ヒューゴ×ルシア 著者:4_823様

「ただいま、母さん!」
ヒューゴは部屋に入るなり待っていたルシアに抱きついた。
「あん…ヒューゴったら…いきなり…。」
ルシアは少々困惑しながらも優しくヒューゴを抱きとめる。
「誰かに見られたらどうするつもりだい?」
「そんなの大丈夫だよ。…ねえ、それよりもさぁ、母さん、
 いいでしょ?ねえ?」
ヒューゴはルシアの豊かな胸をまさぐりながら甘えた声でルシアに請うた。
「俺、今日もずっと母さんのことばかり考えてたんだ。」
「おや、本当かい?」
「本当だよ…。ずっと考えてた。…母さん、母さぁん。」
ヒューゴはますます甘えた声を出し、顔を母親の胸に押し付ける。
「ふふふ…うれしいじゃないか。実を言うとね、母さんもずっとお前のことを
 考えていたんだよ。」
ルシアはそう言って息子の頭を優しくなでた。
「本当?母さん?」
「ああ、本当だとも。今日もお前はとってもいい子だったから、
 今夜も母さんといいことしような。たっぷり可愛がってやるよ。」
ルシアはそう言うとヒューゴを抱きかかえるようにしてベッドへと向かった。

二人の只ならぬ関係が始まったのは、カラヤの村が襲撃を受け壊滅をしてからである。
自らの生まれ故郷失った悲しみと怒りと寂しさが、ついには越えてはならぬ一線を
越えさせてしまった。
当初はただただ絶望を紛らわせるためにお互いを束の間の快楽で慰めあっていただけだった。
しかし若いヒューゴは覚えたての快楽に抗うことができず、毎晩のように
自分の初めての相手である母親の肉体を求め、ルシアもそれを許した。
そして何度も身体を重ねるうちに互いの胸のうちに恋心が生まれ、日々想いは募り
それを消すことは最早不可能となっていた。
もちろんこの禁断の関係は二人だけの秘密である。
お互いそのことはよくわかっている。
そのため、ヒューゴはルシアにカラヤの戦士の心得を教授してもらうという理由で
毎晩のように母親の部屋にと通っていたのだった。

ベッドにつくや否やルシアは手早く服を脱ぎ捨て全裸になった。
黒蜜のような艶やかな肌や、豊満な乳房、引きしまった腰のうねりは
とても子供を生んだ女のそれではない。
我慢が出来なくなったヒューゴは母親の乳首に飛びつくと音を立てて吸い始めた。
「ああん、ヒューゴったら…お前は本当に母さんのおっぱいが好きなんだねぇ…
 いいよ、母さんのおっぱいはお前のものなんだから…。ほら、もっと吸いな。」
可愛い息子に乳を吸わせている間にルシアは器用にもヒューゴの服を脱がし始めていた。
「ほおら、いいもの出てきたぞ。おちんちん。ヒューゴのおちんちんは可愛いねぇ。
 母さん大好きだ。」
ヒューゴの下半身を覆っている衣服を剥いだルシアは、まだ皮を被っている
息子の肉棒を慣れた手つきで撫でた。
ヒューゴの肉棒ははちきれんばかりに膨張し、先端からは透明の先走りが皮を濡らしていた。
「さあ、ヒューゴ。おっぱいの次は母さんとちゅっちゅっしようか。」
ルシアはまだ乳首に吸い付いている息子に口付けを促す。
「ハアハア…うん…、母さん…ハアハア…」
ヒューゴは乳首から口を離し、真っ赤に高潮した顔を母親に向けた。
「いい子だ。ヒューゴ。母さんお前のこと愛してるぞ。大好きだ。」
「僕も」ヒューゴがいい終わらないうちに、ルシアの唇が口を塞いだ。

