シーナ×メグ 著者:11様

「あーあ、皆どこ行ったのかなぁ…。
  すること無いし、ハイ・ヨーさんに何か作ってもらおっと。」
 「チョウショクハトッタバカリデス。」
奇妙な衣装を着た少女と、タル(?)が会話を交わしている。
さながらピエロを想像させる少女の服は、様々な人種が入り乱れるこの軍の中でも
極めて異色で、ピタリと連れ添うタルがさらに少女を周りから際立たせて見せている。
 「むっ。良いの!私は太らない体質なんだから!」
 「ピピピ、ケンコウジョウタイちぇっく。めぐノタイジュウ、4……」
 「ちょ、ちょっと!!」
メグはタルの、ちょうど人間でいうと口に当たる筒を塞ぐ。
そこから音を発していたため、タルが何も言えなくなる。
メグが辺りを見回す。幸いな事に、こちらに気を向けている人はいなかった。
 「もー!こんなところでヘンなこと言わないでよね!」
 「めぐのタイチョウヲキヅカッテノコトデス。
  モンクイワレルスジアイハアリマセン。」
じと…とメグはタルに視線を向ける。
しかし、タルは意に介した様子もなく(表情はわからないが)平然としている。
 「からくり丸……最近厳しくない?」
 「ダラケタセイカツヲオクルめぐがワルイノデス。」
先程からやけにトゲのある言葉がメグに浴びせられる。
タルに説教をくらう少女は、端から見るととても滑稽だ。
 「…………。」
からくり丸と呼ばれたそのタルは、足代わりの大きな車輪をキュルキュルと回して
メグの横を進む。油が少ないのか、からくり丸が前進する度にキーキーと音が鳴る。
 「……やっぱり整備し直した方が良いのかなぁ……。」
 「…………。」
以前からくり丸を整備した時、余ってしまったネジがあったのをメグは思い出していた。
最近様子がおかしいのはそれが原因かも知れない……。

ぶつぶつと整備の手順を確認しながら、メグはふと横を見た。
隣にあるはずのタルの姿が見当たらない。
からくり丸はメグの後方で止まったままだ。
 「あれ、どしたの?からくり丸……」

ぴゅ―――。

 「あ!」
からくり丸は向きを変えるや否や、一目散にその場から逃げ出した。
 「ちょっとぉー!待ちなさーーいっ!!」
メグは逃げるからくり丸をなんとか見失わないように駆け出す。
だがその距離は一向に縮まらない。
 「こらーー!からくり丸ってばーーぁ!」
ナイスなコーナリングでからくり丸が角を曲がる。
メグも急いでからくり丸の後に続こうとしたその時……。

ドシ―――――ン!!

 「きゃわ!」
 「うわっ!?」
すごい衝突音が響き、メグがその場に尻餅をつく。
何かにぶつかったようで、右腕が痛い。

前方を見ると、同じようにうずくまった男がいる。
その男は足首を押さえている。倒れた拍子に挫いたのだろうか。
 「痛てて…。誰だよ、猪みたいに突っ込んできやがって……。」
 「あ、シーナさん!大丈夫!?」
痛む右腕をさすりながらメグは立ちあがって、シーナに近づいた。
 「メグか?もっと注意してくれよなぁ……。」
シーナはつま先でトントンと地面を叩いて立ち上がる。
どうやら大事な事はないらしい。
 「ごめんなさーい………。」
メグはしゅんとして謝る。
シーナはそんな彼女の頭にポンと手を乗せて、ニッと微笑む。
 「まぁ、お詫びにお茶に誘われてくれたら許すぜ?」
 「えー?私急いでるんだけど……。」
メグは困った顔で辺りを見回した。もうからくり丸の姿は何処にも見当たらない。
 「あイタタタタ!!」
 「え?」
 「痛ぇ……足が痛ぇよぉ……メグぅ、1人じゃ部屋に戻れねぇよぉ……。」
わざとらしく足を押さえてうずくまるシーナ。
ちらちらとこちらを見やる。
メグは仮病に決まってる、とは思ったが自分のせいなのは確かなので
無下に扱う事は出来なかった。
 「もう……しょうがないなぁ………。」

 「そういやぁ、何をそんなに急いでたんだよ?」
シーナはメグの肩を借りて、ひょこひょこと歩きながら尋ねた。
 「あ、シーナさん、からくり丸見なかった?」
 「ん?あぁ、あのタルか…。あいつならスゲェ勢いで俺が歩いてきた方に行ったけど……。」
シーナとメグは自分達が歩いてきた方に目をやるが、すでにからくり丸の影も形もない。
 「なんだ、ケンカでもしたのか?」
 「あのね、からくり丸を整備してあげようと思ったらいきなり逃げ出しちゃって…。」
 「ふーん……じゃああのタルはどこかに行っちまったって訳ね……。」
シーナは笑みがこぼれそうになるところを必死に噛み殺した。
いつもはお目付け役であるからくり丸がガードしているおかげで
メグに近づく事が出来なかったが、今はいない。
絶好のチャンスが巡ってきたのだ。
シーナの頭の中が高速に回転する。どうすればメグと……。
メグはシーナに肩を貸しているが、歩きにくそうにしてはいるものの、
シーナの体重はほとんどかかってこないことから
こんな態勢をとる必要があるのかと疑問に思い始めていた。
 「ねぇ、ホントに痛いの?足。」
 「え?……おぉ、痛ぇ!は、早く俺の部屋に……!」
 「ホントにー?私からくり丸探さないと……」
 「ああぁ!だんだん痛みが酷くなってる気がするぅ!」
 「………。」
今ここで放り捨てようかとも思ったが、やはり事の責任は自分にあると感じて、
メグは溜息を吐きながらシーナの部屋に向かうのだった。

