強襲のマリノ(マリノ×ベルクート) 著者:9_159様
「紋章ください」
「あら、いらっしゃい。珍しいお客さんね。何の紋章が欲しいのかしら?」
マリノが真剣そのものの表情で買い物にきたのは昼過ぎの事だった。
ジーンは自分と同じ衣装を着せてもこもこしていたメルーンを放してカウンター越しに微笑んだ。
ちなみに放されたメルーンは半泣きになりながら「にゅお〜」と逃げていくがマリノは歯牙にもかけませんでした。
「その紋章が欲しいんです」
背後に鬼さえ見えるような表情のまま、マリノが指差すのはジーンの額。
目でマリノの指先を追えば、数回、ジーンは目を瞬かす。
「魅惑の紋章?」
「はい……」
奈落から響くような重く深いマリノの返事に、ジーンは一つ小首をかしげた。
「一応、聞くけど、どうしてかしら?」
「その紋章は異性を骨抜きにするんでしょう……?振り向かせたい人がいるんです……」
「ベルクート君……?」
「……はい」
その名が出た途端、暗黒の気配に沈んでいたマリノの頬が赤らんだ。
乙女の変わり身を、ジーンは微笑ましそうに眺めていたが、紋章屋のお手伝いをしている男性19歳(童貞)は「うわぁ、この人、闘神祭の時から全然成長してねぇ」と心の中でだけ呟いた。
「でも、今のままでも十分親密じゃないかしら?別段、焦る必要はないと思うけど……?」
「そんな事ありません!最近のベルクートさん、何かとハヅキさんと一緒にいるんですよ!?朝の稽古も昼の稽古も夜の稽古も一緒なんです!?これじゃいつ間違いが起きるか……いいえ、もう起きているかもしれないんです!?だから!!!」
ばん、とカウンターを勢いよく叩き、マリノは魂から叫び声をひねり出す。
そして柳眉を吊り上げ、ずいと顔も前に押し出してジーンに紋章をせがむのだった。
「だからお願いしますジーンさん!その魅惑の紋章で、何とかベルクートさんを手篭め……あ、いや、振り向かせたいんです……!!!」
ジーンはその熱演を耳にして、一寸、人差し指を頬にあてて逡巡。
それから一つ頷いてマリノに妖艶な笑みを浮かべた。
「そうね。今はお店があるから、夜になったらまたいらっしゃい…」
「ほ、本当ですか?!」
「ふふ、たまには恋のお手伝いをするのも、いいかもしれないわね」
静かにドアが開く。
月明かり程度の光しか存在しないその部屋に響く、規則正しい寝息を耳に、マリノはするりと入室。
しかる後、後ろの手で極力音を立てずにドアを閉めた。
この時点で起きなきゃ戦士失格であるのだが、エロパロ板ゆえにベルクートの寝息に乱れは出ない。
小ぢんまりしたその部屋は、主であるベルクートの性格を現すかのように質素で、必要最低限の備えしかなかった。抜き足と忍び足を数歩。マリノは堪え切れない笑みを零しながら、穏やかに瞳を閉じるベルクートへと接近した。
ベッドの傍らまでやってきたマリノは、窓から差し込む慎ましいな光の助けを得てベルクートの寝顔に見入って深い官能のため息をつく。いつも凛々しく、毅然としたベルクートが、今では少年のような無防備な寝顔をさらしているのである。
そのギャップに、胸にいつもたぎっている愛しさがより濃さを増した。
実に美味しそうなその寝顔に、艶然とした笑顔を抑えられぬまま、マリノはするり、するりと衣服を床に落としていった。その動作の中、ジーンからのいくつかの言葉を思いかえす。
(えっと……『日常生活で魅惑するのはエロくないので夜這いで一発かます事』……は、もうほとんどクリアしたわね)
手早く下着姿になり、さらにその薄布へと片手をかけながら、もう片方で額にうっすらとできているアザのようなものに軽く触れる。
魅惑の紋章だ。
魔力の通わせぬ間であれば、紋章はそれほど顕著に視認できるものではなく、マリノ自身、宿してもらっておいて実感が乏しい。
(『魅惑の紋章は、レベル2までしか使っちゃ駄目よ。レベル2までなら異性に魅力を感じる程度だけど、レベル3以降はもう異性を貪る事しか考えられなくなっちゃって、しかもヤッちゃった後の疲労が凄い事になるから』と。
そもそも魔力が少ないし、レベル2の効果を持続させるだけで精一杯だろうから、これもOK、と)
布のすれる音が二度。
一糸纏わぬ姿となったマリノは、誰かの視線があるわけでもないが、羞恥に顔を朱に染めて、想い人の部屋に全裸でいるという背徳に生唾を飲み込んだ。そして、一つ深呼吸をしてからジーンの最後の言葉を思い返した。
(『魅惑の紋章を使ってる間は、周囲の異性に性的な興奮を与えて、それの意思を少しだけ掌握できるけど、扱いには注意すること。じゃ、頑張ってしっぽりね』……と、よぅし!)
