タル×アメリア「夜明け前」 著者:5_882様

〜夜明け前〜

 本日もスノウに面会を拒まれ、「前団長殺害事件」の再捜査願いは受け取ってもらえなかった。
二重の意味でしょんぼりとするジュエルを何時もの調子でからかい、適度に空気を抜いてから、女子宿舎の前で別れる。
…ジュエルの前では何時も通りに振る舞っていたが、正直なところタルは疲れきっていた。無視してしまえばよいのだが、嫌でも耳に入る悪意に満ちた声なき声。
「団長殺し」で流刑になったフォーの無実を信じている人間もいれば、そうでない者もいるのだから仕方のないことだが、それなりにある神経を磨り減らされるような毎日だった。
騎士団の中になるべくいたくないから、門限ぎりぎりまで街をぶらつき、宿舎に戻ってさっさと寝るのが最近のパターンだった。
私服に護身用の剣を佩いただけの軽装で街をぶらつく。海賊による襲撃からは立ち直りつつあるが、まだどこか不安漂う町。
あえて裏通りを通って、不審なやつがいないかと目を凝らす。最近の海賊は巧妙だ。何処から忍び寄り、全てを欲しいままにするか分からない。
―などと珍しく真剣に考える間もなく、路地に響く剣戟の音と複数の足音。反射的に駆け出した先には、3人がかりで1人の剣士を襲っているごろつきらしき男達。
「くっ…!!」
わずかなうめきから、剣士が女性であるのが分かった。―どちらに加勢するべきかは、即座に決定された。
「右に引け!!」
全力疾走しながら叫び、彼女の体が自分の思惑通りに動いたのを見てから、一番右端の男に背後から飛び蹴りを食らわせる。
額と顎をしたたかに石畳に打ち付け、まずは一人目が落ちた。驚愕して振り向いた真ん中の男の顔面に裏拳を叩き込み、ついでに足払いをかけた。
あっけなく二人目も戦闘不能に。後頭部から落ちて、ひくひくと軽く痙攣している。
「う…うわあっ!!」
自棄になって斬りかかって来た最後の一人を、鞘ごと振り上げた剣で軽くいなす。剣の柄で胴に一撃食らわせると、あっけなくその場にくずおれた。
「…なんだ、案外あっけねえな。もうちっと根性があるかと思ったんだが」
ほうほうの体で逃げ出す3人組を見送り、まだ暴れ足りないとでも言うように腕を振る。

245 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:31:20 ID:57cpTihi
「女一人に三人がかりで寄って集ってる時点でそんなものないわよ」
かつかつと硬い音を響かせ、襲われていた方の女性がタルに近づいてきた。薄暗い町の明かりに照らされたその顔は―めったにお目にかかれないような美人だった。
鋭く輝く瞳と、柔らかそうな唇が印象に残る顔立ち。夜目に見ても分かるしなやかでなまめかしい体躯。全身から発散されているかのような匂い立つ色香。
思わずごくりと唾を飲む。自分の気まぐれとあのごろつきたちに今だけは乾杯、こんな美人と知り合えたのだから。
「ありがと、助かったわ。この街、まだ来たばっかりで迷っちゃって」
色っぽい唇がふわりと笑みを形作る。思わずしばし見とれてから、我に返って咳払い。
「あ…おう。こっちの道はあんま良くないから、宿まで送る」
「ええっ? そんなつれない事言いっこなし。お礼に何かおごらせてよ、ね?」
無邪気にこっちにすり寄り、少々強引に腕が絡まる。むにゅ、と腕に豊かな胸の感触が伝わり、全身とごく一部分が硬直する。
「そ、そそ、そんな気使わなくていいって。困ってる奴を助けるのは当然のことで…」
「それじゃあ、今困ってるから助けて。恩人と一緒に食事したいのに、相手が素直に受け入れてくれないの」
拗ねた口調でこっちに視線を投げかけてくる彼女。…美人にそんな表情をされると、なんだかとても悪いことをしている気になってしまう。
「…そいつは大変だ。この俺で良ければ、ご一緒させて頂きます」
「よかった。この街の人なんだから、美味しいお店知ってるよね? 案内よろしく」
満足そうに頭を腕にもたせかけてくる。その仕草にまた、動悸がだんだん激しくなり、なんだか顔まで熱くなる。
―この人には勝てない気がする。何故か、脳裏をそんな予感がよぎった。

