ミアキス×王子「ミアキス最強伝説―天サドは怖いです―」 著者:6_970様
稽古場から寝室へ戻る道は涼しくて気持ちがよかった。
今この国は暑い季節に入っているけど、さすがに夜だし、それも風通しのいい宮殿の中ということもあって、蒸し暑いということもない。
窓から見える湖は、月を反射して穏やかな光をたたえている。
今日は、夜までたっぷり稽古した分疲れているし、いい気分で眠れそうだ。
そう思いながら、宮殿の廊下を曲がる。曲がった廊下のその先で、見知った人の背中を見つけた。あれは、カイル?
こんな夜遅くに何をしてるんだろう。稽古場には来ていなかったし、今日はもう引継ぎを終えているはずだが。
そう不思議に思っていると、彼の背に隠れてもう一人いることに気がついた。
ウェーブのかかった長い金髪と、王宮に仕える侍女服を着ている。
逢引、って奴なのだろうか。それに気づいた僕は、角の影にそっと隠れる。ちょっと悪い気もするけど、好奇心には勝てない。
カイルに気づかれないように、そっと覗き込む。あの女性、誰に付いていたんだっけ。
「ああ、サイアリーズ様付きの侍女ですね。カイルの趣味ってわかりやすいなぁ。」
「ッ!?」
突然声が耳元から聞こえてきた。本当に唐突に。
それに動揺した僕は、バランスを崩し前のめりになって廊下に崩れ落ちそうになった。
後ちょっとで倒れてしまうというところで、声をかけてきた張本人らしき人物の腕でぐいっと引っ張り戻さる。
その力はかなり強く、引き戻された途端、今度は後ろにバランスを崩してしまった。
当然、後ろから引っ張ってきた人物の方に倒れこむことになる。巻き込んで倒してしまった。
しかし、大きな音はしない。後ろの人物がうまく衝撃を逃してくれたのだろう。
僕は、その人の腹の上に座っている姿勢になってしまったが…。
さっき聞こえてきた声と、この体の大きさには見覚えがある。これは…
「駄目ですよぉ、王子。今邪魔したらカイルに悪いです。
確か、この前道具屋の女の子にふられちゃって、しばらくご無沙汰ですよ、彼。」
のんきな声が、後ろから聞こえてくる。僕は急いで振り返ってそれが誰かを確認した。
「ミ、ミアキっうぅ!?」
「駄目ですってばー。大きな声あげちゃ。バレちゃいますよ?」
振り返ってその名を呼ぼうとした僕の口を、ミアキスが手で塞ぐ。声を出せぬまま戸惑う僕。
「この体勢じゃあカイルのことがよく見えませんねー。」
ふとそう言われて気づくと、僕の姿勢は完全にミアキスのことを押し倒しているものだった。
こ、この姿勢はマズイ!!今この場面を誰かに見られたら取り返しがつかない。
ミアキスにだって、僕がわざとこうしていると誤解されるかも
(後でミアキスの性格をじっくり考えてみればそんなことはありえないんだけど…)。
普段見慣れてないものに出くわすわ、突然引っ張り込まれるわで混乱しかかっていた僕の頭は、
そのことに気づいて完全に暴走した。今すぐ離れなければ!
彼女の上から逃れようとするのだが、慌てているので必死で手足をバタつかせるような形になる。
「ああん、暴れないでください王子ぃ。私もカイルの方見たいんですから。よっと。」
そういうと、彼女は僕の首筋に手をかけて、上半身を起こした。
僕のことを押さえるついでだったんだろうけど、両方の手が僕の首に回されて、体が密着して…
これって完全に抱きつかれてるじゃないか!!
さらに慌てる僕のことを一切気にしていないのんきな声が、顔のすぐ横から聞こえてくる。
「おー、結構カイルも食い下がるなぁ。女の子の方も嫌ではないって感じだけど、
ちょっと押しの強さに引いてる感じもしますね。成功するかどうかは五分五分かなー。」
何を冷静に解説してるんだ!もうカイルなんてどうでもいい。
今この場の状況に、僕の頭は熱で壊れてしまいそうだった。
騎士といえど王宮の女性だからなのか、彼女のつけている香の匂いが香ってくる。
いや、これって彼女自身の匂いなんだろうか?
