…僕は貴方のものですから。








それはあまりにも唐突な言葉だった。

「俺が死んだとしても…お前は後を追うな」
「え…?」
プラチナの言葉が理解できず、そのままカロールは問い返した。
ベッドで寝ているプラチナの蒼い瞳だけが真っ直ぐカロールを見つめている。
「俺が死んだとしても…お前は後を追うな」
再び、弱弱しい口調ながらにしっかりした声でプラチナは言葉を紡いだ。
一字一句先ほどの台詞と変わらずに。
今唐突に言った、と言うことではないのだろう。
「そんな…どうしてですか!」
慌ててプラチナに駆け寄るカロールを見て、プラチナは静かに吐息した。
「…やはり、その気か」
「………」
決して責めたてている訳ではないだろうが、カロールにその言葉は鈍く重く響いた。
思わず言葉を失ってしまうと、ただただ、重苦しい沈黙と空気が部屋を包んだ。


あの事件以降、月日がたつに連れプラチナの体調は目に見えて悪化していた。
良くなる兆しは見えず、それどころか年が明けてからはますます状態は悪くなる一方だ。
最近では外出することもなく、一日の大半をベッドの上で過ごしている。
考えたくはないが、もうそのときは近い。
半分覚悟をしなければならない時期だ。
カロール自身、プラチナの逝去後を考えていた。
結論はすでにもう出ている。
プラチナが飲まないと決めたあの日から。


それを見抜かれて否定され、明らかにカロールは動揺していた。

「プラチナ様…僕はプラチナ様のいない世界で生きていくというのがとても…辛いです。貴方とこうして過ごしている時間が、僕にとって何より幸せなんです。それがなくなってしまったら、…今の僕の支えがなくなってしまったら生きていく意味がない…」
考えたくはない、しかし死期は近づいている。
こうしている間にも、確実に。
不安で不安で仕方がないのだ。
プラチナの苦しみを代わってあげたいとも思う。
それは無理な願いだけれど。
「カロール」
すっかりやせ細ってしまった指先で、そっとカロールの頬を伝う涙を拭う。
「我侭な言い分だが、お前にはこの世界が今後どうなっていくのか、俺の代わりに見守って欲しい。一応、気になるからな」
ほとんど王らしい事はしていないが、と苦笑交じりで呟く。
最近は床に伏せることが多いため、王として職務がこなせないことをプラチナなりに悩んでいるのだ。
そのことを充分にカロールも理解している。
「俺の背中を預ける相手はお前しかいない。だから…頼む」
「ずるいですよ、プラチナ様…そんな風に言われたら、……断れない」
知っているから。
プラチナがこの奈落をどんなに愛しているか知っているから。
…断れない。
そして、黄泉の国に行くときの手土産に伝えてあげたいと思っている自分がいるのも確かだ。
けれど、それは自分にとって代償も大きい。
「そうか…それなら安心した。それに、お前には命ある限り、この奈落で生きていて欲しいんだ。俺と会うのはお前の寿命が尽きた後でいい」
寿命。
簡単な言葉だが、いったいどれくらいの月日なのか見当もつかない。
「…貴方は酷い人です…。僕に貴方のいないこの世界で生きろと言う…」
「すまない…だが、俺は…」
一呼吸を置いた後、ゆっくりと口を開く。
「…お前は、反対の立場で俺に後を追って欲しいと思うか?」
「…いえ…。プラチナ様には生きていて欲しい…」
「同じ事だ」
大切な人だからこそ、幸せになって欲しいと願う。
日記に書きとめるようなこの台詞が、こんなにも重い。
「ですけど、黄泉の世界に行ったとき、僕が老人になっていては判ってもらえるか…」
「俺はお前がどんな姿をしていようが、お前がお前である限り絶対に判る」
「貴方と言う人は…そうやって、簡単に僕の心を掴む…」
「詭弁ではないと思うが?」
ふっと切なげな笑みを浮かべるプラチナにカロールも笑みを返す。
「…一つ約束してください」
「何だ?」
「限られた命の少しでいいんです。少しでいいですから…僕のために使ってもらえませんか? …僕の傍にいてください」
「それは、わざわざ約束するほどのことではないと思うが…」
「お願いします」
「…判った。俺の命をお前にやる」
真剣な眼差しのカロールに、プラチナも答える。

「有難う御座います」
プラチナの手を撮ると、そっとその甲に口付けをした。





…僕は貴方のものですから。
そして、これで貴方も僕のものですね…。


なら、闘えます、きっと…。



カロールEDを見返していて思ったことです。多分後追うな、と…。
このネタ、ジェイドでも通じると思ったんですが…ジェイドは絶対に追うような気がして。
これとおんなじことをプラチナが言っても、
「すいません、プラチナ様、約束守れませんでしたよ」
「お前…」
「裏切るのは得意ですから」
「…全く笑えない冗談だ」(仕方がないな、的に笑う)
とか言って(妄想/危険)
それに反対の立場で…の辺り、追ってきて欲しいと言いそうです(笑)
まるっきり反対のSSになっちゃうんで。機会あったら書いてみたいですが。

とにかくやっとカロプラ(逆も可)かけてよかったです。とりあえずかなり念願だったので。ずーっと書きたかったんですが、なかなか書けずじまいでした。やはり勢いが大切みたいですね。独占欲の強いカロールがかけて満足です(笑)。ところで今まで書いた中で、一番ラブラブなような気がするんですが、どうでしょう(笑)。切な系だけど(汗)。飲まないEDはほとんど切な系となってしまいますね。あえてギャグに挑戦してみるのも一興かもしれません(笑)。
…それよりジェイプラ、本当に一押しなんですか?、壱宮さん(汗)


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