「いい加減、同じ味だと飽きるんだよね」
今日も伯爵は機嫌が悪い。
ガウディウムの中で毎日のように繰り返される会話だった。
「もっと違う料理はないの?!」
伯爵が怒りに声を荒げる。
「そうでございますね・・・。では今宵は違う料理を拵えましょう」
オスカーが体をクネクネと揺らしながら言う。
「お前に出来るのかい?」
伯爵がオスカーに訪ねた。
「もちろんでございます。材料さえ手に入れば、それはもう一級品の料理を作って差し上げましょう」
オスカーが自信満々に言う。
「材料?それは何なのさ」
頼もしいオスカーの言葉に伯爵は嬉しさを隠せなかった。
「「黒き風」にございます」
オスカーが伯爵にお辞儀をしながら言う。
「「黒き風」?奴が手に入れば、美味しい料理が食べれるんだな?」
伯爵が身を乗り出してオスカーに言う。
「左様でございます」
再びお辞儀をするオスカー。
「よし!じゃぁ、お前達「黒き風」を捕まえて来い!」
伯爵の傍らでその様子を見守っていた四凱将と少し離れている魔剣士に命令を下す。
伯爵の言葉に、四凱将達が散って行く。
「お待ち下さい」
散って行く四凱将、そして伯爵をオスカーが引きとめた。
「なに?」
伯爵の機嫌が再び悪くなる。
「恐れながら伯爵様、「黒き風」を捕らえに行くのは一人で十分かと・・・」
体をくねらせ、オスカーが言う。
「一人?毎回「黒き風」にやられているのに、それでも一人で行けと?」
伯爵はオスカーの言動に不信感を抱いた。
「左様で・・・。「黒き風」も一人なら油断するはず。それを大勢で押し掛けたらよけいな注意を与えてしまいます」
オスカーの提案に考える伯爵。
「なるほど・・・それもそうかもな・・・。じゃぁ、誰に行ってもらうか・・・だね」
伯爵は四凱将と魔剣士を見ながら誰に行かせるかを考える。
「それには魔剣士様をお薦めしますが、如何でしょう?」
オスカーは伯爵の耳元で言う。
「魔剣士〜?!何でさ」
何故魔剣士を薦めるのか分からず、思わずオスカーを見る。
「「黒き風」は何故か魔剣士様には他の四凱将の方々とは違う態度を取っているので、油断しやすいのではないかと・・・」
「そうなのか・・・?じゃぁ魔剣士に行かせよう」
オスカーのもっともらしい考えを聞いて、伯爵はその意見に同意した。
「魔剣士、お前が「黒き風」を捕らえて来い」
伯爵が離れた壁際にいる魔剣士に命令する。
魔剣士は伯爵の命には無言のまま、その場を後にしようとした。
「お待ち下さい魔剣士様」
出ていこうとする魔剣士をオスカーが引き止める。
「良い物を作りましたので、是非お役立たせ下さい」
オスカーは何処から出したのか、小瓶を魔剣士に手渡した。
「これは・・・?」
小瓶を受け取りながら魔剣士はオスカーを見る。
「生き物を小さくする薬でございます。「黒き風」を捕らえた暁には是非、これをお使い下さい」
「何故これを私に・・・?」
魔剣士は協力的なオスカーに少々疑問を抱いた。
「持ち運びに便利ですから。使用方法は飲ませても良し、体にかけても良しなのでお好きなように」
魔剣士の疑問を何とも思わないように、オスカーは平然と言う。
「ただし」
オスカーが言葉を続ける。
「体にかける場合は薄めてお使い下さい。なんせ原液では強すぎますので・・・」
「・・・感謝する・・・」
これ以上何を言っても無駄だと思った魔剣士は、オスカーに背を向けガウディウムを後にした。
「小さくなり、持ち運びに便利と言うのは、手のひらサイズと言うことか・・・?」
魔剣士はオスカーの言葉を考えながら風の元へと急いだ。
その頃風は湖の前に立っていた。
自分の進んでいる先に湖があり、どうやって渡ろうか考えていたのだった。
暫く考えていた風の頭上から、湖めがけて数滴の雫が落ちてきた。
「・・・」
風は無言のまま空を見上げる。
空は雲一つない良い天気で雫なんて落ちるはずはなかった。
そのまま見上げていた視線を湖に戻すと、いきなり背後から衝撃が風を襲った。
不意を付かれて受け身を取れなかった風は、大きな水音と共に湖に落ちていった。
その数秒後、風は湖から顔を出した。
湖の畔には、魔剣士こと「白い雲」が立っていた。
「「黒き風」あいかわらず・・・」