 女剣士はアメリアと名乗った。自分の腕一つで各地を渡り歩いてきた傭兵だそうだ。つい先日ミドルポートまでの商船の護衛を終え、そのついでにこちらに立ち寄ったらしい。
「海賊が来る、って言うからお仕事の口があるかと思ったんだけど。うかつだったわ…名高いガイエン海上騎士団のお膝元なんだから、あたしの出る幕なんかないわよね」
「…そうでもないかもな、これからは」呟いてから、不思議そうな彼女の視線を感じて酒を呷った。

246 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:32:48 ID:57cpTihi
「つい最近団長が交代した、って話は聞いたけど…新しい人、そんなに頼りないの?」
「俺の同期で、ここの領主の息子。正式に騎士団員になったのはついこの間」
「……それはそれは。随分とお速い出世で何よりね」ほんの少し皮肉げにアメリアが呟く。
「決して悪い奴じゃないし、能力もないわけじゃねえんだけどな…色々やらかしたから、いい感情持ってない奴もいるんだ」
「それは、彼が自分でどうにかするしかないわね。…心配なのは分かるけど、余計な苦労まで背負い込んじゃうと体に悪いわよ?」
おどけた口調で忠告してから、タルのより小さ目の酒盃を呷る。顎から首筋、胸元にかけての滑らかなラインに思わず見とれていると―
「そういえば噂で、領主の息子さんよりお付きの子のほうがよっぽど出来が良かったって聞いたわ。どんな子なの?」
―思わぬ方向から発せられた質問に胸が詰まり、言葉が出てこなくなった。黙りこくってしまったタルの顔を、心配そうに彼女が覗き込む。
「…何か、悪いこと聞いたかな。ごめん」
「……いや、そういうわけじゃねえんだ……」
目の前にいる彼女の肩に額をつけて、やっと一言そう答えた。そして、今までのことをぽつりぽつりと語り始める。
彼と出会ったときの事、訓練生時代のこと、卒業実習航海のこと。卒業式の日の事、彼がスノウの代わりに指揮をとって海賊を退けたこと、―そして、グレン団長が死んだ日の事。
アメリアは突然の行動にも驚くことなく、ただ静かにタルの言葉を聞いていた。彼女の柔らかな手は、労わるように逞しい背中を撫で続ける。その手に勇気付けられるように、タルは『告白』を続けた。
彼に容疑がかかり、助命嘆願や再調査願いを申し出ても拒否されつづけた日々。
今まで仲間だったはずの人間による、誤解と憶測と嫉妬から生まれた悪意ある言葉の数々。
『罪人の親友』である自分達への白い目、流刑が決定されたときの絶望感と無力感。勇気ある決断をした親友達への心からの賞賛と憂い。
初対面の人間なのに、言葉が溢れて止まらない。静かに受け止めてくれる彼女の暖かさが、とても心地よかった。
誰かに聞いて欲しかった、自分の親友がどんなにすごい奴なのかを。少しでも多くの人に知って欲しかった、あいつが恩人を手にかけるような人間でないことを。
『告白』を終え、ゆっくり顔を上げると、静かに微笑む彼女がいた。す、とタルの頬を白い掌が撫でる。

