アレニア陵辱 著者:11_192様
「あらあら、お久し振りです。」
ひらりと羽扇を口元に宛がい、目を細める女性はあくまで柔らかい物腰だった。
そのまま世間話でも始めそうな雰囲気だが、状況は全く違う。
鉄格子が張られた仄暗い地下牢。
対峙するは、手負いの獣の様な瞳をした彼女――アレニア。
「き…さ、まぁっ!裏切者ルクレティア!!」
傍に控えていた長身の女性がこの叫び声にびくりと身を震わせたが、当のルクレティアには
微塵も効いてはいなかった。
普段はきりりと纏めた髪が美しく、気高い華の様であったアレニアだが、今はその影も無い。
艶が無くなった髪は解れて四方に垂れ、そこかしこに擦り傷や打撲の痕が見られ無残だ。だが、
今はそれを気遣う事も無く目の前の”敵”に殺気を向ける。
”敵”と認識された優雅な女性、ルクレティアはそれとは裏腹にあくまで緩やかな表情を
崩さなかった。
「ゴドウィン家に招かれながら裏切った反逆者め!!このアレニアが始末してくれる!!」
「まぁ落ち着いて下さい。あまり無理をしては怪我に障りますよ?」
「黙れ逆賊めが!!…このっ!放せ!!殺してやる!!!」
ガキッ!と金属質の音がしたと同時に、ルクレティアの喉を掻こうとした手がすんでの所で
留まった。何度も手を伸ばそうとはするがやはり同じ事で、次第にアレニアの手首に
痛みが走る。
手足とも頑丈な鎖で壁に繋げられていると言う事を、アレニアは錯乱して理解出来ていない様
だった。
「ルクレティア様っ」
「良いのですよレレイさん。」
厳しい表情を浮かべているレレイを抑え、アレニアに届くか否かの所まで歩み寄った
ルクレティアは、笑みに少しだけ困った表情を浮かばせた。
「いい加減自分の立場を理解して頂かないと。…貴方は、捕虜になったんですよ?」
「捕虜、だと………?逆賊のか!!」
「…”私達の”捕虜です。…薬を飲んでまで挑んだ王子に倒されてもまだ
命を取り留められたんですよ。これも黎明の紋章の力でしょうか?」
(捕虜…捕虜?私が?…誉れ高き女王騎士の私、が……?)
捕虜という単語だけで頭がいっぱいになっているアレニアを他所に、ルクレティアは
嬉しそうに続けた。
「それにしても、王子は器用な事すると思いません?生きていた貴方を
ここまで運ぶなんて、ねぇ。」
――そうだ。
ザハークと共に我等は最後の砦だと、女王騎士長の退却命令を復唱できないとして
反逆者である女王の兄に立ち向かった。
”幽世の門”で作られたという秘薬を用いて、女王国の理を乱す逆賊に
鉄槌を下す筈、だった。
しかし太刀筋がいくら薬で高められようとも、奴らは……
ふ、と衝撃を受けていた心に自我が戻ったアレニアは、恩着せがましい軍師の
言葉に反論する。
「き、貴様らに救われたなどと、思いたくも無い…今すぐ私の首を切れ!でなければ此処で
舌を…」
「ふう、そうやって武人はすぐ恥と言って死に急ぐ…レレイさん、なんとか言ってやって
下さいな。」
「何とか、と言いますが…このような者は今の時点で捕虜としての価値は無いと思われます!!」
今まで尊敬するルクレティアに暴言を吐いていたアレニアに対して、レレイも多少頭に血が
上っていた様だった。
「あ…そういえば貴女も半分武人みたいなものでしたね。…それにしても捕虜って言う言葉の響きを
聞くとちょっとワクワクしません?何されるんだろうって…」
「ルクレティア様!!」
「貴様と一緒にするなぁっ!!」
