5主人公×リオン 著者:7_422様
あれは、ロードレイクに水を戻し、セラス湖の中で眠っていた城を、僕らの本拠地にした後のことだっただろうか。
新聞記者のテイラーが初めて城を訪ねて来たときだ。
ワシールから伝言を頼まれてきたと言うのもあっただろうが、それ以上に、ゴドウィンの立場から見れば、女王に楯突く
“反乱軍”、それを率いているのがこの国の王子の僕なのだ、これ以上ない取材の対象であったことは間違いない。
少なくともこの時の彼は、取材対象の僕の心情なんて欠片も気にしてはいなかっただろう。
心の波風を荒げるような質問の嵐に耐え忍ばなければいけなかった。
ここで怒ったところで何にもならない、あいつの思う壺だ、ここは僕だけが耐えればいいと思って。
だから、彼の質問という名の矛先がリオンに向けられたとき、驚きと同時に怒りを感じた。
リオン、答える必要はない。そう言おうと僕が真後ろにいる彼女の方へ振り返ったとき、その言葉はどこかに溶けて消えてしまった。
振り返ったリオンが、普段見せない表情をしていたから。
うっすらとではあるが頬を赤く染め、いつもなら笑いかけてくれる瞳は、伏し目がちで僕を映しておらず、
僕を見ないようにしているのか、またはそこにいる無礼な新聞記者を視界に入れないようにしているのか、ほんの少し横を向いていた。
ミアキスやカイルにからかわれるときなどは、真っ赤な顔をして慌てふためき、必死に否定するが、それとは明らかに様子が違う。
どうしたの、と僕が声をかけると、リオンは我に返ったように僕を見て、何でもありません、と返事をした。
それから、とりあえずルクレティアさんのところに行きましょう、と、僕に背を向け歩き出したが、
肩越しに見る彼女の頬はまだ赤かった。
テイラーは、「護衛ならば風呂や寝るのも一緒なのか」という趣旨の質問をしていた。
あれから大分経つが、未だにあの表情が忘れられない。
カイルにからかわれては、顔を真っ赤にして弁明する、という場面はいくらでも見受けられるが、
それとは全く意味の違う頬の染め方……何かを恥らうような顔は一度も見ていない。
やはり、質問が質問だったからあんな顔をしたのだろうか。
僕だって、テイラーのあの問いかけに何も思わなかったわけではない。
リオンとは、ずっとずっと前から一緒にいる。それこそ、この世の道理など何も知らない子供の頃から。
お風呂に入るのはともかく、一緒に寝たことは何度もある。……何も知らなかったから出来たことだ。
ともに成長してからは、同じベッドで寝ることなどない。そんなことになったら太陽宮中大騒ぎだ。
だからと言って、そういう視点において、リオンに全く興味がなかったわけではない。
前に立つリオンの身体の線を目でなぞった事なら何度もある。
服越しでも身体に触れたとき、女性の身体の柔らかさ、心地よさに驚いたこともある。
服がなければ……と想像したことも、ある。
リオンも同じことを考えたのだろうか。だからあのとき、あんな顔をした?
いや、これは僕が勝手に考えていることに過ぎない、リオンはあくまでも護衛だ。
だけど、主と従者、それを超えた感情を抱いているとしたら?それはありえないことではない、と僕は勝手に解釈した。
なぜなら、僕がリオンに対して、そのような感情を抱いているからだ。
ここは僕の城だ、太陽宮ではない。カイルも防音に優れているから夜中も安心だと言っていた。都合がいいじゃないか。
「王子、そろそろ上がりませんか?」
壁を隔てた女湯から、リオンの声が反響しながら聞こえてくる。
今彼女が一糸纏わぬ状態であることを想像しただけで色んなものがこみ上げてくるが、それを抑えて、僕はリオンに返事をした。
「あれ……王子、髪をおろしたんですか?」
「髪を洗ったばかりだし、そのまま編むわけにもいかないよ。気分転換にもなるしさ」