覚悟を極めて、マリノはぐっと額に力を込めた。
少し、間をおいてマリノの額に魅惑の紋章が輝きだす。
それは、月明かりに劣らぬ程度という光度であるが、確実にベルクートへと降り注いだ。
うっと、ベルクートが軽く眉根を寄せる。
「ふ、ふ、ふ、ベルクートさぁん……」
思いっきり甘い声色をベルクートに吹きかけて、マリノはベッドへと滑り込む。
ややぎこちない手つきでベルクートの寝巻きに手をかけていくと、小さく呻く様な声を出しながら、うっすらとベルクートが目を開く。目いっぱい色っぽく口角を吊り上げて、マリノはベルクートの唇に口付けた。
寝ぼけているのか、ベルクートもそのキスを嫌がるそぶりなくすんなりと受け取り、マリノの鼓動が早くなっていく。
そして、まぶたを半ばまで開いたベルクートの第一声。
「ハヅキさん…………?」
「うぉーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
魅惑の紋章レベル3発動!
「ぐあーーーーーーーーーーーーーー!!!って、えぇ?!マ、マリ…ノさん?!!?」
「は、は、ははは、ハヅキさんって何ですか!?ベルクートさん!!ちゃんと説明してください!!わた、私よりハヅキさんに夜這いしてもらいたかったって事ですか!?」
ベルクートの肩をがっつり掴んでがっくんがっくん揺さぶるマリノ。
寝起きから一転、ベルクートは冷水をかけられたように覚醒しながら本気でパニクり言葉を紡ぐ。
「い、いえ…て、てっきりハヅキさんがまた夜の一騎打ちを……………あっ」
ぴたりとベルクートを揺さぶる手が止まる。
真正面からベルクートを見据えるマリノは、額の紋章の輝きと相まって、まるで天女と見まがうほどに美しい笑顔をベルクートへと向けた。
その笑顔は、魅惑の紋章による性的な興奮を抜きにして、ベルクートをドキリとさせるほどに綺麗だったという。
そして魅惑の紋章レベル4発動!
「夜の一騎打ちって何だ固羅ーーーーーーーーーーー!!!!」
「ぐあーーーーーーーーーーー!!!」
マリノの笑顔に心を奪われていたベルクートは、最強まで捻り出された魔力をモロに浴び、魔性の色欲を裡に植えつけられてしまう。脳が、心臓が、下半身が燃えるような熱を帯びて、ただ情欲に身を任せてしまいたい衝動に駆られてしまった。
が、ベルクートは眼前にいる般若のようなマリノに手を出せない。
今すぐにでも、女であれば誰でも何者でも、恥じも外聞も後先も無く、ただひたすらに蹂躙してしまいたいほどに焼け付く体が、憤怒の相を見せるマリノに襲い掛かれないのだ。
魅惑の紋章である。
怒りと嫉妬により、もう何かヤバイぐらい魔力跳ね上がってベルクートのほとんどをその支配下においたのだ。
マリノの額から発せられる妖しい光輝にあてられて、もはやベルクートはマリノを絶対とも思えてしまう。
「……それで、夜の一騎打ちって何ですか?」
「そ、それは……その……」
「答えなさい」
氷点下の双眸に睨みつけられ、ベルクートは過熱する体で背筋が凍る思いをする。
王者のように高い位置に見えるマリノの言葉に逆らえず、おどおどとベルクートは口を開いた。
「……よ……夜の営みを……」
「何回ですか?」
「……に、2回ほど……」
「………………………………………………………………本当は?」
「………………………………………………………………4回です……」
「…………………………………………………………………………………………」
もはや小動物のようにマリノに怯えはじめるベルクートだが、しっかりと下半身の男の象徴はマリノに反応しているのを把握しつつ、マリノはただ無言でベルクートを見つめた。
ベルクートとて、マリノの気持ちに感づいていないわけではなかったのだ。だかたこそ、後ろめたさや申し訳なさも手伝って、マリノの備える魅惑の紋章の作用が強くなる。
