waver
―――――――――――――――――――――――――「じゃあ、守ってよ?」
笑いながらそう言ったのは、強ち冗談でもなかった。
「咲綺くんが俺を守ってね。
俺は自分で自分を守れないから」
そんな、中学生の少女みたいな台詞を吐いて。
咲綺の首に腕を回して身を寄せ、その眼を覗き込むと、
咲綺は困ったように笑う。
「あなたはそんなに弱くないでしょ」
「そう思う?」
「…さあ。どうでしょう」
「どうでしょうって。咲綺くんが言ったんじゃん」
「ええ、何となくそう思ったんですけど、
真澄くんの言う通りかもしれないし。
良く分からないや」
「ああ。そう」
あっさりと言ってのけた咲綺に拍子抜けして、
真澄は頷いた。
咲綺からは、全面的にとは言わずとも、
真澄が強い人間のように見えるんだろうか。
まあ、在る意味ではそうなのかも知れない。
けれど自分で自分の身を守れないのは本当だ。
むしろ、自分で自分を傷つけるような衝動を繰り返してばかりで、
体中に残る傷跡が、体中に増え続ける傷が、それの良い証拠。
傷から自分を守る術も、傷を怖れる知恵すらも持たないままに、
ここまで来てしまった。
漸く信頼して自分を曝け出せそうな人を見つけても、
躊躇ってしまうほどのものを体に刻み込みながら。
弱かった。
そして今でも弱さに負けそうになる。
だから誰かに守って欲しいと甘える弱さがその上に積み重なり、
けれど甘えてはいけないという不条理なプライドに押さえつけられ、
結局出てくるのは、しょうもない嘘ばかり。
「咲綺くん」
「はい?」
「そのうち寝ようね」
「は!?」
「冗談」
「それは…相当タチ悪いですよ」
苦笑する咲綺に、曖昧な笑顔を返して体を離す。
これも、冗談ではないのだけれど。
だから、いつかこのひとに体を晒せる時まで、傷を増やさないでいよう。
そしてその時までに、この傷が、傷跡が少しでも癒えていてくれるように。
そう願える人が、すぐ傍に居る。
彼が、自分を大切にするということを、すこしだけ教えてくれた。
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意味不明。て言うか終わってんのか終わってないのか。(またか)
製作時間は一時間弱です。あたしにしちゃ珍しく早かった。
ユナマス・カゲマス前提のサキマスでは、真澄はこんなイメージ。
はなよさんの↑のSS読んで浮かんできたイメージなんだけど、
つまりそれって、広い意味ではこのSSも盗作ってことだよな、と気付いた今日この頃です。(凹)
2001.0822. 雪緒.
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いざという時に自分を守ってくれる人の存在って大切ですよね。
それは場所だったり、親だったり、友達だったり、恋人だったりするのだろうけど。
その為に変わろうと思えたりするし。
なんか真澄の心内がリアルに感じた作品でした。
やっぱり同人の咲綺たんはかっこいいです。(笑/や、本人もね!)
のち