ソニア×坊 著者:11様
備え付けられている急造のテーブルの上に小さな兜がそっと置かれた。
それはとても小さな物であったが、装備者にとっては十分の大きさだ。
兜を脱いだその中から、そう…例えるなら黄金色の砂金を散りばめられた
小川のような煌きを持つ、見事な長髪が苦しそうに溢れ出す。
激しい戦場となったこの地も、日が暮れて見事な満月を映し出している今だけは
お互いの軍の兵達につかの間の休息をもたらしていた。
「ふぅ……。」
薄く濡れた唇から、安堵の溜息が漏れる。
その端正な顔立ちは、テント内のランプの灯りでオレンジ色に染まり、
普段にも増して美麗な輝きを帯びていた。
鎧を脱いだ今だからこそ判る、その細くしなやかな身体。
赤の短いスカートから覗く脚線美は、他の誰の追随を許さないほど見事だ。
帝国の水軍頭領だった時の頭の切れ、統率力は解放軍でも遺憾なく発揮され
今や寝返ったこの軍の中でも十分な信頼を得ている。
元頭領だった母・キラウェアを凌ぐほどのカリスマ性。
我が子のこれほどに成長した姿を見れば、例え地獄に逝ようとも
笑顔がこぼれない親はいるはずがない。
簡易ベッドに腰をかけ、彼女はゆっくりと項を垂れた。
「とうとうグレッグミンスターまで来てしまった……。
バルバロッサ様、私はどうすれば……。」
成り行きとは言え、かつて忠誠を誓った主に剣を向ける事には戸惑いを隠せない。
そして彼女には帝国を敵にまわす事に抵抗する、より大きな理由が存在していた。
「……テオ様……」
今は亡き想い人の名前。
この世から去ってしまった今でも、その人の事を考えぬ夜はなかった。
今日も彼の人を思い出し、熱く火照る身体を押さえつつ涙で枕を濡らすのだろう。
一層激しくなるであろう最終決戦を前に、彼女が眠りに就こうした時。
「あの…」
テントの外から、遠慮がちな声が聞こえた。
彼女は目尻を軽く拭ってから、ベッドから腰を上げて入り口へ向かう。
そこには彼女が忌み嫌う少年の姿があった。
緑のバンダナ。赤い胴着。
彼こそ、愛する人をあの世へ送った張本人。
例えあの人の血を引いていたとしても彼女から彼を奪ったのは目の前の人物なのだ。
「ソニアさん……少し、お話したんですけど。」
こんな夜分に男性が年頃の女性の寝床を訪れるのは問題あるように思われるが
この少年には当てはまらないだろう。彼はこの解放軍のリーダーなのだから。
「………入れ。」
ソニアと呼ばれた女性は、彼をテントの中へと招き入れる。
少年は少し躊躇いを見せたが、周りに気づかれないようその後についてサッと
テントの中に潜り込んだ。
「……、何の用だ。」
低く、くぐもった声。
ソニアはまだ少年の顔を見る事ができずにいる。
彼の顔を見れば、堪え切れない憎悪が自分の身体を支配するだろう。
リーダーとして軍の先頭に立って戦う少年の姿は、
かつて同じ立場だったソニアの瞳にさえ凛々しく映って見えた。
だがその姿は帝国五将軍だったあの人を思い出させる。
あの人も必ず先頭に立って軍を指揮していた……。
それを考えるとソニアの感情はテオを奪われた憤りと
やりきれない悲しみに支配されるのだった。
「ソニアさん、バルバロッサはもう目の前です。
僕らは今以上に結束を固めて戦いに望まなければいけない。」
少年の口から紡ぎ出される言葉はハキハキとしてリーダーの威厳を十分に感じさせるものだった。
ソニアは彼の顔を見れないまま、その言葉に耳を傾ける。
「……ソニアさんは、まだ僕を許してくれないんでしょうか?」
わずかに憂いを帯びた瞳。
だがそれは年相応に無邪気な、まるで親に叱られて反省しているような瞳だった。
「父さんとは互いに譲れないもののために戦いました。
僕は僕を信じて戦ってくれている人のため……父さんは帝国への忠誠のため。
道は違いましたが、僕は今でも自分の信念を貫いた父さんを尊敬しています……。」
テオの顔はとても安らかだったという。
我が息子といえど自分の前に立ちふさがる者は敵になる。
自分の力を上回った息子を見た時、彼は親として至福の感情に包まれていたのだろう。
「ソニアさん……僕の目を見てください。」
きちんと気持ちを伝えるため、少年は彼女の後姿に語りかけた。
「見てください!!」
ソニアの肩に手をかけて、強引にこちらを向かせる。
「……。」
「ソニアさん……。」
彼女の目尻に涙を見つけ、少年は黙ってしまう。
その涙はテント内のランプの光りを含んで宝石のように光っているように見えた。
少年はそんな彼女の両肩に手を置いて、そっと抱きしめる。
「辛い時は、泣いても良いんです。その方が後に残らないから…」
「ティル……」
背は若干ソニアの方が高い。
ソニアは少年の肩に顔を乗せて、声を殺して泣き出した。
押しつぶされそうなこの気持ちを、誰かに受け止めて欲しかった。
ティルは彼女の背に手をまわし、そっと抱きしめた。
ソニアの胸が、ティルの胸に当たる。そのふくよかな感触にティルはいささか戸惑いながら、
彼女の気の済むまで立ち尽くしていた。
どれくらい時が過ぎただろう。
ソニアの腕が何時の間にかティルの背に回って2人の距離が密着してから
ティルは離れる事もできず、引き際を探り続けていた。