「ま、本当にどうしてやろうかワクワクするのは此方ですけど。」
ヒステリックに怒鳴るアレニアに肩を竦めて見せるルクレティアは、レレイに視線を向けた。
合図と受け取り、レレイは憮然としながらも一礼し、外へと出て行く。
ぎ…と重い扉の音が収まるのを合図に、ルクレティアは口を開いた。
「……私が幽閉される前、陛下に積極的に私の処刑を進言したのは貴女でしたね。」
「はっ!…やはり私怨か」
アレニアは全て見通した様な表情を浮かべ、軽蔑のまなざしを向ける。
「貴様は大局を見据えられぬ小物の軍師だな。…ギゼル様はもっと太陽の紋章の力を使って
ファレナを揺ぎ無い国にしようと御立ちになったのだ!それを私怨で軍を立ち上げて
ファレナに歯向かったばかりか、今度は私怨で拷問か!!」
「いやですね、そんな事位で恨みませんよ?私は“託された”だけですから。」
あっさりアレニアの勝ち誇ったような言葉を否定する――服の合わせに忍ばせていた
皮製の帯を取り出し、アレニアの背後に回ったルクレティアは言葉を続けた。
「ただ、貴女のそのお馬鹿さんな振る舞いで、随分遠回りしたのは事実なんですよね。」
「お、ばか…?」
「そう、お馬鹿さん、です。当然”大局”を見据える事ができる貴女なら解りますよね?」
まるで首飾りでも付けてやる様に、ルクレティアはアレニアの首に皮製の帯――首輪を
巻きつける。散歩用に飼い主が持つ紐も一緒になっており、傍から見れば奴隷が犬の格好を
させられている様だった。
「ふふ、お似合いですよ…わざわざ群生諸国出身の方に手配してもらいました。」
「な、なん…」
「ルクレティア様、連れて参りました。」
「ご苦労様。此方も用意が整った所です。」
扉が開かれたそこには、いかにもという風体の兵士達が数人…柄の悪そうな男達四、五人が、
下品な笑みを浮かべて囚われのアレニアを嘗め回すように見つめる。
「よぉ…軍師サマよ、来てやったぜ」
「はい、御苦労様。全力でお願いしますね。」
「なっ……何をするつもりだ!」
「…この状況から読めませんか?」
手に持った縄をくるくると指に絡めて遊びつつ、彼女は楽しそうに続ける。
「捕らえるだけなら芸がないでしょう?アレニア殿には、ちょっとしたお仕置きを
受けてもらおうと思いまして。うふふっ」
「ぐっ!」
ルクレティアはアレニアの首輪に繋がっている紐を、いきなりぐいと引っ張りあげた。
「おいおい、マジかよ…ヤってもイイってよ」
「あの女王騎士に首輪?おもしれぇや。」
「ツンツンした女があんなになるとたまんねぇな」
「オレが初めにブチ込んでやるからな」
口々に卑猥な単語を並べる兵士の視線から逃れようと必死に身をよじるが、ルクレティアが
引いている首輪が喉元に食い込むだけだった。見るな、と途切れ途切れに言うのが精一杯だ。
そんなアレニアを見下ろしていたルクレティアは男達が近づくと同時に、彼女に優しく耳元で囁く。
――女王騎士として、死なせるものですか。
目を見開いた刹那、男達の手が目の前まで迫っていた。
******
「っ、触るな!あぅ!!」
乱暴に胸先を捻られ、非難の声をあげるもそれを面白がる男達には通用しなかった。複雑な形状を
している着衣は「脱がし方がわからない」とあちこち裂かれ、性交するには都合の良い穴を
開けられたりと散々だ。胸の形を強調するように裂かれた箇所からは、形の良い乳房がこぼれていた。
