●『君主論』研究_第一三章 |
『援軍、混成軍、および自軍について』 軍備の種類――自己の軍(○) 傭兵軍(×) 援軍(×) 混成軍(△) 【援軍について】 援軍は、それ自体は(傭兵と違い)有力であるが、彼らが敗北すれば(戦争に負ければ)当然自分は敵方の虜になるし、援軍が勝ったとしても、自分は援軍の虜になってしまう。 ・ユリウス二世の例 ユリウス二世の援軍は敗れたが、別の第三勢力が敵を払ってくれたので、教皇は敵方の虜にも援軍の虜にもならなかった。 『傭兵軍において最も危険なのは無気力であり、援軍においてはそれが力量である』 援軍は、常に謀略、すなわちそれを派遣した君主の命令が仕組まれている。 そのため、君主が何か事を起こそうと思えば、援軍はすぐにあなたに牙をむく。 援軍は強いが信用できない。 しかし、傭兵は勝利を収めても、あなたに牙を向くまで時間が掛かる(※1)。 なので、その分だけ、援軍よりは安心できる。 傭兵は役に立たないが、刃向かってくるには少し時間が掛かる。 ※1 注によれば、この当時の君主も、傭兵隊長と傭兵が一体とならないよう、何か工夫をしていたようである。 例:チェーザレ・ボルジア 軍備の遷移:フランスの兵力(援軍)⇒オルシーニ家・ヴィテッリ(傭兵)⇒自軍 マキャベリによれば、時代が下るほど名声が高まったという。 例:シラクーザのイエローネ 傭兵隊長が役に立たないことが分かったので暗殺し、自軍だけで戦った 例:旧約聖書のダビデ 他人の鎧を着ることを拒んだ。 【混成軍について】 シャルル7世 : 自軍による騎兵と歩兵 ルイ王 : 自軍による騎兵と、傭兵による歩兵 ※2 ※2 これにより、フランスは「スイス人の傭兵がいなければ自分たちの騎兵が勝てない、と考える風潮が生まれた」という。 第一三章のまとめ 傭兵:弱いけど、いざ裏切る時には時間が掛かる 援軍:強い、けど、他の君主の命に従ってるので、いざ裏切るとなったらすぐに裏切る 混成軍:自軍+傭兵。傭兵オンリーや援軍オンリーよりはマシ。「傭兵がいないと自分たちは勝てない」という気風が生まれる 結論としては、自軍だけで装備しとけ、ということ。 『自己の戦力に基礎を置かない権力の名声ほど不確かで不安定なものはない』 |
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