HEART・BALANCE


グラグラする。
理性と狂気の隙間で。

嫌われるかも知れないと思っても
やがて狂気は理性を飲み込み、

揺れ動く


「ね、見て。この選手、カッコいいと思わないかい?」
「・・・?何処がだ?」
形ではないような気がして再び聞き返す。
「守備も打撃もすごいんだ、試合を見るたびにこんな選手でいたいと思うよ」
野球の雑誌を見せられてそう言われても困る。
顔写真を見ながら守備も打撃もすごいと言われても、ピンとくるはずもない。
しかもそんなに有名な選手でもないらしく、蛇神は顔すらよく分からなかった。
「よく分からぬ。我はそこまで詳しくもないゆえ」
「何だぁ・・。蛇神くんはプロ野球、見ないの??」
ある意味見るはずもないのかも、と思いながらもつい聞いてみる。
「余り見ぬな。野球はやはり自分でする方が楽しい也」
「そっか。あ、そういえば・・数学解けたかい?」
邪魔しちゃってたかな、と少し牛尾は反省を見せる。
今はテスト勉強で二人は牛尾の部屋にいた。
蛇神は牛尾の机を借り、牛尾はベッドを背に床に座って雑誌を読んでいたのだ。
「・・・否、今日はもうよい。する気が起きぬ」
「・・・またそんなこと言ってるし」
蛇神は机から離れると牛尾の傍に座った。
「せっかく主と居るのだ、傍に居てもよかろう?」
「べ・・別に構わないけど・・・・・触らないで・・くれれば」
「人を変態のように言い放つな。
 ・・前からそう言うが本当に嫌なのか?」

付き合い始めて5ヶ月。
普通の恋人のように付き合いたい、と付き合い始めたのだが
牛尾の接触拒否により肌を重ねた事はない。
キスすら蛇神が不意に仕掛けたが
そのあと錯乱した牛尾に突き飛ばされたくらい。
そんな勢いで牛尾は接触を嫌がる。

普通に考えて拒否された方は好かれてないんだと思うだろう。
でも蛇神は牛尾を嫌いにはならなかった。
嫌いになどなろうはずはない。
牛尾に告白をしたその瞬間から新たに、ずっと好きでいる事を決めた。
牛尾が別れを望まない限り、それは有りえないこと。

「・・うん。どうしても駄目なんだ・・」
「幼少の頃の事か」
「・・蛇神くんと知り合ったあとだったよね。・・僕が誘拐されたの・・って」
「やはりそれが?」
「誘拐の事自体は・・よく覚えてないんだけど
 でも助けてもらうまで・・触られるだけ触られて・・怖かったのだけは・・」
言いながら牛尾は視線を落とし、ガタガタと震えだした。
そんな牛尾を目の前に蛇神は咄嗟に抱きしめてしまった。
しまった、と思ったのも後の祭り。
蛇神は思い切り牛尾の抵抗を受ける。
普段では考えられないくらいの力で暴れ、解放を望んでいる。
「・・・・離して・・!!!」
逆に蛇神は腕の力を強めた。
この機会に少しでも快方に向かわないかと思ったのだ。
「・・っ・・だ・・・・」
「御門。少し落ち着いて聞け」
「い・・嫌だ!!・・お願いだから・・離してっ・・!!」
「我は御門を攫った人間と同じ気持ちで主に触っている訳ではない。
 御門が好きだから、・・・愛しているから恐怖に怯える主を放ってはおけぬのだ」
「・・・・・って・・」
「我は御門にとって彼奴らと一緒なのか?」
「・・ちっ・・・違う・・・・でも・・」
まだ牛尾は蛇神の手から逃れようと必死だった。
胸を押し返して振りほどこうとするのだが、どうにも動かない。
「・・・・でも・・・・怖い・・」
蛇神がさらに引き寄せて力を込めると、牛尾は気絶した。
辛い、嫌な事から逃げたのかもしれない。
「御門」
ぐったりとして動かなくなった牛尾を抱いたまま、蛇神も目を閉じる。
「荒療治だったやもしれぬ・・・しかし・・・」


しばらくして牛尾は肌寒さで目を覚ました。
目の前には蛇神の顔、ビックリして目が一気に冴える。

牛尾が気絶したあと、蛇神はベッドと壁の角に牛尾を抱えたまま移動した。
起きた時に牛尾が嫌がると思ってベッドに寝かそうと思っていたのだが
いつの間にか牛尾の手に服を掴まれていて剥がせなかった。
それは少し牛尾が自分で安心したのかもしれないと、そう思えた。
蛇神はフローリングの床に極めて薄着、素足で座っていたのに加え、
体重もほぼ同じ牛尾を抱えたまま寝ていた。
手足も痺れ、冷え切っていて少し青くも見える。
一方牛尾はといえば、気絶したとはいえ
その状態の蛇神に全体重をかけて寝ていたのだ。
冷えやすい身体は当然のように蛇神から暖を取っていたに違いない。