四つん這いに綱に繋がれた首輪…自分の状況を認識すればするほど、一層アレニアの
自尊心を傷つけた。
「おら、マタ広げろよ。ヨダレ垂らしてるクセに今更気取るなって」
「誰がっ…っさわるな無礼者!!」
「うるせぇ、喋ってるヒマがあったらしゃぶれって」
下半身を露にした兵士がアレニアの顔に昂ぶった陰茎をぐいぐいと押し付けた。いきなり
性器で顔をなぶられ、アレニアの羞恥心が猛烈に煽られる。
“秘め事”は男女の愛の営みだと教育されてきたアレニアにとって、このような行為は蛇蝎の如く
嫌い、蔑んだ目で見てきた物だった。
「このアマ…」
無理矢理口にねじ込もうとするが、アレニアは頭を振って歯列を割らない。その様子にルクレティアは
諭すように助言する。
「アレニア殿。受け入れた方が後々楽だと思いますよ?」
「う、うるさ…んぐっ!」
口答えする隙を狙って入り込んだ肉棒は、アレニアの口腔内をいたぶる。喉の奥まで達するように、
アレニアの髪を掴んで前後させた。
「へへ、ありがとよ軍師サマ…っ」
「それはどうも。」
おどけて応える彼女…人道から外れた性行為を平然と見物するルクレティアに対して、レレイはそこに
踏みとどまるのがやっとだった。確かにルクレティアに無礼な口を利いたアレニアに対して腹を立てて
いたし、散々戦局を引っ掻き回した憎き武将だったが、この仕打ちは。
「レレイさん、大丈夫ですか?」
「は……い…っ」
「ぅぐ、ぇぐっ、ぐっぅうっ…!」
肉棒で喉を突かれ、嬌声からは程遠いくぐもった声が一層大きく上がる。
女でなくても、思わず目を伏せたくなる光景が繰り広げられているが、この場に居る事でルクレティアに
近づけると考えていたレレイは、気丈に頷いた。そうですか、と短く答えたルクレティアはレレイから
アレニア達へ視線を移した。
アレニアの頭を固定した兵士が、腰の方向を変えながら荒い息を吐いた。徐々に唾液と
怒張した陰茎がぐちっぐちっと音を立て始める。
「そっちは良さそうじゃねぇか」
「コイツしゃぶるの下手だから歯が当たって痛ぇんだよ、これが。」
「おい、えづくのは良いけどゲロひっかけんなよ」
「ん、んくっ!ぐっ!ぢゅっじゅぐっぅっ…!!」
抑えなくても良い吐き気を必死に堪えている内に、アレニアの瞳から涙がこぼれた。騎士に
なったからには涙を流してはいけない、と自らを制していたというのに。
「お、やっぱり女だな…ヨダレも凄いがこっちも勃ってるぞ」
肉芽をむき出しにされ、ピンっ!と指でそこを弾かれた瞬間、びくりと背筋が弓なりに反った。
「っくぅっ!…??」
「一番乗りさせてもらうぜ〜」
亀頭で弾いた肉芽をぐりぐりと圧迫しつつ、鼻歌交じりにアレニアの蜜壷へのひだを無理矢理
拡げる。
「んんっ!?んぐっ!ひゃ、痛っやめぇ…っ!」
「ひゃははは!!ほらよっ!」
ずぬちゅっ!!
「ひっ―――っ!!!!」
一気に腰を打ち付けられ、アレニアは息を飲む。沼地に足を踏み入れた様な音が派手に
響いたが、アレニアの悲鳴にかき消された。
「あぁああああっ!…あ、あっ、ひぁ、ああ…!」
深々と、兵士の肉棒がアレニアの秘所へと突き刺さる。慣らされても居ない箇所に質量のある陰茎を
突然突き立てられ、アレニアは痛みでガクガクと震えた。構わず男はアレニアの中を、殴りつける様に
腰を打ちつけ始める。
「ぉあぁっ!あっ!あっ!はぁっ!痛ぁっ!やめろ、やめぇ…っ!!」
「お、キツ…やっぱりこんだけ濡れてたらハデな音するな〜」