「そう……ですか、そうですね……今まで、色んなことがありましたし……」
普段はハキハキとした話し方をするのに、今は歯切れの悪い話し方をする。
僕から目をそらし、俯くその顔は、あのときの表情に似ている気がした。
「王子、今日はもうお休みになられますか?」
いつもの台詞だ。ここで僕が頷けば、彼女は部屋から出て行く。
「ああ、そうするよ……」
「それでは、失礼します。おやすみな……」
「リオン、待って」
彼女の言葉を遮ると同時に、腕を強く掴んで、そこから動けないようにする。
「王子……?どうしました?」
予想したとおり、彼女は困惑した顔を僕に見せた。
僕は、満面の笑みを浮かべながら言った。彼女にとっては更に困惑する要因の1つであることを知りながら。
「今日は、僕と一緒に寝ない?」
「……はい?」
リオンが返事をするまでに、やや間があった。彼女にとって想定外の出来事であるだろうから仕方ない。
さっき彼女に見せた笑顔には、2つの意味があった。
1つは、彼女の判断能力を鈍らせるためのもの。
もう1つは、これから始まる宴を想像して自然にこぼれ出たものだ。
その笑顔を崩さずに、彼女に向けたまま、僕は再び口を開いた。
「そこのベッドで、一緒に寝ようって言ってるんだよ」
いくら鈍感で恋愛事には疎い彼女でも、子供の作り方を知らないわけはないだろう。
僕が暗に何を言いたいのかもきっと分かっている。
じり……と、後ずさりをしようとするが、僕に腕を掴まれているのだからそれは叶わない。
その代わりなのか、リオンは僕の顔から目をそらした。
「王子……ご冗談でしょう?本気で仰っているんですか?」
お戯れを、どうせからかっているのでしょう、と言いたげな口調でリオンは答えた。
“本気で仰っているんですか”という彼女の問いに答える代わりに、僕は彼女の腕を強引と言える力の強さで引いた。
また想定外の出来事に、リオンは対応できず、彼女の身体はよろめきながら、あっさりと僕の腕の中におさまった。
今までは少ししか触れられなかった彼女の身体に、好きなだけ触れることが出来る……。
だが、今はその喜びに浸っている場合ではない。相手は仮にも女王騎士見習い。抵抗されると厄介だ。
僕は左腕で彼女の腰を抱いて位置を固定し、右腕で顎を掴んで、軽く下唇を噛んでから彼女の口を割り、舌を侵入させた。
リオンの口腔内を僕の舌が縦横に蠢く。その度に、彼女の身体が震えた。
奥に引っ込み、何かを恐れるように動かない彼女の舌を無理に絡ませると、もう自分の力で立つことが出来ないのか、
彼女の膝ががくがくと震え始めた。
息が出来ずに苦しそうな表情を浮かべるも、恍惚の色を隠せない彼女から、名残惜しく口を離す。
僕とリオンの間に、煌めく銀糸が掛け渡される。
僕の銀髪とは全く違う、窓から注ぐ月光によってきらきらと輝くそれを満足しながら見つめると、今度は首筋に口付ける。
「………んっ………ぁっ……あぁっ……、お、王子……」
堪らずリオンが声を上げ始めた。
普段は鈍感な癖に、身体はやたらと敏感じゃないか。
リオンが僕を呼ぶ。だけど僕は答えず、彼女の首筋に紅い痕を増やしていく。
……このまま胸まで下っていきたいところだが、その前に1つしなければならないことがある。
「……この服、邪魔だね」
「……え?」
最早僕の支えなしではリオンは立てなくなっていた。
リオンの膝に手を差し入れ、彼女の身体を抱き上げて、ベッドの前まで移動する。
彼女を真っ白なシーツの上に下ろすと、僕はリオンの上に覆い被さった。
組み敷かれた彼女は表立って抵抗する様子は見せない。
ただ、涙で潤んだ瞳は捉えて離さず僕に語る。王子、やめてください、と……。
さっきまで率直過ぎるほど反応していたのに、頬は赤く染まり始めているのに、何を言うんだ。
濡れた瞳で毅然と見上げる彼女の表情に、本能は逆に煽られる。こんな顔をされて、止める男がどこにいる?
