シーザー×アップル 著者:2_168様
外は既に仄暗かった。
吹きすぎる風が冷たくて、アップルは少し首を竦める。
早く部屋へ戻らなければ、折角風呂に入ったのが台無しになってしまうだろう。
そう思って少し足を早めて、甲板から船内へと降りた。
「アップルさん」
部屋の前でシーザーが声をかけてきた。いつも眠そうな瞳が、暗さのせいで更に眠そうに見える。
「何?」
セバスチャンが廊下の灯火を点けて回っている。
人の顔も判別しにくいほど夜は近づいてきていた。
「中、入っていい?」
言いながら少し扉の開いた部屋を覗き込むシーザーの頭を、アップルは軽く小突いた。
室内に入ることを許可されたシーザーは、のろのろと歩いてベッドへぽすん、と腰を下ろした。
「それで、何の用なの?」
アップルが濡れた髪を軽くタオルで拭きながら、ちらりとシーザーの方へ目線を向けたが、部屋の中は暗い闇で
表情は分からなかった。
明かりを点けようと、ベッドサイドのランプに手を伸ばした瞬間、その腕をシーザーが捕らえた。
「シーザー?」
「点けなくていい」
いつになくそれが真剣な声だったので、アップルは少し驚いて、手を引っ込めようとした……
が、シーザーの腕をつかむ力は強く、彼女の手を捕らえて離さない。
「シーザー、離しなさい……っ?」
いつものように注意しようとした途端、ぐいと身体が引っ張られるのを感じた。
気付くと、ベッドの上だ。
「いつもアップルさんはそうやって、俺を叱るよね」
仰向けにシーツに押しつけられる。覆い被さるように覗き込むシーザーの表情は見えない。
外れかけた眼鏡が彼の手によって取り払われたから。
表情は分からなかった。
明かりを点けようと、ベッドサイドのランプに手を伸ばした瞬間、その腕をシーザーが捕らえた。
「シーザー?」
「点けなくていい」
いつになくそれが真剣な声だったので、アップルは少し驚いて、手を引っ込めようとした……
が、シーザーの腕をつかむ力は強く、彼女の手を捕らえて離さない。
「シーザー、離しなさい……っ?」
いつものように注意しようとした途端、ぐいと身体が引っ張られるのを感じた。
気付くと、ベッドの上だ。
「いつもアップルさんはそうやって、俺を叱るよね」
仰向けにシーツに押しつけられる。覆い被さるように覗き込むシーザーの表情は見えない。
外れかけた眼鏡が彼の手によって取り払われたから。
「シーザー……?」
「俺の事、子供だって思ってるでしょ」
そう言って、首筋の辺りに顔を埋める。
「っ痛……!?」
次の瞬間痛みが走って、アップルは首を竦めた。
首筋を噛んで付いた痕を舌でなぞり、耳もとでシーザーが囁く。
「俺がどんな目でアップルさんを見てたか、知らなかったでしょ?」
「な……んんっ!!」
突然唇を塞がれて、驚いた所を見透かしたように侵入する舌に絡め取られた。
そのまま、思う存分口内を貪られ、息苦しくなった頃ようやく解放される。
「不意打ちは戦略の基本……ってね」
彼の顔はぼやけていて見えないが、笑っているのだろう。そういう時の声だった。
息つく間もなしにそのまま服に手をかけてくる。今更にどういう自体なのか理解したアップルは、必死で抵抗を試みた。
起きあがろうとするものの、シーザーは全体重をかけて彼女を押さえこんでくる。
アップルが子供だと思っていようが何だろうが、シーザーは立派に男性で、力では勿論かなわなかった。
「大人しくしててよ……痛いことはしないからさ」
あやすような声色で、押さえつけたまま服をはだけさせた。
「や、やめなさ……っ!」