二人は互いに舌を絡ませあい、唾液を啜りあう。
同時にルシアは息子の肉棒の先からこぼれだしている先走りを
指で亀頭の先に塗りたくり始めた。
「うう…あっはっ…」
その刺激にヒューゴは腰を浮かせて身を捩じらせたが、ルシアは左腕で
ヒューゴの身体をがっちりと抱きかかえ逃がさない。女とは思えないほどの強い力だ。
「うん…ちゅ…むちゅ…こぉら…うん…逃げるな…ちゅうぅ…
 母さん、今日もお前のおちんちん…むちゅぱ…剥いてやるからな…ちゅちゅ…。」
ルシアはそう言うと口づけをしたまま息子の体をベッドに仰向けに寝かせた。
そして今度はヒューゴの顔中に口づけの雨を降らしていく。
口づけに飽きるとルシアの濡れた唇はヒューゴの首筋を伝い、胸にたどり着く。
ルシアの舌と唇はヒューゴの痩せぎすの胸板を思う存分嘗め回し、臍を吸い尽くした。
もちろんその間にも、肉棒にからませた指はヒューゴに快楽を与え続けている。
最早ヒューゴに出来ることといえば、呻き声を上げ、身を捩じらせることだけだ。

息子の身体を堪能したルシアはここでようやく顔を上げた。
「さあ、ヒューゴ…母さん、おちんちん剥いてやるからな…。
 あらあら…ふふふ…こんなに濡らして…そんなに母さんのお手々がよかったか…?」
そう言って悪戯っぽくヒューゴの内腿を撫でまわす。
「ハアハア…うん…だから、止めないでよ…母さん…ハアハア…ねえ…」
ヒューゴは弱弱しい声で母親に哀願した。「母さん、ハアハア…もっとやってよぅ…。」
「よしよし、今してやるからな。でもその前におちんちんの皮剥かないとね…。
 母さんがちゃんと剥いてやるからな…ほぅら、おちんちん、剥いちゃうぞ…ほぅら…。」
ルシアは息子の肉棒の根元を押さえながらゆっくりと皮を下ろし始めた。
先走りが潤滑油となって、案外スムーズに皮が剥けて来る。
「ほぅら…見えてきた…ピンク色のが見えてきた…もうひと息だ、ほぅら…
 ヒューゴ、痛くないか?」
「ハアハア…うん…平気…もう慣れたから…ああ…あ…」
「ようし、じゃあここからは一気にいくぞ…覚悟はいいか…
 ほらっ」
ルシアは力を込め皮を引きおろした。

「ああっ!」皮が亀頭から剥ける独特の刺激にヒューゴは思わず声を上げた。
肉棒の先が違和感と開放感に包まれる。
まだ綺麗なピンク色をしているむき出しの亀頭にかかる母親の吐息が心地よかった。
「ほぅら、剥けた。ふふふ…。ん?あらあら、おちんちんのゴミが付いているじゃないか…。」
ヒューゴの亀頭には包茎特有の白い恥垢が付着し、すえた臭いを放っていた。
「ここはいつも綺麗にしておかないと駄目って、母さん言ってるだろ?ん?
 ふふふ、仕方が無いねぇ…母さんが舐めて綺麗にしてやるよ…。」
だがルシアは声はかえってその方が嬉しいといっているかのように喜びに満ちていた。
「ハアハア…駄目だよ、母さん…汚いよ。」
「何言ってるんだ…可愛いお前のが汚いわけないだろ。黙って母さんに任せな…んふ…。」
ルシアはそう言うと亀頭に付着した白い粘着物を舌でこそぎ取り始めた。
母親の柔らかで優しい舌の刺激にヒューゴが溜まらず声を漏らす。
「あっあっ…母さん…ああ…ハアハア…ああ…」
ルシアは息子の亀頭にネットリと舌を絡ませるとまるで恥垢の味を
楽しむかのように舐めしゃぶり吸い取っていく。
ルシアの舌技でたちまちのうちに恥垢は彼女の胃袋の中に消えていった。
ルシアの唾液がまぶされた亀頭はランタンの火に照らされて見事なピンク色に輝いている。
「ほぅら、綺麗になった…。お前のおちんちんピンク色で綺麗だねぇ…。」

