5主人公×ミアキス 著者:7_825様
「嘘じゃないんです…」
深夜、寂寞として静まり返った黎明城。ファルーシュの私室にそんな声が零れ落ちる。
ミアキスは太陽宮がゴドウィンの手に陥ちた日に見たことを再びファルーシュにぶつけていた。
女王の命を奪ったのはゲオルグ・プライムだと、それを自分は間違いなく見たんだということを。
ミアキスをドラート防衛の任に当てたのは間違いなくギゼルの策略の一つだろう。
最も信頼の出来る女王騎士を仲違いさせ、ファルーシュを疑心暗鬼にし、その様を楽しんでいるのだ。
その策略の通りになってしまっているとわかっていてもミアキスはそう言わざるおえなかった。
「ミアキス…」
今にも崩れ落ちそうなミアキスに歩み寄ると、ゆっくりと包み込むように手を取り、微笑んで見せた。
「…わかってるよ」
「…え?」
「ミアキスが嘘をついてないことくらいわかるよ。伊達に八年も一緒じゃないからね」
眉を顰め、泣きそうなミアキスと目を合わせると、ファルーシュはもう一度微笑んだ。
そんなファルーシュの言葉と笑顔に溶かされるよう、ようやくミアキスの顔に笑顔が戻った。
「…王子、ありがとうございますぅ」
「うん、ミアキスはそうやって笑ってるほうがいいよ」
「あは〜、王子ぃ?からかっちゃいけませんよぉ?」
ようやく戻ったミアキスの笑顔に、ファルーシュは嬉しそうに目を細めると、また真剣な顔に戻った。
「でもね、ミアキス。…僕はゲオルグのことも信じたいんだ」
そんな言葉にえっ、とミアキスの笑顔が凍りつく。しかしファルーシュはミアキスの顔を見据え、こう続けた。
「勿論、ミアキスが嘘をついていないのはわかってるよ。結果だけいえばゲオルグが母さんの命を奪ったんだと思う…
でもゲオルグは乱心なんかするような人じゃないってことはミアキスもわかってるでしょ?
それに、もしゲオルグがゴドウィン卿の味方をしているなら、僕や叔母さんはここにはいないよ」
「で、でもっ、それでもあの人が陛下のお命を奪ったのには変わらないじゃないですか!?」
ファルーシュのゆっくり諭すような口調に対し、ミアキスは反発するように激しい口調で問い詰めた。
「…なにか、理由があったんだと思う…僕や叔母さんにも言えない…理由が…」
「……王子」
目を伏せ、なにかを堪えるように俯くと、包み込んでいた手にぎゅっと力が入った。
「…だから僕は信じたいんだ。ゲオルグを、そして父さんを…」
その言葉を聞いてミアキスははっとした表情を浮かべた。
ゲオルグをファレナに招き、貴族の反対も押し切って女王騎士に取り立てたのは、今は亡きフェリドであり
すなわち、ゲオルグを否定することはフェリドをも否定することになる。
そして、ファルーシュが今まで戦ってこられたのも他ならないゲオルグの協力があってこそなのだ。
ゲオルグが女王を殺したという結果だけに囚われていた思考が、途端に霧が晴れたようにクリアになっていく。
ミアキスは女王騎士であるはずの自分が感情に流され、冷静な判断を失っていたことに、
そして結果にこだわり、過程を今までまったく考えていなかった自分が酷く浅ましい存在に思えた。
「…でも…わたしは…」
理解は出来ても納得することは出来ない。真実がどうあれ女王を殺したのはゲオルグなのだと、
ミアキスはそう口にはしなかったがファルーシュにもその意は伝わっていた。
「…うん、だから今はリムを助けることだけを考えよう。今一番辛いのはきっとリムだから」
「……王子…!」
自分も辛いはずなのに、ファルーシュは全てを受け止め、それでも迷いを見せることなくリムのことを救うと言ってくれた。
ミアキスはそんなファルーシュの真意に触れ、思わず抱きついてしまった。
「…ミ、ミアキス!?」
「ごめんなさい、王子…少しでいいのでこうさせてください…」
搾り出すような声を出し、リムを助け出すまでは決して泣かないと心に誓いながらミアキスは必死に涙を堪えていた。
そんなミアキスをファルーシュはドラートで再会したときのように優しく抱き締めた。
やがて堪えていた涙も収まり、落ち着きを取り戻したミアキスはいつもの笑顔を見せていた。
「王子はどんどん大きく逞しくなっていきますねえ。お姉ちゃん嬉しいです」
そういって抱きついていた手を緩め、タンと後ろに下がった。
ファルーシュは照れるようなはにかんだ笑顔を浮かべ、そうかな?という顔をした。
「ドラートでは結構本気だったのに王子にボコボコにされちゃいましたしねぇ…あっ」
ミアキスはなにか思いついたかのように目を細めると、ベッドの傍にある桜の盆栽に歩み寄り、小枝を二枝切り落とした。
そんな様子を見ていたファルーシュは嫌な予感がした。ミアキスが目を細めるときは大抵なにか企んでいるときなのだ。
「王子ぃ、もう一度勝負しましょう!」
