カミュー×マキ 著者:3_818様
マキは意識を取り戻したカミューの体を拭いていた。
「カミュー…ごめんなさい。私のせいで…」
「いや、かまわないよ、それよりも君が無事で良かった」
十数年ぶりに再開した幼馴染は相変わらず綺麗な顔で優しく微笑んだ。
マキの胸はきゅんと締め付けられて、まだこの男のことを好きなのだと自覚する。十代の頃の恋は、未だに心の奥深くに根付いていた。
カミューがグラスランドを離れ、マチルダへ行くと聞いた日、マキはカミューへの思いを伝えることなく見送った。それでも何事にも聡いこの男はマキの物言いたげな瞳の奥の感情を読み取っていたのだろう。ずっと黙って俯いていたマキを困ったように見つめていた。
居たたまれなくなったようにマキが早口で別れの言葉を継げる。
「さようなら、また会えるといいけれど…、でもマチルダの騎士って厳しいのでしょう?頑張ってね」
「ああ、ありがとう。マキも…元気で」
切ない思いに身をきられそうになりながらもマキは気丈に笑って見せた。
カミューの後姿が見えなくなるまで見守って、そして自分の部屋へ戻るとひっそりと泣いた。
カミューの背中を拭きながら、昔の思い出を反芻したマキは、そっと彼の背中へ直に触れる。
十代の頃の彼よりも数段にたくましくなったその背を見てまた切なくなった。手のひらを置いて動かなくなってしまったマキを怪訝に思ったカミューが、マキ?と静かに問うた。
「え、あ、ごめんなさい。前よりもたくましくなったかな…って思って…」
赤くなりながら慌てて答えたマキにカミューはクスリと笑い、答える。
「まぁ、ね。マチルダで鍛えたから」
「まえは、どちらかと言うと細くて、マチルダでやっていけるのかしらってちょっと心配だったのに」
「ひどいな、まぁ、マイクロトフとかに比べれば頼りなく見えるかも知れないけれど、これでも体一つで団長まで昇ったんだけどな…」
笑い声と共に朗らかな空気が流れた。
笑いが収まった頃、ふとカミューが真顔で、しかし少し微笑みながらマキを見つめた。
「マキも…見違えたようだ。とても綺麗になった」
「そ、そんなっ…!うそっ!」
不意打ちを食らった形でマキは慌てた。
「嘘じゃないよ、本当に大人っぽくなった」
「…カミューの意地悪…。私がずっと好きだってわかってて、からかってるんでしょう?」
赤くなりながら涙目になって卑屈に恥じ入るマキの頬に、カミューは手を添えて軽く口付けをした。
「からかってるように見えるかい?」
まさか十数年越しの恋がこんなに後になって報われるなんて思っていなかったマキは混乱で頭が真っ白になっていた。
ぶんぶんと顔を横に振ったマキにクスリと笑ってカミューがもう一度唇を合わせてきた。今度は深く。
マキはカミューの舌に翻弄された。
カミューのキスはどこか手馴れていてマキの心の奥にチリリと不安がよぎったが、ずっと夢見た相手に不安よりも幸福感のほうが勝った。
「ふ…んっ…」
優しいが焦らすようなカミューの舌がマキの歯茎を撫でる。たまらなくなったのか、マキの呼吸があがりはじめ、カミューに縋り付くように必死に腕を掴んでくる。手のひらを置いて動かなくなってしまったマキを怪訝に思ったカミューが、マキ?と静かに問うた。
その様子にいっそう笑みを深くしたカミューはマキの腰をしっかり支え、呼吸をしやすいように休み休み口付けを与える。
深く、浅く、優しく、激しく、緩急をつけながら与えるキスにマキの意識はすでに飛びかけていた。
マキの頬はすっかり上気して瞳はその火照った体を如実に現すかのように潤んでいる。
カミューは自分の寝ていたベッドにマキをそっと横たえ、耳元でささやいた。
「どうして欲しい?」
「…い、やっ…、恥ずかしい…っ」
綺麗な顔に覗かれて、甘い声にささやかれて、マキは溜まらず顔をそむける。
「キスだけでいいのかい?マキの目はもっと欲しいって言っているけど?」
「そ…なっ…!」
「そういえば昔から引っ込み思案だったね。欲しいものはちゃんと言わなきゃ駄目だよ?」
ゆったりと微笑んだカミューの掌がマキの首筋から胸のふくらみを通過する。
その途中ビクッっとマキの体が揺れた。
「ここ?」
カミューの一旦脇まで降りた手が再び胸まで上がって胸の天辺の辺りを何度も通過する。それも触れるか触れないか程度。
「どうしたの?ここ、硬くなったよ?」
「ん、ん、ああん…!」
「どう?気持ちいいなら言ってごらん」
「あっ…き、もちいい…っん!」
「言えたんだ…偉いね、じゃあご褒美だ」
そういってカミューはマキの衣服を寛げて、胸のふくらみを直に触った。
