シン×テレーズ 著者:腐れSS書き様
一日の公務が終わった。
判を押し終わった書類を机の上で纏める。
やっと、グリンヒルも復興した。
前以上の活気を取り戻したのではないだろうか。
一時は完全にハイランドに制圧され、この街は壊れかかった。
しかし、争いは終わり、私は再び街に戻ってくることが出来た。
そして今、市長としてこの机に座っている。
「テレーズ様、書類のほうをお預かりしますね。」
「ええ、お願い。」
事務の女性に書類を預け、一息つく。
心地よい疲労。
やはり、私はこの仕事が好きなのだと実感する瞬間だ。
人々の笑顔を守るため。
暮らしやすい場所を提供するため。
扉をノックする音が聞こえた。
「テレーズ様。」
「其の声は…シンね。入りなさい。」
「失礼します。」
部屋に入ってきたのは、私の護衛であるシン。
褐色の肌に逞しい身体つき。
常に護衛という立場にあるため、どうしても顔つきが怖いように見えてしまう。
初めて逢った時は、怖い人だと思ってしまった。
しかし、時が経つに連れ、彼がとても真面目で、優しい人だということが解った。
「シン、何か用でしょうか?」
私の問いに、シンは少し困った顔をする。
「…シン?」
「テレーズ様。グリンヒルも復興致しました。街は昔以上に賑わってます。」
「…ええ。」
「争いも終わりました。」
「…そうね。」
「私は、此処を離れて、修行の旅に出ようと思っています。」
一瞬、何が起こったか私にはわからなかった。
唯、シンの口から零れた言葉が、私の脳内を支配してしまったことだけは解った。
「ど、どういうこと!?シン!」
「二度と、此処に戻ってくる気もありません。明朝、此処を発ちます。」
「貴方は私の護衛じゃない!私を置いて何処へ行くというの!?」
既に、私にシンの声は届いていない。
自分の気持ちを口に出すことでいっぱいいっぱいだった。
安心していた。
シンは私の護衛だからと。
何処にも行くことはないと。
何の確証も無いのに。
「テレーズ様。申し訳ありません。」
「嫌よ、行かないで!」
いつもの落ち着いた私など、何処にも居ない。
『シンと離れたくない。』
それだけが、心を支配していた。
シンに駆け寄り、服を掴む。
「嫌よ…何処にも行かないで…。」
「テレーズ様…。」
戦いの中で、私はシンを好きだと気付いた。
けれど、打ち明けることは出来ない。
きっと、シンはとりあってくれないだろう。
『私は護衛ですから』
としか、言ってはくれないだろう。
だから、隠してきた。
傍に居るだけでも良い。
きっと、シンは護衛としてずっと傍に居てくれるだろうから。
近くで感じられれば、それで良かった。
けれど。
「…申し訳ありません、テレーズ様。」
真っ直ぐと、私の瞳を見つめたまま、シンは言い放った。
「私は、此処を出ます。護衛は、他の方に頼んであります。」
「何故…理由を教えてください…。」
服を離し、シンを見上げる。
「これ以上、貴方の傍に居られません。」
普段、寡黙なシンがぽつぽつと語り始めた。
「…市長である、テレーズ様のことを愛していると云えましょうか。
私は護衛。貴方を守る立場の者です。
汚してはならない。
だから、私は去ります。二度と、貴方の目の届かぬ所に。」
市長であるから。
護衛であるから。
普通の女性であれば、彼と幸せになることは容易いだろう。
しかし、私が市民を捨てられるか。
市長という荷を、簡単に捨てられるだろうか。
そのことを、彼はきっと考えてくれたのだろう…。
頬に熱いものが走る。
涙が零れ落ちていたのだ。
「テレーズ様…?」
「頼みがあります。」
伝う涙を拭うこともなく、私は言葉を続けた。
「去るというのなら、最後に…私を、抱いてください。」
シンが驚いた表情を見せる。
当たり前だろう。
けれど。
「最後の願いです…。シン。私も、貴方を愛してました。
きっと、誰よりも。
けれど、私は市長であり、市民を捨てる事はできません。
だから……お願いです。」
お互いに愛していても。
決して結ばれることは無い。
解っていても、願ってしまうのだ。
「テレーズ様…。」
ぎゅう、とシンが私の身体を抱きしめる。
こうなることを祈っていた。
例え、それが一夜限りの夢であっても。
市庁舎の窓からは、月が見える。
「こ、此処で、ですか?」
「ええ。」
流石のシンも焦りを隠せないようだ。
