夢の中へ
―――――――――――――――――――――――――なんか苦しい。
呼吸がままならない。
何でだろ…だって、スタジオのソファで寝てるはずなのに。
…もしかして、また誰かにイタズラされてるのかなぁ。
うちのメンバーは、何かとかまってくるから…。
――そう思って目を開けると、僕の胸に金色の頭が乗せられているのが見えた。
いま、メンバーで金髪にしてるのは一人だけ。京くんだ。
人が苦しいのなんかまるでおかまいなしで、安らかな寝息まで立てて寝てる。
京くんと僕は、「いつも寝てる子」「いつも眠たそうな子」とか言われてて、
撮影の合間もこの二人だけは寝てるってことも珍しくない。
だから京くんが寝てること自体はいつものこと。
でも、人の心臓圧迫しなくてもいいのに…。
「…苦しいんですけど…」
そう言いながら、思わず笑っちゃう自分。
その振動のせいか、京くんがすこし身動きした。
子供みたいに目を擦りながら起き上がる。
「あ…としやぁ…?」
「うん。京くん、何で僕の上で寝てんの?」
「んー…ごめんなぁ……」
ちょっと笑いながら聞くと、ぼんやりした口調で答える京くん。
きっと全然目が覚めてないんだろうな。
だって、ごめんなんて言ってる傍から、さっきと同じ体勢で寝ようとしてるくらいだし。
ホント仕方ないなぁ、この眠り姫は――そう思った時だった。
「…安心するやろー?」
「は? 何が?」
「こうしとると」
「…何で?」
要領を得ない京くんの言葉に、バカみたいに聞き返してしまう。
と、京くんが顔を上げた。京くん独特の、悪戯っ子っぽい雰囲気の笑顔。
「トシヤのなぁ、心臓の音。いっちばん落ち着く」
そう言って、彼はぱたっと倒れ込んでくる。
一瞬あってから、僕の心拍数が一気に跳ね上がった。
それじゃダメじゃんって分かってるのに、京くんの笑顔が焼き付いて離れなくて。
(…ホント、京くんには弱いんだよねぇ)
こうやって甘えられたり、ワガママ言われるばっかり。
でも、それが嬉しいんだから、何も言えなくて――むしろ幸せなくらいで。
多少寝苦しくても、こうして京くんを抱いていられるんだから、それはそれでいいかな。
なんてね。
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睡眠ネタなとし京!いかがでしたでしょうか?
起きたら京が腹の上で寝ていたら…みなさん襲うでしょう?(笑)
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