 「はい到着!」
メグはシーナをベッドに座らせ、急ぎ部屋を出ようとする。
シーナはその行動に気づき、素早く声を上げた。
 「いちちちち!メグぅ、ちょっと見てみてくれよ…。」
ベッドに上がってズボンの裾を捲くり、シーナはメグに呼びかける。
 「え〜〜、なんで私が……」
 「メグはケガ人を1人にするような薄情なヤツなのか……?」
 「う〜〜〜……。」
メグはしぶしぶベッドの傍に行き、足の状態を見る。
シーナの示す部分は赤青くなっていて、もしかすると本当に
痛みがあるのかも知れない。
 「わ、ちょっと腫れてるかも。大丈夫?シーナさん……」
少し心配になってきて、メグが患部をさする。
 「おいおい、優しくやってくれよ……そうだ、固定したいから包帯も巻いてくれないか?」
 「う、うん……やってみる……。」
シーナが教えてくれた場所から包帯を取り出し、ぐるぐると巻き始める。
あまりこういう経験はないのか、メグは包帯の巻き方に四苦八苦している。
短いスカートから、ぷくぷくした脚がにょきっと伸びている。
形の良いお尻がぷりぷりと忙しなく揺れる。
 「あれ〜、おっかしいな……。」
 (………。)

ぺろん。

 「きゃぁ!ちょっと、シーナさん!?」
シーナがスカートの裾をつまんで持ち上げた。
可愛らしい、しましまパンティが顔を出す。
 「お、可愛いの履いてんじゃん。」
素早くスカートを押さえ、メグがぷくっと頬を膨らませて怒っている。
 「もう!ヘンなことするんだったら帰るからねっ!」
 「ははは、ゴメンゴメン。ちょっとヒマだったんで、つい。」
 「……、じっとしててよね。」
メグは再び包帯を巻く作業に戻る。
シーナはこちらを向いていないメグに気づかれないように、今度はそっとスカートを捲くった。
 (良い型のお尻してんなぁ……)
 「あ、そっか!こうすれば……」
 (なんか、こう…むしゃぶりつきたい……)
 「シーナさん、もうすぐ終わるから…」

むぎゅ!

 「わひゃぁ!」
 「う〜〜ん、心地良い感触……。」
メグが振りかえると、自分のお尻に顔を押し付けたシーナが…。
 「ちょっとぉ!何やってんのよシーナさんッ!!」
最早、包帯なんかそっちのけで両手でシーナの顔を押し退けようとするが、
両太股を抱く形でなかなか振り払えない。
 「むふ〜〜、香ばしい匂い……。」
 「なッ!?に、匂い嗅がないでッッ!!」
 「なんで?」
シーナが下着の上からお尻の割れ目に沿って舌を這わす。
舌先で割れ目を何度も往復させた。
 「はわッ!?何を……っ」

べろべろべろべろりんっ。

 「うッ………、ちょっと、シーナさん!止めてよぉ……!」
シーナの舌先が、メグの決して触れられたくないであろう菊座をつんつんとノックする。
 「ダダダメ!!止めてっっ!!」
メグの制止も聞かずに、シーナは尻肉の感触を自分の頬で楽しんでいる。
 「ひん……!」
舌が自分の菊座の周りを這いずり回る異様な感覚に、抗う力が落ちていく。
メグがもうどうしようもないと、そう思った時にある考えが浮かんだ。
 「や、止めないと……大声出すよ!」
 「いいぜ、やってみなよ……恥ずかしいのはメグの方だろ?」
確かに、こんな状況は他人には見られたくない。そう、他人には。

 「よーし………からくり丸―――っっ!!」

バタ――ン!

 「めぐ、ヨビマシタカ?」
 「な!?」
間を置かずに現れたタルに、シーナが驚く。
そんなシーナを他所に、メグは溜まった怒りを爆発させた!
 「やっちゃえ――!からくり丸っ!」
 「リョウカイ」
メグの命令でからくり丸が変形していく。車輪の部分が引っ込み、長い足が生える。
伸縮自在のマジックハンドがシーナを捕まえようと左右から挟みこむ。
 「わわわっ……タンマ、タンマ!」
ケガをしているとは思えない速さで、シーナは脱兎の如く逃げ出した。

 「でも、随分来るの早かったね?」
メグはからくり丸と自分の部屋に戻る道すがら、気になっていたことを尋ねる。
呼んだ瞬間に駆けつけてくれたのは助かったが、どうも腑に落ちないのだ。
 「まさか……ずっと部屋の前に居たなんてことはないよね?」
 「………。」
無言のからくり丸がその質問を肯定していた。
感謝の気持ちが、徐々に怒りへと変わっていく。
 「何でもっと早く助けてくれないのよー!」
 「ナカノジョウキョウガワカラナカッタノデス。」
確かにドアが開いていない状態で、部屋の中を窺う事は困難なことだ。
自分もまさかあんな展開になろうとは思いもしなかったので、
今考えると男の部屋に入るのに警戒心が足りなかったかも知れない。
 「私、すごく嫌だったのに……ヘンなことされて……」
 「イヤヨイヤヨモスキノウチ」

………。

 その日1日中、2人(?)の追いかけっこは続いた……。

                   完

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