WJ39号感想

ねぇ・・・。
ハンターはいつも通り、面白いんですけどね・・・。

いや、今週はテニプリに勝てませんよ。
というか、アレは反則です。
テニプリは本当に面白い。一周回って本当に面白い。


☆☆☆ハンターハンター☆☆☆

先週とは打って変わって、大変楽しいハンターハンター。
ラモットが先週攻撃が効いていないように見えたのは、何かトリックがあったのかと思いましたが、実際は十分に効いていたようで。
まあ、どちらにしろこれで無謀なインフレ化の心配はなくなりましたね。良かったです。

そして、今週のハンターは特に前半が良かったです。
キメラアント編で最も懸念されていたのは、やはり相手がであるだけに、非個性的な敵がわんさかと出てきて、それをバトルでばったばった倒すだけの大味な展開になるのではないかということでしたが、これまでもキメラアント側は決して一枚岩ではないことが描かれており、今週に至ってはキメラアント側に個性的なキャラクターが出てきて、しかもそれが個性的というだけに留まらず、読者の好意すら得ているということが素晴らしい。
ありていに言えば、ヂートゥさんが、いい。
憎めない。何とも愛らしいキャラクターですね。
「ノルマは守ってるよー」など言動が可愛らしく憎めないのに、残虐無道そのもののハギャと並べて語られているのが、そのキャラクターを深みのあるものとしています。
これは、極悪非道の盗賊団である旅団が、その構成員一人一人は憎めない魅力溢れるキャラクターであることと同じですね。
キメラアントたちは、姿形が人外というハンデはあるものの、将来的には旅団と同じくらいの魅力を備えるのではないかと、そんなことを感じさせられました。

しかし、冨樫先生は、常に読者を良い意味で裏切ります。
極悪非道の盗賊団である旅団は人情味豊かな団結力のある一枚岩の集団で、むしろ、「虫だからとうぜん統率は取れているだろう」というキメラアントの方が中はゴタゴタとしています。

後半は主人公サイド視点。
旅団のときもそうでしたが、この漫画は敵の視点のときの方が主人公視点で進んでいる話より面白いという、何とも奇妙な漫画です。
今週の主人公サイドは、NGLの裏の顔が明らかになりましたが、しかしそれは別に大層な伏線があったわけではなく、まあ、どうでもいいディティールです。
新しく主人公の前に出てきたキメラアント三体も、邪悪さだけがアピールされており、明かに「倒されるために登場しただけ」という感じです。
それでも、来週あたりでおそらくカイトの戦闘シーンが描かれるでしょうから、楽しみなのですが。


☆☆☆ブリーチ☆☆☆

ブリーチ2周年のようです。
この漫画が始まった頃は、2ちゃんなどで作者の久保先生厨房であることばかりが強調され、「ブリーチ」=「厨房の描いたマンガ」という悪いイメージが強かったと思われますが、蓋を開けてみれば2年も連載が続き、今では押しも押されぬ「面白くもつまらなくもない中堅漫画」として、大成していますね。おめでとうございます。

そんな、押しも押されぬ中堅漫画のブリーチですが、今週では死神族の中での内紛がまたクローズアップされ、その内容次第では面白くなりそうな、そんな気が何となくしています。
しかし、いかんせん死神の方々の位置というか世界観というか、そこらへんのことが僕には良く分かっていないので、市丸さんがどのような突拍子もないことを考えているのか、想像すらつきません。
市丸さんの目論見が明らかになっても、「ハァ・・・?それで?」となりそうなのが、恐ろしいです。


☆☆☆アニプリ☆☆☆

P10の「テニスの王子様」のゲーム宣伝ページですが

「満月の夜に、太郎、動く!!」

のキャッチが間抜けすぎて、笑えました。
この漫画の登場人物は「太郎」が付く人が多いらしいですね。

あと、跡部さまがアルバム「破滅への輪舞曲」を出し、そのあと、3ヶ月連続でシングルをリリースなさるとか。
もう、この一連の流れが傍から見ればギャグにしか見えないのですが、このムーブメントの中心にいる人は真剣なんでしょうね、きっと。

しかし、テニプリに関しては私の周りの婦女子の方々も「(この作品が)ダメなことは分かっているけど、離れられない」麻薬的な快楽に溺れているように、食い物にされている婦女子の方々に自覚があるというのが、テニプリの面白いところです。
何年か経って、ふと我に返ったとき、手元に残る跡部景吾アルバムを見て、その人は一体何を思うのでしょうか。
(そして、その頃になって僕はレコファンで100円でそのアルバムを買い、当時を思って一人でケラケラと笑うのでしょう)


☆☆☆テニ王☆☆☆

えと・・・・意図的にギャグ漫画を描いている、ようにしか、見えないんですけど・・・・・・

え、だって、だってスーパーサイヤ人ですよ??