ルシアはまるで宝石でも見るかのようにうっとりと息子の肉棒を見つめた。
事実彼女にとっては宝石よりも価値のあるものなのだ。
「さあて、綺麗になったお前のおちんちん、母さんがお口でたっぷり可愛がってやるからな。」
ルシア淫猥に微笑むとは息子の肉棒を唾液で濡れた口に含んだ。
口腔で肉棒を擦り、舌を亀頭で躍らせる。
「あっ…母さん…あーあっ…。」
母親の巧みな愛撫にヒューゴが喜びの声を上げ腰を浮かせた。
さらにルシアは右手でヒューゴの肉棒を支え、左手で玉袋を柔らかく揉みしだき、
時には肛門にまで指を這わす。
「母さん…いいよう…ハアハア…ああ…それ…それ好き…ハアハア。」
「ピチャ…チュクチュク、ジュル、ジュル、プハッ…ん?これいいか?
 ヒューゴはこれ好きだものな…。クチャックチャックチャックチャッ。」
ルシアの口腔愛撫のペースが上がる。
「クチャックチャッ、クポッ、ジュル、んふ…クチャックチャックチャックチャッ
 クチャックチャックチャックチャックチャックチャッ、ジュルル、んんふ…ん…。」
「ああっ…母さん、母さぁん…あー…イク…出る…出ちゃう…あー、いいよぉ」
「母さんの口に出しな…飲んでやるから…んん、ジュルル、チュプ…んふ…
クチャックチャックチャックチャッ、ジュルル、クチャックチャックチャックチャックチャッ。」
「あー、出るっ出るっ…ああっ…!」

次の瞬間、ヒューゴの肉棒が弾けた。
大量の若い精液がルシアの口内に広がる。
「あ、あ、あああ…ああ…母さん…ハアハアハア…ハアハアハアハアハア…」
「んチュ…んんちゅ…んん…んふ…」
ルシアは口に溜まった息子の精液をまるでワインを飲むかのように舌で転がし、
口腔で弄んだあとようやく飲み込んだ。
「はあ…沢山出したなぁ…母さんのお口はそんなによかったか…?ん?」
そう言いながら口元にこぼれた精液を舌で舐め取り、息子の玉袋を優しく揉みしだいた。
「…うん…とってもよかった…母さん…。」
「ふふふ…いい子だ…お前のもとってもおいしかったぞ…。
 さあ、少し休んだら今度はお前が母さんを可愛がっておくれな…。」

ベッドに仰向けに横たわったルシアは大きく股を開いてヒューゴを誘った。
「さあ、ヒューゴ、母さんのここをお前の好きなように可愛がっておくれ。」
ルシアの女陰はすでにぱっくりと口を開き、大量の愛液があふれ出している。
「うん…母さん…」ヒューゴはコクンと肯くと四つんばいになって
母親の股間に顔を近づけていった。
「ヒューゴ…母さんのおまんこ、綺麗かい…?」
「うん…綺麗。とっても綺麗だよ…。」
「じゃあ、母さんのおまんこ、おまえのいいようにして…」
「うん…」再び肯くとヒューゴは舌で母親の女陰に舌を這わせていった。
「ああっ…そうだよ…あん…そうクリトリスも…ああ、上手だ…
 指を…入れて…んん、あ、いい子だ、ヒューゴ…。」
ヒューゴは子犬が空になった皿を舐めるかのように女陰を舐めしゃぶる。
指を膣に入れかき回し、大小の陰唇をこすりあげる。
ヒューゴにとって母親の陰部は神秘的で淫猥な玩具なのだ。
「ハアハアハアハアハア…ああ、ヒューゴもういいよ、あん、ふふふ…ハアハアハア、
 お前のもすっかり大きくなっているからな…。」
ルシアは半身を起すとヒューゴの肉棒を撫でた。
一度大量に射精をしているにもかかわらず、ヒューゴの肉棒は
血管を浮き上がらせながらはちきれんばかりに膨張していた。
ヒューゴは愛液と唾液でべとべとになった顔を上げてルシアを見た。
そんな息子の顔についた液を舐め取りながらルシアは優しく囁いた。
「さあ、ヒューゴ横になってごらん。母さん、上に乗るから…。」