「・・・」
蛇神の接触を嫌がった所までは記憶にある。
でもそのあと、どうしてこういう状況になっているのか牛尾には知る由もなかったが
やっと牛尾は自分が蛇神の服を持っていることに気付いた。
(怖い。確かに怖かった。でも僕は意識を無くしている間、蛇神くんにずっと抱かれてた?)
恐る恐るその裾から手を離し、蛇神の背中へと伸ばした。
少し震える手でそっと触る。

暖かい。

(怖くない・・?)
怖い怖いと思い込んでいた。
誘拐した人は怖かったから、みんな触ってしまえば一緒なのかと。
だから蛇神とは触れたくなかった。
彼もまた、ただ怖いのだと思い込んでいた。

「御門・・?気が付いたのか」
「・・蛇神く・・ぅぇ・・ゴメンね・・」
蛇神は微笑み、泣きながら自分にしがみついている牛尾をそのまま優しく抱きしめた。
「怖くないだろう?」
「・・・っ・・ぅ・・」
「暖かいだろう?」
「・・うん・・」
「それならば良い。少々乱暴にして・・御門がどう思うか少し心配だった」
牛尾は少しだけ顔をあげた。
それは今までの恐怖に怯える顔ではなかった。
「・・っ・・そうやってくれなかったら・・僕は今でも接触が怖いままだった・・よ?」
「・・・そうか。・・・・・ところで・・」
「・・・え?」
「そろそろ離れてはくれぬか?・・・面目ない、限界だ」
きょとんとして牛尾は蛇神を見る。
「・・・何が?」
天然でそう聞いているのだ。性質が悪いにも程がある。
蛇神は薄らに笑うと、牛尾を引き寄せ、キスをした。

「!?」

「なっ・・・な・・に・・?」
「今まで触るのを拒否されていたのだぞ?それなのに今日はずっと主を抱えておった。
 理性を保てという方が酷だとは思わんのか?」
「////・・・だからっ・・何で・・そうなる・・   !」
蛇神は身体を起こすと、牛尾を抱え上げてベッドに寝かせた。
「嫌なら前みたいに殴ればいいだろう?」
前に酷い目にあった蛇神は少々嫌味も込めて言葉を吐いた。
「も・・殴れない・・の、知ってるから・・言ってるくせに・・」
「では、良いのだな?」
「・・



初めて牛尾を触る。
今までは触らせてくれなかったので耐えられていた気持ちが
一気に噴出してきそうだった。
「御門」
キスをして、牛尾もその気にさせる。
蛇神が頬を舐めると牛尾は少し声を洩らした。
「・・・・・・ゃ・・」
「暖かい・・・御門・・」
カッターシャツのボタンを一つ、一つ外して肌を露わにする。

ついさっきまでこんな事が叶うと思うことは出来なかったが
実際は知恵の輪を外すくらいのことだった。
解き方さえ分かってしまえば簡単なのに
解き方が分からないと延々悩む羽目になる。
知恵の輪はその解決口を見つけるのが興なのであって。

・・・・悩みは解けない間が苦しいのであって。

解けてしまえば。

「・・・っ、蛇神くん・・・さ・・寒い・・」
「寒い?」
何故だという顔をする蛇神を見て、牛尾は眉を寄せる。
「・・僕・・服・・何も着てないんだけど・・さ?」
牛尾を脱がすだけ脱がしておいて、蛇神は何も脱いでいない。
寒暖の差が出るのも当たり前である。
「それは我も脱げということか?」
「・・別に・・そんなことは言ってないけど・・でも・・」
蛇神は自分も上だけ脱ぐと牛尾の上に伏せ、首筋に舌を這わせた。
蛇神とてそんなに経験が多いわけではない。
でも牛尾が愛しくて、悦ばせる方法が頭に浮かんだ気がした。
一方の牛尾は蛇神の重さに驚いていた。
蛇神は全然太ってはいない。
寧ろ、厚い筋肉だけ。
それなのに本気の抵抗さえ叶わないんじゃないかと思えるくらい。
全体重をかけられているわけでもないのに。
それにさっきまで怖がっていたくせに、と蛇神に言われるんじゃないかとドキドキしていた。
本当に蛇神に触られるのが平気になっていてそうとしか言いようもないのだが
元々、過去怖かったからという思い込みで生じていたものであるから、
牛尾の場合それほどの拒絶が起きなかったのかもしれない。
ただ、蛇神以外の人間は駄目だろうと牛尾は少し思っていた。