247 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:34:08 ID:57cpTihi
「話したら、少しは落ち着いた? …いい友達だったのね」
「……ああ。その、…いきなりこんなこと話したりして悪かった」
「そんなときもあるんじゃない? それに、あなたが元気になれるなら、肩でも胸でもどこでも貸すわよ」
言うが早いか上着がずらされ、細い首筋と華奢な肩が露になる。胸の下で手を組んで、豊かな胸を軽く持ち上げてアピール。
「なっ…! やめろよ、他の奴に見られるだろ…!!」
慌てて上着を元の位置に修正。思いもかけない反応だったらしく、アメリアは一瞬きょとんとしてから一言。
「…それじゃ、他の人が見てない所ならいいの?」
確か同い年のはずなのに、随分と琥惑的な表情を浮かべて顔を近づけてくる。そのまま抱き寄せて、キスの一つもしてみたい衝動に駆られたがぐっと堪えて。
「あ、いや、そういう問題じゃ…俺ら、まださっき知り合ったばかりでそういう方向に踏み込むのはどうかと…」
「時間なんて関係ない。大切なのは、今どうしたいか。…あなたはこれからどうしたいの? タル」
自分の名を呼ぶ声が甘く耳に響く。―どうしたいか? そんなの決まってる。ここまできて、自分だけ素直になろうとしないなんて男が廃る。
そっと彼女の細い顎を取り、喧騒の中で二人の顔が一瞬重なる。思った以上に、彼女の唇は柔らかで暖かだった。
「…こうしたい。あわよくばこれ以上のことも。その…自分でも信じられねえんだが、どうやら一目ぼれって奴みたいだ」
真っ赤になりつつもしっかりと告げるべきことを告げると、アメリアは心底嬉しそうに笑った。
「あたしもよ。…さっき助けてもらって、すごく嬉しかった。もっとあなたのこと、教えてくれる?」
「大した中身は詰まってないが、それでよければ幾らでも。食いきれなくても返品はなしな」
「……ばか。そっちこそ、残さずきちんと食べてね?」耳元で悪戯っぽく囁かれ、軽く耳朶を噛まれた。
「勿論! こんなご馳走、残したらバチが当たる…」もう一度、今度はさっきより深く口付けようとして、するりとアメリアに逃げられた。
「…続きは、みんなの見てないところで。行きましょ」ウインクを一つ投げかけて、さっさと代金の精算をはじめる彼女。
抱き寄せようと思った手でそのまま頭を掻きつつ、「…かなわねえなあ…」と負け惜しみのようにタルは呟いた。

248 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:35:28 ID:57cpTihi
 部屋に入るとすぐに、今度はアメリアから深く口付けられた。入り込んできた舌を絡めあって、これ以上ないくらいにきつく抱き合う。
激しいキスを続けながら、一つしかないベッドにそっと押し倒す。今までに味わったことのない、最高に甘い唇。一晩中でも味わっていたかったが、さすがに息が続かなくて一旦離す。
互いの唇を結ぶ唾液の糸。目の前には、熱っぽく潤むアメリアの瞳。理性の箍が一つ飛んで、上着を掻き分けてうっすら透けるシャツの上から胸の頂点に吸い付いた。
「ひゃ、や…待って、上…脱ぐから…」
「待てねえ」乳房を無骨な手で包み、ふにゅふにゅと形を変えてゆく。乳首はそっと指で撫で、焦らすように小さな刺激を積み重ねてゆく。
快感を求めてしっかりと立ち上がったところで、再びちゅ、と吸い上げる。快感ともどかしさに喘ぐ彼女の姿は、普段にも増して色っぽい。
「んん、ふぁ、あ、ね…はやく…服、脱ご…?」
タルの体の下で、もがきながらどうにか服を脱ごうとするアメリア。その両手首をまとめて掴んで、抵抗できないようにベッドに押し付ける。
空いた片手でシャツをめくり上げ、今度は直に乳房に口付ける。汗と共に立ち上る体香には、うっすらと薔薇の香りが混じっていた。
「…香水かなんか、つけてんのか?」白い肌のあちこちに薄赤い跡を残しながら、タルは尋ねた。
「う、ん…ちょっとだけね。あんまり、たくさん、つけられない、んっ! ん、だけど…」
「そっか。これくらいの方が俺は好きだけどな」
一番触れて欲しそうな部分はわざと外して、手と口でじっくりと双丘に愛撫を加える。逃げられない彼女は、更にもどかしそうに身をよじり、長いため息が次々に口から漏れる。
「ん、ね、ねぇ…はやく、もぉ、焦らさないで…」
肌の色はほんのりと朱に染まり、淫らに潤んだ瞳が懇願するようにタルに向けられる。まだまだとばかりにじっくりを愛撫を続行し、何度も身をよじらせる。
固く尖る胸の頂点の側をじっくりと攻め、不意をついてそっと口に含んだ。唇と舌先で柔らかく刺激して、もう片方も指先で擦りあげる。
軽く体が跳ね、喘ぐ声にも悲鳴が混じる。求めていたものを得られた快感に、彼女の体は震えていた。