「えぇっ!?」
再びファルーシュの前に立ったミアキスは指を一本ピーンとたてて、ファルーシュにウィンクをした。
「王子に負けちゃったの結構ショックなんですよねぇ…王子もお強くなられましたけどぉ。
守られるお立場の方のほうが強いなんてぇ… このままじゃわたしは女王騎士失格ですぅ…」
「そ、それはミアキスが本調子じゃなかったからだよ!じゃなかったらきっと勝てなかったよ」
「えぇ、ですからそれを証明するためにももう一度勝負しましょう、ねっ」
ファルーシュはしまったという顔をした。一方のミアキスはしてやったりという笑顔を浮かべている。
「で、でもダメだよ!もうミアキスは仲間なんだからそれでいいじゃないか!」
「往生際が悪いですよぉ〜、王子ぃ〜」
ミアキスはツカツカとファルーシュに詰め寄り、唇が触れ合いそうなくらいまで顔を寄せてくる。
ファルーシュは慌ててのけぞり、後ずさりをするがすぐに背中が壁についてしまう。
完全に退路を断ったミアキスがファルーシュの目を見つめながらさらに顔を近づけてくる。
「王子ぃ〜〜?」
ミアキスの吐息がファルーシュの唇を撫で、唇が触れ合いそうな距離まで詰め寄られると、ようやくファルーシュは観念した。
「…わ、わかった…わかったから…ミ、ミアキス離れて…」
「はい、よろしいですぅ」
ミアキスはもうちょっとだったのにぃと小声で呟きながら、一歩下がると、ファルーシュは大きく溜息をついた。
「でも、またあんなことするのはちょっと…」
「大丈夫ですよぉ、わたしも痛いのは嫌ですから、ちゃんと考えてありますう」
そういうと、先ほど切り落とした桜の小枝を前に出し、一枝をファルーシュのこめかみと鉢巻の間に挿し込むと、
もう一枝を自分に同じようにして挿し込んだ。
「…これは?」
「流石に真剣勝負で殴り合いをするわけにもいきませんので、この枝を取るか落としたほうが勝ちっていうのはどうですかぁ?」
ミアキスはチョンチョンと指で挿し込まれた枝を指差し、同意を求めた。
ファルーシュはしばらく考え込んだのち、それなら…といった表情を浮かべて頷いた。
それを見て嬉しそうにすると、再び目を細めた。
「あ〜っ…ただ勝負をするのもなんですからなにか賭けませんかぁ?」
「賭けるって…?」
「そうですねぇ、なにか相手の大事なものを貰えるってのはどうでしょう〜?王子が勝ったらわたしの大事な『もの』をあげますう」
「えっ?」
呆気に取られているファルーシュにミアキスは近づくと、覗き込むように顔を寄せていった。
考える時間を与えないとばかりに、あっというまに距離が縮まり、再び唇が触れ合いそうになる。
「ねぇ〜?王子…それでかまいませんよねぇ〜?」
わざととしか思えない少し艶めいた声を出し、吐息でキスするようにファルーシュの唇に吹きかける。
「…わ、わかった…そ、それで、それでいいから…は、はなれて…」
「はぃ〜、じゃあ決まりですねぇ」
今度はおしかったですぅと小声で呟くと、そのままファルーシュから十歩ほど離れていく。
「それじゃあ、王子。準備はよろしいですか?」
「…う、うん」
ミアキスがゆっくり両手で小太刀を抜く。流れるように右手を高く上げ、左手を返すように少し前に出すミアキス独特の構え。
いつの間にか笑顔も消え、おそらくファレナで十指にはいる武人がそこはいた。
ファルーシュはその様を見ると、目を伏せ、強く短く息を吐き出し、緩んでいた気を引き締めた。
両手で腰から三節棍を抜き、眼前で中棍を繋ぎ合わせ、さらに手のひらで中棍を回転させると節が結合し一本の棍になる。
連結した棍を体の前で回し、気を高めていく。ミアキスの威圧感から、嫌が応にも真剣にならざるおえない。
回していた三節棍をグッと掴み、脇に締め、後ろに体重をかけるように構えを取ると、すっと左手を前に突き出した。
そして目をゆっくりと開き、ミアキスを正眼に見据える。
「…いきます」
ミアキスが疾風のように駆け出し、瞬く間に距離を縮める。ファルーシュも前へと跳びだし棍を振り下ろす。
──キィッ!──
小太刀の柄から伸びる手甲で棍を受け流すと、ミアキスは流れるように身を翻し、左手に握られた小太刀で枝を薙ぎにいく。
──ピュゥッ──
小太刀が風を切り裂いて枝に迫るが、ファルーシュが一瞬早く屈みこみ、振り下ろした棍を持ち替え、ミアキスの小太刀を弾く。
一瞬、ミアキスは体を崩すが、追い討ちをかけるときを与えず、踏み出してファルーシュの懐に飛び込んだ。
懐に入られたファルーシュは即座に棍の連結を解くと、双棍で迎え撃つ。
──カィンッ、キッ、キュィン!──
甲高い金属音が鳴り響く。矢継ぎ早に繰り出されるミアキスの攻撃を受け止めているファルーシュは、
突きにきたミアキスの左小太刀を強く弾くと、右手を端棍から離し、左の逆手でムチのように薙ぎ払う。