闇の中に浮かび上がった白い乳房をそっと手で包み、彼女の反応を確かめた。
「シーザー…ッ!!」
(アップルさんの事だから……旦那さんと別れてから、してなかっただろうと思ったけど…)
それにしても反応が過敏で、シーザーは思ったよりも興奮していた。
「…っ…あ」
あらわになった胸の、尖った先端を口に含むと、それだけで頭上の彼女の口から微かに声が漏れていた。
声を出してしまってから、ハッと気付いた様子で口を閉じる。
彼女は、30過ぎとは思えない時がある。旦那までいた癖に、反応はまるで奥手な女の子みたいで。
「シ、ザ……っ、やめ……っ、ぁ…ぅっ」
口の中で突起を転がす度に、ひくひくと反応を返してくる。
抑えている筈の声も、段々と艶めいて大きくなってきていた。
「気持ちいい?アップルさん……」
彼女に抱いていた気持ちは、尊敬と愛情の入り交じった感情で。
時折酷く寂しげな表情をする事のある彼女の心の空白を、埋めてあげたいと切に願っていた。
「や……ぁあっ…んっ!」
否定するように首を振っても、上がる声はどうしようもなく甘く、久々に感じる快感は、ゆっくりとアップルから理性を奪っていく。
一旦愛撫を止めて、顔を覗き込む。目尻には涙が滲んで、頬が赤く上気していた。
「私…みたいな…おばさんを、からかって…どうするのよ」
まっすぐ視線を送るシーザーから目を逸らして、アップルは震える声で呟くように言葉を零した。
「俺は、アップルさんが好きだよ」
そう言って、更に彼女の服を脱がせていく。
(アップルさんを放って浮気なんかしてた旦那なんかには負けないくらいに……)
心の中でそう付け加えて、舌で突起を弄り回しながら、手を下の方へ伸ばす。
「だ、ダメ……っ!!」
流石に身を捩って抵抗するのを、力任せに押さえつけた。
そっと秘部に指を伸ばすと、しっとりと湿っていた。そのまま下着越しに撫でるように弄くってみる。
「…ぁっ…あ、ん、ふぁ……っ」
声を押さえたいのか、シーザーの胸に必死でしがみつくアップル。
同時に舌で胸を攻める。更に嬌声は大きくなって、彼女の身体は快楽に震えていた。
快感を煽るようにゆっくりこねまわすと、ヒクヒクと震えながら身体を縮こまらせる。
「シー、ザっ…あっ…だ、だめ……イ…っちゃ…ぁっ」
「早いね……アップルさん。いいよ…イっても」
「…だ、め…って……あ、…ぁぁ……!」
下着を膝のあたりまで下ろし、直接濡れているソコに触れると、ビクッとアップルの背が仰け反った。
「……久しぶりだもんね、まだ足りてないでしょ…?」
絶頂を迎えた後のまだ気だるそうなアップルにそう言うと、シーザーは自分の服を脱ぎ捨て、アップルの上に重なった。
「シーザー…もう…っ」
やめて、と縋るような目が彼を見つめる。
「駄目だよ、アップルさん……もっと気持ちよくならなきゃ…」
(そうなる権利が貴女にはあるんだ。)
指を二本、彼女の中へゆっくり押し込む。
「……っく…ぅ」
侵入してくる異物感に、身を固くするアップルに口づけて。
「息吐いて、アップルさん……もっと楽にしないと、辛いよ」
「…そ、な、無理……言わない…で」
中でクッと指を折り曲げてると、ビクッとからだが跳ね上がった。
「ぁうっ!!」
「ここ……いいの?」
「あッ、や……ふぁぁ…っ……く、ぁうっ…」
ぐりぐりとソコを指で押すと、蜜がとろとろ溢れ出す。
「んんッ!ぅ、…ぁああっ…!」
必死に声を抑えようとする姿が可愛いな……と感じた。そのまましばらくそこを攻め続ける。
そのうちまた身体が微かに痙攣を始める。指をそっと引き抜いて、替わりに自分のものをあてがった。
