「兄上…いったい何をしているんだ?」
「あ、プラチナ」
頭上からの声に、ちょっと気まずそうにアレクはプラチナを見上げた。
アレクの手には包丁。
目の前には不恰好に切りそろえられた野菜。
そしてここは城の厨房。
一見して何をしているかは想像つくが、プラチナは思わず問い掛けていた。
「り、料理なんだけど…」
厨房を見回してプラチナはため息をついた。
「…多い。いったい何人前作る気何だ?」
「え、やっぱり多い? なんかサフィとずっと一緒に居たから感化されてるのかな〜。あいつ作る量多すぎだったもんなぁ。あ、えーっと…とりあえず、一人前なんだけどさ」
アレクの周囲にある材料から考えて、どう少なく見積もっても、3人前はあるだろう。
「でも、レシピはプラムに聞いたからばっちり」
「…プラムか?」
一瞬怪訝そうな顔をしたプラチナを不思議に思いつつ、アレクは自信満々に大きく頷いた。
アレクの横には生産場所不明な調味料が所狭しと並んでいるばかりか、怪しげな野菜なども置いてある。
「出来上がるまでプラチナは部屋で待っててよ」
「しかしな…」
はっきり言ってアレク一人が料理を作るのはかなり心配である。
茶も満足に一人で煎れられないのだ。
「うわっ」
そう考えている傍からアレクが悲鳴をあげる。
案の定、材料のきり方なども見ていられない。料理経験がないことが一目瞭然だ。
あの切り方は、指を切断しようと思っているとしか見えない。まるで、素人以下の切り方だ。
プラチナを見、失敗をごまかすように笑うと、再び、真剣な眼差しを野菜に向ける。
「…兄上が料理を作っていると、緊張感が増す…。料理相手では盾になることも出来ないぞ」
プラチナは大きくため息を吐きながら、肩をすくめた。
「料理の経験は?」
「えっと…ない…」
それは手つきを見ていれば容易に推測できることだったが。
「あ、あははっ。だ、だいしょーぶだって。やればできるよ! たぶん」
「大体なんでいきなり、料理なんだ? 他の者に作らせればいいだろう」
プラチナの言葉にしばらく考え込んだ後、アレクは口を開いた。
「簡単に言うと、俺がプラチナに料理を作りたかったから…なんだけど。俺が作りたかったから、他の人じゃ意味がないんだよね」
「俺に、…兄上が?」
「だって、最近プラチナ元気ないからさ…体つらいのかな、って。そうしたらプラムが元気になる食べ物…というか材料があるから、プラチナに作ってあげたらって言ってきて。…前にプラムがお前にケーキ作ってあげたんだろ? それじゃあ、プラムが教えてくれたものだったら、精力もつくかなー、作ろうかなーって思ってさ…。俺がプラチナを元気つけたかったし! だって俺の補佐できるのはプラチナしか居ないんだから。俺はまだまだプラチナを必要としてるんだよ」
「……」
「プラチナ…?」
急に黙ってしまったプラチナに、不安になったのかアレクが顔を覗き込む。
「全く適わないな、兄上には」
降参、といわんばかりに笑みをもらす。
この兄の前でそんな素振りを見せたことはないはずなのに、しっかりと見抜かれている。
「ただ、食える物にしてもらわないと困るぞ。このままでは奇怪なものが出来上がる」
すでにその片鱗が見えるのは気のせいではないだろう。
「…え、プラムに聞いたんだけどなぁ〜。どこか書き間違えたかな?」
プラムに聞いたレシピと多少量の多い材料を見ながら、首をかしげる。
おそらくアレクはプラムの料理を見たことも食したこともないのだろう。
「えー、じゃ、どうしようかなぁ…あ、じゃ、一緒に作ろうよ、プラチナ!」
ぽんっと軽く手をたたいて提案する。
「きっとプラチナと一緒に作った料理なら美味しいよね! それに俺、大事な人のために何かできるって嬉しいし。プラチナと作ったら、一緒に出来て、プラチナに喜んでもらえるかもしれなくて、一石二鳥だと思うんだ」
「…兄上」
「…プラチナ…一緒に作ってくれる?」
「ああ」
プラチナは笑顔でそれに答えた。
気持ちだけで嬉しい、という言葉は飲み込む。それではまだこの兄は納得しないだろう。
それになにより、自分もアレクのために何かできるのは至福の事なのだ。

知らず知らずのうちに自分を元気付けてくれるこの存在に。
繋がりは血だけだけれども。
足りない心の繋がりはこうして埋めていけばよいのだろう。

これから先、まだ少なからず時間はあるのだから。





プラアレなんだか、アレプラなんだかわかんなくなってきました(笑)
プラチナ全然押してなくてごめんなさい(汗)
一応プラアレのつもりで書き始めたんですが…(汗)。
そしてプラチナサイドで、プラチナ側にプラムがついている設定ということにさせてください(汗)
す、すみません…(TT)

それにしても、私アレク書くの苦手だということに気づきました・・・(汗)
なんかただでさえ、別人度高いキャラですが、アレクだけはその別人度が増しているような気がしますです。
別人28号(古)ですみません…。




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