「・・・どうした」
牛尾が変な事に納得しているうちに
蛇神のキスは首筋から鎖骨、脇とどんどん下がっていった。
初めて受けるその感触が擽ったくて。
言葉にならない。
「・・・ゃ」
それに口からは小さな喘ぎしかでてこない。
それを蛇神に聴かれたくなくて、牛尾は必死に耐えている。


その間も蛇神は牛尾の胸の突起を虐めていた。
周りを舐めてみたり、突起自体を口に含んでみたり。
その度に牛尾は身を捩り、下肢は反応を示していた。
下肢を蛇神に見られたくなくて足を閉じようにも、牛尾の足は既に蛇神に割られている。
「・・っ・・み・・くん・・」
「・・やっと・・御門を手に入れられる」
「・・え・・?」
蛇神は牛尾の背中に手を回して抱き起こすと、自分の膝に乗せ腰を浮かせた。
牛尾を自分に寄りかからせ、片手は背中を支える。
「御門、舐めろ」
蛇神は自分の指を何本か牛尾の口に近づけ、少し強めに言った。
自分で舐めても良かったのだが、どうせなら牛尾に・・と少し悪戯心が働いた。
「・・・・な・・舐めるの?」
「うむ・・このままでは痛いぞ」
蛇神が思い切り直接的に言ってしまったので、牛尾は真っ赤になった。
そこらの子供よりも素直で分かりやすい。
蛇神の指の先に恐る恐る牛尾は口をつけた。
指なんて舐める事はないから歯を立てそうで少し怖かった。
それで咎められる事はないのだろうが。

蛇神の指が牛尾の唾液に濡れ、肌を伝って垂れはじめていた。
牛尾の口の中でも蛇神は指を少し動かし、舌を弄んでいた。
反対の手はといえば牛尾の背中を支えつつ鳥肌の立つような触り方で撫でている。
「・・ふぁ・・・ぁ・・っ・・」
「指がそんなに良かったのか?」
背中の手の方が牛尾にとって何とも言えない状況に追い込んでいたものだと
分かっていたが今日はなんだか意地悪がしてみたかった。
牛尾が指から口を離すと、数本糸が引いた。
「・・・っ・・違・・」
「冗談だ」
そういうことじゃないのに、という牛尾の目線はさておいて
濡れた指を牛尾の入口に這わせた。
今度は片手を本当に支えに回す。
濡れが乾かないうちにと、少しでも進入を試みるが
経験のない牛尾のそこは頑な、爪の先すら拒む。
「ゃ・・やだ・・、ちょ・・ぁ・・痛っ・・」
「・・・駄目か」
蛇神は牛尾の入口から手を離すと、今度は牛尾自身に手を添えた。
「・・うぅ・・、っ・・や・・」
刺激にとても弱いらしく、牛尾は蛇神の背中に手を回し耐える。
今までの戯れだけで多少は勃ちあがっていたらしい、少しの衝撃にも反応をする。
蛇神にとっては可愛らしくてしょうがない。
指の腹で先端を弄り、先走りを促すと
牛尾の好きな場所を探すように棹を扱いてやる。
暫くもしないうちに牛尾は達してしまった。
「・・っは・・ぁ・・ぅ・・・」
蛇神の手は牛尾の蜜で濡れた。
余りに早すぎるんじゃないかと牛尾は耳まで赤くする。
恥ずかしさの余り蛇神の顔が見れず、下を向くと
今度は裸ではなかった蛇神の衣服も汚してしまったのが見える。
「・・・御門?」
「・・・・・・・っ・・ゴメン・・」
「気にするな。・・それより・・少し早い。・・・こういうことはせぬのか?」
「しっ・・しないよっ!!」