読者を笑わせようとしているようにしか見えないじゃないですか!
そりゃあ、目の前の対戦相手がスーパーサイヤ人になれば、赤也クンもギャラリーも驚きますよね。
あの謎の土煙「リョーマがスーパーサイヤ人化したから」納得するとして、それで、結局、赤也クンの打った打球はどこにいったのでしょうか。

あと、リョーマが傷付けられていくのは、 聖闘士星矢のように「傷つく美少年に婦女子はハァハァする」という効果をあざとく狙ったものだと思いますが、ですが、一般的にはそのような声より「ムカつく主人公がボコられてて、胸がスッとした」という意見が多いのも、テニプリの面白いところです。つくづく、作者の思い通りにならない漫画ですね。


テニプリ名場面BEST3

1、越前少年スーパーサイヤ人化
2、ブチャラティ、空中でシェー
3、菊丸分身


☆☆☆アイシールド21☆☆☆

冒頭で、アメリカチームをムカつく人たちに描いて、さらにそれに対してヒル魔が「ほほ〜〜〜、面白ェ」という展開までは良かったのですけど、ヒル魔の対抗手段であるプロモ作りその内容が、ちょっと安易過ぎたきらいはありますね。
太陽拳とか、アメリカ人に通用するとも思えませんし。
あのプロモが、現実的にあのような大々的な取り上げ方をされるかといえば、ちょっとリアリティに欠ける気がします。
別に漫画にリアリティが必要というわけではありませんが、読者をキッチリ騙すのが巧い漫画というものでしょう。


☆☆☆ワンピース☆☆☆

うん、まあ、別に、いいんですけど・・・ね。

しかし、やっぱり、ノーランド提督の行動は単純に評価はできません。
科学知識をもたらすというのは、一見すると「何の弊害ももたらさない、素晴らしく良い行為」のようですが、その実際は科学教という布教活動です。
現地住民たちの信じている真理(この場合は「病気はカシ神さまが治してくれる」)を、「病気はコナの木で治せる」という新しい真理で塗り替えるわけです。
つまり、ノーランド提督は、象徴としての神さまを殺し(カシ神殺し)、さらに、シャンドラの人々の心の中の神(それまでの真理)をも殺そうとしているわけです。

といっても、もちろん治せる病人がいるのに見捨てるというのも人道的な問題がありますし、目の前で殺されようとしている生贄の人を見捨てるというのも、やはり人道的に問題があることも確かです。
ですから、この問題は非常に難しいのです。
先週のワンピースでは、この難しい問題を、難しいまま提示していました。
だから神殺しというテーマが僕の心に響いたわけですが、今週で尾田先生はちょっと残念な、安易な展開を選んでしまいました。

今週のワンピースは、より多くの科学知識を持った文明人による文化の押し付けと、自己文化の正当性を声高に叫んでいるだけです。
ノーランド提督の、「進歩を排除してきたのか」「この儀式は我々に対する侮辱だ!!」「過去の偉人達の功績を無碍にする様なこの儀式を私は許さん!!」「人々の幸せを望み、海へ乗り出した探検家や研究者への、これは侮辱だ」という一連の台詞は、自分達の世界観を他者へ押し付けようとする、非常に傲慢なものに聞こえました。
ノーランド提督たちの言う「人々の幸せ」とシャンドラの人達の「幸せ」は絶対にイコールではありませんし、お互いに理解できなくて当然です。
古代マヤでは首吊り自殺による死が幸せであり、北欧では死後ヴァルハラで連日死闘を繰り広げることが幸せとされていたのです。それを僕たち現代人が理解できないのと同じです。そして、理解できないからといって、否定することは出来ません。
ノーランド提督の言う「過去の偉人達の功績」なぞシャンドラの人達にとっては、何の関わりもないことなのです。そんなことを大声で言われても、シャンドラの人達も困るでしょう。

あと、「人の命を望むとされるお前達の神にとっても!!これは侮りではないのか!!!」に至っては、本当に大きなお世話ですね。
そもそも、神というものは人に畏れられる要素を内包しているものであり、神性における悪の要素を全て否定するなど、その方が不自然というものです。
別に生贄を捧げる宗教がより自然というわけではありませんが、少なくとも「人の命を望む神」が、そのままその神への侮辱となるなど、ムチャクチャな話です。神さまを何だと思っているのでしょうか。神とは、人びとが安泰に暮らせるように、おはようからおやすみまで見守りつづける庇護者ではなく、単に「大いなる存在」なのですから。
そのような「人の命を望まない神」観を押し付ける方が、遥かに侮辱です。神を「大いなる存在」から「人類の庇護者」へ貶めているわけですから。