仰向けに寝転んだ息子の肉棒を軽く右手でしごきながら
ルシアはヒューゴの唇に甘く口付けをした。
そしてそのまま身体を起し、息子の肉棒をいとおしげに見つめる。
「さあ、ヒューゴ…母さんとひとつになろうな…。」
「うん…母さん…早く…して…。」
「よしよし…じゃあ母さん、お前の上に乗るからな…。」
ルシアは息子の猛り立った肉棒を掴むと愛液に濡れた自らの肉壺に収めていった。
「あっ、はっ…ほぅら…入った…ヒューゴ…母さんの中はどうだい…?」
「ハアハアハアハア…気持ちいい…母さぁん…すごく気持ちいいよぉ…。」
ヒューゴは母親の柔らかく温かい粘膜に包まれた快感に身をよじらせる。
「ふふふ…母さんも気持ちいいよ…じゃあ母さん、動くからな…。」
そう言うとルシアは息子にまたがり腰をふり始めた。
「ハアハア…あっ、あっ、ヒューゴっ、母さん、ハアハア…重くないかいっ…んっ、あっ。」
「ハアハアハア…そんなこと、ないよっ…母さんっ、母さんっ、気持ちいいっ、あっ、ああっ」
「ハアハア…そうかいっ…んっ、ああっ、ああっ、もっと、もっとよくしてやるからなっ」
ルシアは腰をグラインドし始めた。さらに膣圧を巧みに変化させることで息子に
新たなる快楽を与えていく。
まるで肉壺その物が意思を持っているかのような刺激にヒューゴはしびれた。
母親の温かい肉壺は、時には優しく、また時には激しくヒューゴの肉棒に絡みつき、
こすり上げ、締め付けてくる。
本当に自分の肉棒が溶けてしまいそうなくらい気持ちがいい。

ルシアの腰の動きがさらに激しさを増した。
ヒューゴも負けじと夢中で母親を突き上げる。
互いの接合部からは愛液が止め処も無く溢れクチャクチャと淫らな音色を奏でた。
「ああっヒューゴっ…母さんのっ、おっぱいっ、吸って、あっ、あっ、ハアハア」
ルシアは上半身を前方に倒すと両手で乳房を掴んで息子の口元に寄せた。
ヒューゴはまるで赤ん坊のように夢中で乳首に吸い付き、しゃぶった。
「ハアハアハア…母さんっ、気持ちいいっ、俺っ、ああっ、ああっ、イクっ、もうっ、あっ、出るっ…!」
「あっあっあっ、母さんもイクっ、あっ、母さんとっ、一緒にっ、母さんと一緒にっ
 あっ、ヒューゴっ、母さんイクっ、あはっ…!」
「母さん、母さん、母さん、イクっイクっ、出ちゃうっ、あっ…あっ…!」
その瞬間二人は同時に絶頂を迎えた。
ルシアの中にヒューゴの熱い精液が弾け、彼女の肉壺と心を同時にを満たした。
互いの身体を繋いでいる接合部からは二人の愛の証があとからあとからこぼれ出てくる。
ルシアは荒い息をついている息子に覆いかぶさるようにして口付けし、甘く囁いた。
「ハアハアハアハア…ヒューゴ…よく頑張ったね…さすが母さんの子供だ…偉いぞ…。」

ヒューゴはルシアの胸に顔を埋め、乳首を口に含みながら寝息を立てていた。
そんないとおしい息子の頭をルシアは飽きもせず撫で続けている。
ルシアにとって息子との情事が済んだこのひと時こそが、母親として、女として
最大の喜びを感じることの出来る瞬間なのだ。
たった一人の息子が、ただ一人母親の自分だけを頼り、甘え、愛してくれるのである。
彼女にとってこの世にこれ以上の幸福があろうはずは無かった。
(永遠にこの時間が続いてくれれば…)
本当に心の底からそう思う。
しかしまた明日からは過酷な戦いの日々が続くのだ。
そのことを考えるたびにルシアは自分と息子の運命を呪わずにはいられなかった。

