繋ぎ 著者:通りすがりのスケベさん様
まさかこれほどの実力差だったなんて……!
周りに倒れる仲間達を見て、彼女は臍を噛んだ。
目の前に佇む黒服に身を包んだ男の太刀は受け止めるのが精一杯で、
こちらからは攻撃する間さえ見つけられなかった。
「フン……所詮こんなものか。」
両手に携えた剣をしまうと、その男は意識を失っている男達に近づいて行く。
「リード、サムス! ヒューゴ君っ、アヒルさん!」
すでに意識のない者、その呼びかけにかすかに反応を示す者。
だが彼らの中には武器を持って戦えるほどの状態の者はいなかった。
「う……お嬢さん、逃げてください…」
痛む身体を持ち上げ、色黒の男がやっとの思いで言葉を吐き出す。
男はそう言うと冷たい床に再び倒れた。
どうやら気を失ったらしい。
「くっ……!」
近づいて来る黒服の男と仲間達の間に立って、彼女が剣を構える。
その数歩先で男が歩みを止めると、彼女はキッと男を睨みつけた。
「わ、私が相手よ! まだ私は戦える……!」
自分の頬を冷たい汗が伝う。
目の前の男は剣すら構えてないというのに、この威圧感は何?
その身体に剣で触れる事すらできなかった先の戦闘が甦った。
(やらなきゃ……私がやらなきゃ!)
涌きあがる恐怖心を打ち消し、1歩前へ踏み出すと同時に
剣を黒服の男めがけて突き出す。
「やぁっ!」
しかしその剣は空を切り、それを持つ右手を男にぐっと掴まれるや否や
ものすごい力で締め上げられた。
「あぁっ…!」
「そんな太刀筋では俺は切れんぞ、女。」
カラン……。
無情にも、地に音を立てて落ちる剣。
その瞬間、彼女は絶望と共に死を覚悟した。
自分の顔を覗きこむ、男の燃えるような紅い瞳が彼女を縛る。
気づかぬ内に目尻に涙が溜まっていくのを感じて、唇を噛みしめた。
「ほぉ……いいぞ、その表情。正に絶望の淵に立たされた人間が見せる尤も醜い顔だ。」
男の整った顔に浮かんだ冷笑を見た瞬間、彼女の背筋に冷たいものが走った。
恐怖にひきつるその表情を楽しむかのように、男は女の顔を凝視する。
女の顎に指を添え、より近くで見ようと顔を上げさせた刹那、
男の後方の床が歪み、そこから何者かが現れた。
現れたのは女性だった。
線の細い体に淡い色の髪の毛。
「時間です。」
彼女は短くそう告げて、男の行動を待っているようだった。
「……。俺はもう少し後で行く。」
ガタガタと震える女の顔から視線を逸らす事なく、男はそう答えた。
しかし、男の後姿をじっと見つめる彼女は微動だにしない。
「………。」
「すぐに追いつく……先に行け。」
わずかに怒りをこめたその口調に、女は握った杖を静かに振って答えると
彼女が現れた時と同じように地が歪み出した。
「……そのまま報告しますから。」
「好きにしろ。」
短い会話が終わると、女は無表情のまま
ふっ…と床に吸いこまれるように姿を消した。
「はっ……離しなさいよっ!!」
目の前で起こった不可思議な光景に見とれていた女だったが、
黒服の男の気が自分からそれている事に気づくと、
恐怖に支配されていた身体で懸命に黒服の男を突き飛ばした。
そして床に落ちていた剣を素早く拾うと、気丈にも再び構えの態勢をとってみせる。
「行くわよっ!」
そう言うと同時に地を蹴り、有無を言わさず切りかかる。
実力差を考えるとなりふり構わず行かなければここは乗り切れない……っ!
ガキィィィン!