──ブォゥンッ──
しかし三節棍は空を切る。すでにミアキスは後ろに跳び退いていて、トントンとリズムを取りながら再び構えを取っていた。
「…やりますねぇ、王子。今のはちょっと焦りましたよぉ」
そんな口ぶりの軽いミアキスだが、相変わらず二人の間には緊迫した空気が流れていた。
ファルーシュは三節棍を再び結合させると、短く息を吸い込み、長く吐いて気を落ち着かせる。
ドラートで勝ったとはいえ、本来の実力からすればミアキスにはまだまだ及ばず、一瞬たりとも気を抜くわけにはいかなかった。
「…じゃぁ今度はっ!」
再びミアキスが疾風のように駆け、体当たりをするように突っ込んでくる。
ミアキスの舞うような戦いしかみたことがなかったファルーシュは面を食らい、一瞬対応が遅れる。
──ガィィンッ!──
咄嗟に棍を振り上げ、体ごと跳び込んで来たミアキスの小太刀を受け止める。
棍を押すミアキスの力は想像以上で、力負けをしてファルーシュは一歩、二歩とあとずさる形になる。
ファルーシュは焦っていた。相手が女王騎士とはいえ、体格的に優れている自分が一方的に力負けするとは思っていなかったからだ。
じりじりと押されるファルーシュの目に、ミアキスの左手から淡く漏れ出す光が映った。
「くっ…そ、その光はっ」
「あらあら、バレちゃいましたかぁ〜」
ミアキスの左手には一時的に筋力を強化する力の紋章が宿してあったのだ。ファルーシュが力負けするのも道理である。
「ぐっ…ず、ずるいよ…ミアキスッ」
「ふふっ…誰も使っちゃダメなんて言ってませんよぉ〜」
そういうとミアキスはさらに押し出し、ファルーシュはより力が入るように棍を手元まで引いて必死に押し返そうとする。
必然的に二人の距離は縮まっていく。
「うふふっ…そんなに近づくと『ちゅう』しちゃいますよぉ?」
ドラートのときより余裕ありげな口ぶりでそういうとさらに顔を近づけていった。
一方のファルーシュはその手はもう通じないとばかりに無視を決め込み、少しずつ盛り返していく。
「…んふふ〜、じゃぁ……んちゅっ」
「!!!?!」
ファルーシュが盛り返し始め、ふと顔を上げたとき、不意にミアキスの唇が押し付けられた。
唇同士が完全に重なり、ミアキスの舌がファルーシュの上唇と下唇を舐め上げ、離れていく。
完全に固まっているファルーシュからトンと後ろに下がると、ミアキスはしちゃいましたぁと呟き、満面の笑みを浮かべた。
「んふふ〜…わたしの勝ちですねぇ〜」
その手には桜の小枝がピラピラと振られていた。
「えっ?…あ、んっ?……って、ちょ、ちょ、ちょっとまってえっぇえええっ!!?」
止まっていた時間が流れるように、ファルーシュは思わず棍を落とし、両手で唇を押さえてミアキスを見遣った。
「ミミミ、ミアキス!?いま、なななな、なにをっ!?!!?」
「なにもしてませんよぉ〜?」
「かかかか、勝ちってっ!!?」
「ほらほら〜、みてくださぃ〜」
また桜の小枝をピラピラ振ってみせると、ファルーシュはこめかみを押さえ、自分の小枝がないことを確認すると、
今度はまた唇を押さえて俯いてしまった。
「うぅぅう…どうして…は、はじめてだったのに…」
「うふふ〜…それじゃぁわたしの勝ちですから、王子の大事なものを貰っちゃいますねえ〜」
微笑を浮かべながらミアキスは俯いているファルーシュに歩み寄っていった。
ミアキスはファルーシュの頭を両手で包み込むように掴むと、顔を上げさせてじっと目を合わせる。
月明かりに照らされたミアキスの顔はとても綺麗で、ファルーシュは思わずさきほどのことを忘れて魅入ってしまう。
ミアキスが目を細めると、それまではっきりとしていた顔が急にぼやけ、かわりに唇に暖かな感触が伝わる。
「はぁんむ…ふっ……んっ」
唇を押し付けられ、ミアキスが首に手を回してくる。ファルーシュは咄嗟に引き剥がそうとしたが、唇が触れ合うだけで
とても暖かく、心地よかったため抵抗する気が削がれ、そのままミアキスにされるがままになっていた。
「んふふ〜っ…ちゅっ…あむ…んんっ…ちゅぷ」
ファルーシュが抵抗をしないのを見ると、ミアキスは意地悪く笑い、舌を口腔内に侵入させてきた。
ビクッと一瞬体を震わすも、すぐに力が抜け、膝が笑い出した。
「ちゅっ…んっ…んんっ…ちゅぷぁ」
軽くファルーシュの舌に絡めると、ザラリとした表面を一舐めしてから唇を離した。
「んっふふ〜、王子とちゅうしちゃいましたぁ〜」
ミアキスとのキスで惚けていたファルーシュも頭を振り、正気に戻すと、顔を赤らめ唇を押さえた。
「あっ…ん……こ、これで…終わりだね…じゃ、じゃあ僕は…」
「えぇ?なんでですかぁ?まだなにも貰ってませんよぉ?」
「だ、だって僕の…ふ、ファーストキスを…」