「ねえ、母さん…。」その時突然、寝ているとばかり思っていたヒューゴが口を開いた。
「なんだい…、寝てたんじゃなかったのか?」
「うん…あの…あのね、俺……母さんとずっとこうしていたい…。もう、戦いとか、いやだよ。
 俺、母さんと逃げたい。どこか戦いの無い遠いところに…母さんと二人で逃げたいよ…。」
まるで自分の心を見透かされたかのような言葉にルシアは少し驚いた。
しかしルシアは何も答えず黙って息子の頭をなで続ける。
ヒューゴは母親の反応がないことを知って先ほどよりも強い口調で続けた。
「俺、母さんと二人きりで暮らしたい。そして母さんと一日中いいことしていたい。
 ねえ、母さん…いいでしょ…ねえ…母さん…一緒に逃げようよ…ねえ…。」
「…そうだねえ。」ようやくルシアが口を開いた。
「お前の気持ちはわかったよ。母さんもよく考えとくから。
 実を言うとね…母さんももうお前を危ない目に合わせたくないと思っていたんだ。」
「本当?母さん…?」
「ああ、本当だ。母さんだってお前とずっとこうしていたいんだよ。」
ルシアはそう言ってヒューゴの額に口付けした。
「そのことなら母さん、ちゃんと考えとくから何も心配いらないよ…。」
「うん、母さんきっとだよ。きっといつか二人きりで暮らそうね。
…あと……それから、俺、母さんにもうひとつお願いがあるんだ。」
「なんだい?ヒューゴ。母さんお前のお願いなら何でも聞いてあげるよ。」
「うん…あのね…」ヒューゴが少し照れたように顔を紅潮させて言った。

「俺、母さんと結婚したい。」
息子の思わぬ言葉にルシアは一瞬絶句した。
「…母さんと結婚?ヒューゴ…本気か?私はお前の母さんなんだぞ?」
「うん。俺本気だよ。俺、母さんのことが大好きなんだ。だから結婚したい。
 母さん、いいでしょ?俺と結婚して。」
部屋に沈黙の時間が流れた。
ルシアは息子の突然のプロポーズに最初は激しく戸惑ったが、それ以上に心の底から湧き上がってくる
喜びと感動をに身体が震えた。
(私がお腹を痛めて産んだ子が、私を必要としている。
 母親としてこの子の望みを適えるのは当然じゃないか。
 …それに私もこの子が好きだ。誰にも渡したくない。わたしもこの子と結婚したい。)
ルシアの心は決まった。
「…わかった。いつか母さんと結婚しよう。母さんそのこともちゃんと考えておくから。
だからお前はもうお休み。母さん、子守唄歌ってやるから。」
「母さん、本当だよ!本当にいつか結婚しようね。約束だよ!」
ヒューゴは喜びのあまり母親を強く抱きしめた。

「はいはい、わかったわかった。さあ、もう寝なさい。明日早いんだから。ね。お休みヒューゴ。」
「うん。お休み、母さん。約束、忘れないでね。」
ヒューゴはこぼれんばかりの笑顔を浮かべると再び母親の乳首を口に含み目を閉じた。
ルシアは息子の頭を撫でながら、彼ががまだ赤ん坊だった頃よく歌ってやった子守唄を歌い始めた。
最早ルシアの頭の中からは明日の戦いのことなど綺麗さっぱりと消え去っていた。
それよりもいつか息子と送るであろう二人だけの暮らしについて、考えを巡らし始めていた。
(この子と二人で逃げる…か。そうだね。それが二人にとって一番いい選択だね。私ももうこれ以上
 この子を危ない目に合わせたくないし。それになによりこの子もそれを嫌がっているしね。
 …そうだねぇ…逃げるんだとしたら、どこか遠く…そうだね…群島諸国あたりがいいかもね。
 そこの無人島に小さな小屋を建てて、二人で一日中目合うんだ…。いいね…。
 お金は、この城にある金貨を何袋か頂戴すれば一生食べていけるね。…うん。
 あ、そうだ。この子との結婚式はどうしよう。それは群島諸国に着く前あたりがいいか。
 新婚生活は群島諸国で送るということでさ…。うん。いいね。いいね。)