肌と肌がぶつかる音の合間に、蜜壷から溢れ出す愛液によって生み出されるぐちゅぐちゅとした音。
嵐のように攻めたてられるアレニアの耳にもしっかり届いている様で、時々逃れようと身を捩っていた。
が。弱々しい抵抗は男達の興味をそそるだけだった。
「うーっ!んぐーっ!やぁあっ…!!!」
「おらっ、叫んでないでしゃぶれよ」
「うぶぅっ!う、うぅっ!はぷっ…ひっ…く……っ」
「手はこっちだろうが…っと、あまり動かせねぇな。よっと…」
ふと手に感じていた重みが軽くなるが、変わりに勃ち上がりきった性器を掴まされる。
「おら、抜けるまでしっかり扱けよ」
「オレのも頼むわ〜」
幾人もの男に囲まれ、汚らしいと思っている熱い陰茎を体中に擦り付けられている…考える力を
奪われていたと言うのに、汚された自分を眺めている、冷めた瞳に気付く。
「うっ、あぁ、ふぷぁっ…っ…!」
少し離れた所で、視線の主は椅子に腰掛け足を組み、従者と劇でも見ている風だった……すぅ、と
艶のある唇が笑みながら楽しそうにアレニアを責める。
「…雌として、雄に囲まれて悦んでいる様ですよ?」
「みっ…るら、あぁああっ!」
「おらっ!たっぷり飲めよ、おカタい女王騎士さんよ!」
喉の奥で陰茎が弾け、熱く何とも形容し難い液体が喉に流れ込んでくるのに驚き、必死に抵抗したが、
今のアレニアの力ではそれを拒む事は出来なかった。
口の中でどくどくと脈打つおぞましい感触に気を取られたと思えば、
「あっ…やべ、急に締ま、っ…!!」
「んっ!?んんぐっ…んーーーーーーーーーっ!!!!!」
びゅぐ、びゅぐっ…と、蜜壷の中で大量の精子を吐き出している肉棒の震え、そしてアレニアの
両手を性器に見立てて弄んでいた陰茎から勢い良く浴びせられる精子――それらに毒される様に、
アレニアの理性は徐々に崩れていく。
「あ、あっ…ぷぁああ…っ」
「お前な…、後から突っ込む奴の事考えてやれって。中に出したら汚ねぇだろうが。」
どさ、と床に崩れ落ちたアレニアの下肢からは、先ほど兵士が放った精子が血と混じり、泡立ちながら零れた。
その光景を見てルクレティアはあら、と声をあげる。
「…アレニア殿…処女でしたか。」
「あぁあ………っ…」
――嘘だ、嘘だ、これは何かの悪い夢だ、これはっ…!
必死に、まだかろうじて残っている理性を総動員して否定する。だが、崩れてしまった理性の
後に現れた野性が感じた肉の感触は、現実の物だとどこかで理解はしていた。
「女王騎士たる者、やはり純潔であらねばという事でしょうか?…ああ、彼っていう例外が一人
居ましたね。」
ひく、と秘肉が疼く。
「うふふ、ちょーっと乱暴でしたが…新しい世界を知るのも良かったのではないでしょうか?
とても初めてとは思えないほど悶えておられたから、私も驚きましたよ?」
――嘘だ、嘘…!女狐と小汚い男共に嬲られて、悦んでいるだと…!?馬鹿な…っ!!
「ち、が…っ」
「ほらよ、くっちゃべってないで次はこっちの番だぞ」
兵士は蜜壷から流れ出した精子をそのまま双丘の奥に塗りこみ、指を曲線に沿って上下させる。
そのまま、普段は自分自身でも手に触れない場所…秘所に、指を埋められた。
「ひっ………!!!や、嫌ぁ…や、やめさ、せろぉ…っ!きさま、ぁぁあっ!」
変態的な行為とは裏腹に、アレニアの中でじわじわと何かがこみ上げてくる。中で指が曲げられる度に
息が詰まった。
ぐにっ、ぐにっ、ぐちっ、ぐぃっ…!
