ナッシュ×シエラ 著者:WING様
「ナッシュは手先が器用じゃのう。」
始まりはシエラの些細なひとことだったのだが。
「器用なのは泥棒まがいのお仕事だけじゃないぜ。夜の方もかなり自信があるね。」
「それはどの程度のものかのう。」
シエラはふふん、と鼻で笑った。
俺は眉間に皺を寄せて作業を止めた。
「―――どういう意味だよ。」
「わらわとて伊達に長生きしておらん。おぬしのようなヒヨッ子のテクニックなど
たかが知れていると言いたいんじゃ。」
「…ヒヨッ子だと!?なんなら試してみるか!?」
「フン、望むところ。その素晴らしいテクニックとやら見せてもらおうか。」
「んだとこのオババ!」
晴天の青空広がる草原に一筋の巨大な雷が俺に直撃した。
―――あのさ、ここで選択肢とかないわけ??
「準備はいいか。」
適当な宿を取り、シャワーも早々に上半身裸でいきり立つナッシュ・ラトキエ(花も恥らう22)。
眼前には見た目は少女、中身はオババの吸血鬼シエラ(推定年齢800歳以上)が
薄着一枚でベッドに悠々と腰掛けている。
一見ムードある雰囲気も立ち上る臨戦体勢でぶちこわしだ。
「わらわはいつでも構わんぞ。おぬしの方こそいいのかえ?」
「くっ!その余裕ぶっこいた顔、俺のテクで一瞬にして崩してやる!」
こんなにも立腹して女とヤるのは初めてだ。くそ、まだ笑ってやがる。
ハルモニア工作員の間ではちったぁ名の知れた暴れん坊ナッシュ様(自称)をバカにすんなよ!
俺はまず隣りに腰掛けて無理矢理シエラの肩を掴んで前菜代わりに手荒なキスをくれてやった。
抵抗はなくあっさりと舌は侵入する。
前振りも無くいきなり舌先を駆使してシエラの口内を手当たりしだいに弄った。
歯の裏、喉の奥、至るところに。
「ふっ…ん……。」
息が荒くなり、反応を覗こうと瞑っていた瞳を開けると途端に視線が合う。
(キスしてる時に目ぇ開けんな!)
しかも全然応えてないようで、小馬鹿にした赤の瞳が細まる。
(このオババ、過去にどんな男と寝てきたんだ―――!)
「…それで終りかえ?」
至近距離で囁かれる艶っぽい声。背筋さえゾクッとするような甘い声だ。
敢えて余裕を見せて誘う…畜生腹が立つ!
本当に犯してやろうかこのオババ!!
「まだまだこれからだ。」
俺はシエラの上体をゆっくりと押し倒した。
少し頬が染まっているが恥じらいとかそんなものではないようだ。
視線がそれを物語ってる。
「後悔して泣くんじゃねえぞ。」
「ふん…戯言を。」
…泣かせてやる。絶対に。
シエラの体の線をなぞる。16歳で時が止まっているだけあって一人前の女には一歩足りないが、
それでも吸血鬼特有の白肌には眩暈を覚える。
布越しに胸を弄る。手中に収まるサイズは少し物足りないような感もあるが、心地良い。
「ん…。」
眉を若干寄せて唇を尖らせる。
「声出してもいいんだぜ?」
「…誰がっ。」
ニヤリと笑って薄着を肩から剥ぎ取り、シエラの上半身が露になる。
硬直しだした先端に悶えるより先に優勢になったと勝ち誇る自分がちと寂しい。
「体は正直なようだが?」
俺はご自慢の右手を駆使してシエラの胸の頂きを抓んだ。
「はぁっ…」
甘い声を吐いた直後、“しまった”と瞳を見開いてシエラは口元を抑えた。
俺はそこで初めてシエラにプラスのイメージを抱いた。
「可愛い声も出せるんじゃねえの。」
少し優しい笑顔で今度は口付けを落とす。首筋にから始め鎖骨に、胸に、下腹部に。
「はっ…んっ……」
意地でも大声は出さないつもりらしい。