(参ったな……)
彼女の背を摩ってあげながらティルはどうしたら良いか判らず、どうしたものかと考えていた。
「……ティル……」
「……?何ですか?」
ちゅ……。
それは突然のキスだった。
彼女の顔がティルの肩から上がると同時に、ティルは唇を奪われたのだ。
「!?」
「私を……受け入れてはくれないか?」
「え……?」
ソニアの潤んだ瞳が彼の動揺する心を射抜くように見つめる。
よちよちと歩き、簡易ベッドにティルを押し倒すと、ソニアは彼の首筋に吸いついた。
「ソ、ソニアさん!?何を……!」
「私は弱い女だ……男に寄りかかると、もう1人で立てなくなる……」
ティルと指を絡ませあい、より濃厚なキスの雨を降らしていく。
美麗な顔はほのかに赤らみ、そこはかとない色っぽさを醸し出している。
「今だけでいい……テオ様を忘れさせて……ティル……。」
そう言って、ごそごそとティルのズボンをまさぐる。
まだ柔らかい彼のモノを指で捕らえながら、ソニアはそれを外気に晒した。
まだ大人になりきれない可愛らしいモノに口を近づけると、ソニアはそっと自らの口腔に含んだ。
「あっ……あ!」
生温い、形容し難い感覚に、ティルは身を縮こまらせる。
「んふん……ずぶ、ぢゅる……、はっぷ・……っふ」
愛おしそうにそれを見つめながら、ソニアは初心者にはハードなディープスロートを繰り返した。
「ティル……大きくなってきた。気持ち良いのか……?」
「ソ、ソニアさん、止めてください……!」
制止を聞かず、ソニアはペニスを口に含んでそのまま刺激を与え続ける。
唾液で濡れた艶かしい舌で裏筋を舐め上げると、ティルのモノは嬉しそうに反応する。
「ふふふ、元気だな……」
「うっ…あぁ!」
亀頭をパクリと咥えるや否や、ソニアは急激な吸引をを始めた。
唇の隙間から、唾液とペニスをすする卑猥な音がテント中に響く。
「ソ、ソニアさん……駄目ですっ!」
「ん、ぅぅっ、はぁ、ぷっちゅ……ちゅ、ちゅ、ちゅ」
「で、出るっ!」
そう言うと同時にティルのペニスがソニアの口の中で大きく跳ね、
割れ目から生臭い精液を発射した。
ソニアは何の躊躇もなく大量に吐き出された精液を全て飲み干すと、
下着をスルリと下ろして、全く固さを失わないティルのモノを自分の秘裂に当てがった。
「いいだろ……?」
「そ、そんな!ソニアさん、それは…!」
ティルが言い終わらない内に、ソニアはゆっくりと腰を降ろし始めた。
ジュプっと淫水とモノが絡み合う音をさせて、ソニアはティルを受け入れていく。
「く……ぁ!」
「はッ……、この感じ…!あっん、すごい、久しぶり……!」
久方ぶりの肉棒の味に、ソニアは大きく身体を震わせた。
初めての女性に、ティルはうめく事しかできない。
ちょっとでも油断すれば、すぐさま欲望を吸い取られてしまいそうだった。
ソニアは快楽を追い求め。自ら腰を動かし始める。
「うぅん……!硬い……、はぁッ、ティル、硬い……!!」
「う、動かないでください!くっ……う!」
ソニアは前屈みになってティルの胸に手をつくと、腰を回転させて彼のペニスを味わう。
絡みついてくる肉襞に、ティルのモノは爆発寸前だ。
「すごい……すっ……ごいっ!!ティルが私の中で、暴れてる……!」
その腰の動きは次第に激しさを増していく。
ティルの上でソニアが動く度に、彼女の美しい金髪が乱れ咲く。
それは水面から飛び立たんとする白鳥の羽のような大きく広がり、
ティルを幻想的な気持ちにさせた。
「ソニアさん……!」
このまま果てるぐらいならと、ティルは意を決して下から彼女を突き上げる。
その動きに合わせて、ソニアも自分の腰を振る。
それは手馴れた様子で、彼女の経験の豊富さを認識させた。
「あぁッは!!ティル、激しい……!もっとして!もっと……ッッ!!」
ティルは彼女の肉付きの良い尻を掴むと、限界を超えてもいいと言わんばかりに
突き上げ始めた。それは不慣れな動きであったが、
ソニアの動きがそれをカバーして2人を絶頂へと導く。
「あぁ、ダメ!私、イッ………ィ!ああぁぁ!!はッ………ィ、イクゥッッ!ッッッ!!!」
「ん!」
急激な収縮に襲われ、ティルはその欲望の塊を余すこと無くソニアの膣内に吐き出した。
ソニアの中が、ティルの液で満たされていく。
「あぁ………っは………」
心地良い虚脱感に覆われ、ソニアはティルの胸に崩れ落ちた。
うっすらと汗を纏った鮮やかな金髪が2人を包み込む。
まだ厚みはさほどではないが、男の胸は女に安心を与えるものだ。
ソニアはティルの胸に指を這わせながら、情事の余韻を楽しんだ。
「母さん………」
それは誰に聞かせるともなくティルの口からでた言葉。
だがソニアはその言葉を耳にした途端、涙が溢れ出すのを留める事が出来なかった。
もう枯れ果てたと思っていた涙が、止めどなく流れる。
テオが生きていれば、そうなる可能性もあったのだ。
ティルの母として、この子に戦争など教える事なく育てる事もできただろう。
今となってはそれもただの夢物語。
テオはすでにこの世から去り、自分はこうして目の前の少年と
『男女の交わり』を持ってしまったからだ。
ソニアは目の前の『男』の胸で、止まる事の出来なかった自分を悔いるのだった。
完