249 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:36:38 ID:57cpTihi
「ぁあ、やぁ、ね、タル…裸に、して…」
そこでやっと手首を開放して、快感に喘ぐ彼女の服を脱がせにかかる。上着と、シャツと、ベルトと、ストッキングとショートパンツ。
そして、予想に違わぬ装飾と魅力満載の黒い下着もそっと脱がして…。
「こんな下着で、腹冷やさないのか?」冷たい光沢を放つシルクと、凝った意匠のレースを使った麗しき高級下着も、彼にかかればこの評価。
「……そういう問題なんだ……。いつ命を落とすか分からないから、見えない所にも気を使わないとね」
その言葉に一瞬タルの手が止まる。思わずまじまじと彼女の顔を見詰め、視線に気づいたアメリアが淡々と言葉を継ぐ。
「自棄になってるわけじゃなくて、それがあたしの信条だから。何が起こるかわかんない仕事だから、常に綺麗にしておきたいの」
軽く起き上がって、戸惑い気味の彼の頬に口付ける。安心してと言うかのように笑みを湛えて、タルの胸に頭を預けてから―
「もう。あたしばっかり裸にしてずるい! タルも早く脱ぐ!」
彼の脇腹に手を這わせながら、大きなシャツを一気に脱がせる。くすぐったい不意打ちを食らって、思わずベッドに倒れこむと腰のベルトも取られた。
「だぁっ、おまえ、くすぐったいのは反則だろ―!!」
「さっきのお返し。…ふうん、もうこんなになってるんだ…」
悪戦苦闘しつつもズボンを脱がされ、下着の上からしっかりと固くなった部分にそっと触れられた。彼女の吐息を下腹に感じて、色んな意味で盛り上がる己が分身。
「し、仕方ねえだろ! 男なんだからよ…」ほっそりとした指先で、何度も何度もアメリアはタルのものの形をなぞる。その刺激でまた、否応なく硬度が増すのが分かる。
「ん―、元気がなにより、よね。こっちは素直で可愛いんだから」
最後の一枚もあっさり脱がされて、『元気』な息子の頭をよしよしとばかりに撫でられた。独特のぬるり、とした感触が快感に変換されて背筋を駆け抜ける。
反射的に前かがみの体勢になったタルを面白そうに見つめ、掌で撫でるのを続ける。先走りの液が後から後から湧いてくるので、滑らかさが失われることはない。
ますます腰が引けてゆくのにかまわず、今度は彼の分身を豊かな胸で挟み込んで思う存分弄ぶ。怒張を根元から柔らかく乳房でこすり上げ、舌と唇でねちねちと亀頭部分を集中攻撃。

250 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:38:15 ID:57cpTihi
己の眼前で展開される淫靡な光景に、タルの理性の箍がまた2・3個まとめて弾けとぶ。胸による柔らかな快感と、先端から来るねっとりとした快感のダブルパンチのせいで、さっそくタルに限界が近づいていた。
「…ぁ、やべ、も、出る…」
「…いいよ。我慢しちゃ駄目。…ね?」
タルの先端を咥えたまま、上目遣いでうっとりと微笑む。その表情に激しく感じてしまい、あえなく彼は頂点に達する。
「んっ…! んん…」アメリアの口の中に、どくどくと勢いよく注ぎ込まれる白濁液。一段落するまで自由にさせてから、彼女は未だ元気なものをきれいに舐め上げ、口内の物を飲み下した。
「ふう…結構溜まってた?」あっけらかんと聞くアメリアに、なんだか妙に脱力感を覚えて。
「……あのな……そんなに普通に聞くなよ……ったく」
照れ隠しに再び彼女にのしかかり、抵抗するのにかまわず大きく脚を開かせる。…思った通り、彼女の秘所はとろとろに潤んでいた。
「ここはまだ何にもしてなかったよな? なんでこんなに…」言いながら、赤く色づいたそこをそっと撫でる。「なってんだ?」
「ぁんっ!」短い喘ぎと共に、大きく体が跳ねる。その反応ににんまりとして、指を何度も往復させる。
こりこりと硬くなった部分を探り当てて指の腹で撫で、何かを待ち望んでひくひくし続ける入口にちゅくちゅくと指を浅く出入りさせる。
無骨な指が秘所の中を動くたびに、甘い嬌声がタルの耳を打つ。その声に興奮して、ますます攻撃の手が激しくなる。
二本の太い指が固く尖る秘豆と膣内の至る部分を刺激すれば、快感の蜜は指を伝って掌までびしょびしょに濡らしてゆく。
白く細い手は、シーツを握り締めて細かく震えている。彼女の喉から出るのは、余裕を無くした悲鳴のような喘ぎのみ。
―そろそろか。愛液のとめどなく溢れつづける入口に、固くなった彼自身をあてがう。ぐい、と腰を進めるとあっという間に彼の分身の全てが彼女の体に呑み込まれ、しなやかな腕が彼の背中で交差する。
「はぁ、ぁん……!」
感極まったかのような叫びと共に彼女の体が軽くのけぞり、優雅に伸びた足がぴんと張り、膣口がきゅっと締まった。
じゅくじゅくと豊富な潤みを得た内壁は絶え間なく快感を彼自身と彼女に伝え、二人はすぐに頂点に達しないように耐えるので精一杯だった。