「あれは試合中の事故ですよぉ、それに今のはセカンドキスですしぃ、王子の大事な『もの』を貰う下準備みたいなものですからぁ」
明らかに狙いすましたキスを事故と言い放ち、舌なめずりをしながらさらに意味深な言葉を囁く。
ミアキスは呆気に取られているファルーシュをえいっとベッドに押し倒すと、
その上に覆いかぶさり、パンパンに膨れ上がった股間を撫で上げた。
ビクンッと反応する股間を見て嬉しそうに微笑むと、スリスリと撫で続ける。
「…わたしが貰うのはぁ…王子のココの初めてですよぉ」
「えぇぇっ!?」
わざと艶かしい声を出しつつーと指先でファルーシュの股間を弄るように擦り上げる。
「…それとも王子ぃ?もうえっちなことしたことあるんですかぁ?」
「な、ないよ!そんなことっ!!」
「…じゃぁ…わたしとえっちなことをして、王子のおちんちんもわたしと一緒に初めてを卒業しましょう」
耳元まで擦り寄って消え入りそうな小声でそう宣言すると、
ミアキスの右手が淡く光り、ファルーシュの意識が深い闇に呑み込まれていった。
意識が闇に呑み込まれる直前、あは、うまくいきましたぁという声が遠く聞こえた。
「んっ…ちゅっ…んんっ…ぴちゅ…ちゅっ…ぴちゃ…ん…ちゅるっ…」
まどろみの中から這い出るように目が覚めると、起きぬけの体にこれまで感じたことがないくらいの快感が走り抜ける。
寝惚けまなこでその発生源を見ると、服を脱がされ、露わになったファルーシュの陰茎を全裸のミアキスが咥えこんでいた。
「…ちゅぽっ…おうふぃ…んっ…おひはひはぁ?」
ファルーシュは夢かと思い自分の頬を思い切りつねろうとしたが、これは現実だと言わんばかりにミアキスが裏筋を舐め上げる。
「くっあぁっ…ミ、ミアキス!?」
「んふふ…ふぁへふぇふほぉ…ふぃっほひへへふふぁはぃ…んっんっ」
咥えこんだままミアキスが喋ると、不規則な刺激が陰茎に伝わりファルーシュの理性を奪い去っていく。
舌が蠢き、亀頭を舐め上げ、そのまま舌先がカリ首に沿って溝をかき出すように動く。
ファルーシュがうめき声を上げるのを聞くと、目を細めて今度は舌先で鈴口を刺激しはじめる。
「んんっ…ちゅぽ…んふっ…んんっ…ん…ちゅ…ぴちゅ…ん〜」
「あぁっ…あ、はぁっ…あっあぁっ…くぁあっ!」
舌先で鈴口を攻め立て、次々から次へと滲み出てくる粘液を美味しそうに吸い始め、
ミアキスの唇からはちゅぷっという卑猥な吸音が漏れ出し、それと一緒に唾液と粘液の入り混じった汁が流れ落ちてくる。
ファルーシュは脱力し、抵抗する力も残っておらず、こみ上げる射精感を堪えるのが精一杯だった。
「んんっ…んふっ…ぱぁ…はむっ…ん…ちゅっ…ぢゅちゅぅうっ」
「あっ…ああっ、ミ、ミアキスッ!?」
仕切りなおすかのように陰茎を奥まで咥えなおすと、唇を窄めて、精液を催促するかのように吸い上げる。
亀頭全体に快楽が拡がり、堪えて限界寸前だった射精感が一気に最高まで達する。
「んっ〜…ふっ…ちゅっ…ぢゅっ…ぢゅぢゅっぢゅっ」
「くあぁあっ…はっ…も、もうっ…ミアキスッ!」
なかなか達しないのに痺れを切らしたのか、ミアキスは吸い上げながら頭を振り、陰嚢を揉みしごき追い討ちをかける。
コリコリと指で転がすように弄ぶと、陰嚢が収縮しファルーシュの限界が近いことを知らせる。
「…おうふぃ…んっ…ははんひはいふぇ…ちゅっ…ちゅぶっ…おふひひ…ふふぁはい…ちゅぶぢゅっ」
「あぁぁっ、ミアキスッ!…で、でる!でちゃうっ!あっ、くぁぁぁっ!」
───ドプッ!ビュルッ!ドクッ、ピュル、ピュッ───
トドメとばかりに強く吸い上げると、ファルーシュの鈴口から精液が濁流となってミアキスの口腔に流れ込んだ。
「んん〜〜〜っ!?んっ、ふぅんっ…んっ」
ミアキスはそれを受け止めると、軽く咀嚼し、喉を鳴らしながら少しずつ精液を飲み込んでいった。
「んっ…コクッ…んふっ…ん…ずずっ…ぅぷぁ…はぁ…」
口腔内に溜まった精液を飲み干し、精管内に残っていた精液も吸い出して、ようやくミアキスは陰茎から口を離した。
「…ふふっ…王子ぃ?いっぱい出ましたねえ、こぼしちゃいそうでしたぁ」
精液を出しつくし、完全に脱力しきったファルーシュの体に覆いかぶさるようにして擦り寄ると、耳を甘噛みしながら囁いた。
声を出すことも出来ないファルーシュを尻目に、ミアキスは萎えかかった陰茎を包み込むようにして手を添えた。
「…でも、これで終わりじゃありませんよぉ…これからが本番なんですからぁ…うふふ」
ミアキスは添えていた手で唾液と精液でぬるぬるになった陰茎を掴み、ゆっくりとしごき上げていく。
萎え始めていた陰茎がしごくたびに大きく、堅さを取り戻していく。
「…んぁ…ぁ……ゃ…ゃめて…ミアキス…」
ファルーシュは射精したばかりの敏感な陰茎を擦り上げられ、必死にうめくような声で懇願する。
