲み込んだ。
「いぁ…痛ぅ…」
「ぜ、全部入ったよ、リンファさん」
「はぁ、はぁ…ファルーシュ様ぁ…」
ファルーシュと繋がった瞬間、リンファの全身に言葉では表せない程の痺れが襲うと、痛みと涙を堪えて彼の身体の上に手を置きながら、接合部からファルーシュの腰に流れ出す処女の血を見て弱弱しい笑みを零している。
「や、やったわ…これで私、完全にファルーシュ様の物ね…」
「まだ痛む?」
ファルーシュは心配そうにリンファに声を掛けると、彼女は嬉しそうに返事をする。
「ちょっとね…でも気にしないで動いていいわ」
「本当に大丈…あ、うぁ…」
「この通り…もうファルーシュ様を満足させて上げられるわ」
まだ痛むが耐えられない程でもなく逆に気持ちよさが増してきていた。
リンファはファルーシュを早く気持ちよくさせてあげたいと、膣口を締めるとゆっくりと腰を動かしてペニスに快楽を与えてあげる。
「い、いきなりは卑怯だよ…」
「ごめんなさぁい…だけどもう待てないのぉ…」
「分かったよ、でも最初は優しくするから」
痛くないと嘘をついているのを見破っているファルーシュは、目に涙を浮かべているリンファを気遣うように腰を動かした。
「あっ…いい…」
「ぼ、僕も凄く良いよ…リンファさんのがエッチに締め上げて」
「い、嫌…変態みたいに言わないでよっ…はぁん!」
「あれ?誘ったのはリンファさんなのに…恥ずかしがって可愛いね」
「だ、だって…ファルーシュ様がこんな…あぁ!」
リンファはファルーシュに言葉で攻められて恥ずかしがる。まさかこんなにされるなんて思ってもいなかったと。
「リンファさんって押しに弱いんだね、強引にされると感じちゃう方?」
「は、はぃ、でもファルーシュ様だけよ、ファルーシュ様だけに犯されるのがいいの…ひゃっ、あ、ああん!」
「本当に?信じられないなぁ…」
「ほ、本当よぉ…んぁっ!」
言葉で攻められるリンファは新たな快楽を得て既に痛みなど無くなっていた。ファルーシュに沢山犯されたい…苛められたい…そんな思いが感度を良くして次第に腰の動きまでも速くした。
「…あ、リンファさん…」
「だ、めぇ…ゆっくりじゃなくて…激しく突き上げて…」
「う、うん…(マズイ…これじゃ今日の朝と同じだ)」
またもや複雑な状況下に置かれるファルーシュ。だがリンファはそんな心境の彼など知らず、膣肉を擦っているファルーシュのペニスを、蕩けるような顔で見つめながら引き抜こうとしては一気に腰を下ろす。
その度にズチュ、ズチュと愛液がペニスに纏わりつき、滑りながらキュッキュッっと出入りを繰り返えす。「はぁぁぁ…ふぅぅ…おちんちん…奥までくるぅ…」
「…うぁ…(なんかさっきから攻めては受けて、受けては攻めの攻防戦だなぁ)」
「はぅ…んくぅ…(すごぉい…これ一回じゃやめられないわ…どうにかしてファルーシュ様と…)」
二人とも心の奥では今の状況では関係の無い事を考えながら性交をしている。特にリンファは略奪愛とも言わんばかりの思惑。
「い、厭らしいね…リンファさん」
「い、厭らしくさせてのは、あぁ、んはぁ…どこの王子様よ…?んっ…」
ファルーシュはリンファの喘ぎと口を塞ぐように抱き寄せ深いキスをすると、両手で彼女のお尻を掴んで一気に突き破るようにペニスを奥まで突き上げる。
「ああん!はげしっ!すごぉい、すごいのぉ!んむっ…ちゅ…」
「はは、リンファさん…さっきより腰の動きが速くなってる…くっ!」
「だって、だって!ファルーシュ様のおちんちんが、子宮突いて来るからぁ!ふあぁん!」
突き上げる度にファルーシュの腰とリンファのお尻がぶつかり合ってぱちん、ぱちん!と露天風呂内に生々しい音を起てて、ピストンする度に鳴る愛液が起てる音を消し去っている。
「リンファさんって押しに弱いんだね、強引にされると感じちゃう方?」
「は、はぃ、でもファルーシュ様だけよ、ファルーシュ様だけに犯されるのがいいの…ひゃっ、あ、ああん!」
「本当に?信じられないなぁ…」
「ほ、本当よぉ…んぁっ!」
言葉で攻められるリンファは新たな快楽を得て既に痛みなど無くなっていた。ファルーシュに沢山犯されたい…苛められたい…そんな思いが感度を良くして次第に腰の動きまでも速くした。
「…あ、リンファさん…」
「だ、めぇ…ゆっくりじゃなくて…激しく突き上げて…」
「う、うん…(マズイ…これじゃ今日の朝と同じだ)」
またもや複雑な状況下に置かれるファルーシュ。だがリンファはそんな心境の彼など知らず、膣肉を擦っているファルーシュのペニスを、蕩けるような顔で見つめながら引き抜こうとしては一気に腰を下ろす。
その度にズチュ、ズチュと愛液がペニスに纏わりつき、滑りながらキュッキュッっと出入りを繰り返えす。「はぁぁぁ…ふぅぅ…おちんちん…奥までくるぅ…」
「…うぁ…(なんかさっきから攻めては受けて、受けては攻めの攻防戦だなぁ)」
「はぅ…んくぅ…(すごぉい…これ一回じゃやめられないわ…どうにかしてファルーシュ様と…)」
二人とも心の奥では今の状況では関係の無い事を考えながら性交をしている。特にリンファは略奪愛とも言わんばかりの思惑。
「い、厭らしいね…リンファさん」
