Chained-Up
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つなぎとめておく何かが欲しくて、考えた末に、手をつないだ。
狭いベッドの中、手をつないで、体をくっつけて。
そうして寄り添うと、真は眼を開けて微笑む。
「どうかした?」
「…何でもない」
「寂しいの?」
優しいからかい交じりの言葉。
まがりなりにも年下の真が、年上の直に言う言葉じゃない
――そんな気がして、直も笑ってしまった。
「直さん、時々甘えたがりだからね。可愛い」
そう言いながら、つないだ片手はそのまま、真は細い指で直の髪を梳く。
こんな一時があるだけで、自分はとても幸せだと思う。
けれど時は流れる。この静かな夜もいずれ朝を迎え、
時は流れていってしまう。
そうしていつかは、この手も引き離されてゆくのだろうという予感が
胸をかすめ、涙があふれた。
「直さん?」
「…………」
心配そうに声をかけてくれる真だけれど、
こんな顔は見せたくないという妙な意地で、直はその胸に顔をうずめる。
大切なひと。
離したくないし、離れるつもりもない。
でも、形あるものは全て変わって行ってしまう。
人間がひとりで生まれて、ひとりで帰ってゆく運命なら、せめて今だけは。
――そして、できるだけ長く。
できるだけ長く、
「一緒にいようね…」
END
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇久々のシンナオ♪いかがでした?
今回アップしたSSの題名は私に任せられたんですけど、
これ題名「Chained-Up」はLa'Muleのファンクラブの名前からです。
「鎖で繋がれる」っていう意味なんだって。
ずっと繋がれててくれ、シンナオよ(何)。
コメント:のち 2000615
作:雪緒