ヒューゴとルシアは、群島諸国のとある島にあるボロボロに朽ち果てた建物の中にいた。
建物の中は壁や天井にところどころ開いた穴から柔らかい日の光が差し込み
あたかも教会のような神秘的な雰囲気をかもし出していた。
二人ともカラヤの伝統的な婚礼装束に身を包み、幸せそうに腕を組んで互いを見つめ合っている。
そんな二人を年老いた司祭らしき男がまるで汚物でも見るかのような
目つきでこちらを見ていた。
この男は格好だけは司祭だが、中身は唯の荒くれである。
ルシアが息子との結婚式のために金で雇い、司祭の真似事をさせているのだ。
二人のことをこの男にいいふらされないように、用が済んだらこの世から
消えてもらう算段もしてある。
その為に外にはフーバーを待機させている。
もちろんこの哀れな似非司祭はルシアの冷酷な企みを知らない。
ルシアにとって最も大切なのは、故郷でも世界でもましてやこの似非神父でもなく、
愛する息子と、彼と送る新しい生活なのだ。
既に二人の新居も決まっていた。
群島諸国のはずれにある小さな無人島に、かつて海賊の隠れ家として使われていた建物を見つけたのだ。
そこがこの母子夫婦の愛の巣である。
もう誰にも邪魔されることもなく、一日中愛する息子の唾液と汗と精液を啜り、
肉棒を弄び、目合い続けることが出来るのだ。
ルシアはその幸せに胸を高ぶらせ、まるで少女のように頬を紅潮させた。
そして改めてこうなるに至った出来事を思い出していた。

今から一月ほど前の夜、ルシアとヒューゴはいつもの様にお互いを強く求め合っていた。
しかしその場所がいけなかった。
二人はこともあろうに軍議の間で目合っていたのだ。
それはヒューゴの「たまには場所を変えてしたい」という願いを聞き入れてのことだった。
そして運悪く最悪の事態が起こった。
情事の最中に突然扉が開いたのだ。扉の向こうには軍師衆を始め、歴々の武将達が
呆然とこちらを見つめていた。
彼らは急きょ作戦の変更をするために夜中にもかかわらず軍議の間に集まることにしていたのだ。
ルシアにはそれが知らされていなかった。息子との情事のために部屋を空けていたからである。
このカラヤの母子の禁断の関係は瞬く間に城内に広まった。
それだけではない。近隣の町や村はもちろん、聞くところによると遠くカレリアまで知られることになったという。
こうなると最早、二人は城にいることは出来なくなった。
好むと好まざるとを関わらず、二人に出来ることといえば全てを捨てて逃げ出すことしかない。
ある新月の晩、二人は決意した。
城から持てるだけの金貨と食料を頂戴し、フーバーにまたがって城を後にした。
目指すは勿論、群島諸国である。

(ふふふ…まさか私の二回目の結婚の相手がお腹を痛めて生んだ実の子なんてね。
 人生はわからないもんだよ。)
ルシアは改めて自分の人生を振り返っていた。
(いろいろあったけど私の人生も悪くないもんだね。)
「それじゃあ、そろそろ頼むよ。」
ルシアは司祭に結婚の誓いの文言を述べるように促した。
司祭は二人を軽蔑の視線で眺めた後明らかに嫌悪を込めた文言を述べ始めた。
「…ルシアの実の仔、ヒューゴは汝の実の母ルシアを妻とし、
生涯に渡って愛することを誓いますか?」
「誓います。」ヒューゴにっこり笑っては元気よく答えた。
「…ヒューゴの実の母、ルシアは汝の実の仔ヒューゴを夫とし、
生涯に渡って愛することを誓いますか?」
「誓います。」決意と喜びを込め、ルシアが答えた。
司祭はため息をついて言った。
「…それでは誓いの口付…。」
二人は司祭が言い終わらないうちに既に互いに抱きつき熱い抱擁と口付け交わしていた。
お互いの舌はネットリと絡み合い、お互いの腕はしっかりと相手を抱きとめている。
呆れた司祭は床に唾を吐き捨て、ルシアの用意した金貨を掴むと無言で建物から去っていった。
その瞬間司祭の悲鳴が轟いた。
目論み通り、フーバーが司祭を襲ったのだ。
しかしそんなことはまったくお構いなしに、
唯二人残された母子夫婦の愛の誓いはいつまでもいつまでも続いた。

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