「い、厭らしくさせてのは、あぁ、んはぁ…どこの王子様よ…?んっ…」
ファルーシュはリンファの喘ぎと口を塞ぐように抱き寄せ深いキスをすると、両手で彼女のお尻を掴んで一気に突き破るようにペニスを奥まで突き上げる。
「ああん!はげしっ!すごぉい、すごいのぉ!んむっ…ちゅ…」
「はは、リンファさん…さっきより腰の動きが速くなってる…くっ!」
「だって、だって!ファルーシュ様のおちんちんが、子宮突いて来るからぁ!ふあぁん!」
突き上げる度にファルーシュの下腹部とリンファのお尻がぶつかり合ってぱちん、ぱちん!と露天風呂内に生々しい音を起てて、ピストンする度に鳴る愛液が起てる音を消し去っている。
「くぁ…い、イくよ…(あ、これじゃ…膣内に…)」
「も、もうイクの…?駄目、駄目よ…私も一緒にイキたいのー!あぁ、っん!」
一緒に果てたいという想いなのか、リンファの腰の動きが更に速まって、ファルーシュのペニス全体に不本意にも射精感が来てしまった。
「だ、駄目だよ、これじゃあ膣内に…」
「はぁ、んんっ!い、いいのよぉ!射精してぇ!一杯射精してよぉ!」
「あ!」
ズニュっと膣内の奥までペニス入った時だった、ファルーシュの意思とは反対に、ドピュ、ピュル!とペニスが脈打ちながらリンファの膣内へと精液を注ぎ込んだ。
「あ、熱いぃ…お腹が…火傷しちゃうぅ…」
「…や、やった…やってしまった」
歓喜の喘ぎを叫び、身体を反り返して絶頂に達したリンファは、膣内の奥へと注がれるファルーシュの精液の熱を感じながら口の中から舌を出していた。
一方のファルーシュはというと、余韻を感じているのは確かなのだが、ポケッとしながら密着しているリンファの身体を受け止める感じで大の字で目をパチクリしていた。
「ふふ…ファルーシュ様の…赤ちゃん…」
「…こんな台詞…どこかで聞いた様な…んむっ…」
リンファは最後の仕上げでファルーシュの唇にキスをすると、精液が射ち込まれたお腹を擦って微笑んでいた…その顔と行為に人生の終わりを感じたファルーシュは、リンファのキスを受けると目を瞑っていた。
翌日…激しいリンファとの性交…ほぼ逆レイプで終った情事…。
しかし昨日の事なんてすっかり忘れて深い眠りについていたファルーシュ、その至福の時を潰そうとする者が部屋の前に来ていた。
ドアをノックする音、起きたくない…でも起きないと。
「う〜ん…」
無駄な不屈の意志を消費しながら掛けている布団を捲ると、ファルーシュは眠い目を擦りながら立ち上がった。
「は〜い…リオンでしょ…開いてるよ〜」
いつも寝坊しそうになると起こしに来てくれる。刷り込みが完了している脳はそれがリオンだと勝手に決めつけていたのだが、ドアが開いた瞬間それがリオンでじゃない事をはっきりと理解した。
「王子さまー!」
「王子様!」
「う、うわぁー!」
ドアが破壊されるんじゃないかと錯覚するほどの勢いで突進してきた二人の女性…。
一人は愛して止まない天然テレポート少女ビッキー…そしてもう一人は思い出したくない昨日を穿り返す美人ギャンブラーリンファであった。
「な、何?何が?」
「王子さま!リンファさんより私の方がいいよね!?ねっ?」
「何言ってるの!ビッキーちゃんより私でしょ!」
「は、はい?」
まだ覚めきらない脳が情報を整理するが、罵声の如く吐かれる言葉に追いついていけない。
「ぜーったい、私だよっ!」
「私よ!」
「あ…あの…ぐ、ぐるじいんですけど…」
口論が続く二人の下から死にそうな声。ビッキーとリンファは一旦口を止めて下敷きになっているファルーシュに目をやると、二人がいつの間にかファルーシュの口を胸で押しつぶしていた。
「あわっ!お、王子さまー!」
「ちょ、ちょっと、顔が真っ青になってるわ!」
「じ、じぬ…まだファレナ解…放じでないのにぃ…」
真っ暗になっていく意識の中、ファルーシュはこれから大変になるんだろうな、と思いながらまた至福の深い眠りについた。
この時、今朝早くからの作戦会議室ではファルーシュが遅れていることが話されていたが。
「王子は夜遅くまで王族としての仕事をがんばってますから、今日は私達だけでも構わないでしょう」
と軍師ルクレティアが言うと皆は納得してファルーシュ抜きで会議をすることにした。
「くくく、夜遅くまで王族の仕事だって、笑わせるじゃないか」
ルクレティアの真意を知っているラージャは笑いを堪えている。
意味は二人しかいないだろう…何故なら、この軍師殿の策略がリンファとビッキーを動かし、ファルーシュに苦渋の選択を与えているのだから。
「それでは…今日の会議は…」
扇の下で不適な笑みを見せながら、ファレナ奪還の作戦会議を始めるルクレティアの言葉に皆は耳を傾けた…。
「今日のフェイタス河はもっと冷たいですよぉ〜だって、可愛いなぁミアキスちゃんは…」
そんな状況ではないだろうとも思わず、同僚の声真似をして喜んでいる女王騎士の男は、漁師の網に引っかかっていたところを助けられ謎の怪物と称された後、見事にテイラーの黎明新聞の一面を飾ったという。
それは丁度、女王騎士カイルが行方知れずとなってから1週間後の話だったとか…。