WJ45号感想

最近、掲示板で「矢吹がパクリ魔って知らねーの?偉大偉大ってお前らバカじゃねー?」といったご意見が非常に多いです。
なので、今週は分かりやすく「知欠先生」と表記しましょうか。

しかし正直な話、黒猫は素晴らしい漫画ですよ。
無色透明ゆえに、自由に彩色して遊べるのですから。


☆☆☆ハンター☆☆☆

スゴイ。
いや、本当にね。ハジャさんはアッサリ簡単にカイトたちにやられると思っていたんです。
なのに、ハジャさん帰ってしまいまし
ま、また裏切られた。すごい。すごいや、冨樫先生。
読者を裏切るとはこういうことをいうのでしょうか。
こういう可能性があるとは予測すらしてなかったなァ。

そして、今週はもう一つビックリすることが。
ポックルさまが生きてた――!!!
ポックルさまのくせに生きてた――――!!!!!

あっさりと発見されてしまったポックルさまですが、彼は念に関する情報を持つため、まだ利用価値があります。
しばらくは殺されないでしょう。
もしかしたら、カイトたちが来るまで生き延びるかもしれませんね。
がんばれー、ポックルさまー。
来週からの「ポックルさま拷問編」も生き延びてください。

あと、肉団子が何気に良かったです。
あんな適当な描写にも関わらず、眼球と髪の毛が描かれているだけで、グロさが伝わってきます。
口の中に人間の髪の毛がうじゃうじゃ入ってくる感じですか(うひゃー)


☆☆☆神撫手☆☆☆

なんで僕は神撫手をいつも2番目に書いているのだろう…。

今週は一日一回に続く、神撫手ルールが新しく明らかになりました。
えー、なんでも「一眠りすれば回復する」らしいです。
その「一眠り」が、一体どの程度の長さのものなのか、ノンレム睡眠に入る必要はあるのか、など相変わらず疑問は尽きないところですが、それにしても黒猫紳士たちが「BLACK CAT」について予想していた「トレインは4時間程寝て『一日経ったからレールガン打てるぜー』という展開じゃないかな?」が、まさか神撫手で使われるだなんて
神撫手、恐るべき作品です。
どうして幽遊白書が一日4発という制限を深く描かなかったか分かりますね。
一日〜回という縛りとその回復は、深く描けば描くほどアラが出てきますから。

そして、今週の『思念』

――彰人…
よく来ましたね…

それでは次の
標を教えましょう…

マネの”剣士”を(以下略)

一体どこまでが『一つの思念』なのでしょうか…。


☆☆☆サソリ☆☆☆

おお、意外や意外。
イタチの人が期待していた通りの働きをしています
まあ言い換えれば、読者の期待を裏切れない程度のレベルということですが、それにしても読者の期待を遥か斜め上に裏切る尾田先生や知欠先生に比べれば遥かに良質といえるでしょう。
内水先生にはちゃんと「戦うばかりが乱破じゃない」という概念があることが嬉しいですね。
それにしては戦ってばかりですが。

いまのところ、「戦うばかりが〜」を具体的に漫画の中で実現できているのはハンターだけだと思うので、サソリも頑張ってそこらへんを目指して欲しいですね。
きっとムリでしょうけど、目指すだけでも目指して欲しいです。
とりあえず手始めにイタチの人を雇ってあげて欲しいです。
ナルトにおけるシカマルの如く、総合力で考えればイタチの人はかなり良い感じだと思うのですが。
忍者に必要なのはあの狡猾さでしょう。
強敵に相対した時、とりあえず打ち負かそうと考えるのは忍者としては間違ってる気がします。


☆☆☆ウラビート☆☆☆

ヒロインにはめがねが必須、ということを強く訴えた読切漫画でした。
浦響子さんはめがね装着時とめがね非装着時のギャップがとても大きいです。

ストーカーが忍者というのは、まあ置いときましょう。
そっちの方向のバカを狙ってるのでしょうから、あながち酷く外しているわけではありません。
しかし、浦響子さんがミュージシャンという設定はどうにもこうにも蛇足な気がします。
ヒロインにプラスαの設定を付け加えるだけと考えれば、彼女が元トップミュージシャンであり、バンドメンバーが失踪した、という味付けは悪く無いですが、この話の中でそれが全く関係して描かれていなかったため、とても浮ついた物に見えました。ストーリーのためのキャラクター、キャラクターのための設定ではなく、純粋にキャラクターのためだけの設定という感じで本末転倒な印象です。そこが残念。


☆☆☆アイシールド☆☆☆

と、斗影先輩、カッコイイ……。
スゴイ、葉っぱくわえてる…。
いやあ、良いキャラだ。大層なかませ犬なのに良いキャラだ。
応援団が赤石先輩にデジャブなことも含めてグッジョブです。
惚れてしまいそうです。


☆☆☆ごっちゃんです☆☆☆

ギャグらしいギャグもなく、絵もあんななのに、普通にスポーツを描いて普通に面白い。
つの丸先生はやはり何気にすごい人です。


☆☆☆サラブレッド☆☆☆

「受け身の大切さもわかんないようなバカは、柔道やる資格なし」

その受け身も分からないような初心者を、ポコポコ投げ飛ばしていたのは、どこの誰ですか?


