ベルクート×ハヅキ 著者:10_308様
タオルを巻いているといえど、夜の冷気は体から熱を奪っていく。ハヅキはやや早足で風呂に駆け寄り、うっすらと半透明の湯にそっと爪先をつける。その熱さにハヅキは顔を顰めるが、じっと堪えて肩まで浸かった。
今宵は満月。
雲が少し月を覆っているが、その雲が逆に月の明るさを際立たせていて美しい。
「(露天にして良かった)」
ハヅキは嬉々として用意していた盆を湯に浮かべ、盃に酒を注いだ。
「……はぁ…。温まる…」
盃を開けたハヅキの表情が少し和らいだ。
いつもきりっと眉を吊り上げている彼女のこのような表情を知る者は城の中では数えるほどもいない。
もう1杯、と徳利を傾けているところ、カラリと微かに戸を開ける音がした。
女だったら共に月を愛で酒を飲むのも構わないか、と入ってくる人物に目を向ける。
―――浅黒い肌、栗色の髪。忘れもしない青の瞳。
ハヅキは風呂に入る前と同じ表情に戻った。そして気づかれまいと岩陰に隠れ、気配を殺す。
片時も刀を放さないハヅキだが、風呂に入る前にミルーンに止められてしまったのだった。
確かに水は刃にも良くないかとすんなり納得したのを、この時ばかりは後悔した。
「誰かいるんですか…?」
「(ちっ、鋭いヤツだ)」
ハヅキはぱしゃんとわざと水音を立てて、ベルクートの意識を向けさせた。
「……私だ」
「ハ、ハヅキさん…!?」
ベルクートは腰のタオルが誤っても落ちぬように抑えて、回れ右をする。
「す、すみません。もう出ます」
「構わぬ。どうせ修練後に体を休めに来たのだろう。私の風呂でもないのに貴様を追い出せる権利はない」
「はあ……」
「だが!!そこの石からは近づくなよ!!」
ベルクートとハヅキの距離は2mはある。ベルクートはすみません、と頭を下げてから湯に浸かった。
少し熱めだが、ベルクートはこれぐらいがちょうどいい。髪をかきあげて顔を洗い、一息つく。
ちらりとハヅキのほうを見るが、彼女はベルクートに背を向けていた。拒絶されているようで少し悲しかったが、恥ずかしいのかもしれない。実を言えば、ハヅキとは一度だけ勢いで体を交わしたことがある。
―――にもかかわらず、二人の関係はさほど変わらなかったのだが。それはベルクートにとって救いでもあったが、残念でもあった。
夜とはいえ月光が辺りを白く照らしている。湯気の向こうに見える彼女の柔肌は天女のように美しい。
「…ハヅキさん。何をしているんですか?」
「……酒を飲んでいる」
邪魔をするなといわんばかりに、ぴしゃりと答えだけ返されてしまった。
ハヅキにしてみれば、一人でゆっくりしていたところを邪魔されて不愉快極まりないのだろう。
「(早く洗って、出てしまったほうがいいのかもしれませんね…)」
居心地が悪いベルクートが湯から上がろうとすると、ハヅキに呼び止められた。
「何でしょう」
返事は返ってこなかった。代わりに盃ののった朱盆が湯煙の中からすうっとベルクートの方へ流れてくる。
「?」
「飲みすぎぬ程度に飲め。お裾分けだ」
「……有難うございます。では、遠慮なく」
染み渡るように澄んだその酒はけして安いものではないだろう。感謝の言葉を述べながら盆をまたハヅキのほうへ流す。
「………」
「………」
「………」
「………」
しばらくしてまた、盆が流れてきた。
「一人では飲みきれぬ」
「はあ、じゃあもう1杯」
そのやりとりを2,3度繰り返した頃だろうか。盆が返ってこなくなった。
お酒が切れたのかな、とハヅキのほうに目を凝らすと、どうも様子がおかしい。初めの約定を忘れて、ベルクートはハヅキに駆け寄る。
「ハヅキさんっ!?」
「ベルクート………早く…あがらぬか…」
彼女の肌は赤すぎるほどに染まり、岩の冷たさで熱を奪っているのか、岩肌につっぷしていた。
「あの、まさか私が先に出るの待ってたんですか?」
「……………」
「言って下さったならすぐに出たのに…!…じゃあ、出ますけど……大丈夫ですか?」
「あぁ……」
どう見ても大丈夫ではない。彼女にしてみれば自分に手を借りるのは恥だと思っているのだろう。