イったのなら少しは緩む。
牛尾の放ったものをそのまま入口に塗り、指も滑り込ませる。
一本だけだが、キツイ。
「・・んんっ・・ぁ・・っ・・・」
すごい違和感に牛尾の背が反った。
節のある蛇神の中指は無意識にも内壁を擦る。
「・・う・・ぁ、・・・・蛇神・・く・・」
もう既に力なんて全く入らない牛尾は蛇神に寄りかかるのが精一杯。
しかも座った体勢でいるため、辛い。
それでも蛇神は牛尾を寝かせる気はないらしく、
身体を支えながらなおも入口を解す。
「・・少し我慢しろ」
一度指を先だけ残して引き抜くと、薬指を添えて再び差し入れる。
「・・ひゃ・・」
グチュと耳に耐えない音が聞こえ、牛尾はある意味失神してしまいたかった。
特定の部位に指が触れるたび、痺れる。
「・・・っ、あぁ・・や・・」
「・・ここか」
「や・・ば・・っかり・・・・ないで」
「御門」
腿に蛇神自身が当たり始めて、牛尾の背筋はぞくりとなった。
布越しなのに妙にリアルで、反応しまいとするけれどそれも難しい。
「・・もう我慢ならぬ」
「・・・え・・」
牛尾の体を抱えあげ指を抜くと、自身を取り出し代わりに宛がった。
ドクンと熱く滾るモノが秘部に当たって、牛尾は思わず目を瞑った。
蛇神は抱えあげていた牛尾を少しずつ下ろしていく。
自分の体重で受け入れざるをえない牛尾は悲鳴めいた声をあげた。
「・・っうあ・・ぁっ・・あ・・・痛・・」
牛尾の背中を強く引き寄せ、反ろうとする身体を抑えつける。
衝撃は想像以上だったらしく、牛尾の目から涙が零れ、止まらない。
「・・我が無理に入るよりは痛くない・・はずだ」
「や・・ぁ、・・・っ」
「御門・・」
牛尾の腰を下まで下ろして繋がった。
同時に口を塞ぎ、貪る。
牛尾の五感は全て蛇神に支配されていく。
「・・・ぅうん・・っ・・」

グラグラする。
理性と狂気の狭間で。

抱き合わせた感情は紐解かれて
相手と共に。

蛇神が腰を揺らすと牛尾の声が漏れる。
その声を聴いて蛇神は思わず牛尾を押し倒した。
「いっ・・・・痛ぃ・・っん・・」
深く繋がった状態で90度角度が変わったため、牛尾は悲鳴を上げた。
「・・・っ・・すまない・・大丈夫か」
「っ・・・」
牛尾の手肘裏から手首にかけて手を這わせ手も繋いだ。
指も組ませて、牛尾の反応を窺うと
少しだけ組み返してきたのが嬉しかった。
「動いても・・平気か?」
牛尾はもう何がなんだか分からなかった。
目の前には蛇神の顔があって
下肢からは痺れにも似た波が押し寄せていて
こんなことをされるのは初めてで恥ずかしくてしょうがないのに
快感も欲しがっている身体がある。
「・・も・・・だ・・め・・」
蛇神が少しずつ抜き差しを始めると牛尾の中の波が大きくなった。
指で擦られて反応してしまった所をそれでも擦られて意識が遠のくが
和らいできた少しの痛みに引き戻される。

それを何度も繰り返すうちに、牛尾の頭の中は真っ白になっていった。


牛尾が目を覚ますと蛇神の腕の中だった。
蛇神が上に着ていた服を羽織ってあって、そこまで寒さは感じなかった。
足元に畳んである牛尾の布団は畳まれたまま。
手が付けられていない。
汚れるとでも思ったのだろうか。

「・・・蛇神くん・・ありがとう・・大好きだよ・・」
そう呟いた瞬間、回されていた腕に力が加わった。
「これで本当に恋人也。・・・そんなことを言ったら怒るか?」
蛇神が照れながら牛尾に聞いてきた。
そんな表情も珍しいが、牛尾はさっきまでのことを思い出して真っ赤になった。
しかもそ知らぬフリをして独り言も聞かれていたのだ。
「・・・・バカ」


狂気は時に愛情に変わり

愛情は時に寂しさに変わる。


それでも貴方は愛しくて

僕の心はグラグラ


それはHEART・BALANCE
相手をココロから愛するコト


end

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長!(笑)
ヤるまでが長!!(腐)
うっしーは可愛いから子供の頃に誘拐くらい(というのもアレですが)
されたことがあるんじゃないかなーとか思って
この話を書き始めたんですよ。
で、そのトラウマを治すのが蛇vってありがちな展開で(爆)。
そしたら本紙で、うっしーの家が超金持ちで、
パスがないとSPが射殺とか言ってるし、
送り迎えもじいとSP勢ぞろいだし、
誘拐されるというネタそのものが根本的に成立不可になってしまいました(笑)。
元々、妄想の世界にそんなものあったものでもないですが、
久しぶりにリアルタイムで否定くらいましたねー(笑)。
ま、でも書ききるまでに1週間くらいかかったので
それなりにお気に入りではあったりします。
最後になりましたが読んでくださった方、ありがとうございましたvv

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