「ん…あっ、はぁ……っ!」
カーテンで仕切られた、薄暗い部屋の中に甘い声が響く。外は夕暮れ…グラウンドで部活に汗を流す者達の掛け声が微かに聞こえてくる。
……そこは、ゼロスの数学研究室だった。照明も点いていない部屋の中で、2つの影が抱き合っている。
上に覆い被さっているこの部屋の主は背広を適当に部屋の隅に放り投げ、Yシャツもはだけさせてその下にいる金髪の少女を掻き抱いていた。掻き抱かれている少女のスカーフは床に落ち、胸元が露わになっている。その白い肌にはいくつもの真紅の華が咲いていた。
「っあ…ん、せんせ…ぇ、私、もう……っ」
「まだですよ、フィリアさん…まだこんなに感じてるじゃないですか。」
そう言って、ゼロスは再び身体を揺り動かした。強く、優しく―…こうなってしまっては、彼女には大人しく身を任せることしかできない。
「んぅ…っ!」
――いつからだっただろう?ゼロス先生とこんな関係になったのは。初めて求められたときは、痛くて…苦しくて、泣いてばかりだったけど…。
『ゼロス先生っ!止めてっ、嫌…痛いっ!!』
『もう少し我慢してください…すぐに良くなりますから…。』
『んー…痛っ、あぁ……んっ!!』
―…それから、幾度となく身体を重ねるようになった。先生の家で、研究室で…時には屋上や、資料室の中で。誰か来はしまいかという不安と、この担任教師から与えられる快楽の狭間で…フィリアは何度も嬌声を上げた。
…私、この人に捨てられてしまったらどうなってしまうんだろう?…分からない、今の私には考えられない……。
「フィリアさん…。」
「…………。」
自分に抱かれながら、どこかボゥッとしていて問いかけに答えない彼女に嫉妬したのか、ゼロスはググッ…と、よりきつくフィリアを抱きしめる。
「っ、あ…っ!?」
「僕と一つになっている時に―…僕以外のこと、考えちゃ駄目ですよ。」
そう言って、渇いた喉を潤すかのように激しく唇を求めた。
―この金髪の天使に恋した時から、こうなることを望んでいた……もう手放しはしない、例え彼女が離れていこうとしても、絶対に…―っ!
「ゼロ…ッ、せんせ……っ!」
「フィリア…っ!」
「……っっ!!」
やがて2つの想いが重なり合う時―そこは、楽園となる―…。