戦士としては小柄な体が抱きつかれていることではっきり伝わってくるし、
彼女の背についつい手を伸ばせば女性らしさを失わない体の柔らかさが
アンダースーツを通してわかるし…。
って僕は!何をやっているんだ!『ついつい』じゃないだろ!
「あ、カイルの寝室の方へ歩いてく。『らぶげっちゅー』って奴ですねー。
明日リム様にも教えて上げなきゃ…あれ?」
カイルから目を離し、至近距離にいる僕のほうへ顔を戻す。
密着してるから、僕の顔までもうほんと数センチというところ。
改めて僕が横にいるんだということを確認して、
僕と彼女自身がどういう格好でいるのかを確認したのだろう。
そして、彼女の背に手を巻きつけてしっかりと抱きかかえこんでいる僕…。
「ミッ、ミアキス、これはその…ごめん!!」
ごめんじゃないだろごめんじゃー!本当にわざとしてるみたいじゃないか。
いや、半分そうなんだけど、それは僕自身の意思ではなく…だからって本能とかそういうのでもないけど!
そういう、弁解にもなっていない言葉が頭の中を果てしなく駆け巡る。
「ああ、いいですよぉ。これぐらい、別に減るもんじゃありませんし♪」
僕の内心の葛藤なんか一切無視して、彼女は柔らかい声と笑顔で話しかけてきた。至近距離で。
黒目がちでつぶらな目とか、笑うとさらに下がるちょっと太めの眉毛とか、
全体的に小さめのかわいい造型が目の前にあって…。抱きついてる上半身からは、
ああ小柄だけど胸はそんなに小さくないんだとかそういういらない情報が頭脳に届いちゃって。
僕は、健康な青少年として素直にそれらに反応してしまった。
そして、意外と(いや、意外とでもないか…)目ざとい彼女は、
僕の下半身の変化に気づいてしまったようだった。
「あれ?王子、もしかして反応しちゃいましたか?」
直接的な彼女の言葉に、僕はさらに狼狽して何とか言葉を継ごうとする。
傍から見た僕は哀れなほどうろたえているだろう。
「ふふ、いいのに、別に。自然なことですよ。
ああでも、これじゃちょっと寝苦しいですよねぇ。
こうなったのは私のせいでもあるし、最後まで責任とりましょう。」
そういうと、首筋にまわしていた手をほどいて、僕の頬をゆっくりと撫でた。
その動きにも僕は反応して、ビクっと体を動かしてしまう。こんな動き一つが気持ちよくて僕は変な感情に…
い、いや!そんなことより、今すごいこと言わなかった?
僕の頭がおかしくなってるから変な意味に聞き間違えたのか?
「大丈夫ですよ。私に任せてくれれば、痛い思いはさせませんから…。」
再び僕の首に絡み付いてきた腕を振り解く暇もなく、近づいてきた彼女の唇に僕の唇は奪われていた。
その時の僕は、彼女の体と唇のやわらかさ以外、何もわからなくなっていた。
ミアキスの舌先が、僕の唇から侵入して口腔で蠢く。
それが巧いのかどうか、初めての僕にはわからないけど、
そんなこと考える暇もなく、僕は初めての刺激に翻弄された。
股間が、これまで感じたことのないほど熱く、強張る。
抱きついているミアキスにも、それははっきり分かるだろう。
そちらに意識を留める暇もなく、彼女の舌が僕の舌を絡めとり、口の中を蹂躙するような愛撫を続ける。
その快感に、ただただ身悶えるしかなかった時間が過ぎた後、彼女の唇がそっと離れる。
絡んでいた舌と舌の間から、白い糸が見えた。
それを見て、初めて自分が何をされていたのかにはっきり気づいたかのように、
自分の顔が赤くなっていくのが自分でも感じられた。
「王子は、まだ夜伽役も用意されてなかったから、初めてでしょう?」
「う、うん…。」
「大丈夫ですよ。私、初めての人を相手にするのも慣れてますからぁ。ゆっくりお相手しますね♪」
何か、問題発言とかショックな言葉とかいろいろ入ってたと思うんだけど、その時の僕には判断能力は残されていない。
「続きは部屋でやりましょう。人来るかもしれませんし」というミアキスの言葉に反論することもなく、
彼女に手を引かれるようにして僕は自分の寝室に二人で戻ってきたのだった…。