「あ、あぅっ、や、やめ、そこは、ちがっ…!!」
「違うって、何がだ??」
「アンタ、尻も使える事知らねぇのかよ」
「ひっ…!やめろぉっ…きたな、ぃ…あぅっ!はなせぇ…っ!」
いやいやと弱く頭を振るアレニアを、わがままな子供を嗜める口調で語りかける。
「…何度も言いますが、今度こそ力まない方が身の為ですよ?慣れない内は本当に痛いんですから。」
「…………ルクレティア様…??」
わざとなのか、あまりに的外れな返答に後方のレレイはルクレティアが空恐ろしくなる。
アレニアは壊れた人形の様に身体を乱暴に起こされ、男の胡坐の上に座らされた。
双丘の谷間に、怒張しきった肉棒を擦り付けられる。背後からはぁはぁと荒い息が聞こえ、
これから本来の用途とは違う箇所に性器をねじ入れられるのだと思うと、何としてもこの場を逃れたかった。
「い、いやぁ…や、やだ…っ!」
「そこまで言うなら、逃げれば良いじゃないですか。」
――………え…?
何を言っているんだこの女は、とルクレティアの方に視線を移すと、羽扇をひらつかせてクスリと笑う。
「だって、貴女はもう鎖に繋がれて居ないのですから。」
床に鎖が落ちているのを見、信じられないような表情でアレニアは己の手足を確認する。
鎖になど、繋げられてはいない。唯一あるのは飼い主の手を離れた様にぶら下がる紐…と、首輪だけ。
「アレニア殿でしたら、うちの兵士4人ぐらい大したものではないでしょう?」
「そりゃねぜ軍師サマよ〜」
「それだけ強い方って事ですよ」
男の上に座っているアレニアに、ルクレティアはかがんで視線を合わせる。
「繋がれてもいないのに、抵抗も出来るのにそれをしなかったのですね。何故でしょうか?」
「…そ、れは…」
「もう少し冷静になれれば、逃げ出す好機はいくらでもあったのに、それは何故です?」
じわり、と相手が言わんとしている事が徐々に分かってくる。
――違う、嘘…嘘だ!私は違う!!
「…ちが、うっ…!違う!違う!!」
ぬろ、と慣れない箇所に亀頭を宛がわれた。
「――ひっ…!〜〜〜〜っ!!!!」
何かが裂ける激痛と、圧迫感。
息が出来ないほどの衝撃が秘孔から全身に広がり、アレニアの思考を停止させた。
「ひっ、は、はぁっ!はーっ!」
詰まった息を落ち着かせようと必死に深呼吸しようとするが、それも問答無用で
突き上げる兵士の責めに、それは無駄に終わる。先より交わりより鮮やかな赤が
結合箇所を濡らした。
「ちょっと…話が終わるまで待てなかったのですか?痛がって可哀そうじゃないですか。」
「アンタが言うな。怖い女だな。」
「では少し情けでも掛けましょうか…?」
いまだ呼吸が整わないアレニアの首輪の紐を軽く引き上げ、背後の男にもたれさせる。
完全に混乱状態の彼女を無視する様に、ルクレティアは手に持っている羽扇の羽根を一本抜き、
アレニアの頬を優しく撫でた。
「ふ…?っふぁ、はぁっ…はあっ…?」
そのまま、耳元、首筋を通り、胸元に達した辺りでアレニアの身体がピクンと反応する。
「んっ…っつっ…んんっはぁっ…」
「お、感じ始めたみたいだぜ…」
「女の羽根攻めって言うのも、なんだかソソるなぁ」
その台詞に、ルクレティアまで犯されている気がしてレレイは猛烈な吐き気を覚えた。
だが、この場に居ると言ったのは自分で、言った手前堪えなければならないと自分に言い聞かせる。
「あっ…んっ…んっんぅっ…はぁぁあ…」
性器とは別の箇所に、陰茎を突き立てられているにも関わらず、アレニアの声は明らかに
甘みを帯びてきた。肌を緩やかに撫でる羽根は、胸の先をからかうように掠め、触れては
離れるを繰り返し…濡れそぼっている下肢までたどり着いた。
「随分としまりが悪いお口ですね。」
まさに蜜壷という言葉が相応しいほど、粗相をした様に愛液でぐっしょりと溢れていた。
アレニアは隠す為に脚を閉じようとしたが、それは後ろの男に拒まれた。
逆に脚を大きく広げられ、肉芽がみっともない位に大きく勃っている所まで、指で押し広げられた。
「はは、今すぐツっこんだら昇天しそうだな」
「準備万端ってトコかぁ?」
無言で、ルクレティアの羽根は進む。やわやわと太ももの付け根をなぞり、肉芽の
部分を掠めた所でアレニアの背が大きく跳ねた。
「んはぁっ…だ、めぇ…そこ、は…ぁっ!」
「ここですか?」
しゅ、ときつくこすったり触れるか触れないかの所で撫でたり…
認めたくない、身体のそこから湧き上がってくる何か。
――あつ、いっ…!