ベルクートは嫌われるのを覚悟でハヅキを抱き上げると、平たい岩の上にタオルを敷いてその上に彼女を横たわらせた。
「ん…」
顰めた眉が少しだけ和らいだ。少し立つと楽になってきたのか、胸がしきりに上下するのも落ち着いてきたようだ。
タオルから覗くすらりと伸びた足や、赤に染まった肢体にベルクートは思わず唾を飲み込む。
けして飲みすぎたわけではない。
大量の酒を飲めば潰れてしまうが、けして酒に弱いというわけではないのだ。
ハヅキが加減してくれたからか、ベルクートの頭には少し靄がかかったような心地よさがある。
そしてその酒のせいか、少しだけ口も軽くなっているらしい。思ったことが口からすんなりと出てしまう。
「ハヅキさん……ハヅキさんは、綺麗ですね…」
「ん…?」
ベルクートは横たわっているハヅキを胸のうちに抱き寄せた。ハヅキはというと、まるで冷水を浴びせられたかのように目を大きく開いて、身動きがとれずにいる。
「……な、何を…!何を考えている!?」
「ハヅキさんのことです。ハヅキさんの髪、ハヅキさんの肌…」
ベルクートは自分が言った場所へそっと指を滑らせていく。ハヅキの体が強張った。
『やめろ!』
…そう言って湯に突き落としてくれれば、目が覚めたかもしれないのに。
ハヅキは恥ずかしそうにベルクートの背中に腕を回してきた。
その行為にベルクートは微笑んで、ハヅキの額にキスをした。
「は……ぁっ」
長い間湯に浸かっていてほぐれているせいか、胸は柔らかく簡単に形が変わる。柳眉が切なげに顰められる。
ハヅキは恥ずかしいのか指を噛んで、ベルクートの愛撫に堪えていた。
「声、出すと響いてしまいますね。私としてはもっと聞きたいですが……さすがにここでしてるのがばれたら殿下に風呂禁止令が出されそうなので」
ベルクートはそっとハヅキの指を外して、己の親指をハヅキの口腔に挿しいれた。
親指の腹で真珠のような歯をなぞり、小さな舌を軽く押す。
「少し苦しいかもしれませんが」
「ベルクー……ん――!」
きゅいと胸の頂を摘むと、ハヅキの背中が震える。ハヅキの体を愛でながら首筋に、胸元に所有の印を落としていく。
鍛えていても、男と女の差異は大きいもので、なんて華奢なのだろうかとベルクートはため息をつく。
「ァ、んっ……んん…!っはあ、……くっ!」
ガリと、指の肉に歯が食い込んだ。一瞬の鋭い痛みにベルクートは顔を顰める。
そっと口から外すと噛まれたところからぷくりと血が出ていた。
ハヅキはすまなそうな顔をして、自分から指を咥えて、噛んでしまったところに舌を這わせる。
その感触が思いのほかくすぐったくて指を少し動かすと、苦しいのか「う…」と呻いて、追いかける。
吸い付くような感触に、まるで擬似口淫のようだな、と思いながら、ベルクートはハヅキをまじまじと見つめて、
「ハヅキさん…っ…なんだかやらしいですね」
「なっ…!?」
怒って口を離そうとするハヅキを抑えて、新たに人差し指をより深く突き入れる。
「んぐ…ッ…んむ……」
ベルクートの太い指はどうも口に余るようで、口端から唾液がこぼれている。
目じりに涙が浮かんでいるのを見るとどうも嗜虐心をそそられてしまう。
「んんん…ちゅ…っ…は」
「ありがとうございます。もう、いいですよ」
ちゅぽんと音を立てて指を引き抜くと、唾液の糸が月光を反射してきらめく。
血はすっかり止まったようで、ふやけてしまった指をベルクートはぺろりと舐めて、ハヅキの髪を括る紐を引っ張った。
美しい緑の髪が散らばって、ベルクートの体に降り注ぐ。
そしてハヅキを抱き込むような体勢になり、足を開かせようと膝を掴むと、ベルクートの意図を察したのかハヅキは足に力を込めてそれを阻止しようとする。艶やかな髪を掻き分け、うなじに唇を滑らせて名前を囁くと、観念したのかハヅキは自ら足を開いた。
「こちらも、もういいみたいですね」
先ほどハヅキに舐めさせた人差し指を濡れそぼった秘裂に突き入れた。
「んあッ…!!」
力を抜いていたためすんなりと第一関節まで入ったが、挿しいれた事に反応したハヅキの膣がきゅうと締まって奥に進むことが出来ない。
「ハヅキさん、力を抜いて」
「ッ、あぁ…!」