「そんなに楽しんだのなら………」
ベッドの上、座って見詰め合う形が崩れた。
はだけたベルクートの上服を脱がせながら、マリノはゆっくりとベルクートへとしなだれる。
「私にもしてくれますよね…?」
有無を言わさぬマリノの音調に、ベルクートはただ頷くしかない。
そんな従順ともとれるようなベルクートの態度に、マリノは嗜虐心を胸に育てながら自分の豊かな乳房をベルクードの厚い胸板へと押し付ける。肌と肌が触れ合う瞬間、ベルクートは咄嗟に退く体勢を作るが、マリノの左手がそれを許さない。
マリノは張りのある胸を押し付けながら、ベルクードの首へと巻きつけた左腕を引き寄せる。
二人の肉体の隙間に広がるように淫靡な変形をする乳房。その柔らかな肉感と、もう幾分か硬くなってきた乳首のしこりが火照ったベルクードに擦り付けられる。
「ぁぅ……」
色欲に研ぎ澄まされた神経に、この柔らかい感触と、それに混じった固くなりかけた二点のしこりは暴力的とも言えた。さらにマリノは、自慢できるバストをベルクートに押し付けたままゆったりとした動作で上下する。
むにゅむにゅ、やわやわ、と胸板から腹筋にかけてを這い回るマリノの乳房は、極上の快感をベルクートへと届けてくる。
ぴくん、ぴくん、と軽い反応を連鎖するベルクートの首筋へ、マリノはそっと口付けた。そしてまるで血を吸う鬼の如く、食むように甘噛みしてから、口内に収まっている首筋を舌先でそよいでいく。
「あ……ぅあ……」
ベルクートの奮えが速く多くなる。
ちゅぅっと、含んだ首筋に強く吸い付いてから、ぽっと音がするように唇を離す。
「ぅ…あ…あ……んぅ…」
もっとしていて欲しい、という気持ちがありありとベルクートから伝わってくる喘ぎ声。
それに答えるように、次にマリノはベルクートの鎖骨へと唇を持っていく。
美味であるように、マリノはベルクートの薄皮一枚向こうにある鎖骨へとむしゃぶりつき、甘噛み。
幾度か軽ぅく歯を立て、鎖骨をこりこりと味わってから、マリノは唇だけでベルクートの鎖骨付近をさすっていった。厚くも無く、薄くも無い、丁度いい肉質なマリノの唇をなすり付けられ、まるで歯の無い赤子に咬みつかれた気分で息を荒くしてしまう。
さらに、その唇が頬へと降ると、ベルクートはもう辛抱できないと言わんばかりにマリノに抱きついてしまった。
「ぁん…」
マリノの背に回った手は、痛いほど締め上げてくる。そのせいで、密着したマリノの乳房はさらにベルクートへとその柔らかさを強調しるのだった。
ようやっとその気になってきたベルクートに、マリノは優雅に妖しく微笑めば、その右手を緩慢な動作でベルクートの下半身へと持っていく。ズボンの下には、脈打つ男の根。
これ以上ないほどに固さと熱さのそれを、ズボンの上からマリノは指を絡めて、小指、薬指、中指、人差し指の順でゆぅっくりと擦り上げるように撫で、握ってやった。
びくん、とベルクートが大きく跳ねる。それでも、マリノを放さない。むしろよりきつく抱きしめた。
「ふふ……もっと弄り回して欲しいですか?」
「……は…い…マ…リ…ノ…さ、ん……お願…」
返事の途中。
マリノは不意打ちまがいにベルクートの剛直を握り締めた。急激な圧迫の変化に、ベルクートは情けない声を出してしまうが、それを心地よく耳に収めながらマリノはさらに、亀頭を親指でこね回す。
「うぁ……おおおぉ……」
目を閉じて股間で暴れる快感に耐え、ベルクートは呻く様な声を漏らしてしまう。その、閉じられたまぶたへと軽いキスをしてから、マリノはその手を放した。それどころか、一度ベルクートから体を離してしまった。
唐突に消えてしまった悦楽の感覚に、戸惑うベルクートだが、マリノは素早くベルクートのズボンに手をかけて、脱がしてかかる。
すぐさま、裸身となるベルクート。
脱衣に一旦離れた体は、また触れ合う。