そんな様子を見たミアキスは、目を細めてファルーシュの右手を取り、ゆるゆると自分の股間へと導いた。
きめ細かい柔肌をなで、うっすらとした茂みを抜けると、すでに濡れそぼったミアキスの秘裂にファルーシュの手をあてがった。
「…ぁ…ミアキス…?」
「王子のおちんちんおしゃぶりしてたらこんなになっちゃいました…はしたないで…んんっ」
ファルーシュがそんな言葉を遮ってミアキスの唇を塞ぐと、ゆるゆると指先でミアキスの秘裂をなぞりはじめた。
「んっ…ぷぁ、ん…んぁ…ひぃん…んんっ…ぉ、王子…」
ヌチュヌチュという粘膜質な音が出て、秘裂からはとめどなく蜜液が溢れる。
「あんっ…王子…ダメですよぉ…」
ミアキスは秘裂からファルーシュの手を外し、ベッドに押し付けた。
「うふふ…わたしが王子にご奉仕してるんですから…王子は動かしちゃダメです…」
そっちから触らせたくせにとファルーシュは声を上げたかったが、ギュっと陰茎を握り締められ呻くことしかできなかった。
「それじゃぁ…王子。王子の大事な『もの』をいただいちゃいますねえ…」
ミアキスがファルーシュの頬にキスをし、ゆっくりと身を起こすと、仰向けに横たわるファルーシュの腰元に膝立ちで跨った。
月明かりで照らされてさらに映える白い肌、つんと淡い色の乳首が上を向き、たわわに実った乳房に、女性らしく細くくびれた腰、
薄く茂った恥丘の下には、申し訳程度に襞がはみ出し、匂い立つように濡れそぼった秘裂がファルーシュの目に映し出された。
ファルーシュの陰茎は再びそそり立つように勃起し、ミアキスの秘裂との結合を催促するようにビクビクと脈動している。
そんな陰茎をミアキスはそっと手で持ち、自分の秘裂とキスをさせる。すると蜜液が秘裂から流れ落ち、陰茎へと伝わっていく。
「…いきますよぉ……んんっ!…あぁ…ふぅ…んっ」
「…あぁ、ミ、ミアキス…」
ミアキスは少し緊張した面持ちで、秘裂を両手で押し広げ、ファルーシュの亀頭を埋め込んでいく。
ぬるっとした感触が亀頭に伝わったと思うと、ミアキスは一気に腰を下ろしてファルーシュの陰茎をその秘裂に呑みこんだ。
「づっ…はぁ…ん…んぁぁぁぁっ!」
「あっ、くっ!」
隆々としたファルーシュの陰茎は柔らかなミアキスの膣襞を掻き分け、すでにぬるぬるの膣奥へと到達した。
「あはぁ…初めてを卒業ですねぇ…王子ぃ…」
「…あ…んっ…ミ、アキス……」
「……一緒です…」
ファルーシュの胸に手を当て、肩を上下させて荒い息をしているミアキスは小さく呟いた。
ミアキスの膣内は膣襞が不規則に蠢き、ファルーシュの陰茎をより奥へ奥へと呑みこむように蠕動を繰り返し、
そのたびに射精しそうになるほどの心地よさだった。
「…それじゃぁ王子ぃ…動きますねぇ?」
そう言いながら膝から腰を持ち上げるようにしてゆるゆると動き始めた。
「うぅっ…あぁ…ミア…キス」
たった一回の抽送でファルーシュの亀頭ははちきれんばかりに膨れ上がり、今にも爆発しそうになった。
ミアキスが腰を上に動かせば、膣襞が陰茎から離れたくないとばかりに絡みつき、逆に腰を下ろせば
膣襞が亀頭を擦り上げ至上の快楽を与え、休む暇もなくファルーシュ快楽の海へと追いやっていく。
「ふっ…あ…はんっ…お、うじ…きもち…いいですかっ?…わたしの、なか…きもちいい…ですかっ?」
月明かりに照らされてその素肌を晒し、たわわな乳房を上下に揺らしながら腰を振るミアキス。
「あっ…ぁ…はぁっ…ミアキスのっ…なかぁ…きもちっよくてぇ…と、ろけちゃいそう…だよっ」
もはや快楽の虜となったファルーシュがミアキスの揺れる乳房を揉みしごきながら答える。
ファルーシュが揉むと乳房はふにゅっと形を変え、さらに汗ばんだは素肌で手に吸い付いてくるほどきめ細かかった。
乳房を揉むごとに膣も締りが増し、亀頭を、さらに陰茎をしごきあげ、蜜液を漏らす。
いつのまにか部屋にはミアキスの牝の匂いがたちこめ、それがファルーシュをさらに興奮させていく。
じゅぶじゅぶと音を響かせながらミアキスが汗ばんだ体をファルーシュに預けてくる。
「王子ぃ…一緒に…イキましょうねえ…んんっ」
唇を重ね合わせ、舌を絡めると、ミアキスは舌を伝わらせて唾液を流し込んでくる。
ファルーシュは拒むことなくそれを受け入れるとミアキスは唇を離し、姿勢を戻す。
「…王子ぃ?イキますよぉ〜?」
ミアキスが額当てを取り、頭の上で結っていた髪を下ろすと、額が淡く光り、紋章が浮かび上がった。
「…えっ!?」
ブーストの紋章。紋章の力で潜在能力を引き出し、飛躍的に身体能力を強化する紋章がそこにはあった。
しかしその反面、短い時間しか効果が発揮できず、さらに本来なら体が耐えられないほどの能力を発揮するため、