なだめるように左手で締まった太腿を上へ下へ擦り上げながらハヅキの緊張を溶かしていく。
「ん…ベルクートっ…」
時折ぶるりと痙攣するハヅキに愛おしさを覚えながらも、ぐりぐりと狭い膣内に指を押し進める。
「っん…あ、あああ……」
指が奥まで入ると少し指を曲げて、壁を傷つけないように擦る。一際甘い声がこぼれた。
「はぁッ……!ベルクートっ、駄目っ…だ…やめ…!!」
「一度達したほうが楽ですよ」
「や…あん!!」
「なぜ?」
ベルクートの問いに一瞬声が引きつったかと思うと、ぐったりとベルクートに体を預けてきた。
荒い息をつく口端からは、だらしなく唾液がこぼれている。ベルクートは愛しそうにハヅキに頬擦りをすると、しばらくされるがままになっていたハヅキが遠慮がちに少し腰を引いた。
「…?どうしました?腰、痛いですか?」
「ち、違う…」
言いにくそうにハヅキは口をもごもごとさせる。ベルクートは首を傾げたが、すぐに理由がわかった。
すっかり勃ちあがった陰茎がハヅキの背中に押し付けられている。
何だか改めて言われると自分の浅ましさに恥ずかしくなる。
「あ、ああ……」
「その…次は私が……」
まだ達した余韻が残っているのか、頬は朱く染まって、睫毛に涙の粒が浮かんでいる。
そそり立ったベルクートに視線をあわせたくてもあわせられない様子はほほえましい。
体を交わすのは初めてではないのに、この初な様子はなんだろう。
「…いえ、もうハヅキさんの中に入れさせてください」
小さく頷くのを確認したあと、ベルクートはタイルに仰向けになり、ハヅキを自分の上に乗せた。
「っ…べ、ベルクート!?なんだこの体勢は!?」
「ハヅキさんにこれなら負担がかからないでしょう?」
「む……」
「ハヅキさんのペースでどうぞ。支えてますから」
ハヅキはベルクートの胸板にそっと手を宛がい、恐る恐る腰を下ろしていく。
「ッう」
先端が少し入っただけなのに、ハヅキがなかなか先に進めないため、生殺しにされている気分だ。
今は腰に申し訳程度に手を充てているだけだが、今すぐに腰を掴んで思うがまま少女の体を貪りたい。
強い締め付けにベルクートは歯を食いしばって耐える。
「……っく、…ぅ……はぁ」
「全部、入りましたね……」
まだ何もしていないというのに、長年の修練の賜物かハヅキの膣口がぎゅぎゅと締めて来る。
月が逆光となり、見上げるハヅキの体が影のように見える。その肢体には無駄がない。
「…はぁ、はぁ、べ、ベルクート…もう私には……ひあっ!」
ハヅキが最後まで言う前に、ベルクートは下から上へ腰を突き入れた。もう我慢が出来ない。
腰を動かせば動かすほど、ハヅキの膣がしまるのだ。このままの状態だったら遅かれ早かれ射精してしまう。
「っと…ゆっくりっ…!!」
「すみませんっ…無理です…!」
余裕なくベルクートは答えて、ハヅキの子宮口を抉るように突く。
奥をかき回したほうが悦ぶらしく、声が風呂に響き渡るのも忘れて、高く啼いた。
「いやぁぁっ、ベルクートッ、ベルクー…っ!」
脳の裏が焼け付きそうなほどの快楽に、ベルクートは歯を食いしばり、少しでも長く彼女を味わおうと堪えようとした。
だが状況と、ハヅキの肉と、甘い声がそれを許さなかった。
「ぐぅ…ハヅキさんっ…!」
「あ、あああああっ!……ぁ…は…」
長い射精の後、激しい脱力感にも構わずハヅキを抱きしめた。許可なく膣内に射精してしまったが、怒るだろうか。
「すみません…。無理をさせてしまいましたね」
「………」
ハヅキは荒い息をつくだけで返事はない。ベルクートは微笑んで、ハヅキを軽々と抱き上げる。
「部屋まで送りますよ」
その言葉に、ハヅキは少し恥ずかしそうに俯いた。
後日談。
ベル「ど、どうしたんですか、マリノさん。最近常時フライパンなんて持って…」
マリノ「ふふ、ふふふ…ベルクートさん……」
→ステータス
マリノ 武器
攻撃属性:殴
得意レンジ:S
種別:フライパン
フライパン→すごいフライパン→料理用とは思えぬフライパン
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