眼前で起きた出来事を理解するのに、女はわずかな時間を要した。
手に握られた愛剣は粉々に砕け、柄だけが手の中に存在している。
ジンジンと衝撃が残る掌と、男の両手に握られた剣を交互に見やっていると、
無表情のまま男が口を開いた。
「武器がなければ貴様も戦えまい。」
「あ…」
急速に縮まる戦闘意識と、増大していく恐怖心。
後ろに倒れる仲間達のように気を失っていれば、苦しまずに死ねただろうに…。
そう思わずにはいられないほど、彼女の心は恐怖に支配されつつあった。
「何だ……抵抗はしないのか?人間は死ぬのが怖いんだろうが。」
「うっ…うるさいわね! 別に怖くなんてないわよっ!」
そう言って抵抗する彼女の姿は、黒服の男の眼にとても滑稽に映った。
身体は恐怖に竦んでいるのに、あくまで気丈な態度は崩さない……興味を引く女だ。
「フッ……面白い女だ。貴様には死ぬより恐ろしい目に遭わせてやる……!」
男は小さく笑うと、片方の剣を彼女に向かって下から振り上げた。
シュッと風を切る音がしたかと思うと次の瞬間、
女の衣服は縦に綺麗に切り裂かれ、はらりと床に舞い落ちていた。
男の剣の切っ先が彼女のハットをかすめ、その居場所から退去させる。
「え……!?」
見事に真っ二つに切られた衣服と対象に、
彼女の身体の真中、剣が通った跡にうっすらと血が滲んでいるものの、
さして大きな傷になっていないのが黒服の男の剣の技量を物語っている。
胸元を隠そうとした彼女の手を男が素早い動作で掴んで、そのまま地面に押し倒す。
「なっ……何するのよ!?」
「貴様を辱めてやろうと思ってな。」
男がそう言うのと、彼の空いた手が女の乳房を掴むのはほぼ同時だった。
ぎゅうと柔かい肉を握りつぶさんとする手に、女の顔が苦痛に歪む。
「痛い……っ!」
「そうか、痛いのか……なら硬くなっているこれは何だ?貴様、興奮しているのか?」
周りの柔かい感触とは明らかに違う硬さを持つ先端を、男の指が押しつぶす。
ピンクの蕾が乳肉の中に押しこまれ、否が応にも反応してしまう。
「ちっ……違うわよ! さ、寒いからに決まってるでしょう!?」
「フン……下手な言い訳だ」
男の力は緩む事なく、女の乳房を握る。
快楽を得たい訳ではなく、この女の苦痛に歪む表情が見たいのだ。
普通の感性を持つ男なら、このような綺麗な形をした乳房を前にすれば
むしゃぶりつきたくなるだろうが、この男はそんな普通の感性の持ち主ではなかった。
「痛い………って、言ってるでしょうが!!」
バチィ――ン!!
女が空いていた片方の手で男の頬を叩いた音が、薄暗い空間にこだまする。
「……本当に面白い女だ。」
思いきり頬を張られたにも関わらず、その顔が歪むことはない。
あくまで冷静さを失わないその表情からは、
男がどんな感情を抱いているかは読み取れなかった。
「少しは楽しませてやろうかと思ったが止めだ……時間もないしな。」
男の瞳の中で黒い炎が揺れたように見えた。
女は押さえつけられている手にさらに力がこもるのを感じ、苦痛に身をよじる。
「ちょっと……いい加減離してよ!」
「もう少しの辛抱だ、我慢しろ。」
男は膝を冷たい回廊につくと、彼女の両手を床に押さえつけた。
両腕を上げた状態で、女は身体を捻る事さえできない。
「な、何するのよ!?」
胸を握られる痛みからは解放されたものの、
両腕を動かせない今の状態に女も動揺を隠せないでいる。
やや怯えの表情を浮かべる女の顔色を楽しみながら、
男は地に膝をつくと、自分の脚を器用に使って
女の股を広げさせていく。
じわじわと広げられる脚。誰にも侵入を許した事のない秘めた個所が徐々に晒されていく。
「ちょ、な……何するつもりよッ!?」
「貴様の考えている事だ。」
男はぐいぐいと自分の腰が女のそれに密着するまで脚を広げると、
自らのモノを素早く取り出して、彼女の秘口へあてがった。
「……ッ!」
男のモノはすでに怒張しており、かなりの大きさを彼女に見せつけていた。
尤も男にしてみれば、目の前にある瑞々しい肉体を味わえる興奮よりも、
今から起こる惨劇に女が恐怖するのを想像して固くさせているに違いない。
身体を弄ぶのも、その苦痛に歪む表情を引き出すための1つの手段にしか過ぎないのだ。
「や、やめてよ……本気なのっ!?いやぁぁッッ!!」
女の頑なな拒絶も、男の前では無力なものだった。
両腕の自由を奪われ、細身ながらも大人の男に
上から覆い被られてできる抵抗などたかが知れている。
