ある晴れた日の午後、風は一人草原にいた。
心地よい風が吹き、寝ころんでみるとかすかに草の匂いがした。
こんな穏やかな時は久しぶりだ、と風は思う。
戦いもなく、リサや双子のいない一人だけの時。
すでに自分には手に入らないと思ってたゆっくりと流れる時間・・・。
空を見上げれば、透き通るかの様な真っ青な空、流れる雲。
いつの間にか忘れていた光景だった。
この状態がいつまでも続いて欲しいと願った。
そう思っていても何か足りない物があった。
こんなに心地よいのに、いったい何が足りないのか・・・。
それが何かが分からず暫く考え込んでいた。
しかし次の瞬間、一人でいた草原に異変が混じった。
誰もいないと思っていたこの草原に、ぽつりと人影が見えた。
風が体を起こす。
人影が大きくなるにつれ、辺りに白い霧が発生し始めた。
「・・・白い・・・雲・・・」
風のいる場所に必ず姿を現す「白い雲」が風の元に近寄って来た。
「やぁ、黒き風・・・。こんな所で何を・・・?」
雲が風を見下ろし、言葉を発した。
その言葉に風は答えず、そのまま寝ころぶ。
「今日は銃を構えないのかい?」
いつもと違う風の行動に、驚きを隠せなかった。
「・・・無意味だ」
短く風が答える。
「あいかわらず素敵だね」
雲はそんな風の行動に少し微笑む。
雲の微笑みに見惚れてしまった風が慌て顔を背けた。
「もっと顔を見せてよ、風・・・」
雲は風の傍らに座ると、風の顔を自分の方へ向けた。
視線が絡まり合う。
自分を見つめていた雲の瞳が不意に閉じられたかと思うと、そのまま重なって来た。
触れるだけの優しいキス。
「この続きをしたいんだけど・・・良いかい?」
雲が唇を離して言う。
こうなった雲に逆らうのは無駄だと思い知らされていた風は、仕方なく雲の首に手を回した。
それを合図に雲の唇が再び風の唇と重なる。
「んっ・・・」
歯列をなぞり、口を開けさせると雲の舌は風の口内へと入っていった。
「んんっ・・・」
瞬間、痺れるような感覚が風の体を駆け巡った。
息をする間を与えないような、長い長い激しいキス。
「ふぁっ・・・んっ」
唇を解放された時、風の体は自由が効かなくなっていた。
風のその様子に笑みを浮かべながら、雲は風の衣服を一枚、一枚脱がしていった。
「綺麗だよ・・・風」
優しげな表情で風を見る雲。
その雲の表情に、風は顔が熱くなるのを感じた。
雲は風の胸の桜色の突起に触れる。
「・・・んっ!!」
ピクンと、風の体が動く。
突起をつまみ、指で転がす。
「う・・・あっ・・・」
暫く突起をまさぐっていた雲の指が、段々と下肢に伸びてきた。
「あ・・・やっ・・・!」
すでに堅くなっている風自身を優しく包み込む。
「んぁっ・・・!!」
雲の手が動くたびに、風の中に熱いモノが広がっていく。
「はっ・・・あ・・・ぅ・・・」
雲のもたらす甘い刺激に風は翻弄されていた。
そのうち雲は空いてるもう片方の手を風の双丘に滑らせ、奥の蕾へと伸ばしていった。
指が蕾を探し当てると、そのまま中へと押し入れた。
「あっ・・・!」
短く声を上げる風。
指を根元まで入れると、雲は中で掻き回すように動かした。
「あっ・・・やめ・・・っ!!」
ゾクゾクと這い上がってくる感覚に風の体が跳ねた。
そして指を増やす。
先ほどの感覚より威圧感を感じながらも、風の中は雲の指を締め付ける。
「すごいね風。そんなに締め付けたら動かせないよ?」
雲の指の動きに風はただ、雲にしがみつくことしか出来なかった。
「もういいかな?」
風の中が十分にほぐれた事を確認すると、雲は指を引き抜いた。
「あ・・・っ・・・んっ」
物足りないと言う感じの風に、雲は優しく口付けた。
「入れるから力を抜いて」
雲はそう言うと、自分の熱くなった塊を風の蕾に押し当てた。
「あぁぁぁっ!!」
指の倍の威圧感に風の体が強ばる。
「っ・・・きつッ・・・」
雲を拒もうとする風の中が雲自身を締め付ける。
何度も肌を重ねていても、この行為だけは慣れない風。
緊張を緩めるために雲は風自身に手を伸ばす。
「はぁ・・・あ・・・っ」
少し緊張が取れたのを見計らって、雲が腰をさらに進める。
「そんなに締め付けたら、すぐに果ててしまいそうだよ」
いつの間にか風の頬を伝っていた涙をぬぐうようにキスをする。
「風・・・愛してるよ」
ゆっくりと腰を動かしながら雲は風にそう言った。
「・・・っぁ!く・・・も・・・」
雲の優しい眼差しに風は安堵感を覚えた。
自分を大事にしてくれている。
そんな雲の気持ちが心地よかった。
今まで誰からも必要とされてなかった自分を、雲は「愛してる」と言ってくれた。
今の風にはそれだけで十分だった。
「今日の風はよく泣くね・・・そんなにキツかったかい?」
再び涙を流していた風を雲は心配そうな顔で見ていた。
「だ、大丈・・・夫・・・だ・・・」
ぎゅっと雲にしがみつく風。
しがみつく風を愛おしく感じた雲は、前と後ろをいっぺんに攻め始めた。
「あっ、あ!!やぁ・・・っ!!」
急激な快感に風の体が震える。
「も・・・ぅ・・・!!」
「いいよ、風。一緒に達こう」
雲が更に激しく体を揺する。
「ひぁっ・・・!!く・・・もっ・・・!!」
「っ・・・!」
雲と風は同時に欲望を放った。
ずっしりと雲の体重が風にかかる。
その重さもまた、風には心地よいものだった。
自分の胸の上で息をしている雲の頭を抱きしめ、風はこの時間が永遠に続く事を祈っていた。
そしてふと気付く。
さっき願っていて足りない物が何なのかを・・・。
自分が安らげる場所、雲との時間・・・。
そう、あの足りない物とは雲の事だったのである。
雲と過ごす時が自分が欲していた物だったのだと気付いたのだった。
「大丈夫、私はずっと風の側にいるよ」
「なっ・・・!!」
まるで見透かされているかのように、実にタイミングよく雲が言った。
風の頬が熱を持つ。
「風・・・愛してるよ」
雲はそう言うと、体を起こしそっと風にキスをした。
2人しかいない草原には、穏やかに風が吹いていた・・・・。
END
後書きと称した言い訳(^∇^;)
如何でしたでしょうか?
雲×風の甘々小説(?)は(苦笑)
自分的には、「初めての風様合意でのH!!」って感じで楽しかったです(笑)
しかし甘々は難しいですね(^∇^;)
風様、微妙に乙女ちっくぽいし(苦笑)
もっともっと勉強せねばっ!!って思いました〜(苦笑)
お気に召して頂けましたでしょうか?