同じリズムで男はアレニアを突き上げ続ける。蜜壷から後ろに伝った愛液が潤滑液となり、
次第に粘液質な音とアレニアの嬌声が耳に付くようになった。
「あふっ、あ、あんっ!あ、あはぁっ…あぁぁああっ…」
「よがってんのか?なんだよ突っ張った割には随分カンタンにオチたなぁ」
「あんっあ、ぃ…い、いぃ…っ………あ…?」
自分を翻弄する柔らかい感触が突然無くなり、アレニアは閉じていた瞼をゆるゆると
開けて視線をめぐらせた。
今まで散々自分をなぶった羽根を引きあげ、くるくると羽根を回転させて遊ぶ
ルクレティアを見つけると、彼女はもどかしそうに訴える。
「あ、あぁ……やめ…る、な…」
「何でしょう?何か欲しいものでも?」
「し、…て…」
「何処に、何を?」
――どうしろと言うのだ…っこのままでは……
周りの兵士がにやにやとアレニアを見つめる。中にはその様子を見て自分で性器を扱いている者も居た。
――堕ち、る……っ!
「もっ…と、してぇ…ほし……っ!」
口からこぼれた言葉は、彼女のこれまでの人生を捧げた役目から程遠い言葉…下品な
意味を孕んだ笑いが、その場で一瞬起こる。ルクレティアは一瞬だけ溜息を吐き、
ゆっくりと立ち上がった。
後方に下がると同時に傍で成り行きを見つめていた男達が、待ってましたとばかりに
アレニアに近寄り、むさぼり始める。
「女に欲しいなんていうなよ〜」
「俺たちが欲しいものくれてやるからよぉ」
乳房を乱暴に掴まれても、痛みより期待の方が膨らむのを彼女は感じ取っていた。
「あんっ…はぁっ…あははっ…」
「すげぇ、前ぐちょぐちょだ。どんだけ感じたらこんなにヨダレ垂らせるんだよ…」
酷く卑猥な音を立てながら、アレニアは自分から進んで他の兵士の性器に手を伸ばし、
自分から舌を出して舐る。
「ぁはあ…はぁっ…んぷ、んんぅ…」
先程までの気高さや純潔さは、もう微塵も感じられない――そんなアレニアを見て、
ルクレティアは使っていた羽根をぽきりと折り、その場に捨てると後ろを向いた。
「行きますよレレイさん。」
「は、…はい…」
「おい軍師サマよぉ、コイツどうするんだぁ?」
盛りのついた犬の相手をさせられて困っている、というふざけた口調でルクレティアに呼びかける。
「暫くおもちゃにしても構いません。ただし、殺さないで下さいね。」
「うっかりイっちまった場合はどうするんだよ。俺たちクビかぁ?」
「…本当に首を斬らせて頂きます。」
誰かが口笛を吹いたが、ルクレティアはそれを黙殺する。
振り返りもせず、そのまま地下牢の扉へと向かうルクレティアに、レレイはすかさず先回りし扉を開けた。
黙って部屋を出るルクレティアの面に、表情は無かった。
レレイにとって息苦しく居心地の悪い一時だった。そしてそれは今でも続いている。
地下牢から出たルクレティアは無言で自室を目指して歩き、自分は彼女の護衛と補佐の為、
後方を歩いていた。
いつもなら気さくに様々な話題を振ってくれるルクレティアだが、あの光景が目に焼き付いて
離れない。何より、何故あの様な仕打ちをしたのか…聞きたくても聞けない雰囲気だった。
「…レレイさん。この件については、王子には内密にして下さいね。」
「えっ!?…は、はい…」
見透かされているのか、と思うようなタイミングで声をかけられ、レレイは一瞬びくりと
反応した。
「何故、あんな事を…?」
「…王子は多分、アレニア殿を許してしまうでしょう。お優しい方ですから。」
レレイを見ることなく、ルクレティアは言葉を続ける。
「…ですが、ゴドウィンの旗を一度は担いだ人が残っていると、アレニア殿を持ち上げて