☆☆☆風天組☆☆☆

転校生の兄弟が学園征服に乗り出す……
これって、ろくでなしブルーげふんごふん!


☆☆☆武装練金☆☆☆

ベストではないですがグッドです。
最後に逃げ込む場所、弟との確執、どれも問題無い精度で描いています。
志士雄真実や同時に倒れる蝶野と武藤など、小ネタも冴えています。
そして蝶野さんも、仮面からブリーフへと文字通り華麗なる変態を遂げました。
それにしても武装練金がこんな良い中堅漫画になるとは、初めは思いもしませんでした。


☆☆☆黒猫☆☆☆

ザコを相手に黒猫の爪を使うトレイン。
いやあ、素晴らしいですね。
ザコのプロテクターには、最初はレールガン、次は比較的防御力の弱いマスクを狙うという手段を取っていながら、今週は”黒爪”もっとも頑強であろう胸部プロテクターを破壊しています
無論、これは知欠先生がいままでの設定をすっかり忘れていたということではなく、銃器としてのハーディスよりも鈍器としてのハーディスの威力が高いことを読者にアピールするための優れた描写といえるでしょう。
僕たち読者は、普通の弾丸は効かない→マスクなら殴るだけでOK→胸部プロテクターでも殴るだけでOK、という流れから、「ハーディスは弾丸を撃ち出すより、そのまま殴った方が強いんだなァ。さすがオリハルコンだ」という論理的帰結に辿り着くのです。
普通の人であれば、銃で撃ち出した弾丸より銃そのもので殴った方が強いだなんて考えることはできないでしょう。
そんな頑なな常識に縛られた僕たち読者に「ハーディスは殴った方が強いんだよ」ということを、分かり易く教えるため、知欠先生はこのように三段階に分けて描写をなされたのです。
オリハルコンという素材の特殊性このような形で押し出した知欠先生のオリジナリティには驚嘆せざるを得ません。

また、今週のトレインの金言
「敵に対してためらうなよ、姫っち。一瞬の判断が命を左右する。それが闘いって奴だ」
深いですね。実に、深いです。
ついこないだのことですが、トレインはわざわざ残り一発のレールガンを無駄に空に放ち、シキさまを倒しました。
今週の台詞を鵜呑みにするならば、トレインはシキさまとの闘いにおいてそんなことをしていてはいけない気がします。
読解力の無い読者ならば、ついうっかり「トレインは何をいってるんだ?アホか」と思うことでしょう。
ですが、違います。
知欠先生は、そのような細やかな論理的矛盾などには目もくれないのです。
なぜなら、人間とは、そもそもが矛盾的存在であるからです。
知欠先生は並大抵の作家ではありません。
普通の作家であれば、主人公の性格や行動には一定の共通性を持たせようとするでしょう。
そうすることがキャラクターの確立には必須だからです。
しかし、それでは所詮一流止まりです。
知欠先生のような超一流作家はそのようなセオリーに縛られることすら良しとしません。
知欠先生は、あえてトレインに少し前の自分の行動と反するような台詞を吐かせる事によって、「ああ、トレインもその場その場でなんかそれらしいことを言ってカッコつけようとする、人間らしいところが残っているんだなあ。トレインも僕たちと同じ人間なんだ」と読者に示すのです。
主人公を単なる完璧なヒーローにするのではなく、間違えもすれば矛盾もある僕たちと同じ人間であることを描いたのです。
主人公を偶像でなく一人の人間に落とすことで、物語に説得力リアリティを与えた知欠先生。
その悪魔の描写力は既に故・手塚治先生を遥かに超えたといってよいでしょう。「火の鳥」だって、ここまで人間をリアルに描けません。

ドクターの台詞
「知識を組み合わせて新しいものを生み出す事ができるのは人間だけだ」
これも素晴らしいです。
これを身近な例で応用するならば
「漫画を組み合わせて新しいものを生み出す事ができるのは知欠だけだ」
といったところでしょうか。

はっ!僕は何をいってるんだ……。


知欠先生は偉大です。
知欠先生は偉大です。



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