というわけで、ノーランド提督は少し喋り過ぎなんですね。
難しい問題なのだから、難しい問題のまま描けば良かったんです。あんなことをグダグダと言わずに。
ノーランド提督は、目の前で行われている生贄の儀式にたまらず飛び出し神を斬った。
そこまでは非常に人間的です。リアリティのある描写といえるでしょう。
ですが、そこで非合理的という理由で他者を責めてはいけません。
まあ、実際のところ、そのような理由で責めたくなるのが人情というものですし、かえってリアリティはあるのですが、それはノーランド提督を傲慢な文化人としてキャラクター付けしてしまったわけで、せっかく愛嬌のあるキャラクターだっただけに、その凋落ぶりは読んでいて少し残念な気がしました。
あと、この話を読んで「ノーランドかっこいい!非合理的な文化はダメ!」とか、普通に思ってしまう少年少女が絶対出てしまうことを考えると、ちょっと溜息が出ますね・・・。


まあ・・・少年漫画にこんなことまで期待する方が間違いなんでしょうけど。
でも、同じケースなら、冨樫先生なら、きっと・・・・・・

あ、いやいや、今後の尾田先生のフォローに期待しましょう。
カルガラが胸を割ってノーランド提督と話し合い、ノーランド提督が自分の発言を反省する展開かもしれません。
そんな描写があることを望みましょう、うん。

※ちなみに、上で言う「真理」とは、各人が「真理」と考えている物のことです。


☆☆☆武装練金☆☆☆

蝶野さんの弱々しさは良かったんですけど、あの状況(斗貴子さん達がその気になれば、いつでも蝶野さんを殺れる状態)から、鷲型のホムンクルスさんに形成逆転されるのは、ちょっと間抜けですね・・・。
それにしても、蝶野さんも憎めないお人だ。


☆☆☆ナルト☆☆☆

シカマルを隊長に、集められた下忍四人の顔ぶれが良い感じですね。
何気に期待させられます。

それにしても、春野サクラさん当然のようにこの面子には加わらず、そのオマケ的存在がここに来てまた確立されたように思います。


☆☆☆ボーボボ☆☆☆

扉の「虎の威を借る田楽」と、「干し柿かああァァー」が素晴らしかったです。
あと、新撰組流奥義「心照羅」に、ビュティが「シンデレラ、そんな技使えないよ!!」とつっこんでますが、シンデレラはもちろん、新撰組にもそんなことはできませんよ。
新撰組は、その組織の中に何か一つの流派があるわけではなく、多数の流派の目録以上の剣客を寄せ集めて作った部隊なので、「新撰組流」というのはないはずです。


☆☆☆LIKE A TAKKYU!!☆☆☆

ドーミエの人の読切。
別段すごく面白いわけでもなかったですが、「人生楽しいが一番、辛いことはやめちまえ」という、自明の理ながらも中々言えないことを思いきって言っていたのは評価したいです。
ドーミエのときもそうでしたが、「何か新しいことをやろう」という意志は感じられます。(そして意志が内容とそれなりに結びついているのは良いことです)
あと、松本君とマイコ先輩のすれ違いの会話は、この手の漫画の王道ですが、それなりに笑えるレベルだったと思います。


☆☆☆キックスメガミックス☆☆☆

既に安彦クンにも、ヤムチャ化の翳りが・・・
4連続新連載作品の中で、今週キックスメガミックスが風天、ごっちゃんよりも前に掲載されていることがとても恐ろしいです。
いや、まあ、どちらかというとキックスよりも風天に先に終わって欲しいのですが、ごっちゃんはしばらく続けて欲しいものです。
それにしても、連載開始時はどんな酷い漫画になるかとビクビクしていたものですが、蓋を開けてみるとそこまで毒々しい漫画でもなかったですね。
むしろ、風天組という仇花の存在が大きいのかもしれませんが。


☆☆☆風天組☆☆☆

と、現在話題のジャンプの仇花「風天組」
黒猫紳士スレでは
「マインドアサシン、梧桐勢十郎という壁を乗り越え、カラスマンという傑作を生み出し、今、最強のヤンキー漫画である神奈川磯南風天組を連載されているかずはじめ先生」
と揶揄されていますが、まったく、ここまで駄作を続けると、マインドアサシンがむしろ偶然の産物なんじゃないかと、そんなことすら思えてきますね。

今週も相変わらず不快な内容で、野津ケンに対するリアルないじめ問題ばかりが暗にクローズアップされていたように感じます。何だか重症ですよね、野津ケン。
この漫画を不快感なく読むためには、「矢吹健太朗を応援する会」さんのように、野津ケンをスーパースターマンを見るような目で見るしかないのでしょうか。
まあ、さっさと終わってくれるのが一番なんですけどね。
ここまで心から打ち切りを願った作品というのも久しぶりだ。

