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京極夏彦の短編集。妖怪大好きの多々良勝五郎というおじさんが事件をいろいろ解決するお話。どうも作家という職業は、たまに肩の力を抜いた作品を書くことがあるらしく、本書もそういう手合いの物。京極シリーズと比べ、文体も平易で長ったらしい薀蓄もない。読みやすいといえば読みやすいが、少々物足りない感じもする。京極シリーズほどにはキャラクターに魅力が無いのも難点。読み終わってみると、結局、京極堂(中善寺秋彦)が特別出演した最後の一編しか面白くなかった気がする。 |
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みんな知ってる江戸川乱歩の少年探偵シリーズ。意外なことにものすごく子供騙しな本。ツッコミどころの連続。ゆでたまごが書いたのかと思ったほど。とてもじゃないが、「人間椅子」と同じ著者とは思えない。必然性もなければ意味もない鬼面人を驚かすだけのトリックの連続。ただ捕まるためだけに出てきた20面相の部下3人とか、本当に意味が分からない。怪人20面相は本当は子供が大好きで、少年探偵団と遊びたいだけなんじゃないかとすら思えてくる。 |
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上と同じく、江戸川乱歩の少年探偵シリーズ。これもすごい。ムチャクチャな話。科学者が作った人型ロボット鉄人Qを見せてもらった北見君。デモンストレーションで科学者が鉄人Qと将棋を打つと、勝てずにムシャクシャした鉄人Qが暴走。……事件の導入がそんな話でいいのか、ホントに。結局、科学者も鉄人Q(中身は人間)も怪人20面相の一味なのだけど、だからあんたら何がしたいんだ。文章は読点が多すぎて、読みにくい。 |
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京極堂シリーズの中では、比較的評価の低いこの作品。確かに『絡新婦の理』と比べると、ストーリー構成に奥行きがない。しかし、その分わかりやすい話で、登場人物の相互関係なども理解し易い。一度読んだだけで十分ストーリーが把握できる。ただ、『絡新婦の理』の肝が情報操作だったのに対し、こちらは催眠術というあやふやなモノが武器になっているため、「何でもアリ」な雰囲気も漂っている。これはもう推理小説ではなく、冒険小説に分類されるかもしれない。
また、上巻である「宴の支度」では、短編構成になっており、短編ごとに妖怪の名前が付けられている。と、いうことはつまり、短編ごとに毎回妖怪に対する長い長〜い解説があるわけで、これが少し退屈かもしれない。僕としても、今までのシリーズは一冊に一回なので楽しく読めたが、一冊に4回も5回も出てくるのはちょっと辛かった。 |
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京極シリーズの一つ。探偵榎木津礼ニ郎が大活躍する中編が3つで、榎木津が大好きな婦女子の方にはたまらないだろう。榎木津他数名の下僕たちがドタバタするお話で、たぶん痛快娯楽小説。中編ということで短めだし、中身も他のシリーズと比べて圧倒的にお気楽だし、読んでて楽しい本であることは間違いない。榎木津は人の名前を覚えない、というキャラ付けのためだけに最後の1ページまで名前の分からない主人公(?)が憐れを誘う。 |
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京極シリーズの一つ。これまでの(これからの?)シリーズの犯人や脇役にスポットライトを当てた短編集。犯人が主役だからどうにも暗い話が多く、京極の筆力をもってしても「暗い話はあまり楽しく読めない」という好例。特に最初の2話はあんまりにも暗くて、読むの止めようかと思った程。しかし3話目からはずいぶんイメージが明るくなって、それなりに楽しく読めた。特に、目潰し魔平野が犯行前は意外と普通の、どちらかと言えば良識のある人だったのが分かって何だか良かった。 |
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京極シリーズの一つ。大変困ったことに犯人がすごくあっさりと分かってしまい、最後まで裏切ってもらえない。あと、若干筆が荒れてる気がしたが、その2点以外は、まあいつもの京極節。これはこれでそれなりに楽しめるけど、魍魎や絡新婦のような神がかった作品とは言いにくい。 |
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