妻は、旦那の帰りを待っていた。
台所にはご飯の炊ける匂い、
テーブルには簡単なおかず、
レトルトのスープ、そして新鮮なサラダが用意されていた。
すべては自分のために働いている旦那さんのため。
自分の作った料理をいつも褒めてくれて、
おいしそうにほうばる彼のため。
でも、それは、違うと思うのを彼女は知っていた。
・・・・自分のためであった。
彼が、自分の作ったご飯を食べ笑いかける。
それだけで自分は癒されていた。
彼の笑顔を見ていていたいから。
自分だけが彼を笑わせているという考えで
もしかしたら、癒されているのかもしれない。
たまに、そういうことを考える。
でも、いつも怖くて、それ以上考えるのを、やめてしまう。
きっと、これ以上、考えたら
自分のことしか考えられないかもしれないから・・・。
「早く帰ってこないかしらね〜vvちょっと遅いかもしれないわね〜
どうしたんでしょうね、パパは。」
ソアラは、自分のおなかに微笑みかける。
自分が、ずっと幸せになれると信じて。
そして、これから、起きる現実を目の当たりにする。