「入っていくぞ、貴様の中に。」
「やだ……っ!」
彼女は眼前の男の迷いのない行動に驚愕し、
異物を自分の体内に挿入されるという未知の感覚に怯え、
耳にしていた破瓜の痛みに身体を硬くしている。
「離しなさいっ……離せッ!!」
つぷ、と女の秘口にモノが口をつけると、
一切の手加減などなしに一気に男は腰を進めた。
「うっ……あああぁぁあぁっぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!!」
神秘的な輝きを放つシンダル遺跡へと続く扉が、彼女の悲鳴にビリビリと共振する。
身体が裂けてしまいそうな痛みに、女は男を睨みつけながら絶叫した。
「ははは、いいぞその顔は……もっと苦しめ、もっと俺を憎め!」
彼女の秘部からは鮮血が痛々しく流れ落ち、
皮肉にもそれが男の出入りをサポートする潤滑油の役割を担っているようだった。
「あぁ! ッく……やめ、やめなさいよ!! あんた何考えてるの……ッ!?」
突き入れられる剛直の痛みに耐えながら、息も絶えだえに男の考えを問う。
腰を律動させている今も、男も表情はさほど変化を見せない。
口許に浮かぶかすかな嘲笑が彼をより残酷で冷血な生物に見せていた。
悔しいほどに美しく編み込まれた金髪が、
暗黒の天井をバックにしてより鮮やかな輝きを放っている。
「何を考えているかだと? 貴様の醜く歪んだ顔が見たいだけさ!!」
女の都合などお構いなしに、男が腰を突き上げる。
快楽を求めての行動ではない。
女の感情の変化を求めての行動だった。
「いッ……痛いっっ!!」
初めてものを受け入れて間もない彼女の膣がいいように貪られる。
周りの襞は真っ赤に腫れてなお男のモノを締めつけようとする。
無意識に動くその部分に、彼女は憤りと苛立ちを感じた。
「痛い? なら俺のモノを離せ! 貴様が自分で咥えこんでいるんだぞ!!」
「ちっ、違う! 私はそんな事してないわよッ!!」
「ならば何故、貴様の膣はギュウギュウ締めつけてくるんだ!
何故、お前のビラビラは俺のモノに絡みついてくるんだ、女!?」
「くっ……ううぅ!!」
認めたくない自分の身体の変化を指摘してくる男。
彼女は歯を食いしばりながらその汚い言葉に絶える。
「悔しいか? 無様な格好で俺を咥えこんでいる自分が悔しいか!?」
「あぁぅっ……ん!!」
止む事のない痛みが、彼女の身体を次第にマヒさせていく。
当初ほど苦痛を感じなくなった今、女にできる抵抗は男を悦ばせないことだけ。
「ふん、バカな男ね! こんな事、別に何ともないわ!」
「この状況で強がる……いちいち面白い女だ。
いいだろう、貴様の腹の中を俺のものでパンクさせてやる……!」
「はッ!?」
膣内でさらに硬く肥大した剛直を感じ、女の顔に恐怖の色が浮かぶ。
殺されてもおかしくない状況下、女だからと辱めを受けて屈辱を感じない訳がない。
忌み嫌う相手に身体を喰われただけでも
吐き気のしそうな嫌悪を感じるのに、そのうえ……!
「なッ、膣内で出さないで!」
「貴様、俺に命令できる立場か? このまま俺の子を孕むがいい……!」
「ダ、ダメ!! 出したら殺すから! 絶対殺すからッ! 殺してやるッ!!」
男のモノから逃れようと、女はグイグイと身体をよじる。
それは些細な抵抗だったが、男の思い通りにされるのを黙っている事ができなかったのだ。
彼女の両手を掴む男の手が緩む事はなく、男の表情には歓喜の感情が浮かんで見えた。
「俺を殺すだと! いいだろう、いつでも来い……簡単に殺される気はないがな!!」
「殺してやるわ!! 絶対殺、し………!!?」
ドクン!
真紅の炎を携えた男の瞳が彼女を射貫く。
「いッ………いやぁぁぁ―――――――――――――――ッッ!!!」
禍禍しい感触が自分の膣に現れた瞬間、女は絶叫した。
悪魔の液体が子宮に注がれ、射精を止めないドクドクと脈打つモノが膣の中で跳ねている。
「待っているぞ、女。貴様が俺の憎しみを糧に強くなって再び現れるのを……。」
ショックのあまり薄れゆく意識の中で、女はその声を脳裏に刻み込んだのだった。
(忘れない……この屈辱は、絶対忘れない!!)
朦朧とする意識の中、女が最後に聞いた音は、カツカツと床を鳴らす男の足音。
膣口から溢れ出した精液はトロリと垂れ落ち、
黒い床に滑稽なコントラストを醸し出している。
湿った空気の中に生暖かい風が吹き、
冷ややかな回廊にポツリと転がっていた彼女のハットがふわりと軽やかに舞った。
完