内乱を引き起こそうとする輩が出てくるかもしれません。…私はその芽を摘み取ったまで。」
「ルクレティア様…」
「軍主は光です…志気を保とうとするなら、全て遍く照らす無垢の光でなければ
なりません。…でも、光に近いものほど、影は濃くなるでしょう?」
ルクレティアは壁に掛かっているランプに羽扇をかざして、言い聞かせるように
レレイに言う。
「これは光である軍主に一番近い、軍師の仕事だと…私はそう思っていますよ。」
軍師に、というよりルクレティアに憧れていた。私もそのようになりたいと常に
願っていたのに、表向きの役目しか見ておらず浮かれていた。ルクレティアの覚悟も
知らずに――
と、レレイは己の未熟さ恥じる。
「あの…それでは、彼女をこれからどうするのでしょうか?」
「まぁ彼らには殺すなと言いましたが、生きても死んでも状況は変わりません。
生きていたら――そうですね…」
ルクレティアの部屋がある2階への階段を上がりきった所で、ルクレティアはぴたりと
歩みを止めた。後ろを素直に付いて来ていた
レレイは、訝しげにルクレティアの背中を見つめる。
「あの…?」
「レレイさん。今日はここで結構です。」
「は……??」
「…一人に、させて下さい…。」
顔を伏せるルクレティアの姿に、レレイは何故か胸が痛くなるのを感じた――人道に
反する手を使っても、やはり心優しいルクレティアは苦しみつつ決断していたのだ――そう
察し、羽扇で面を見られまいと隠す仕草に惹かれつつ、レレイは短く返事をすると
踵を返して自室へと帰っていった。
「………………」
完全に足音が静まるのを確認して、ルクレティアは羽扇を一仰ぎする。
その顔からは、レレイに見せた弱々しい仕草や表情が消えていた。
(ごめんなさいね、レレイさん。…こればかりは、私に託された事ですから、私だけで――)
自室のドアを開けると、当然明かりは灯っていなかったが人の気配が感じられた。
その気配が誰のものであるかも、ルクレティアは理解していた。
「王子…居られたのですね。」
己の軍主――ファルーシュに呼びかけるが、小さく頷いたようだった。闇に目が慣れず、
ルクレティアは灯りを点そうと机上のランプに歩み寄るが、ファルーシュが小さく止めて、と
彼女を制す。
「このままで、良いんだ…こんな顔、誰にも見せられないから。」
自嘲気味に笑む口でしか、出ない声色――暗闇でも、ファルーシュの表情が手に
取る様に解るのは、軍師としての才能故か。
その能力が、時として知らなくて良い事を察してしまう、損な役を回される事にも
繋がるのだが。
暫く沈黙が続くが、話を切り出したのはファルーシュだった。
「ルクレティア…アレニアは?」
「アレニア殿なら地下牢に…居ます。恐らくもう、彼女の面影はありませんよ。」
精液にまみれて、悦んでいる女王騎士で“あった”者なら居ますが、と
ルクレティアは胸中で呟く。
ファルーシュの短い溜息が聞こえた。安堵と、悔恨が交じり合う溜息が。
「僕は…アレニアを倒してもまだ生きていると知った時…何故だか解らないけど、
頭がどうにかなりそうだったんだ…」
ようやく目も慣れてきて、暗闇の中にうっすらとファルーシュの姿が浮かぶ。
その姿にルクレティアは少しだけ息を呑んだ。目の前にいた己の主人からは、
全く覇気が感じられない――その姿は、年相応の少年そのものだった。
「ごめん、ルクレティア……あの時、ルクレティアが止めて無かったら…あの場で
惨い方法で殺していたかもしれない…亡骸を冒涜したかもしれないし、