ところで、最近アニメのラッキーマンを見ているのですが、スーパースターマンって目立つことに関して、とてもアグレッシブでちょっと好感が持てますよね。江戸時代にタイムスリップしてまで、なお目立とうとする打算無き行動力に少し感動しました。


☆☆☆ミスフル☆☆☆

さすがに妙高クンのアレは反則な気もしますが・・・

もし今後、兄御田学園が華武を破って決勝で十二支と戦うという展開になったら、僕はこれまでこの漫画に捧げた罵詈雑言を全て撤回して、信者になってもいいです。


☆☆☆ジャガー☆☆☆

さるかに合戦が天衣無縫の素晴らしさでした。


☆☆☆黒猫☆☆☆

矢吹先生のブラックキャットといえば、戦闘シーンが極めて理知的な頭脳戦であることで有名ですが、今週の黒猫も素晴らしいクオリティで、驚嘆すべき頭脳戦を繰り広げていました。
これほど隙の無いバトルシーンを描くなんて、まったく、矢吹先生というお方はどこまで常人を超越した方なのでしょうか。

今週の頭脳戦の胆は、シキさんが道とクロノスの因縁を語り始めようとするところです。
すごいですね。まさか、このような展開を見せるとは想像だにしませんでした。矢吹先生のお考えは、どこまでも深く、広いです。

シキさんは、単に物語の都合上、過去の話を持ち出そうとしているのでは勿論ありません
天才矢吹先生がそんな軽率なストーリー展開をするはずがないからです。
今週、シキさんが過去の話を語り出したのは、もちろん他に狙いがあってのことです。
そう、ありていに言えば、時間稼ぎです。
ここで、トレインを昔話に巻き込むことにより、セル…じゃない虫がリバーを倒す時間を稼ごうとしているのです。
これには、シキさんの「トレインは紳士だから、私が昔話を話し出せば、それが終わるまでは決して攻撃してこないだろう」という計算があるのです。

まったく、なんという、頭脳戦でしょうか。
無論、トレインとしては早くシキさんとの戦いに決着を付けリバーを助けたいところですが、トレインにも紳士のプライドがあるため、事はそう簡単ではありません。
また、トレイン本人が言っているように「小細工なしの真っ向勝負」で勝たなければならないため、シキさんの昔話の途中で攻撃など出来ないのです。
現状を冷静に把握し、そこから算出される要素を全て計算した、このシキさんの行動。
これを「紳士の風上にもおけない、卑怯なやり方だ」という人もいるでしょうが、僕はそうとは思いません。
与えられた状況を最大限に利用する、というのは、卑怯ではなく戦術です。
いつもの騎士道精神溢れる戦いに加え、このようなリアルで過酷な戦いの現実を読者に突きつけ、強烈なリアリティを与える。
先生の変幻自在のストーリー展開は、僕たち凡才にはとても付いて行けるものではありません。
矢吹先生は偉大です。

しかし、今週の黒猫は、シキさんの巧妙な戦術だけでなく、リバーの強さも強烈にアピールされていました。
まずリバーですが、つい2週ほど前まで動きを視認すらできなかった相手と、今では互角に渡り合っているようにすら見えます。
2週前のリバーの実力では、虫相手に一瞬で敗北していたことでしょう。
しかし、今週では善戦に加え、なんと格闘中によそ見までする余裕が生まれているのです。
たった2週でここまで格段の進歩を遂げるとは、リバーの潜在能力は全く恐るべきものですね。
流石は矢吹先生です。普通の作家ならイチ脇役で終わってしまうキャラクターですら、このように未知の力を秘めた者として描き切っています。

今週の内容は特に如実ですが、矢吹先生のすごいところは決して単純に「このキャラはこう強い」と描かずに、あくまで間接的にキャラクターを印象付けようとするところですね。
ややもすれば見逃してしまいそうな物語の細部に、それと分からぬよう「キャラクターのすごさ」を潜ませる。
まったく、何という奥ゆかしい手法でしょうか。気品溢れる矢吹先生のみに許された技術といえるでしょう。
今週の内容も、うっかりした読者の中にはシキさまの頭脳プレイや、リバーの短期間での急激な成長などを読み取れなかった人がいたかもしれません。
しかし、この矢吹先生の奥ゆかしさが、黒猫という漫画をそんじゃそこらの薄っぺらい漫画ではなく、奥行きのある味わい深い芸術作品にしているのです。

矢吹先生は偉大です。
矢吹先生は偉大です。



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