仰向けになったベルクートの右足にマリノは両足を絡め、ベルクートのフトモモを己のフトモモに挟み込む。魅惑の紋章に焚きつけられたベルクートの触覚は、マリノの内ももの肌触りに心地よすぎる灼熱を得てしまう。
さらにマリノは、己の腹をベルクートの男根になすり付け、乳房をベルクートの鳩尾辺りに押し付ける。
太もも、男根、腹の辺りと三重に甘い快感を叩きつけられたベルクートは痙攣じみて奮えた。
さらに、マリノはベルクートの乳輪へと指を這わせ、先端だけは決して触れずに円を描くように玩ぶ。
「あぁ……う……ぅあぁ……」
そして、首筋に口づけの嵐を吹かせつつ、マリノは喘ぐベルクートの上で自らの肉体を躍らせるのだった。
むっちりとした若さあるマリノの素肌が余すことなくベルクートの筋肉質な肉体を犯していく。押し付けられた極上の感触に、ベルクートはもう身体がとろけてしまいそうだった。
右足に絡むマリノのフトモモは柔らかく、さらには股間の茂みまでもベルクートを責めてくる。時間がたつにつれて、マリノのフトモモの動きに摩擦が減っていくのは、彼女の秘所から溢れ始めた愛液のおかげだろう。
これ以上ない屹立をする剛直は、滑らかで適度な脂肪に包まれ、もう吐精してしまいそうに漲っていた。規則的に、しかし荒い呼吸に応じて蠢く腹部は、それだけでベルクートの股間を刺激する。
ぷるんぷるんのバストは、マリノが動くたびにいやらしくベルクートの鳩尾辺りで遊び回り、場所場所に応じてベルクートの肌にフィットして、尖り切ったニプルの感触と一緒におかしくなりそうな甘い痺れを突きつけて来る。
そして、乳輪だ。マリノは、絶対にベルクートの乳首の先端には指を持っていかずに、焦らす様に乳輪だけを触れるので、どんどんベルクートは昂ぶってしまう。
「……マ……リ…」
「…入れたいですか?」
弛緩しきった顔で、ベルクートが喘ぎ声以外の声を紡ぐ。
マリノが単刀直入にベルクートへ問いかければ、懇願するような瞳のままうベルクートは頷いた。
ゆっくりと、マリノはベルクートの上で披露していた肉の舞を止める。
そして、少しだけベルクートの上を這えば、男根と肉華が触れ合う、唇と唇が触れ合うように身体を重ねる形を作る。脈打つ肉槍を、マリノは器用にフトモモに挟んでからベルクートの顎にキスする。
火傷しそうに熱い男の象徴を、もじもじするようにフトモモで擦り合わせながら、マリノは喘ぐベルクートにさらに問いかけた。
「じゃあ……これからずっと、毎晩私と一緒にいてくれますか……?」
「……は…い……」
本当ならば力づくでも、今すぐにマリノへと挿入してしまい、思いのまま放ちたいベルクートだが、魅惑の紋章の支配のおかげでこの焦らすような問答にも応答しなければならなかった。
もう何をしてでも、中へと入りたいベルクートに、マリノは笑う。
「約束、ですよ?」
ぬるりと、ベルクートは股間がフトモモとは違う温かさに包まれるのを感じる。
さらに、握り締められるほどに強い圧迫。
「―――――――!」
声にならない悲鳴を上げながら、ベルクートはマリノをきつく抱きしめる。
ベルクートに肉体を擦り付けている時点で、もう十分に興奮していたのだろう。マリノの中はほとんどの抵抗なく、スムーズにベルクートを受け入れる。
入ってきた肉を、まるでもてなす様に、膣内のヒダが絡みつき、大きな痙攣をするベルクート。強烈な、待ち焦がれた快感に、喘ごうと口を開くベルクートだが、その唇にマリノはかぶりつく。
「んんむぅぅ……」
まるで人工呼吸のような大胆な口付け。
唇と唇が重なれば、マリノはたっぷりの唾液を乗せた舌を強引にベルクートの舌に絡みつかせる。一瞬で味覚がマリノの味に染まり、くらくらするほどに頭が悦び一色になっていく。
まるでお互いがお互いの口を食べてしまうのではないかというほど、濃厚に唇を唇で、舌を舌でむしゃぶりあう。
そして、そんな上の口と同じように、下の口も熱烈なのであった。
