今日も変わらず羽は奈落に舞い落ちる。
雪のように。
空を覆うように。
ひらひらと。
未だ…降り止むことはない。


王になってから俺は、頻繁に奈落の地を自分の足で巡ってる。


「俺の力は、そういう事には使わないから」
話し掛けてきた子供の母親にゆっくりと言い聞かせた。
怯えていた母親の目が少し柔らかくなったような気がして、ほっと息をつく。
あのころの自分を彷彿とさせるその子供を見て、俺は自分でも知らないうちに微笑んでた。

あの時、サフィの命を奪うのに俺は力を使った。
それ以来、そういうことに力は使っていない。



いいんですか? …こいつが死んでも。
あの時ジェイドはそう言った。

本当に、止めをさされるとは思っていませんでした。
静かに言うと、サフィは寂しそうに笑った。

俺は王だから。
今まで背負ってきた数々の思いや犠牲があったから、俺はお前に向かった。
例えお前を最悪な形で止めることになるとわかっていても。
本気だって判った分、俺も全力で。


…サフィ。
俺の声がお前に届くか判らないけど。
今の奈落にはお前もプラチナもいないけど。

カロールがいつかは思い出に出来るって言ってた。
記憶は思い出に風化していく。
忘れたい思い出も、そうでない…忘れたくない思い出も。
思い出になってるのか…未だ俺にはわからない。

でも、知ってた?
サフィだけじゃなくて、俺にとっても永遠に終わらなければいいなって思ってたんだよ。
それは無理な願いだったかもしれないけど、それでも俺もそう願ってたんだ。
忘れないよ、俺もお前と過ごした日々。

俺は今も変わらずお前のことが好きだよ。
昔も。
今も。
きっとこれからも。



「えへへ、ボクたち…仲間だね!」
傍にいた子供が俺を見上げて力強く言った。
「そう、だね」
それに俺は答える。
戦いの後、あのときの仲間はバラバラとなった。
今、俺のそばには誰もいない。
でもこうして笑いかけてくれる人たちがいる。


俺が作っている世界は、お前の言う通り素晴らしいものになっているのかな?
お前にとって辛い場所でしかなかったここは…少しは変わってるのかな?
俺、頑張ってるよ。
ね、サフィ?





プラチナが死んで、サフィにもアレク自身が止めをさしてしまうパターンです。
私がはじめてみたED(涙)。哀しい…。
アレクの一人称、という風にしてみました。
やっとアレクもサフィラブなのが書けたんですが、サフィあれだし…(汗)
ご、ごめんなさい、サフィルス…。
しかし、改めてアレクディスクをやって、ジェイドの最後の姿に涙が出そうになりました。
そういえば、これ、プラチナディスクでもあるんでしょうか。
プラチナが止めをさすバージョン…。
み、見てないなぁ…。
見たいような、見たくないような…。




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