効果が切れた後は体に過度の負担がかかってまともに動けなくなる紋章でもある。
「んふふ…覚悟してくださぁぃ…」
ミアキスがファルーシュに艶かしく微笑むと、一気に腰を激しく振り出した。
───ニジュッ!パンッ!グチュ、ヌジュッ!ジュブ、パンッ!ジュッ、ジュボッ!───
「あっ!!?くぅぁっ、ミ、ミアキスッ!?」
柔らかく絡み付いていた膣襞がキツく絡み、裏筋をこすり、亀頭を締め上げ、カリ首に襞が絡みついて陰茎を磨くように擦り上げる。
一気に射精感がこみ上げ、精液を放出しようとすると陰唇が根元でガッチリとそれを阻み、快楽だけが限界を超えていく。
蜜液が潤滑油となって溢れ、結合部に盛大な泡を立て、結合部を隠すように広がっていく。
「ミッ、ミアキスッ!も、もうダメだよっ!くっあっ…」
「王子ぃ?はぁっ…イキそうなんですかぁ?…でも、んっ…まだまだイカせてあげませんよぉ!」
激しい腰使いとは対照的にミアキスはゆっくりとした口調でそう告げると、さらに動きを加速させた。
───ジュッジュブッ!パンッジュボッヌジュッ!ジュッパンッグチュッ!───
「ああぁぁっ!はぁっくぁっ!んんぁぁっ!!」
もはやファルーシュは叫ぶようなうめき声を上げることしか出来ず、ただひたすら声を上げている。
射精感はとうに限界に達していて、視界は点滅し、耳からは抽送の淫音しか聞こえず、体は熱いということしか感じなくなっていた。
まるで五感が全て集中したように陰茎だけはただひたすらその抽送の快楽を伝える。
ミアキスはたわわな胸を縦横に揺らし、体は湯気が出そうなくらい上気している。
「…イキたいですかぁ?…んっ…王子ぃ…はぁっ…わたしのオマンコの中にっ…精液いっぱいピュピュって、出したいですかぁ?」
抽送する速度はまったく緩めず、ファルーシュの胸に倒れこむようにして顔を寄せ、耳元でそう囁く。
「だっ、ださせてっ、くぁっ、ミアキ、スの中にっ、せぃっえき、いっぱいっ!」
「んっ…中ってどこですかぁ?…ちゃんと…んふっ…おっしゃってくださぃ」
「くぅっ、はぁっはぁっ、ミアキスのぉっ!あっくっ、オマンコの、膣内にださせてっ!」
ファルーシュは狂いそうなほどの快感を一刻も早く解き放ちたいと、なりふり構わずミアキスの言うがままになっていた。
「あはぁ…それじゃあ、王子からちゅうしてくださぃ〜そしたらいっぱい出させてあげますよぉ」
ミアキスが目の前で唇を突き出すと、ファルーシュが貪るように唇を重ねた。
「んっ…んんっ!んんっ!んんっん!…はっ…んっん!んっん!んぐっ!…ちゅぶっ…んっん!んんっ!」
技巧もなく、ただ舌を突きいれミアキスの口腔を貪り、舌を絡ませ、唾液を吸い、送り返す。
「んぷはぁっ!…王子ぃ?…んっ…がっつき過ぎですよぉ〜…でも…気持ちよかったから…はっ…出させてあげますぅ」
僅かに陰唇の締め付けが緩み、ファルーシュの体中から熱が陰茎に集まっていく。
ミアキスも乳首は自己主張するようにツンと勃ち、体はピンク色に染まり、顔に浮かんでいた余裕は完全に消え失せていた。
腰の動きは激しさを増し、抽送の淫音は完全に繋がり、膣襞はトドメを刺すように陰茎に絡みつく。
「はっ…あん…ふっ…きてくださぃ!…いっぱい…オマンコにっ!…膣内にっ、精液出してくださぃっ!」
「あっ、あぁぁぁっ!?はっ、ぅあぁぁぁぁああああっ!」
「あぁっ、んぁぁぁああっ!王子ぃっ!!」
───ドブッ!!ドプブッ!ビュッビュル!ビュルッ!ドクッ!ドクドクッ…───
パンッと肉をぶつからせて陰茎を最奥へと押し込んだとき、
ファルーシュの視界は一瞬にして暗転し、陰茎に溜まりに溜まった熱をミアキスの胎内に吐き出すようにぶちまけた。
ミアキスもファルーシュにしがみつき、胎内からこみ上げてくる快感に身を任せて絶頂を迎える。
鈴口からは噴水のように精液が飛び出し、ミアキスの子宮口に叩きつけられると、
吐き出された精液はあっという間に胎内を満たして結合部から押し出されるようにして流れ落ちる。
「はぁっ…かはっ…はぁはぁっ…はぁっ…ミア…キ…ス…」
「あぁ…はぁ…ぁ…ん…はぁ…王子…いっぱい…出ましたね…」
二人は完全に脱力し、そのまま意識を手放そうとした。…が
「…えっ?」
不意にミアキスはファルーシュの陰茎がまた堅さを失っていないことに気が付いた。
それどころか、さらに以前よりも膨れ上がっているような感じもした。
紋章の影響で脱力しているミアキスを、ファルーシュは繋がったまま抱えて仰向けにすると、腿を押し開いていった。
いつも見ているみずみずしい太股に触っているというだけでファルーシュは酷く興奮していた。
「…ぉ、王子?」
「…ごめん、ミアキス…僕はもっとミアキスが欲しい…」
そういうなり、ファルーシュは未だ衰えぬ陰茎で抽送を開始した。鉢巻を取るとそこには淡い紋章の光が浮かんでいた。
