●男爵ディーノ考―まとめ―




前節において、ディーノの魅力をある程度、感情的には理解してくれたと思います。
さて、次はディーノの魅力について少し理論的な考察に入りたいと思います。
話が少し堅苦しくなりますが、最期まで我慢してご覧いただければ幸いです。

まずはディーノの魅力をいくつかの点でまとめてみました。
すると以下のようになると思います。

1、男塾には珍しいトリッキーファイターである。
2、男塾の中でキャラが新鮮である。
3、相手の酔傑のキャラも良かった。
4、ジャンプの連載中に巻頭カラーがあった。
5、鎮守直廊なのに、敵に勝った。
6、劇的な最期を遂げた。


というところではないでしょうか。
当たらずとも遠からずではないかと思います。

それでは1つずつ項目を検討していきたいと思います。


1、男塾には珍しいトリッキーファイターである。

男塾にはトリッキーな技を使うファイターはあまりいません。つまり、相手の裏を書いた技で知略の限りを尽くして闘う、といったものです。もちろん、細かなところではそれはあります。各人、技に何らかの工夫を加えて実践で使用しています。飛燕がマハール戦で見せた無明透殺などはまさにそういったものでしょう。
しかし、根本的に相手に恐怖を与えつづけるような未知の技を使うものはいませんでした。ファラオは、自分の姿をしたホタルを使うことで、斬られるたびに分身する、という驚くべき技を使っていました。タネが分かればなんということもありませんが、最初のインパクトは大きなものでした。
ですが、こういった技を男塾の面々は使いません。基本的に彼らはパンチが速い(by J)、槍が上手い(by 伊達)といった具合に力押し+小技です。なぜでしょうか?それは敵の場合と違い、男塾側は何度も同じキャラが闘わなくてはならないため使い捨ての技は多用できないのです。雷電などはサルを使って自分の影を作ったりしましたが、もうそれ以降二度と使いませんでした。しかし、雷電のような例は稀です。男塾ではこのような技はめったにありません。他にトリッキーな技を使った主な男塾メンバーは、蝙翔鬼があげられます。彼のコウモリを使った乖宙浮遊体は敵になかなかのプレッシャーを与えたと思います。では、なぜ蝙翔鬼、男爵ディーノといった、鎮守直廊のものばかりが、こんな使い捨ての技を得意としたのでしょう??
それは、彼らが使い捨てキャラだからです


2、男塾の中でキャラが新鮮である。

これはいうまでもないでしょう。明らかにディーノは変です
男塾の中でも浮いてます。
大体、男爵、ってなんなんでしょう??
男塾に爵位があるとは思えません。しかし、髪や眼の色から彼が日本人であることは明らかです。
現代、日本には当然爵位はない・・・となると、導き出される結論はひとつ!
ディーノが勝手に名乗っている、ということです!
なんということでしょう!!
ディーノは一体、何の意味があって男爵を名乗ってるのでしょうか??
男塾の中で男爵などと名乗ったところで何の意味がありましょう。そもそも死天王とか格闘バカで頭悪そうです。彼らの記憶容量は全て妖しげな中国拳法の名前に使われているはずです。男爵なんてイモの名前としか思ってないでしょう
こうしてみると、ディーノのキャラは、新鮮というよりも不可解です。
しかし、どうせ自分で名乗るなら、男爵だなんて、最下位の爵位を使わなくても、思い切って公爵や侯爵を使えばいいのに…。ディーノなりの自戒だったのでしょうか?もしかしたら彼はこの天挑五輪から無事生還した暁には子爵を名乗ろう、とか考えていたのではないでしょうか?


3、相手の酔傑のキャラも良かった

そもそも梁山泊自体が敵の中ではかなりまともな部類に入ります。だいたい、どこのチームも非情で残酷なものですが、梁山泊は2、3の例外を除き、基本的にそれほどひねくれ曲がった性格はしていません。
しかも梁山泊は前回優勝チームということで前評判も非常に高かったのです。その第一戦目に出てきたのが酔傑です。彼は梁山泊の威光が最も輝いているときに出てきたといえましょう。
また、酔傑は最後の最後で卑怯キャラになりさがりましたが、それまではかなりの好感度だったと思います。最期に卑怯キャラにならなければ・・・とつくづく惜しまれるキャラです。
・・・いや、実際はコイツもたいしたことないんですけどね・・・。旗を振り回して、鞭を使っただけですから。他の敵と比べるとしょぼいです・・・。あとは酒飲んでるだけだし。ある意味、ディーノと酔傑はお互いのヘボさを隠しあいながら試合のクオリティを高めた、ともいえるでしょう。


4、ジャンプの連載中に巻頭カラーがあった

これはコミックスを見ていて思ったのですが、ディーノが闘った3週間のうち『後輩達への遺言』の話だけ、微妙に色使いが違います。おそらく巻頭カラーだったと思われます。これによりディーノの闘いが実際より派手に見えた、という仮説が成り立ちます。僕もリアルタイムで読んでいたときカラーだった記憶がおぼろげながらあります。


5、鎮守直廊なのに敵に勝った

これはすごいことです。なぜなら、鎮守直廊、初勝利だからです。
そうです。いままで合計、13の戦闘を繰り広げた鎮守直廊ですが、ついに勝利を手にしたのです。
正確にいえば、雷電vs蝙翔鬼の闘いは蝙翔鬼の勝ちと言えるかもしれませんが、あれはしょせん反則勝ちです。
今度のはディーノが自らの武力と知力だけで勝ったのです。どこにも後ろめたいことはありません!
明石に言わせれば「相打ちは勝利ではない」といったとこでしょうが、鎮守直廊相手にそんな厳しいこというのはやめましょう。明石と鎮守直廊では住んでる世界が違うのです!!


6、劇的な最期を遂げた

英雄には相応しい死がつきものです。
その点、ディーノの死はこれ以上ないものでしょう。
敵を一度は打ち負かしたものの情により傷を負い、その代わり相手を道連れにするという、男として義理の通った、根性の入った最期です。しかも、同輩・後輩に見守られ、悲しまれ、涙を流してもらっています。独眼鉄とは大違いです
しかも、最後に大サービス。滝の上にディーノの面影が浮かぶという壮大な演出つきです!
いや、この演出は実際、少々どうかとは思いますが…。滝の上に、ヒゲ面シルクハットのオヤジの顔がアップで浮かぶのはかなりシュールですある意味ギャグです。が、僕達はそんなことをいわずに素直に感動しましょう。先ほどの激闘を思い浮かべれば失笑を噛み殺し、感動することなど簡単なはずです!



以上、簡単にまとめてみましたが、これを読んでくださっている方々に、僕の尊敬するディーノの魅力のいくらかでも伝えられれば男子の本懐これに勝るものありません。あとはみなさんの目で直々にディーノの活躍と最後の「滝に浮かぶディーノ」を確認してください。




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