王宮の中での僕の立場は、決して強いものではない。所詮王位継承者ではないから、扱いもほどほどといったところだ。
しかし、一応女王の血を引く存在ということで、それなりの部屋は与えられている。
窓からは、太陽宮からの光に照らされたソルファレナの夜景が見えるし、広さもかなりある。妹の部屋よりは少し小さい程度。
ベッドに座って(というか座らされて)いる僕の視界は、ソルファレナの夜景などではなく、
鎧や具足を外していくミアキスの姿で埋まっていた。僕の方を向いて、ゆっくりと装備をはずし、アンダースーツだけになる。
シャツも、具足の下に履いていたストッキングも外して、段々と裸に…。
僕は、その光景を恥ずかしさのあまり見ていることができなかった。視線を外しつつ、自分の服を脱いでいく。
「王子、見てもいいんですよぉ?」
ミアキスに声をかけられるけど、どうしても直視するのは気が引けた。自分自身が裸になるのもなぜかできなくて…少し躊躇する。
「駄目ですよぉ、王子。自分だけズルいです。」
ためらって止まっていた僕に、ミアキスが手を伸ばす。慣れた手つきで服を外して、僕は全裸にされてしまった。
「王子、こっちを見てください。私も、王子のことを全部見てますから。」
促されて、恥ずかしいと思いながらも、ミアキスのすべてを見る。
日の強いファレナにあって、彼女の肌は白さを失わないままだ。控えめだけど、けして小さくはない胸。
鍛え上げて、なお女性らしさを失わないスマートな体。くびれた腰。
それに初めて見る、下半身の茂み。目がそこに釘付けになりそうになる。
「綺麗だ…。」
と、僕は思わずつぶやいていた。
「ありがとうございます。王子からそんな風に言われると、うれしいです。
王子は、いつも綺麗な人見慣れているんですし。」
確かに僕の周りには美女とか美少女と呼ばれて差し支えない人が揃っている。
それでも、こんな風に身内以外の女の人の体をまじまじと見たことはなくて、それは僕の本心からの言葉だった。
「それじゃあ、お礼に今日はやさしくしますね。」
言うと、ベッドに腰掛けていた僕の方に向かって手を伸ばし、細くしなやかな指が僕の下半身に絡みつく。
「うっ」
初めて女性から触られたことで僕はうめいてしまったが、それにかまうことなく
彼女は小刻みに手を動かす。興奮していた僕の先走りで湿ったそれは滑らかに動き続ける。
興奮した僕の息が上がるのを、少しおもしろそうに眺めるミアキスが見える。
でも、ちょっと癪だとか、そんなこと考える余裕も与えられず、彼女の指は男の性感帯を、
カリを丹念に攻め続ける。
「初めてにしては、結構もってる方ですよぉ。」
煽るような彼女の言葉が耳に響く。もう少し耐えて、この快感を味わいたいとも思うけど、
正直耐えられそうにもない。
「ミアキス、もうっ…!」
限界まで達した僕のそこから、白濁液が吐き出される。
「イッちゃいましたね。それじゃあ、私も気持ち良くしてもらえますか?」
イッた余韻で息の乱れている僕が返答をする前に、僕の方を向いていた彼女の体が反転して、
僕の体に向かって座り込んできた。下半身で彼女のお尻を受け止める。
達した直後の余韻で敏感になっていた僕のそこを、彼女のお尻の割れ目が刺激する。
「ここを…優しく触ってください。」
彼女の手に促されて、僕の手が彼女の茂みの奥へと届く。もう、濡れている?彼女も、感じてくれているということなのだろうか。
「あ…そこです。やさしく、お願いします。」
彼女に言われたとおりに、そこに指を入れて丁寧に動かす。柔らかくて、複雑な形が手に伝わる。
それがさらに僕の欲情を刺激し続ける。
「あん…気持ちいいです…」
ミアキスの腰も小刻みに動き続ける。手から伝わる感触と、
彼女の声と、彼女の動きに刺激し続けられて、僕のそれは再び限界まで固くなる
「ふふ…さすがに王子は若いですね。もう固くなっちゃってます…あ…」
そのまましばらく続けていたら、僕はまた達してしまっていただろう。
もうイキそうだ、と思っていたところで、彼女の動きが止まる。立って、僕のほうに振り向いた。
