バラデロ日記65顛末 バラデロ 対 《物欲》

少し寒くなってきたので引き返すことにした。

おそらく、バッテリーも先ほどのダメージを回復できたであろう。もう大丈夫だ。
グリップヒーターに電流を流してみる。
冷え切った指先がほんのりと暖かくなってきた。
あるバラデロオーナーに頼んでキットを組み立ててもらい材料費のみで譲ってもらったやつだ。これも劇的変化のお買い物で、使用する毎に”うれし”と感じる。

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今から福井に戻るところで休憩。実は前後をトラックに固められたために、すごすごと退場したところ。チームMIDORIBAならあっという間に追い越すところだが、ナロー&ワインディングロード、そして久しぶりのライディングということで自重した。

そして、福井県丸岡町にあるレッドバロン(全国チェーンのバイク販売店)を訪問してみる。
あまりお客さんがいないので入りづらくうろうろしていたが、店員さんが入り口のほうで小首を振ったのをきっかけにズンズンと店内に入ってしまった。

ほおー、いっぱいバイクが置いてある。(あたりまえだ)

おー。HDのスポーツスターが置いてある。1200[CC]と833[CC]のやつだ。

実物をじっくり見るのは初めてである。思っていた以上に小さい。
これなら妻も納得の車格だ。

みるからに足つき抜群のシート。いますぐでも買いたいが、ぐっと我慢する。

と、その向こうにBMWのR1100R(R1150Rではないが、ま、いいだろう)が置いてあるではないか。

バラデロと同じような車格だ。
ボクサー水平エンジンがかなりの自己主張をしている。
異彩を放つこのスタイルに心を奪われた。今すぐ絶対ほしいが、ぐっと我慢する。 

店員さんがやってくる。
背中を押されると買う羽目になるかも・・・・・むしろ、押されたい気持ち半分。

「大きいバイクですね。どこからいらっしゃいました?」

「近所からです」

「.......」


「これはご来店の記念品です」

「ありがとうございます」

空気圧計をもらった。そして、背中はまったく押されなかったが、ここに来ればいつでも買えそうだなということが分かって安心した。

 もう一人の店員さんに

「バラデロにお乗りですか」

「そうです」・・・・・よくバラデロを知っていたな。ういやつじゃ。

「大きいですね。私も以前TDM(ヤマハ)に乗っていたのでバラデロみたいなのは好きなんです」

TDM850.jpgヤマハ TDM850

270°位相クランク採用パラレルツインの高トルクと、デルタボックスフレームの強靱なシャーシ、ロングストロークサスペンションのしなやかさが一体となって、どのカテゴリーにも属さない走破力を獲得。

ヤマハのホームページより

「色もいいですねえ。マフラーをチタンに買えたんですね

「ええ、純正はちょっとさびしい音なんで、にぎやかになればいいと思って」

「トップケースもいいですねえ。たいていのものは入るでしょう」

 《寿司食いねえ!》  森の石松状態になる。

なかなかの好青年。店の評価ポイントが急上昇した。

「買い換えのときは是非ご来店ください」

「ええ、是非

結局、背中は押してもらえなかった。 
押されても買うことはできないが、ちょびっとでもいいから押してもらいたかった。 

今にも雨が降りそうになってきたので店を出ることにした。

店員さんが見ているので、いつもより立ちごけに注意して、さらに、いつもよりスロットルをよけいに回して、月光仮面のようにけたたましく去っていったのであった。

《おしまい》