ルシア×クリス 著者:3_498様
ビュッデヒュッケ城の地下に、鞭が空気を切り裂く音が響く。
そして、その鞭が肉体に食い込む音も。
クリス 「ぐう…っ…」
声にならない嗚咽を上げ、冷たい床にうずくまるクリス。
鞭が当てられた個所がジンジンと熱くなる。おそらくまた、赤く太いみみず腫れになって
しまったことだろう。目視で赤い複数の跡を確認する気にはとてもなれない。
先ほどから幾度と無く味わわされたこの痛みと屈辱に、思わず涙を滲ませる。
ルシア 「…まったく…これしきで倒れられちゃあ困るんだけどね?
そんなんで騎士団長なんて務まるのかい?」
クリス 「…た、頼む…これ以上は耐えられない…許してくれ…もう…」
ルシア 「何を言ってるんだい?許してってのはお門違いだろう?…まあ嫌だと言うならそれもいいさ。
その無様な格好を城の皆に見てもらう事になるけどね」
クリス 「!!そ、それは…」
ルシア 「嫌だろう?なら、もうちょっと頑張って貰わないとね。
しかしクリス、まだ私が教えたことを全然守れてないようだね。
そんなんじゃ、また痛い思いをすることになるよ」
クリス 「…う…し、指示どおりに…頑張るから…」
ルシア 「私だって好きでこうしてるわけじゃないんだよ?
全部お前が原因だろう?違うのかい?」
クリス 「…はい…私の…せいです」
ルシア 「分かってるんならほら、いつまでそこにへたり込んでるつもりだい?
さっさと立ちな。また最初からやり直しだよ。今度こそはうまくやりな」
クリス 「は、はい…」
覚悟を決め、鞭の両端を左右の手で持ち、よろよろと立ちあがるクリス。
ルシア 「しかし縄跳びもろくに出来ないとは不器用すぎるね…」