激怒の紋章。自ら耐えることで無意識のうちに力を蓄え、ある限界に達すると潜在能力を開放し、身体能力を高める紋章である。
ただし、限界は人によってまちまちであり、また一度紋章の力が働くとなかなか効果が切れず、自分でも抑えることができない。
ファルーシュは二度の射精でこの限界に触れたため、紋章の力が働いたのだ。
「…そんっんんっ!?」
「ぷぁっ…ミアキス…いい匂い…はぁっ…んんっ」
ファルーシュは首筋に鼻をこすり付け、ミアキスの汗と牝の入り混じった香しい匂いを嗅いだ。
そのまま唇を塞ぐと、汗で濡れた乳房を揉み、ツンと勃った乳首に触れてコリコリと指先で弄び、
さらに左手を伸ばすと、薄い茂みを押さえ、人差し指の腹でクリトリスを刺激しはじめた。
「ふっんんっ!んっ!ちゅっ…あぁっ!んっ…んんんっ!」
舌を伸ばし、ミアキスの舌に巻きつけながら、これまでのお返しとばかりに唾液を送り込む。
───ジュブッ!パンッ!ジュ、ジュプ!ヌジュ!パンッ!───
先ほどのミアキスの抽送に比べれば速度は遅いが、亀頭で膣襞を擦り上げ、ミアキスを追い込んでいく。
「あぁん!はっ、あぁっ!ぉ、王子っ!ダ、ダメですよっ!」
「…はぁっ…あぁ…どうして?…ミアキスの、オマンコは…嬉しそうに…くっ…僕を締め上げてるよ?」
「あぁっ!んあぁっ!…そんなことっ…ないですっ」
ファルーシュの抽送に対してミアキスの膣は陰茎をキツく締め上げ、また奥から蜜液がこぼれ出している。
「…ほらっ…んっ…こんなにオマンコからおつゆもでて…んっ」
「っ!あっ…ダメですっ…わたしっ、とんじゃいっ…ぁぁっ、ますよぉっ」
ファルーシュはわざと卑猥な言葉を使い、ミアキスの羞恥を煽るとさらに深く陰茎を突きこんでいく。
ミアキスは絶頂を迎えた直後からファルーシュに休むことなく突かれ、すでに限界直前まで高まっていた。
抽送に合わせて揺れる乳房に顔を近づけ勃っている乳首をついばみ、時折歯を立てて違う刺激を与えると、
さらにファルーシュは胸の谷間に顔を埋め、ミアキスの匂いと、汗の味を確かめるように舐め上げた。
ミアキスは背中を大きくそり返し、右手をぎゅっと握り締め、左手はシーツを掴んで押し寄せる快楽に必死に耐えている。
「はぁっ…ミアキス…好きだよっ…ミアキスッ…んっんんっ」
「はんっ…んんっ…んっ…ちゅっ…ぁ…んんっ…ぉうふぃ…」
ファルーシュは首筋にしゃぶりつき、再びミアキスの口を塞いで、舌を突き入れるとミアキスもこれに答えるように舌を絡ませる。
互いの舌を絡ませ、口腔内を舐めあい、唾液を交換し合い、飽きることなく繰り返す。
ファルーシュが唇を離そうとするとミアキスがそれを許さず、首に手を回してさらに互いの唇を貪りあう。
「んんっ!…はぁっ…んふっ…んんっ…ん…んっ…ミアキス…」
「んっ!…ぁ…んんっ…ん…はぁ…王子…んっ…んっ…んんっ」
二人の結合部からは精液と蜜液が流れ落ち、シーツには大きなシミが出来ていた。
ファルーシュが腰の動きを早めると、ミアキスもそれに合わせてより深く繋がろうとする。
「はぁっ…あぁっ…ミア、キスッ…っもう…でそうっ…」
「はっ、王子ぃっ…好きですぅ…中に…あぁっ王子ぃのぉっ…精液ぉ…中にいっぱいくださぃっ…」
ファルーシュはキスをしながらミアキスの腰に手を回し、膣奥へ、子宮口へと亀頭を擦り上げていく。
ミアキスの膣襞が蠕動し、陰茎を逃がさないように絡みつき、締め上げる。
「つっ!くっ、ミアキス、ミアキスッ!っだす、だすよっ!!」
「あんっ…はぁっ、はぃっ、なかにっ…奥にっ、いっぱいっ、はぁっ、くださいっ!」
ファルーシュは深く腰を突き込むと同時に、ミアキスの乳首とクリトリスを強く摘みあげた。
「あっ、あぁっ、ぃゃっ、あぁっ!ぉ、王子ぃっ!ひゃぁぁぁぁぁんっ!!」
「はぁっ、くっ、あぁっ!ミアキスッ!!」
───ビュクッ!ビュルルルッ!ビュッ!ドブッ!ピュッピュッ…───
再びファルーシュの精液が鈴口から噴き出し、膣襞の隙間に入り込み、ミアキスの胎内を満たす。
その迸りは行き場を失い、子宮口を突きぬけ、直接子宮へと流れ込んでいく。
精液の白濁とした色に塗り替えられるように二人の意識は遠のいていった。
徐々に空が白んできた頃、二人は目を覚ました。言葉を交わすこともなく抱き合うとそのまま浅いキスをしていた。
「ちゅっ…ぷぁ…王子ぃ、もっと女の子には優しくしてくれないとダメですよぉ、最後は乱暴すぎですぅ」
「んっ…ミ、ミアキスだって…無理矢理だったじゃないか…」
「わたしはちゃんと勝負に勝って王子の大事なものを頂いただけですよぉ」
頂くという行為がファルーシュの頭の中で鮮明に蘇ってくる。馬乗りのミアキスが激しく腰を振る痴態が…。
「…うぅ…」