一番マリノの深いところまでベルクートがたどり着けば、亀頭を奥に押し付けては子宮口をこじ開けんばかりに擦り付ける。その際生まれる痛いほどの甘い痺れは、マリノの腹を突き抜けて脳天を犯していく。
たまらずマリノが腰を浮かせようとしても、無造作にお尻を掴まれ、ぐっと引き寄せられるのだ。ぐりぐりと膣奥をこねくり回される快感に、マリノは接合部から涎のように愛液を垂れ流す。
さらなる快楽で、もう飛んでしまうのを覚悟に、マリノはお尻を左右に振ってベルクートの肉槍を膣内でぐにゃぐにゃとヒダにこすり付け、なすり付け、締め付ける。
「んんぉおお……」
「むぅううぅぅ……」
舌にしゃぶり付き合いながら、ほとんど動物的な呻き声を同時に上げながら、二人は快楽の絶頂へ加速度的に上り詰めていく。
首筋までお互いの唾液でべたべたになりながら、もう徐々に共に余裕がなくなってきている事を悟るベルクートは、フィニッシュとばかりに掴んでいるマリノのお尻に一層の力を込めて、大きく腰を振る。
大きな動作だが、速く激しいそれに、膣内をかき回されるマリノは軽い絶頂の小波を幾度も味わう。
そして、ぴくぴくとヒダさえも悶え始めれば、ベルクートの男根にかかる快感はさらに強くなっていく。
もう、吐精の衝動がすぐそこまで迫るのを感じたベルクートは、腰の上下と一緒に、マリノのお尻をピストン運動にあわせて思い切り引き寄せる。そうして、亀頭と膣奥がこすり合う程度だったのが、もはや暴力的な衝突と化すのだ。
「んぃいいぃいいいぃぃぃ……!」
白目を剥かん勢いで超絶の快感に溺れ、マリノはベルクートと唇を合わせながら叫ぶ。
しかしベルクートはさらに加速していく。子宮口を亀頭で殴る、殴る、殴る。
「はぎゅっ、はぎゅ……ぃひ……んあぁああああああああ!!」
もうマリノはベルクートにしがみつくだけ。
泣くほど激しく責め上げられた女は、立て続けに潮を噴いて、眼前が真白になるような絶頂を迎える。
「……ぅ…く…イキ…ます…」
そして、ベルクートの野性的なピストン運動が、膣の最奥に男根を叩き付けたタイミングでぴたりと止まる。
次の瞬間、自分でも信じられない量の精液が肉華の奥深くで放たれる。一発放つごとに意識が飛ぶほどの快感が背筋から脳へと駆け上がり、視界が明滅しては痙攣した。
しばし、荒い息のまま二人は抱きしめあってお互いの温もりに浸る。
夢心地でいたベルクートがゆっとりとした表情で天井を眺めていると、挿入したままだった肉槍がやわやわと柔らかく刺激されるような気がした。悪い予感がベルクートに降りかかる。
ふと、マリノと目を合わせれば、熱っぽくベルクートを見ていた。
「………ハヅキさんに追いつくまで、あと3回ですね」
魅惑の紋章を額に煌かせるマリノの天女のような笑顔は、この時ベルクートには魔王のように見えたという。
「………うぅ、腰が……」
早朝。
結局、太陽が昇るまでいちゃいちゃしていたベルクートは、そのまま寝ないで日課の朝の稽古へと赴いた。
しかし、単純にハッスルしたのと、魅惑の紋章の負担が相まって身体の随所は悲鳴を上げている。
特に腰があれだ。
それでも体に染み付いた日々の鍛錬を行わぬのも調子が悪くなる一方だろうと、ベルクートは湖の遺跡付近へと足を運んだのだった。
草木の生い茂る自然。そこで、気を引き締めた時だった。
ぽんと肩に手を置かれる。
負のオーラを感じた。
最凶に悪い予感がよぎったベルクートは、ゆっくりと。
本当にゆっくりと振り返る。
いたのは、ハヅキだった。
その表情はこの上ない笑顔だ。
穏やかで、優しい、最上に魅力的な笑顔だった。
が、ベルクートは腹が凍るような恐怖で心身が氷りつく。
目が笑っていない。
「これからの朝の稽古について、話したい事がある。男が大声で許しを請うても誰も来ない場所に移動しよう?」
そして額に、マリノと同じ輝きを放つのだ。
めでたしめでたし