ギゼルも…怒りに囚われたまま…リムの前で………っ」
「王子…」
アレニアに対する仕打ちは、表向き生かしたまま遺恨さえ残さない様仕向ける
為だった。だが、王子自身大儀を背負っている立場で、私怨に走るのは
許されない。
ルクレティアはあえてあの様な手段を使い、女王騎士としての彼女を
殺める事で王子の立場が汚れる事を避けたのだ。
だがそれはルクレティアの手を汚させた事は変わりなく、何も言わず
ファルーシュの代わりに泥を被った彼女に対して、ファルーシュは心の底から
詫び、懺悔した。
「ザハークもアレニアも、ゴドウィンの手引きさえしなければ、……が死なずに
済んだのかも知れない…僕はそれが本当に許せなかったんだ…。」
誰が、と問う前にその場でうずくまるファルーシュを包み込む様に、
ルクレティアは優しく王子を抱き締めた。
「今日だけは良いのですよ、王子…私も暗くて貴方の顔を良く見られません。
ここには私以外誰も居ません…何も不都合な事はありませんよ。」
「ルクレティア…僕は…」
ファルーシュの抱擁が返ってくるのを、ルクレティアは緩やかに頭を
撫でて受け止めた。
「父上…母上……サイアリーズ…っ…叔母上ぇ…っ」
静かに逝った家族を呼び続けるファルーシュを抱き、彼女は目を瞑る。
『ね、ねぇ…あの子の事…頼む…よ…』
彼女の最期、憎まれ口と相手を気遣う不均衡な言葉で託された願い。
――本当に、貴女は私を嫌っている以上に、王子達の事が大切だったのでしょうね。
胸が締め付けられる様に痛む。彼女は嫌いな自分に身体を差し出してまで、
ファルーシュの身を守ろうとした。
穢れる事を恐れず、大切な何かを守り抜く強い女性だった。
ずっと惹かれていたのに、どうしてこんな事になったのだろう…
「サイアリーズ…様…」
サイアリーズの最期の唇に触れた指を、そっとルクレティアは自分の唇に宛がった。
そこでやっと、ルクレティアは知らずに涙を流している事を悟ったのだった。
翌日――。
覇気の戻ったファルーシュを太陽宮で見送り、鬱々とした気分で城に戻って
地下牢に足を運ぶ。
扉を開けると独特の臭いが鼻に付き、ルクレティアは眉をひそめた。
「…生きていますか?」
表情とは裏腹に、優しい言葉で傷と体液に濡れたアレニアに声を掛けた。
床に倒れ込み、かろうじて生きている。が、アレニアはたった一日の出来事だったと
いうのに、何十年もここに閉じ込められた者の様だった。肌は艶が無くなり、
隈が出来て見事に老け込んでいる。
そんなアレニアは、動物のような呻き声をかすれた喉から絞り出した。身を少し
捩っただけで、股下から昨日の残滓が溢れて、くちゅ…と粘膜質の音を立てた。
「うう…ぅ、ぁああ……」
「…本当に全力で致した様ですね…」
件の兵士達には、それぞれ極地への転属命令を下してある。レレイにはあらかじめ、
粗野で規律を乱す兵士を連れてくるように頼んでおいた。
『女王騎士を輪姦しろと軍師に命じられた』と言っても、大法螺噴きと周りに
嘲笑されるだけであろう。
無論、極地で殉職しても致し方ない。
そして、アレニアにも。
「貴女にはファレナから出て行って頂きます。二度と、王子の目の前に現れないように。」
「ぁああ…う…」
「王子に憎しみを抱かせる事が無い様に。貴女なんかの為に、王子を苦しませる
訳には行かないのです。…それが私に託された事ですから。」
――これで、良いでしょうか?サイアリーズ様…
ルクレティアは踵を返し、地下牢から地上に上がった頃には、ルナスの方角から
眩い光が差し込んでいた。
end