「…解りました。」
ひょい、とシンが私を抱きかかえる。
私を机に座らせ、目の高さを同じにした。
小さなキス。長いキス。
舌を絡め、唇を塞ぐ。
「あふ…シン……。」
「テレーズ様…。」
うわ言のように繰り返される相手の名。
ぴちゃ、と卑猥な音が響いた。
胸を服の上から弄られ、声が漏れる。
シンは寡黙に続けていた。
「んっふ…シン、服の上からじゃ嫌…。」
私は耐え切れずに、自ら服を脱ぎだす。
服を脱ぎ捨て、下着をも脱ぎ捨てる。
「お、お嬢様…?」
「お嬢様も、テレーズ様もやめて。今の私は、何でもない唯のテレーズよ。」
シンのターバンを手で解いてゆく。
「貴方も、唯のシン。」
「…はい。」
裸体となった私の身体に、シンが舌を這わす。
「はぁ…う。」
段々と息が荒くなってしまう。
「テレーズ様…綺麗ですよ。」
「シン…。」
乳房を持ち上げられ、丹念に頂点を舐め上げる。
それだけでもおかしくなりそうなのに、もう片方の手で、露になった陰部を玩ぶ。
「ああっ!!!」
身体が跳ね上がるような感覚に耐えながら、シンにしがみついていた。
肉芽を指で弾かれる度に、びくん、と身体が跳ねる。
いつの間にか、蜜壷から愛液が溢れ出していた。
「あ、もう、駄目…シン、お願い…。」
「どうして欲しいのですか…?」
「……此処を舐めて…。」
胸を触っていた片方の手を取り、陰部に持ってゆく。
「わかりました。」
卑猥な音が部屋中に響く。
ちゅぶ、と啜る音が私の耳にも届いている。
「あはぁ…っ…。」
肉芽を指で弄られ、舌で中を犯される。
狂いそうなのを必死で堪えていた。
ふと、窓に映る自分の姿が見えた。
机の上で脚を広げ、シンに跪かせている淫乱な姿。
まるで私で無いようで。
けれど、これが唯の私。
市長でも、護衛されるお嬢様でも無い。
『女』の私。
「シン…もういいわ…。貴方が欲しいの…。」
「はい…。」
シンも全てを脱ぎ捨て、全てを露にした。
「凄い…こんなに大きくなってる。」
そっと手を伸ばすと、シンの身体がビクンと跳ね上がった。
先からは蜜が零れている。
「シン。其の椅子に座りなさい。」
「テレーズ様?」
「いいから。」
云われたとおり、シンは椅子に座る。
私は机から降りて、シンの前に立つ。
足をゆっくり開き、シンの上に跨り…
ずぶっ。
「うぐっ…!!」
「あはぁっ…すご…。」
「て、テレーズ様………!?」
シンが唖然としていた。
まさか、私から入れてしまうとは思わなかったのだろう。
「初めて見たわ、シンのそんなに驚いた顔。」
勝ち誇った気分だった。
「…。」
「お得意のだんまり、ですね。」
くすくすと私が笑う。
正面から彼を見据えることは少ない。
沈黙を守るかれに、小さくキスをした。
繋がったまま。
そのまま、舌を捩じ込む。
ぴちゃぴちゃと音が鳴るのも、全て構わない。
私の全てを貴方にあげたい。
腰を動かし、シンの全てを感じる。
「あぁ…ふあっ…シン…!」
「う…テレーズ様…。」
一度シンは、己のモノを抜き、私に後ろを向かせた。
机に寄りかかる私に、後ろからシンが貫いてきた。
「あぁぁぁぁんっ!」
「凄いですよ…テレーズ様の中…締め付けてくる…。」
「いや、あ、そんな事云わないでぇっ!」
シンが腰を動かす度に、奥の奥まで突かれている気分になる。
足の先から、快感が上がってきている。
直ぐにでもイってしまいそうだ。
「愛していますよ…テレーズ様。」
カリッ、と左手で肉芽を引っかかれた。
そのまま、ぐりぐりと弄り始める。
「あぁぁ…もう、駄目ぇっ!」
ビクン、と私の身体が痙攣を起こした。
「うっ!」
小さく呻き声を上げ、シンが私の中に熱い飛沫を放った。
とろとろ、と逆流してくる白い蜜。
だけど、私たちは繋がったまま、離れようとしなかった。
そのまま、何度も愛し合い、私の記憶が途切れるまで、夜は続いた。
明朝、目を覚ました時に、シンは居なくなっていた。
そして、私はいつの間にか、自分のベッドの中に居た。
多分、シンのことだ。
運んでくれたのだろう…。
愛していた。
お互い、愛し合った。
シンと、私と。
枕を抱え、声を殺して泣いた。
彼を愛していた分。
けれど、私は市長であることを選んだ。
シンもそれを願っていた。
だから、私はこれからもグリンヒルを守ってゆく。
それが、私たちの愛だから。
たとえ二度と逢えなくても…。