251 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:41:21 ID:57cpTihi
挿入時の快感がひとまず収まった所で、腰がゆっくりと前後に動き出した。抜き差しがされるたびに、加速度的に快感が高まってゆく。
「や、は、あ、あぁん、あ、ああ…すご、い…」
「おれも、だ…なんで、こんな、…くっ!」
一つになれた、という精神的な究極の快感の中、二人の体は肉体的な快楽を求めて絶えず動いていた。―もっと側にいたくて、もっと気持ちよくなって欲しくて、もっと、もっと、もっと自分を感じて欲しくて。
互いの手は相手の体を強く抱き締め、肉感的な脚はタルの腰を絡めとって離そうとしない。つながったままの腰は深く強く彼女を抉りつづけ、気持ち良さに喘ぎ続ける唇をやんわりとふさぐ。
上下の唇から、粘度は違えどぴちゃりくちゅりといやらしい音が絶えず漏れ、寝台のきしむ音を伴奏に部屋中が淫らな旋律で一杯になる。度々混じる嬌声がアクセントになって、快楽の炎は燃えつづけるばかり。
燃えるような快感のままに抜き差しを速め、自分の下で淫らに乱れる彼女の姿態にまた自分の固さが増してゆく。
―もっと側で、彼女を感じたい。激しい快感に仰け反り続けるアメリアの体が、両腕で力任せに起こされる。一旦蜜壷から剛直が抜かれ、タルは上半身を起こして座り込む姿勢をとった。
「え?…どうし…ああんっ!!」
座り込んだタルの腰の上から、アメリアの腰が落とされた。対面座位の形になり、先ほどまでとはまた違った、深く体内を抉られるような快感が二人の全身を包む。
絶え間ない激しい突き上げと共に、にちゃ、びちゃ、ぢゅく…と湿った音が耳にやたら響く。汗にまみれた彼の首に手を回し、長い脚で腰にしがみ付いて、これ以上ないくらいにアメリアは体を密着させた。
密着した体の間で、豊かな乳房は二人の汗にまみれながら形を変え続ける。麗しの赤毛は額に張り付き、鋭い瞳は心の底からの快感でとろとろに蕩けて潤んでいた。
「…ね、もう、あたし…あっ! はぁ、ん、ん、…限、界…かも…」
「お…れも、だっ…! くっ…!!」
射精の予感に体が震え、タルがアメリアの体を引き剥がそうとしたとき。
「ね…おね、がい…最後まで、一緒に…」耳元で、熱に浮かされたような甘い声が聞こえた。
声の主は脚と腕でしっかりと彼に抱きつき、離れる意思のないことを強固に主張している。ほんの少しだけ逡巡してから―タルは、彼女の意思を尊重することに決めた。

