オサナナジミ 著者:16様
「それじゃあ、ナナミのことを調べればいいんだな?」
「はい、お願いします。リッチモンドさん。」
ある良く晴れた日、都市同盟本拠地の一室で同盟軍リーダーの少年と探偵リッチモンドとの会話。
「ああ、お安い御用さ。……しかし、どうしたんだ?弟のお前が姉の調査を依頼してくるなんて……」
「いやあ、最近ナナミのヤツ夜毎に部屋を抜け出してどこかに行ってるみたいなんですよね。
いつも昼間に眠そうにしてるんで一体どうしたのかなって思って……」
「フム」
(男絡みだな、こりゃあ…)
探偵の勘でそう思いながら彼は部屋の外へと歩いていく。
「まあ、2日ほどたってからまた来てくれ。それまでには調べておくよ」
「はい!ありがとうございます。」
後ろを向いたままリッチモンドは手を振りリッチモンドは部屋を出て行った。
(さて、まずは聞き込みからだな……)
聞き込みの成果は上々だった。
ただ一人、ビッキーのみが露骨に怪しい反応を示したためである。
「し…知らないですよぉ……」
というものの、顔は知っていると言っているようなものだった。
しかしプロのリッチモンドにはそれで充分。ターゲットをビッキーに絞った。
(さて、次にすることは……)
彼はニヤニヤしながら次の作業に取り掛かった
そして夜
「よし、誰もいないわね……」
そうつぶやいてからナナミは部屋を出て、足音を殺しながらビッキーの部屋へと向かう。
コンコン
「ビッキーちゃん、居る?」
小声でナナミが呼びかけ、少しすると
「今開けるよ」
中から返事が返ってきてガチャと音がする。そして素早くナナミを招き入れるとすぐにまたカギを閉める。
「今日もいつものお願いできるかな?」
「私は良いけれど……ナナミちゃん、気をつけてね。リッチモンドさんがあなたのことを調べまわってるみたいだから……」
しかしナナミは笑いながら
「へーき、へーき。ここにくるまで人の気配とか感じなかったし、つけられたりしてないわよ。」
そうするとビッキーも笑いながら
「そうだね、私もカギをかけて寝た振りしておくし、大丈夫だよね。
じゃあいつもの場所で、迎えに行くのはいつも通り2時間後でいいの?」
「うん、ありがとう。また今度にお礼するから」
「……料理以外ね」
とちょっとした会話を交えた後に
「よし、それじゃあいくよ。テレポート、えい!」
そう言ってビッキーが杖を振りかざすとナナミの姿が瞬時に消える。
「……ふう、成功成功♪」
「おう、お疲れさん」
不意にリッチモンドの声がしたかと思うと天井裏からリッチモンドが出てきた。ビッキーの目が点になっている
「ど、どうやって天井裏なんか…」
「企業秘密だ」
即座に答えるリッチモンド。そして続ける
「さてと、雑談しに来たんじゃないんだよ。」
リッチモンドの口調が変わる。低く、真剣な声に。
「ナナミは何処に行った?」
「い、言えません!」
「そう言うと思ったよ。」
リッチモンドの表情がニヤニヤしたものに変わる。
「話を変えよう、ちょっとした雑談だ。」
「え?」
「昼間にこんな話を聞いたんだ。実はお前って……」
数分後
「何でそんなことを知ってるんですかあああああ!」
「ん?俺は探偵だからなあ」
そう、昼間にナナミの聞き込みを終えた後、ビッキーのことを調べていたのである。
「さて、言う気になったかな?」
「……脅迫する気ですか?」
「いや、そんな気はさらさら無いさ。でもな……」
「え…?」