途端にファルーシュの顔が湯気が出そうなくらい紅潮し、それをみたミアキスが目を細めて意地悪く微笑む。
「…でもぉあの勝負はどっちが勝ってもこうなりましたけどねぇ…うふふ」
「……ぇ…?どういうこと?」
意味深な発言に疑問を持ったファルーシュが聞き返すと、ミアキスは目を細めて耳元で囁いた。
「……王子が勝ったら…わたしの…大事な『処女』を差し上げてましたぁ…」
「えぇっ!!?」
「はははじめてって!?だだだだだって!あんなにっ!…その…えっち……だったのに…」
ミアキスに攻め立てられていたことをまた思い出したのか尻すぼみに声が小さくなり、ファルーシュは真っ赤になって顔をそらした。
「あ〜、酷いですぅ!信じてませんねぇ?ほらぁここをみてくださぃ〜」
ミアキスは起き上がるとベッドの真ん中あたりを指差した。
「…ぇ…これは……血…?」
ファルーシュも体を起こして確認すると、指差したあたりは精液のシミが出来ていて、そこに僅かながら赤いシミもあった。
「それに何度も言いましたよぉ『わたしと一緒に初めてを卒業しましょう』とか…でも気持ちよかったから許してあげちゃいますぅ
ずっと前からアプローチかけてたんですけどねぇ…王子は鈍感さんですからこうでもしないとぉ…してくれませんしぃ」
「…ぁ…うぅ…」
「それに『初めて』は太陽宮に来た頃からずっと王子に差し上げたいと思ってましたしぃ…」
「で、でもミアキスなら地元でも付き合ってほしいとかいう誘いが多そうだけど…竜馬騎兵団の人とも仲がいいらしいし…」
すこし表情に翳りを見せながら呟くと、ミアキスはまた目を細めて意地悪く微笑み、小首をかしげてファルーシュを覗き込んだ。
「あらぁ?王子ぃ…妬いてくださってるんですかぁ?嬉しいですぅ」
「ちっ、違うよっ!!」
「違うんですかぁ?…ちぇ〜、でもわたしは地元ではそういうお誘いはありませんでしたよぉ、やんちゃでしたから
女の子と見てくれる人なんかほとんどいませんでしたしぃ、竜馬騎兵の二人は幼馴染ですけどぉ…あっちの人ですからぁ」
「…あっち…?…ぁ…あぁ…そ、そうなんだ…」
ファルーシュは「あっち」の意味を理解すると、複雑な表情を浮かべて俯いた。心なしかその顔は青ざめている。
「それでまったく縁がなかったんですけどぉ…太陽宮に来て王子を見ちゃったら一発で一目惚れしちゃいましたぁ」
少し恥ずかしいのか頬を染めてミアキスが告白すると、ファルーシュの青ざめていた顔が今度は赤く染まりだした。
「…ぁ…う……」
ミアキスは照れて俯いているファルーシュに擦り寄り、胸の谷間を強調するようにして顔を覗き込んだ。
いつもは頭の上で結っている髪がさらりとこぼれて、ふわっとミアキスの香りが漂ってくる。
「…ねえ、王子ぃ?もう一度、好きって言っていただけませんかぁ?」
「えっ!?…な、なんで?」
「あ〜ん、酷いですぅ!…あの言葉は嘘だったんですねぇ!?肉欲の捌け口にわたしの体を嬲っただけなんですねぇ…うわ〜ん」
「ちちちっ、違うよっ!そんなんじゃないよっ!」
わざとらしいミアキスの嘘泣きと演技にも簡単に騙され、大慌てで必死に取り繕う。
「…ぐすっ…じゃぁ言っていただけます…愛してるって…」
「…なな、なんで言葉が変わってるの…?」
「…王子ぃ?」
ミアキスが今度は凄んだ顔をすると、ファルーシュはたちまち萎縮して言うがままに言葉を搾り出す。
「……うぅ……ぁ…ぁぃ、ぁぃ…してる…」
消え入りそうな小声でファルーシュは呟くが、ミアキスはそれに満足するわけでもなく、さらに催促する。
「もっと大きな声じゃないと聞こえませんよぉ?…それに名前もちゃんと呼んでくださぁぃ」
「……ぅ……っ………ぁ………愛してるよ…ミアキス…」
「はぁい!わたしも愛してますよ…お・う・じ♪」
嬉々としてミアキスがファルーシュに抱きつくと、唇に吸い付いて乳房を強調するように押し付ける。
「うふふ…わたしは幸せ者ですねぇ、もしかしたら姫様のお姉ちゃんになれるかもしれませんしぃ」
「……え?…………あ……うん…そうだね」
しばらく言葉の意味を理解するのに時間がかかったが、ファルーシュははにかみながらそれに同意した。
「嬉しいですう。既成事実も出来ましたしぃ…あとは結果が伴えば言うことなしですねぇ」
「…ぇ?」
「…たしかこないだ来たのが十日ほど前でしたしぃ…中にもたくさんいただけましたからぁ、上手くいけば一発ですねぇ、あはぁ」
指折りしながら数えた後、恥ずかしいという風に両手を頬に当ててミアキスは一人で悶えている。
「…あ、あのミアキス?どういうこと…?」
取り残されているファルーシュにミアキスは向き直ると
「どういうことでしょうねぇ?…うふふ…愛してますよ…お・う・じ♪」
満面の笑みで再びファルーシュに抱きついた。
──了──