252 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:45:07 ID:57cpTihi
「……わかった。最後まで、一緒…だ…ううっ!!」
「あ、んぁ、はぁっ、あ、あ、あああん、ああああああああああああん!!」
連続して一際深く突き上げられ、突き上げが止まったところでアメリアは絶頂に達した。ひくひくと快感に震える膣内に、熱い液体が勢いよく放出される。
その感覚にまた軽く身を震わせ、放出が治まったところでアメリアは逞しい体にもたれかかった。そのまましばし、二人は抱き合ったまま微動だにしなかった。
しばし後にタルは身を起こし、恍惚とした表情の彼女をゆっくりと寝台に下ろした。ずるりと体内よりモノを引き抜けば、豊潤な愛液と混ざった精液が流れ出す。
アメリアの横に体を投げ出すと、甘える猫のように身を寄せられ、腕を枕にされた。汗で飛んでしまったのか、薔薇の香りは殆どしない。
「…ね、宿舎とかあるんでしょ? 帰んなくていいの?」
「いいさ。もう、どうせ閉まってるだろうしな。…今夜は、ここで寝たい」
腕の中の猫を抱き寄せ、豊かな谷間に顔を埋める。しょうがないわね、とでも言うように固い髪がかき回されて、枕元のランプが消えた。

 暖かなまどろみの中から、タルを引きずり起こしたのは―ある種の『空気』だった。
背筋を駆け抜ける、びりびりとした気配。一瞬で目が覚め、街に流れこむ冷たく重い空気に全身が震える。
布団を跳ね除け、急いで身支度を整える。ただならぬタルの様子に、同衾していたアメリアも目を覚まし、ぶるりと身をすくませた。
「何? なんだか…変よ、この空気…」彼女も脱ぎ散らかした服を急いで身に付け始める。
「…わかるか。何だか知らねえが、でっけえもんが…来る」
剣を身に着け、まだ身支度中のアメリアを抱き寄せる。出来るならば、自分の手で彼女をこの空気から守りたい。
けれども、自分にはやるべきことがあって―それを彼女もわかっていて。思いのままに行動できるほど、二人とも子供にはなれなかった。
「何が起こるかわかんねえが、約束してくれ。…また会おう」
「……ええ。また、会いましょう。約束」タルに向き直り、そっとアメリアは瞳を閉じた。淡い月光の差し込む部屋で、二つの影が一つになる。

253 名前:5―882 sage 投稿日:04/10/20(水) 20:45:58 ID:57cpTihi
「そうだ。この間習ったおまじないしてあげる。グラスランド風のおまじないらしいんだけど」言うが早いか、小さな影が大きな影を抱き締める。
「えっと…我と契りを結びし勇敢なる剣士タルに、潮風と大海の加護があらんことを…」
たどたどしく、か細い祈りの言葉。ドライかつ割り切った性格の彼女からしてみれば、とてもそれは珍しい行動だった。
「サンキュ。んじゃ…ちょっくら行ってくる。あんまり薄着して、風邪引くなよ」
くしゃりと赤い髪を掻き乱して、彼は街へと駆け出した。乱された髪を手櫛で整えつつ、残された彼女は呟いた。
「…そっちこそ。食べ過ぎて、お腹壊したりしないでね…」―静かな声は、彼の耳に届くことなく夜の闇に消えた。

 タルの『悪い予感』は果たして的中していた。この夜、ヘルムート率いるクールークの艦隊がラズリルに侵攻していたのだ。
そしてカタリナらと共に徹底抗戦の準備をしていた騎士団員達に告げられた、悪夢のような事実―領主親子の降伏。
お飾り同然であっても団長を失い、有能なる副団長を囚われた騎士団は事実上崩壊し、タル達を含めたラズリルの人々にとってしばらくの間苦しい日々が続くこととなる。
―そしてその日々を打破してくれた、親友が盟主を務める軍に参加するのにためらいがあるわけもなく。
タルは港に停泊している大きな船目指し歩いていた。…あの夜以降、アメリアとは結局会えていない。
ラズリルを出る前に、と思い宿に行ってみると『既に発った』とのことだった。
「ま、しゃーないか…またどっかで会えりゃラッキー、ってとこか…」
あの夜出会えて、思いを確かめ合えた事でなけなしの女運を使い果たしたのかもな…などと情けないことを考えていると。
風に乗って、懐かしい香りが鼻をくすぐる。目的の船の前で、船番らしき少年と話しているのは―
「嘘、だろ……おい」
―思わず持っていた荷物を下に落とす。その音に気づいて、薔薇の香りをまとった赤毛の美人が振り向いた。口元に手を当てて、「信じられない」と言いたげな表情をしている。
「…約束、守れそうだな」落とした荷物を拾って、タルは力強く走り出した。

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