きゅ、と突起を人差し指と親指で摘むとマキの体がビクビクと震えた。
「あぁ…ん、ああん」
「かわいいね、マキ…」
とめどなく溢れるマキの嬌声に答えるようにカミューはツンと立った乳首を口に含む。
しばらく舌で転がしていると我慢出来ないのか体をわずかにくねらせ始めた。
軽く甘噛みをするとさらに高い声で鳴きながらシーツを掴んだ手をふるふると震わせる。
「マキ、下はもう濡れてる?自分でわかるかい?」
「あっ、わか…わからない…っ!」
「嘘だね、見なくてもわかるよ、もうマキのあそこはぐちゃぐちゃだ…」
あくまでも優しく甘く耳元で囁やき、そっと舌を耳の穴に入れると、ひゃん、と可愛い声があがる。
「触って欲しい?それともまだまだ足りないかな?」
「あっ、あっ、いやっ、はや…く…っ」
つらそうに涙をためて哀願するマキにカミューはそれでも意地悪く囁く。
「はやく…なに?言わなきゃわからないよ?」
「だ…め、そんなことっ、言えない…っ」
「強情だね、もうここはこんなになってるのに」
マキの下腹部から手を差し入れたカミューの指が、薄布一枚を隔てて触れるか触れないかの状態のマキのアソコをなで上げた。
「ああっ!」
「マキ、布越しでもこんなに濡れているよ?ほら、ちゃんと言ってごらん?どうしてほしい?」
「あ、あんっ、触って…!もっとちゃんと、触って…!」
「いい子だ」
涙を流しながら必死で答えたマキの下衣の脇から直に指を差し入れる。
そこは既にぬるぬると愛液が溢れていて、指は滑らかに動いた。
「すごいね、溢れてる。こんなになって…本当はいやらしかったんだマキって?」
「やっ、ちがう…だって、だってカミューがっ、あぅんっ」
「ほら、もう指三本も飲み込んでるよ?」
ぬちゅぬちゅと卑猥な音が部屋に響く恥ずかしさと全身を駆け巡る快感にマキは必死でシーツを掴んで耐えた。
「はっ、は…あ、あ、もう、もうだめ、いや、いや、イく、イっちゃう!」
「どうしたの?まだ指だけなのにイっちゃうの?」
ちゅぶちゅぶとさらに突き入れる指を早め、さらにマキの感じる所を的確に押さえ突く。
「あ、も、あ、あっ、あ―――っ!」
一際高く声をあげてマキは達すると、ぐったりとシーツに沈んだ。
「ひどいな、一人でイったのかい?」
ハァハァと息をしながらひくひくと震える体を必死で支え、わずかに顔を上げたマキにちゅ、とカミューがキスをする。
「マキ、まだ足りないだろう?本当はこっちが欲しいのだろう?」
そういってカミューは熱く硬くなった己を引き抜くとマキの太ももにそれをこすりつける。
うっとりと焦点の合わない瞳をしながらこくこくとうなずくマキの耳元で、かわいいね、マキと囁くと、まだ赤くなってひくついている部分にゆっくりと己のものを沈めてゆく。
「あ、ああぁぁ…っあーっ!」
十分濡れたマキのそこはたやすくカミューを飲み込んだ。
「マキ、すごいね、全部入ったよ。マキのここ、ヒクヒク動いてる…俺を感じてるんだ?」
「あっ、ふ、んんっ、カミュー、きもち、いいっ…」
「もっと、欲しい?」
「うん、もっと、もっと欲し…い」
「素直に言えるようになったね、じゃあ、もっとあげよう」
そういうと、一度ギリギリまで抜くと今度は一気に突いた。
「あぅっ!」
マキがのどを反らせ快感に打ち震える。
しばらくは焦らすようにゆっくりと動いていたカミューだが、やがてカミューの呼吸も上がってくると、次第に抜き差しも早くなってきた。
「あっ、あっ、いいっ、あん、すごいっ、いいっ!」
「マキ、マキもすごい、いいよ、すごく締め付けてるっ…」
ずちゅずちゅと濡れる音と共にカミューの腰がマキに打ち付けられる。マキはもう口から唾液を滴らせながら悲鳴のような嬌声をあげるのみだった。
やがてカミューの動きも倍になり、マキの喉も限界まで反ると、二人は同時に達した。
「あー、ああーっ、あん、あふっ、い、イク、イク、いいーっ!」
「…っ!」
ハァハァとお互い荒い息をしばらくついていたが、やがて回復したカミューが傍らにあった看病用の濡れたタオルでマキの体を拭いてやった。
マキがちょうど服を調え、再びカミューが寝台へ横たわったところでマイクロトフが入ってきた。
「調子はどうだ、カミュー?」
「…ああ、すこぶる快調だ」
「そうか、それは良かった」
部屋の微妙な甘い空気に全く気付かない鈍い男を目の前に苦笑するカミューと先ほどの淫行に恥ずかしくなって俯くマキ。
「間一髪だったね」
とカミューがマキに囁くと、ますます赤くなったマキの二人の様子に、ハテナマークを浮かべるマイクロトフであった。