娼館シリーズ・ミアキス編(5主人公×リオン、ミアキス→ゲオルグ) 著者:10_723様

わたしの名前はミアキス。
女王騎士で、姫様の護衛をしています。
そんなわたしがなんで娼館なんかで働いているかは…話の都合げふんげふん…秘密ですぅ。
さて、今日もさっそく指名がありましたぁ。
今日のお客さんはどんな方でしょうねぇ?
「失礼しまぁす」
「やぁ、ミアキス」
「…は?お、王子?」
部屋で待っていたお客さんは王子でした。
確か王子は数年前に、リオンちゃんとゲオルグ殿と一緒に旅立ったはずなんですけどぉ…
「なんでこんな店に来てるんですか!リオンちゃんはどうしたんですかぁ!?」
気がつくとわたしは王子に詰め寄っていました。
そりゃあそうですよね。リオンちゃんとらぶらぶ二人旅(+チーズケーキ男)だと思って生暖かく見送ったのに、
女に飢えてる独身男の如くこんな娼館に女性を買いに来るなんて、一体どういうことですか?
返答しだいでは許しませんよ?
斬っちゃいますよ?
さぁ早く答えを聞かせてもらいましょおか。
「…いや、その、最近ご無沙汰でたまっちゃってさ…1人でするのも空しいから、と思って」
「はぁ?なんでご無沙汰なんですかぁ!リオンちゃんと毎日々々猿の様にやりまくってるんじゃないんですか!?
 宿でも王子とリオンちゃんが同じ部屋で、隣の部屋のゲオルグ殿がこんな('A`)顔で膝を抱えるような、
 そんな微笑ましい関係を築いてるんだとばっかり思ってたのにぃ!」
はぁはぁ。つい興奮してしまいましたぁ。
でも、わたしが興奮するのも当然ですよねぇ?
まさか、おふたりがもう倦怠期に入ってたなんて…ミアキスは悲しいです…
こんなことなら王子に先に唾つけときゃよかったですぅ…
「あの、なんか失礼なこと考えてない?」
「何が失礼ですかぁ!失礼なのは王子ですよ!リオンちゃんがかわいそうですぅ!この甲斐性なし!」
「いやだからそうじゃなくて…」
「いいえ、言い訳なんか聞きたくありません!さぁ、その浮気ち○ぽをちょん切りますから、出してください!」
なんか興奮しすぎて何を言ってるのか分からなくなってきましたけど、それだけ怒ってるんですよぉ!
「だから!話を聞いてくれ!…リオンがその…子供ができたんだよ」




「……は?こ、子供ができたっていうと、おぎゃあって泣くベイビーですか?こんにちは赤ちゃん?」
「そう」
「なーんだ。子供ができたんですかぁそれはめでたいですねぇ……って、えーーーーーー!?」
そんなまさか!信じられません!だってまだふたりとも二十歳前じゃないですか(たぶん)!
早すぎですぅ!リオンちゃんのおっぱいは大きくなったんですか!?母乳を出す下地もできてなさそうなのに!
それにそれに…2X歳にもなってこんな店で働いてるわたしの立場は…orz
「…あはは…よ、よかったですねぇ王子。パパになったんですねぇ。姫様はあの御歳で叔母さんですかぁ」
「ミアキス…目が虚ろだけど大丈夫?」
「大丈夫なわけありませんよぉ!なんですか!おふたりはもう少し節度のあるをセックスをするものだと…」
「さっき猿のようにやりまくってるとか言ってなかった…?」
う…えーと、どうしましょお…
「そ、そうそう。そんなことよりいつ結婚したんですかぁ?教えてくれても良かったのにぃ」
と、ごまかしておきますぅ。
ホントに気になりますしねぇ。
「いや、まだ式は挙げてなくて…ソルファレナに戻ってからにしようかな、と」
「あらあら…できちゃった婚どころじゃないですねぇ…って、そうじゃなくて!」
赤ちゃんの話のショックが大きくて本質を見失ってました!
「そ、そんなことよりですねぇ!なんで赤ちゃんができたってのに娼館なんかに来るんですかぁ!
 それこそリオンちゃんが可哀想ですぅ!」
子供ができた父親っていうのは、日々大きくなる妻のお腹を見守りながら、妻の隣で優しく支えてあげる、
そういう存在じゃないんですかぁ?なんで別な女をあさりに来てるんですか!?
「…いや、その…お腹がだいぶ大きくなってきたから、リオンがセックスは子供が生まれるまで待ってね、と」
「当然でしょお!妊婦プレイとかもありますけどね、母体と赤ちゃんのことを考えたら、旦那は一人寂しく
 自家発電に勤しむものなんですぅ!」
いえ、わたしもよくは知りませんけどねぇ。
「うん、僕もそう思ったんだけど…妻がいるのに1人でってのも寂しくてさ。ついポロってそう漏らしたら、
 頭を下げて謝りながら『近くにある娼館で処理してきてもいいですから』って言ってくれて…」
「はぁ!?それでリオンちゃんを置いてこんなとこに来たんですかぁ!なに考えてるんですか!
 許しませんよ!リオンちゃんは王子のことを思ってですねぇ…!」
「いや、続きを聞いてくれ。僕もそれはさすがにって断ったんだ。妊娠した妻がいるのに、
 その辺の店の見ず知らずの娼婦を買うってのは気が引けてさ…僕だってそこまで酷い男じゃないよ。
 でも…何日かしてからリオンが『ここの娼館でミアキス様が働いてるそうです』って教えてくれて…
 『ミアキス様なら、王子もそこまで気が咎めないでしょうから』って。いや、僕もそれでも断ったんだけど…
 リオンがホントに申し訳なさそうに何度も勧めてくるもんだから、つい…」

「…………そう、ですかぁ…」
リオンちゃん…そこまでけなげだとさすがに行きすぎですよぉ…うるうる
「…それで、つい来ちゃったんだけど……やっぱり帰るよ」
「そうですね。それがいいと思いますよぉ」
事情があるとは言え、妻子ある王子とやっちゃうわけにはいきませんしねぇ。
わたしもそこまで酷い女じゃないですぅ。
「それに王子…本番がダメなら手や口でしてもらえばいい話じゃあ…」
「…………はっ!確かに…気づかなかった」
「ま、まぁおふたりともそっちの知識に疎そうですから、気づかなくても仕方ないですけど…」
それにしてもマヌケな話ですねぇ。
「今日からそうするよ。ありがとうミアキス!そうそう、僕たちこの街に泊まってるからさ、
 今度会いに来てよ。リオンも喜ぶから」
「はい!必ず行きます!」
ゲオルグ殿の顔も見たいですしねぇ。
「…じゃあ。今日はごめんね。リオンにも謝ることにするよ」
「また会いましょおねぇ!」

と言うわけで、王子とわたしは結ばれることなく別れたのでした。
後日、チーズケーキのお土産を持って街の宿を訪ねたわたしは、既にゲオルグ殿がいないことを知って
がっくりと肩を落とすのですが、それはまた別の話。
「…はふぅ。わたしもそろそろ結婚したいですぅ。…姫様ぁ」

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