湖から上がってきた風を見た瞬間、雲の言葉が止まった。
隙を見計らって風はショットガンを構えようとした。
しかし、そのショットガンは自分の手には大きく、しかもかなり重くなっていた。
「・・・」
ふと雲を見る。
いつもは自分よりも小さい雲だったが、今はその雲を見上げていた。
「こ、子供?!」
雲が驚いた顔で風を見ていた。
何と、風は幼い子供になっていたのである。
「オスカーの奴、「小さい」と「幼い」の言葉の使い方を間違えたな・・・」
雲が小さく呟いた。
「くしゃんっ!」
風がくしゃみをする。
いつもの風からは考えられないほどの高い声に、雲が我に返った。
「濡れたままだと風邪を引くね・・・」
雲はそう言うと風を小脇に抱え、湖を離れた。
近くに適当な洞窟を見つけると、中に入り風を座らせて火を熾す。
「風、服を脱いで」
自分の身に何が起こったのかを理解出来てない風は、雲の言いなりになっていた。
雲は風にばんざいの格好をさせると、素早く服を脱がせた。
水に濡れたせいで体を小刻に振るわせている風を見て、雲は自分の膝の上に座らせた。
「ここにいれば少しは暖かいから」
自分のまとっているマントで風をくるみ、抱きしめるようにする。
抱きしめ返して来ないが、小さくなすがままになっている風は可愛かった。
不意に悪戯心が雲に芽生え、マントの中の風の素肌に触れてみた。
風の体がビクッと反応する。
その様子を見て雲が目を細めた。
肌をまさぐってた雲の指が、風の胸の突起に触れた。
「やっ・・・」
風は抵抗しようとするが雲の腕に抱きすくめられているので、無駄だった。
「小さくなっても感じるんだね」
楽しそうに雲が言う。
指の腹で優しくさすっていると、風の表情は艶を増してきた。
「あっ・・・ん・・・やぁ・・・!」
普段の風とはまた違う色気があった。
「こっちはどうなのかな?」
今まで風の胸を楽しそうに撫でていた雲は、そのまま指を下に下ろしていった。
「あっ!!」
風の体が強ばる。
小さいながらも自己主張している風自身を、雲が優しく握る。
「ひゃぁっ!!」
甲高い声で風が鳴く。
「やっぱり感度はいつもと一緒なんだね」
風自身を上下に動かしながら雲が言う。
「やっ・・・はぁ・・・ん!」
どうにか雲の手を離そうとして力を入れても、雲の刺激のせいで全然力が入らなかった。
その様子に雲は小さく笑いながら、空いてる手を風の双丘に滑り込ませると、ゆっくりと中に指を入れていった。
「や、やだぁ・・・」
いきなりの刺激に風の瞳から涙がこぼれ落ちる。
雲はこぼれ落ちた涙を舌ですくい取ると、そのまま風にキスをした。
「んんっ・・・」
風の舌を捕らえ、絡める。
口も下も秘部もすべてを同時に攻められ、風の体の力は無いに等しかった。
雲に体を預け、ただ快楽だけを与えられている風。
「んっ・・・ふぁ・・・」
頬を上気させ、雲の愛撫に必死に耐えててる風を見ていた雲は、秘部に入っている指をもう1本増やした。
「あっ、やっ!!」
「やっぱり子供だからかな?いい感じにほぐれて柔らかくなってるから、指がすんなり入っていくよ」
「はぁっ、あっ・・・んっ!!」
風の呼吸が荒くなる。
その呼吸に合わせ、雲も手を更に早く動かした。
「やっ、あっ・・・あぁぁぁぁぁっ」
ひときわ大きく声を発した風はそのまま果ててしまった。
「ちょっと急過ぎたか・・・」
風は果てた後、意識を失っていた。
「オスカーが作った薬がまさか子供にする薬だったとは・・・」
腕の中で眠っている風を見て、雲はため息半分、嬉しさ半分に呟いていた。
「こんな可愛い風は誰にも見せられないよ」
暫く考えた後、雲が決断した。
「薬の効果が切れるまで、ここにいるか」
雲はそう言うと風の頬にキスをした。
「魔剣士はまだなのかぁぁぁぁぁっ!!」
ガウディウム内では今日も伯爵の怒鳴り声が響いていた。
そしてその様子にほくそ笑む一人の人物がいた事は誰も知らなかった。
END
後書きと称した言い訳(^∇^;)
如何でしたでしょうか?
色々書いてるうちに長くなってしまいまして、字が小さめです(苦笑)
雲さんには悪戯だけで我慢してもらいました(笑)
だからあんまりエロじゃないです(笑)