●『君主論』研究_第六章





『自己の軍備と力量で獲得した新しい君主政体について』
〔第六章では自己の軍備と力量をもって新しくゲットした領地の治め方について書かれている〕

新しく君主となるものは、力量ならびに運命による。運命よりも力量によって君主となったものの方が政権の維持は容易である。

概して、力量によって君主となったものは政権獲得の際に困難を伴う。その困難は保身のための新しい制度や施行方法の導入によるものである。なぜなら、新制度を導入するということは、これまで旧制度の恩恵を受けていた人々を敵に回すということであり、また新制度で恩恵を受ける人たちは、いまだ自分たちが実際に恩恵を受けたわけではないので、生ぬるい態度しか取れない。敵は激しく、味方は生ぬるいため、新制度の導入は危険で難しいものとなる。そのため、力量(実行力)が伴わなければ、政権獲得は難しい。

「軍備ある預言者はみな勝利したが、軍備なき預言者は滅びてきた」

人民は本性において変わりやすいため、一つのことを説得することは容易でも、それを信じさせておくことは難しい。そのため、人が信じなくなったり不信を抱いたりした時は力ずくで信じさせなければならない。

「モーゼやキュロス、テーセウスやロムロスが、もしも非武装であったならば、自分たちの律法や制度を長いあいだ人々に守らせることはできなかったであろう」


第六章のまとめ

どうもマキャベリによると、自己の軍備と力量で獲得した場合は、その軍備と力量を背景に(大変ではあるものの)新制度の導入が可能、つまり政権の維持は可能であると言いたいようだ。
また、サヴォネローラを引き合いに出し、軍備なき預言者(実行力を伴わずに新制度を導入した場合)は、自分が導入した新制度(大評議会)により滅亡(火刑)することもある、としている。(なお、大評議会とサヴォネローラの処刑の関連性は不明)


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