「そろそろ王子も入れたいですよね?私も、欲しくなってきちゃいましたし。」
ミアキスの顔は、ほんのりと赤く染まって、これまでに見たことがないほど、魅惑的だった。僕は素直に首を縦にふる。
「それじゃあ、王子の初めてをもらっちゃおうかなぁ。」
言うと、ベッドにバフッと勢いよく背中から倒れる。彼女が彼女自身の左足のひざを左手で持って、軽く挙げた。
「王子、どこに入れるかわかりますかぁ?」
「うん…わかるよ。」
開いたことで、はっきりと見える彼女のそこは、綺麗な色をしていた。さっきまで僕が触っていた場所。
あの中に入れたら、どんな快感を味わうことができるのだろう?僕は好奇心と性欲で打ち震えていた。
彼女の足を持って、ゆっくりと男性器を近づけていく。彼女のそこに、先が触れる。
「あ…もう少し、下に入れる感じで…やさしくぅ…」
言われるままに動かして、ゆっくりと、彼女の中にうずめていく。
「ああっ!」
先が入るだけで、これまで感じたことのない快感が僕のそれを包み込む。
ひだを掻き分けて、ミアキス自身の熱を感じながら、飲み込まれていく。
「最初は、ゆっくり動かしてくださいね?」
「うん…。」
速く動かしたら、そのままイッてしまいそうだと感じられるほど気持ちがよかった。
ゆっくり引くと、カリからさらなる快感が押し寄せてくる。
「いいです…王子…あぁっ…」
彼女自身の感じる声が耳に響いて、突き上げたいという感情を加速する。
少しずつ腰の動きを早めて、彼女のそこを突き続ける。繋がった部分からもれる水音も、
彼女の声も体も、何もかもが押し寄せて、僕の頭は熱で壊れるんじゃないかという気がした。
動かしたいという以外の欲望が消えてしまう。
「あっ…王子…初めてなのに、腰の使い方…うまいですぅ…才能あるかも…」
ミアキスにはまだ余裕が残っているけど、僕はそれに答える余裕なんか残ってなくて。
「ミアキス、もう、僕は…!」
「もうですか…?大丈夫ですよ、中に出しても…思いっきり、イッちゃってください。」
本能のままに突き上げた後、何回目かで達してしまった。彼女の膣に僕自身のそれをうずめたまま。
液が、彼女の中に注ぎ込まれていく。
「はぁっ、はぁっ。」
乱れる息を抑えながら、僕は満足感を覚えていた。しかし、彼女はそうではなかったらしい。
「これで、王子も大人になっちゃいましたね。でも、もう少し付き合ってくださいね?」
微笑んだ彼女が、僕の体を押す。防ぐ間もなく、押し倒されてしまった。
「私はまだ満足できてないですからぁ。王子、若いから大丈夫ですよね?」
にっこりと笑ったミアキスの腰が、僕のそこに押し当てられて緩やかに動く。
返事をする前に、そこが屹立して答えになってしまっていた。
「大丈夫ですよ?私、優しいですからぁ。2回ぐらいイッたら許してあげます。」
その夜は、短かったのか長かったのかよくわからなかった。
ただただミアキスに翻弄されるまま、快楽に溺れてふけていった。
翌朝、僕は母上からロードレイクへ向かう任務を言い渡され、その準備に追われることになる。
執務室でミアキスとも顔を合わせたが、普通に挨拶を交わしただけだった。
もちろん、そこにいた妹が僕を見る目が昨日までとは変わっていることは言うまでもない。ミアキスは何て言ったんだろう。
「王子に押し倒されちゃったから、お相手してあげました♪」ってところだろうか。
ああ、目眩がする。妹よ、頼むからお兄ちゃんを汚いものみたいに見るのはやめてくれ。
「王子、ロードレイク視察に向かうそうですね、お気をつけて。」
桟橋へ向かう途中で、カイルがちょっとニヤけた顔つきで声をかけてくる。
ああ、君は昨晩いいことがあったんだろうね、と言ってやりたくなったが、やめておいた。
見送りに着てくれた妹の視線を感じる。今のカイルと僕は、同様のものとして見られていることだろう…。
「王子、行ってらっしゃいませぇ。」
ミアキスののんきな声が、後ろから響いてくる。
僕は、多分一生彼女には頭が上がらないという事実を受け止めつつ、
リオン達が待つ船にとぼとぼと歩いていった。