彼女の静かな抵抗は逆効果に終わった。僕は構わずにリオンの服を脱がしていった。僕自身も服を脱ぐ。
ひとつ、またひとつ、衣類を剥ぐ度に、露わになった素肌から彼女の香りがふわりと漂ってくる。
リオンにとっては、服を脱がされることさえ耐え難く恥ずかしいものであるようで、布が摺れる音が耳に届くたび、
目をきつく閉じて、生まれたままの姿になっていく自らを見ないようにしていた。
下着以外の全ての衣類を剥ぎ終え、次に僕はリオンの髪飾りを手に取る。
手入れの良く行き届いた真っ直ぐの髪から、それはあっさりと外すことが出来た。
そのまま、さらさらと心地よい黒髪に口付ける。先刻風呂から上がったばかりからか、僅かに水分を含んでいる。
艶やかな髪からは、リオンの身体から発せられるものとはまた別の、甘い香りがした。
「………王子?」
真っ赤な顔で不思議そうに僕の行為を見つめるリオンと目が合う。
僕はリオンに笑みを返し、顔を近づけ、小さいながらもぷっくりと膨らんで形の良い唇を、そして口内を貪った。
ほとんど裸の状態にさせられては、もう抵抗する気がないのか、歯列をなぞって蹂躙するのも、舌を絡ませるのも素直に受け入れた。
自分から絡み合う、ということはしなかったけれど。
くちゅくちゅと、繋がった唇からいやらしい水の音が響き、口内に収まりきらない唾液が、
口の端から零れ出て、リオンの白い首筋を伝っていった。
一度リオンの唇から離れ、流れ出た唾液の線を辿りながら首筋に吸い付いた。
「……んっ、んん……っ」
再びリオンが声を上げ始めた。
僅かに粘性のある唾液が伝った線を愛撫でなぞり終えると、首から胸の膨らみの手前までに紅い痕の道が出来上がる。
服を脱がせる前につけたものと合わせて、多くの痕が出来たが、これくらいで満足などしない。
口での愛撫を続けながら、僕はリオンの上の下着に手をかけた。
「……っ、お、王子……っ」
「イヤ、なんて言わないよね?」
背中の金具を外し、下着を剥ぐと、僕の手のひらに収まるほど小さいが、
形の良く、花の蕾のように可愛らしい胸が目に飛び込んできた。
胸の膨らみの頂は、やわやわとではあるが尖り始め、自己主張を始めていた。
「ふぅん……リオン、感じていたんだ」
「……いえ、けしてそのようなことは………」
「恥ずかしがらなくてもいいよ、僕、嬉しいし」
「え………ぁ、ゃあ……あぁ……」
僕はリオンに言葉をかけながら、片方の膨らみを右手で掴む。すっぽりと収まるそれは想像していたよりも柔らかい。
揉み解していくと、指の動きに合わせて簡単に形を変えていく。肌もまた水分を含んでおり、胸が手に吸い付くようだ。
手の動きが激しくなるにつれ、先端もまた自己主張を強め、あまり長い時間をかけずにコリコリと硬くなっていった。
掴んでいなかったもう1つの膨らみに顔を近づける。片方の先端に呼応するかのように、こちらも硬くなっていた。
一度左手の指でぴん、と弾いてから、口に含み、甘噛みし、舌でつつき、転がす。その間も右手の動きは止めない。
「あっ…ああっ、ぁ、んっ、やっ……!」
リオンの喘ぎ声が激しくなっていく。
胸から口を離し、柔らかな胸に頬ずりしてから一端上体を起こす。
はぁはぁと半ば苦しそうに、リオンは息を荒げていた。
「そんなに感じているの?」
「………ち、違うんです、違うんです、王子……」
「感じているんだ、じゃあここも、感じていてくれてるのかな?」
胸から右手も離し、身体をリオンの下腹部へと移動させる。
何かの予感を感じ取ってか、閉じていた太股をこじ開け、最後に残された下の下着の上から、蜜壷をなぞる。
リオンの身体が硬直し、震え始めた。彼女は涙を瞳一杯に溜め込んで、僕に訴える。
「お、おうじ……や、止めてください、ダメです、そこは………」
「そう?リオンのココは、早く触って欲しいって言ってるよ?」
「そ、そんなこと……」
リオンの返事が終わる前に、もう一度下着越しにそこに触れる。
「ひゃぅっ!」
今までで一番大きな反応を見せて、身体を震わせ、リオンはシーツの海に崩れ落ちた。
「ね?そうでしょ?」
わざと意地悪く笑って見せると、僕は最後の下着をするりと脱がせて、直接蜜壷に手を触れた。
まだ指を中には入れず、弄って遊ぶ。愛撫に反応して潤っていたそこは、ぐちゅぐちゅと卑屈な音を立て、リオンは言葉にならない声を上
げ続ける。
敏感な身体を持っているらしい彼女でも、慣れというものは来るもので、だんだんと反応が薄れていく。
反応が鈍り、あまり声を上げなくなったところで、僕は中心の真珠に触れる。更に人差し指と中指で強く摘まんでみた。
「ぁあっ、んっ、ああーっ!」
リオンは一際大きく、鋭い声を出して反応した。
しばらく真珠を弄り倒してから、次の段階に進みたくはあったが、そろそろ我慢も限界に近づいてきた。