「ちょ、や……、め…っ!!」
彼女の制止の声は届かず、ゆっくりと中に侵入する。
「ぅ、ハッ…く……ぁ」
指とは比べ物にならない圧迫感に、久しく使われる事の無かった器官が悲鳴をあげているように感じる。
「楽に……してって、ほら…」
シーザーも少し辛そうな表情で、腰を進めながらアップルの胸に愛撫を施す。
「んっ、ぁ……ぅ、はぁ…」
途切れていた快楽がまた顔を覗かせる。芯をとろけさせるような感覚が、胸から全身へと広がっていく。
その感覚にアップルが気を取られているうちに、シーザーは再奥まで侵入を果たした。
胸の飾りを舌で転がすのは止めないまま、彼女の背中と腰を抱くように手を伸ばす。
「アップルさん…動くよ…」
「ま、待って……ふぁっ…!」
ズン、と突いたそこが飛び上がる程の快感を紡ぎ出して、ヒクッと身体が反り返った。
「ん…気持ちいい……アップルさんの中、熱いや…」
「ふぁあ!…な、何…言って…ぁ…んっ!!」
突かれる度に声が上がって、まともに喋ることも出来ずにシーザーにしがみついた。
「アップルさん……っ」
いつもの気の抜けた声とは違う、熱っぽい声が耳もとで聞こえる。
荒い息づかいと粘膜の触れ合う音がやけに大きく響く。
「シ、シーザぁ…っ…も……だめ…ぇえっ」
アップルの背がこれ以上ないくらいに反り返る。更に強く突き上げた。
「ひぁっ…あ、ああああぁぁっ…!!!!」
すっかり日は落ちて、窓の外に星が見える。
「……どうして、こんな事したの?」
そう背中越しに問いかける声は、何時も通りの音色で、それが少し痛々しく思えた。
「寂しそうだったから……」
「え?」
「アップルさんが、寂しそうだったから」
上半身をひねって振り向いたアップルの瞳を見つめる。
それは不思議そうな色をたたえて揺れていた。
「私が……寂しい?」
予想外の事を言われたような驚き方に、逆にシーザーの方が驚いてしまった。
「もしかして、自分で気付いてなかった?」
彼女はしばらく思いめぐらすような目をして、初めて気が付いたように頷いた。
「そう…私、寂しかったのね」
しみじみと言うアップルに、とうとう堪えきれなくなったシーザーは笑い出してしまった。
「ぷっ……あははは、アップルさん、鈍すぎ……!!」
「な、なによぉ」
腹を抱えて笑い出すシーザーを見て、彼女は不機嫌そうに頬を膨らませる。
ようやく笑いを押し込めて、不意にシーザーは真顔になった。
「でも…そう言う理由をつけて、ただアップルさんをああしたかっただけかもしれない…」
ごめん、と済まなさそうな顔で呟くシーザーの手を、そっと握る。
「……そんな事無いわ、きっと」
「え?」
昔、マッシュにもシュウにも言われた事を、アップルは思い出していた。
……お前は、感情を押し込めすぎだと。自分で自分の感情が分からないほどに、押し込める必要は無いのだと。
「シーザー、あなたも…」
自分を分かってくれる人が、そしてやり方は未熟でも、欠点を指摘してくれる人がここにも居たのだと、彼女は感じた。
そして微笑んだ。
「??……アップルさん?」
「ありがとう」
「は???」
自分にあんな事をされたのにお礼を言うなんて訳が分からない、と言った様子で聞き返すシーザーに、くすくす笑いでアップルは応えた。
「何なんだよ、アップルさん〜〜」
「ふふふ、秘密よ……」
くすくす笑いながら、いつしか彼女は深い眠りへと落ちていった。
(シーザーは、私を寂しくさせないでくれるかしら……?)
眠りに落ちる際にそんな事を考えたアップルの寝顔を見つめる、複雑な気分のシーザーを残したまま…
end