「そうやってられるのも今の内だぜ?」
俺はシエラの下着に指先をかけてするすると脱がせる。この時の作業は艶かしく実行するのがベスト。
「ふっ、あぁっ…!」
ほらね。
下着の圧迫から開放されたシエラの秘部は既に液で埋め尽くされ始めていた。
「ま…まじまじと見るな愚か者!」
シエラの叱咤が聞こえるが現在の形勢は明らかに俺が有利。
「ひゃあっ!」
割れ目を掻き分けて舌を侵入させる。甘い液が纏わりつく中、内部を緩やかに舐め上げ、
シエラはとうとう声を張り上げた。
「そんなにいいかい?」
「だ、黙れ!」
俺は更に行為を続けた。いよいよ芽に舌先を当てるとシエラの小柄な体が上下に痙攣する。
「あふっ…は、…や…やめ…」
「…イくか?」
勝ち誇った俺の声に艶かしいシエラの表情が一転して正気が戻ってきた。
「…ふん。そう簡単にはやらせん。」
シエラは起き上がり、立ち尽くしている俺の下半身を纏う物を無理矢理引き下げた。
「…確かにいがみ合ってても体は正直なようじゃの。」
口端を意地悪げに上げ、シエラは俺の膨張し始めた自身を眺めた。
「う、うるさい。」
羞恥に駆られた俺に反撃の間も与えずシエラはソレを舐め始めた。
「ばっ…なにすんだ!」
「わらわだけが攻撃されるのもちと不愉快だからな。」
先端を慣らすように舐め、やがてさらに膨れ上がったそれを口に含んだ。
「くぅっ…」
こ、これは手強い…。
快感に押し倒されそうになりながらも必死で意志を保ち、俺はシエラへの抵抗を試みる。
―――だが、体は正直とはこのこと、最終的引き剥がすまでの力が出ない。
や、やば。このままじゃ…出る…。
「イくならイってもいいぞえ?わらわがおぬしの愚かな敗者の液を啜り尽くしてやろう。」
カッチーン。
「ふ…ふふふ…流石長年の経験があるだけのことはある。いいウデだ。」
「ほぉ…負けを認めるか。」
平然とまだ俺の自身を舐め回すシエラの声は弾んでいる。
「…だがな。このまま負けるわけにはいかない。」
シエラの体をがばっと引き剥がしてベッドに押し戻す。
「死なばもろとも、一緒に昇天してもらうぜ!!」
勝ちは見えない、ならば相打ちにするまで!!
何?思考が貧困だって!?うるせい!
俺は半ば無理矢理シエラがしごいた自身をシエラの内部に押し込んだ。
互いに慣らされていただけあって軽々と自身は吸い込まれて行った。
「はぁぁっ…!な、ナッシュ!挿入れるな馬鹿者!」
「“体は素直”だぜ?すごい締め付けだっ…。」
「くっ…もう知らん…!は、あ、あ、ああ…!!」
そのまま俺達はほぼ同時に頂点に達した。
勿論直前にちゃんと抜いた。吸血鬼の子供を身篭られて『パパ、血ちょうだい』と言われても困るからな。
情事から30分後、俺達は何事も無かったかのように少し離れた別々のベッドに横になっていた。
シエラは幾分疲労の表情を見せていたが。
「のう、ナッシュ…。」
「…ん?」
「その…次、は、もう少し仲良く、しよう。」
「…?」
「いがみ合ってては、熱も冷めてしまうじゃろう…。」
「…何、俺にひょっとして惚れた?」
「…馬鹿者。」
布団を被ってシエラはそっぽを向いてしまった。
「吸血鬼の彼女かー…。」
天井を仰ぎながら呟いた声は、シエラには聞こえたのかどうか。
それから15年後。
「ナッシュ!おぬしはもう少し気遣いというものができんのか!」
「お前こそ少しはご奉仕しろっつの!」
「誰がおぬしなぞに!37にもなるとソレもしなびてくるのかのう。」
「なっ…!うっせー!」
…あーあ、ちっとも変わってないよ。俺達。トホホ…。