ビッキーがいぶかしげな顔をする。
「実はこんな話もあるんだが」
さらに数分後
「ごめんなさい、リッチモンドさん。ナナミちゃんの居場所を言わせてください」
もはやビッキーは涙目だった。それを見て面白そうにリッチモンドが尋ねる。
「で、ナナミは一体全体何処に行ったんだ?」
「……皇都ルルノイエです。」
「は?」
思わずリッチモンドは聞きなおしてしまう。
「な、何やってるんだ、ナナミのヤツは…」
「さあ…私は良く知りませんが。……どうします?テレポートしましょうか?」
「ああ、そうだな。お前もついて来い。」
「ええ!私もですか?」
「当然だ。ナナミがハイランドと繋がっていてスパイ行為をしている可能性もあるだろう。
そうなれば都市同盟軍は大打撃を受けることになるに違いない。もしそうなら……
証人は多い方がいいだろう?」
「それはそうですが……」
言って、しばらく考え込むビッキー。そして
「わかりました、私も行きます。ルルノイエへ!」
こうして…
二人はハイランド国王、ジョウイの部屋のベランダに立っていた。
「こんな所で…?」
「私はいつもナナミちゃんをここまで連れて来てるんですけど……」
二人が同時に部屋の中を覗き込んだ。するとそこでジョウイとナナミが話をしていた。
「やっぱりか……!」
「しっ!リッチモンドさん。まだきまったわけじゃ無いです。会話を聞いてみましょう。」
そして二人は会話に聞き耳を立てる。
「ナナミ…毎日抜け出してきて大丈夫なのか?」
「うん。ビッキーちゃん以外には絶対にバレてないよ。それよりジョウイは大丈夫なの?」
「ああ、夜は見張りを立てないように言ってある。」
「……ジョウイ」
「何だい、ナナミ?」
「戦争を…止めることは出来ないのかな?」
「ナナミ、」
ジョウイの声に怒りと悲しみの色が混ざっていた。
「今、この瞬間だけは戦争も、敵も、味方も関係無い。ただの幼馴染だ……って言ったのは誰だ?」
「……ごめんジョウイ」
視線を落とし涙声で謝るナナミ。そしてしばらくの沈黙……
「ねえ、今だけは幼馴染って言ったよね」
小さな声でナナミが言った。
「……ああ」
「それ、訂正……」
顔を上げてジョウイの顔をまっすぐ見る。
「恋人に格上げしてっ!」
いつもの、いや、いつも以上の笑顔だった。
「……ナナミ、俺にはジルが…」
「今だけ!お願い、ジョウイ……」
最後の方は消え入りそうな声だった。
ジョウイはしばらくナナミを見つめた後、ゆっくりとナナミに近づいて……ナナミを抱きしめていた。
驚くナナミ
「ジョウ……」
ナナミの言葉が中断される。ジョウイの唇がナナミの唇の自由を奪ったからだ。
そしてジョウイはナナミの体をゆっくりと横たえる。
「……」
嬉しそうな顔でナナミがジョウイを見ている。
「ありがとう……ジョウイ」
しかしジョウイは意外な答えを返した。小さな、小さな声で……
「…それはボクのセリフだ」
しかしこの言葉が相手に聞こえることは無かった。
代わりにジョウイは優しい笑顔でナナミに口付ける。
今度はディープキスだった。
「ん……っ」
ナナミは初めての感覚に戸惑いながらもジョウイにその身を任せている。
ジョウイはキスをしながら慣れた手つきでナナミの服を脱がし、自らも服を脱ぐ。
(ジョウイ上手い……ジルさんともこういうことやってるのかな…)
ナナミはそう思ったがすぐにそんなことを考えるのを止めた。
(そんなこと関係無い!ジョウイは今、私の恋人なんだから……!)