僕自身が、見ていて痛々しいほど勃ち上がり、先走りの液を滲ませていた。
「ごめんね、リオン………」
僕は初めて謝罪の言葉を口にした。
濡れているとはいえ、十分に慣らしているとは言いがたい蜜壷に挿れるんだ。痛いに決まっている。
それでも我慢出来ない自身を情けなく思いながら、次に与えられるであろう快感に期待を寄せていた。
ぴたり、と先端を蜜壷に押し当てる。リオンの身体が、蜜壷が、ひくっ、と反応する。
「お、王子……」
「リオン……ごめんね」
元はといえば、テイラーの一言だった。そこから、リオンの気持ちが僕に向いているか確かめたかった。
だから僕はリオンを押し倒した。だけど、実際にリオンを抱いてみて、どうだろうか。
彼女の気持ちは僕に向いているだろうか。むしろ、彼女は拒絶の言葉ばかり口にしていた気がする。
あの恥らうように染めた赤い頬も、ただ僕が勘違いしていただけだったのか――――
ここに来て罪悪感を感じ始める、でもどうしよう、もう止められない………
「……王子、大丈夫ですよ」
「…リオン?」
「私は、大丈夫ですから……王子なら……本望です」
リオンが上から、両手で僕の顔を優しく包み、慰めているように感じる……実際に押し倒しているのは僕なのに。
冷静に考えれば、僕は相当酷いことをしたのに……僕は彼女に救われる。
「うん……ありがとう、リオン」
リオンの中に僕自身を沈めていく。中は酷く狭い。
締め付け、硬直や弛緩を繰り返し、暖かく、柔らかく、僕自身に吸い付き、離れようとせず、離そうとしない。
数瞬ごとに違った形で与えられる快感は射精を促す。
「………おうじ、……ぉうじぃ……うぅ……ん」
「リオン……くっ、大丈夫、リオン」
リオンの表情は苦悶に満ちている。それを見れば彼女が痛がっているのは一目瞭然だが、決して口に出そうとはしない。
そんなリオンに申し訳なく思いつつも、理性がなくなりつつあるのを僕は感じていた。
このまま中途半端な体制でいても、リオンは痛がるばかり、ならば――――
「んっ…んん――――――――!!!」
リオンが声にならない声を上げる。瞳からは、ぽろぽろと大粒の涙が零れ始めた。
僕は僕自身を蜜壷の奥まで一気に挿入した。蜜壷も一気に僕自身を締め付ける。今までにないほどの快感を覚えるが、
まだここで全てを吐き出すわけにはいかない。
僕とリオンが繋がっている場所からは、赤い液体が流れ始めていた。
「っ、リオン、ごめん、でも全部入ったよ………」
「ああ……王子……っ、うっ、王子」
「しばらく、このままでいるよ、痛いだろう?」
「……はい………ありがとうございます」
口で零れた涙を拭い、耳を甘噛みし、瞼の上からキスを落とす。黒い髪に擦り寄ってここにもキスを落とし、
口にも触れるだけのキスを落とし、耳元でリオン、リオンと囁いた。感じやすい首筋に紅い痕をつけていくと、
リオンがだんだんと安らいでいくのが分かった。
「もう……平気?」
「ええ、たぶん……大丈夫、だと思います」
「そうか……じゃあ、動くよ、リオン」
「はい………」
最初はゆっくりと、あまり大きな動きをせず、小さく動いてみる。
挿れた時のような苦悶の表情は薄れているが、感じているかどうかは分からない。
様子を伺いながら動き続けていると、そのうちに喘ぎ声が口から漏れてきた。
「ぁ、あぁっ、んっ、ゃぁっ、ああっ、王子、おうじ……」
「くっ、リオン……リオン……」
リオンが欲しい、欲しくてたまらない。そう思うと、自然と腰の動きが激しくなる。
最初はゆっくり小さくに動いていたものが、大きく速く動いてしまっている。
僕の動きの激しさに比例するように、リオンの声は甲高くなっていく。蜜壷も激しく蠢いている。
「おうじ、おうじ……っああ、王子……ぁっ」
卑猥な水の音と、僕がリオンを呼ぶ声、リオンが僕を呼ぶ声が部屋に満ちる。
今の僕たちの間に、誰も入れはしない、入らせない。
「リオン、リオンっ!!」
「王子、あっ、王子、ああーーーーっ!!」
蜜壷がびくびくと痙攣する。僕は最後に一回大きく彼女に打ち付けると、自分の欲望を全て彼女の中に吐き出した。
イって気を失ったリオン、その中から自身を引き抜き、白濁した液体が逆流するのを見届けると、僕は眩暈に襲われた。
まだ薄闇が支配する時間帯に、僕は目を覚ました。
太陽は昇りかけている。窓から朝日が差し込み始めた。
リオンは、すぅすぅと穏やかな寝息を立てて眠っている。
さて、リオンが昨日自身の寝室に戻らなかったこと、僕の部屋から出てくることを考えれば、何が起こったのかは
誰にでも想像がつくことであろう。
カイルなんかは、もう分かっているかもしれない、そんな気がする。
さて、どう言い訳をしようかと考えながら、僕は再び瞳を閉じた。
横に眠るリオンの体温を感じながら、嬉しさと気恥ずかしさを同時に噛み締めつつ。