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 この人はどうも俺を困らせて楽しんでいる節があるらしく、
しょっちゅう予測のつかないことを言ったりやったりしては、
驚く俺に向かって、あっけらかんと笑ってみせる。
 だから、この人が何を言い出しても、なるべく動揺しないようにしてはいるのだが。
「ピアス開けてくるね」
「…は?」
「行ってきまーす」
「ちょっ…真澄くん!」
「なにー?」
 コンビニまで行ってくるね、みたいな口調で言い残して出て行こうとする真澄くんを引き止める。
それが不服だったらしく、明らかに不機嫌と分かる顔で振り返った彼を、
俺はとりあえず、玄関から部屋の中まで引き戻した。
「何でいきなり、ピアスなんですか」
「んー?気分転換、かなぁ」
「だったら普通に買い物に行くとかすれば良いでしょ」
「別にピアスじゃなくても、タトゥー入れちゃっても良いんだけど」
「人の話を聞いてください!」
 全く脈絡の無い言葉を返してくる真澄くんに、
困り半分、呆れ半分の気持ちで、俺はそう言い返す。
「聞いてるよ。って言うか、何で咲綺くんに止められなきゃなんないの」
「それは…色々ありますよ」
 思わず、それ以上傷増やしてどうするんですか、なんていう本音を言いそうになって、
慌てて誤魔化す俺。
益々拗ねたような態度で俺を見上げてくる真澄くんには、
もしかしてそれが分かってしまったんだろうか。
「…自虐的って言いたいの?」
 そんなことを問うてくる。
「ええ、まあ」
 仕方なくなって、正直に頷いた。
 ――だってあなたは、放っておいたら、どこまでも自分で自分を傷つけてしまいそうな感じがする。
今までも自ら傷を増やすような生き方をしてきていて、
そして今もその名残があることを、俺は知っている。
そんな生き方、いつまでも続けて欲しくないと願って止まないんですよ。
「…ピアスだって、傷は傷ですからね」
「そうだけどー」
「だから、ダメです」
 きっぱりと云い切る。
どんなに些細でも、傷は傷。
ピアス如きに目くじら立てる方がおかしいのかもしれないけど、
それは偏に、あなたが心配で仕方ないから。
「気分転換なら俺が遊んであげますから」
「何其れ。子供扱いしないでよ」
「何なら買い物に行っても良いですよ」
「…咲綺くんって、時々押し強いよねー…」
 どうやら諦めてくれたようで、真澄くんはぶつぶつ云いながらもベッドの上に腰を下ろした。
そうして一瞬置いてから、俺の顔を見上げて、にっこりと笑う。
「…で、何して遊んでくれるのー?」
「何でも、あなたの好きなことで良いですよ?」
 至極楽しそうな笑顔に答えると、真澄くんはもういちど笑って、腕を伸ばしてきた。
身を屈めて、首に回される腕を受け入れながら、
ああ、結局はこれが目的だったのかも――そんな風に思う。
それでも悪い気はしない。
このひとはそういうひと。
そしてそんな真澄くんが好きなのだから、文句を云うようなことは何も無かった。



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これまた私の誕生日に書いてくれたものです。有り難うね。
先升ブームです、自分。Hさんのせいです。(笑)
キュアリーはまだ無理!とのことですが、そんなことないよ!
一枚上手な咲綺たんかっこいいよ。同人サッキーはかっこいい。
というか、私もピアスをあけまくってる人に対してこう思うのだけど。
いや、私も少しはあけたいけどさ。いっぱいしてる人はね…。
とかいって咲綺たん自分もピアスあけとるがなー。
そこはMASUMIくんへの思いやりってことでv

(のち)

2001.0807.Tue.


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