気が付くとナナミもジョウイも下着だけになっていた。しかしナナミは少しも恥ずかしくは無かった。
ジョウイと一つになれるという喜びと充実感が羞恥心をはるかに超えていたからである。
ジョウイはナナミの首筋に舌を這わせながら右手で背中をなぞり、左手で胸を揉み始めた。
思わずナナミがピクッと反応する。すでにナナミの桜色の突起は硬くなっていた。
そしてジョウイがその周りからじわじわと中心に向かって揉みあげる。
「あっ……んくっ……!」
少しづつナナミは声をあげる。そして
「ひゃあぅぅぅぅぅ!!」
と一際大きい声をあげた。ジョウイが乳首を舌でピンと弾いたからだ。
さらにジョウイは下半身への愛撫を開始した。
もうソコは下着の上からでも濡れているのがわかるほどだった
「っ!……ああぁぁ」
ナナミの甘い声と
くちゅ くちゅ
淫猥な音が部屋の中を支配していた
「…俺の考えすぎだったようだな」
リッチモンドが呟いていた。その隣ではビッキーがうっとりした表情で部屋の中を見てる。
「ほら、いつまで見てんだ。出歯亀はそれくらいにしとけ」
「え…あ、はい。そうですね。じゃあ、帰りますか?」
「ああ……」
ビッキーは少し名残惜しそうに部屋の中を見ていたが、リッチモンドに促され二人は本拠地へと帰っていった。
この後、興奮したビッキーがリッチモンドを押し倒すのだが、これはまた別の話である。
一方、室内では
ナナミが上気した顔でジョウイを見ていた。
その肩は大きく上下に動き、小さく震えている。
「ナナミ、いいのかい?」
ジョウイに言われナナミは無言で小さく頷く。
それを確認したジョウイは自分のモノを取り出し、ナナミの秘部へとあてがい、ゆっくりと沈めていく……
「んん…っ!」
ジョウイは途中でひっかかりを感じたが、かまわずに中に押し込む。
すると意外とすんなりと収まった。
しかし、ナナミの顔は苦痛に歪み、額には汗が浮いている。
「……大丈夫かい」
「うん…」
大丈夫なはずなどない、とジョウイは思ったがあえて口には出さない。
しばらくして
「動くよ」
そう宣言してジョウイは腰を動かし始める。
「あ、あああああああ!!ひゃあ、あ……あん!」
確かに最初は痛かった。しかし、それもすぐに快楽へと変わっていった。
ジョウイも最初はナナミを気遣い、ゆっくりと動かしていたが、すぐに速い動きへと変わっていった。
「ジョ、ジョウイ!あ、私、もう…あっ…もう!」
ナナミがぎゅっとジョウイを抱きしめる。
「ナナミ、ボクも…もう!」
「あっ!…き、来て!ジョウイ!ああ、ああああああああ!!!」
二人同時に達した後、ジョウイ放心状態のナナミの頭を撫でながら優しくキスをしていた。
ナナミはしばらく余韻を味わっていたが、何かに気付いたように飛び起きた。
「あ!もうこんな時間。もう行かないと……」
ナナミは手早く自分の服を着てベランダに飛び出そうとしていた。その時、
「ナナミ!」
突然ジョウイに呼び止められる。
「……もう、これが最後だ」
ナナミの足が止まる。
「もう……来ないでくれ」
それを聞いたナナミはジョウイにゆっくりと歩み寄る。
そして……軽い、触れたかどうかの、本当に軽いキスをして再びベランダへと走って行った。
ナナミは少しだけ振り返って
「またね!!」
と明るく言い残し夜のベランダへと消えていった。
ナナミが出て行った後、ジョウイは泣いた。
(『バイバイ』じゃなくて『またね』……か)
涙は当分止まりそうに無かった。
そして、次の日にジョウイはベランダでナナミの書置きを見つけ、また泣いた。
【いつか、またジョウイと笑い会える日が来ますように】
エピローグ
−数日後
「リッチモンドさん、こないだの件なんですけど…」
言って、リーダーの少年がリッチモンドの部屋に入ってくる。
正直リッチモンドは悩んでいた。本当のことを言うべきか、否か…
しかし、予想外の言葉が少年の口から出てきた。
「あれ、もう結構です。」
どうやらあの日以来、ナナミが夜に出歩かなくなったかららしい。
実際あの日以来の張り込みは無駄に終わっていた。が、
(ウソだな…)
リッチモンドはそう確信した。しかし何も訊かないことにする。
「そうかい、また何かあったらいつでも来なよ。」
「はい、すみませんでした」
言って少年は軽く頭を下げ、部屋を出て行った。
あの日以降、あの義姉弟に何かあったんだろうが、それは自分とは関係の無い、関係してはならないことだ。
そう思いながらリッチモンドは部屋の小窓から外を眺めてた。
「今日もよく晴れてらぁ…」
デュナン湖が光を浴びて美しく輝いてた。
最後に、この日を境に両軍の進行が強まり、戦争が急展開を見せることになった、ということを記しておく。