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写真が豊富なマヤ文明の本。写真資料が多いことを除けば通り一遍の解説本のようだが、最終章「4、現代のマヤ地方の生活」に入り、著者のフィールドワーク(現地で住民と一緒に生活したりして調査する人類学上の手法)が語られると、「よそ者扱いされて寂しかった」とか、急に文体が砕けて愉快になる。学術的解説+現地レポートという感じか。現代マヤにおける村レベルの裁判や産まれたての伝説など興味深い。 |
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ゴールデンドーン(黄金の夜明け)という、英国で19世紀末あたりから活動していた魔術結社の本。それまで秘密とされていた教義や魔術をイスラエル・リガルディーという人がオープンにしちゃった、いわゆる暴露本。魔術書というと、生贄とか悪魔召喚とか何だかスゴイことが書かれててハラハラドキドキの本かと想像するだろうが、ショッキングな描写は全然ない。はっきり言って普通の人が読んで面白いものではない。コアな資料(魔術モノにリアリティを与えるため)として用いるか、学術用の研究資料にするか(魔術結社研究はいろいろと厳しく非現実的)、もしくは思いきって実践するくらいしか使い道はない。あと、装丁が豪華なので書棚に入ってるとカッコイイ。 |
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ソロモンの大いなる鍵 |
魔術書。これまた普通に読んで面白いようなものではない。呪文とかもいっぱい載っているけど、ずっと読んでるとちっとも面白いものではない。普通に読んで楽しめるのは本文の前の序文だけ(結構長い)で、後は純粋に資料目的に使うしかない。読み物として読むなら、これよりも、「ソロモンの小さき鍵」の方が72の魔神の召喚法とか載ってて楽しいかもしれない。悪魔召喚したい人は「小さき鍵」をどうぞ。できないけど。(大いなる鍵・小さき鍵、共に絶版。入手困難。小さき鍵要らない人売ってください。…定価で) |
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聖書 |
世界で一番発行されてる本らしい。旧約と新約があり、旧約はキリスト教・イスラム教・ユダヤ教で共通。新約はキリスト教のみ。新約は結構簡単に手に入るので、身の回りの(熱心な)クリスチャンに頼めばたぶん貰える。その際も(たぶん)勧誘されたりはしない。資料として欲しいだけだと言っても(たぶん)くれる。ただし、キリスト教系の教団もいろいろあり、教団によってはオリジナルな聖書を作ってたりするので、そこのところは注意が必要。一方、旧約はたぶん金を出さないと買えない。新約にしろ旧約にしろ、読み物とするにはやはりきつい。資料として辞書のように用いるか、解説本を併用しないと読めないと思う。なお、個人的な経験から言うと、日常生活を送っていて聖書を紐解く必要性が出るのは年に一度か二度。
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「サタンと漫才する本」として、トンデモ本にも紹介された有名な本。東京都文京区の図書館で運良く発見。読んでみたけど、これが辛い。最初はクスクス笑って読んでいられるけど、あまりに独自な世界観が続くのでだんだん憂鬱になってくる。笑うために読むなら、このボリュームはちょっと長すぎる。しかし書いた人は大真面目だろうから、そんなこと気にするわけがない。相当の好事家でなければ、購入はお勧めできない。この本のレビューを書いてツッコミを入れてるホームページを見た方がたぶん楽しいと思う。 |
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マヤ文明の本、これまた絵と写真がたくさん入った楽しい本。テキストの量も多く、上で挙げたマヤの本と比べても情報量は多い。特に「放血の儀式」という血を伴った儀式に関する記述が多く、ショッキングで楽しい。とりあえずマヤ文明の時代に生まれなくて良かったと思った。マヤ文明の人たちはココアに唐辛子を入れていた、などの明日使えるムダ知識もアリ。マヤの超古代文明にも軽く触れられているが、当然否定的な見解で最後はシニカルに締められている。 |
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ペルシア、つまりイランの神話。ゾロアスター教の神話といってもいい。ゾロアスターというと、アフラマズダ、アンリマンユ、ウォフ・マナフ、アールマティ、プーシャヤンスタ、アジ・ダハーカなどメガテンでお馴染みの神々・悪神を持つが、この本ではほとんどそれらには触れられず、主にファリードゥーンなど英雄の物語で占められている。この英雄箪は10世紀頃に書かれた物らしく、そのせいか神話の本にしては珍しく話が理解しやすく、普通に物語として読めてそれなりに楽しい。でも、ほとんど人間の話なのであまり神話を読んでる気はしない。 |
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これといって特徴のない、普通の日本神話の本。この本のレビューというか日本神話のレビューになるが、日本の神々はイザナギ・イザナミの一挙一動足によってぴょこぴょこ産まれる。よって、何々の神が産まれた〜という描写がとても多く、いい加減面倒くさくなってくる。また、神々もぴょこぴょこ産まれているため、たまに何のために産まれてきたのか良く分からない神もいて、特に大戸或女(オホトマトヒメ)の神―「広大な所で道に迷う女」の意―などは一体何をする神なのかさっぱり分からない。 |
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映画『八甲田山』で有名な遭難事件の、無事に生きて帰ってきた方の指揮官の伝記。映画のアレはあくまでフィクションなので、こちらの方が史実に近い。ところでこの伝記、福島大尉という人について書かれたものだが、この人の生き様は別にそんなに凄いものではない。確かに、どちらかといえば優秀な人だが、しかし、伝記になるほどの人物とは思えない。これは作者が後書きでも述べていることである。八甲田山の事件は、ほぼ全滅したもう一つの部隊の惨劇が強烈で、それに引き摺られる形でこの書に発刊に至ったのだろう(それと小説・映画の人気か)。ただ、明治期の陸軍士官の生活ぶりを知ることができるため、全くつまらないものでもない。 |
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話題のバカ本。著者の先走った偏見と思い込みを、科学的と称するデータで補完する奇書。幸いなことにまともな人間であればすぐに論のおかしさに気付くことができるほど支離滅裂な内容のため、あまり影響はなかった(と思う)。おかしな学者がおかしな説を打ち出すのは良くあることなので、そういう意味では森教授の存在は別段不思議なことでもない。けど、これを信じた教育者がいたという事実は深刻な問題だと思う。 |