無くしたものは大きくて。
かわりに得たのは何だろう。
カミサマ…俺は罪人です。
金の髪したキツネの仔
ふわふわ髪を靡かせて。
にこりと笑顔の小さな仔。
最初に感じた感情は……
いっそ殺してしまおうか……。
無邪気な笑顔で俺の指をとる、小さな小さな赤子の手。
伝わる温もりにこぼれるものは…。
この仔のせいで…家族は死んだ。
カミサマ俺を、罰してください。
俺は、汚い罪人です。
無邪気な笑顔で抱き付くその手を何度振り払おうと思ったでしょう。
小さな子供の背中には。
大きな、大きな負の感情。
一心に受けても平気だと笑う。その強さは…どこから生まれたの？
俺は、誰より汚いです。
強さに勝てないと知ったその時
知らずに零れた笑い声。
ずっと前からわかってた。
君が、誰より強い仔と。
君が、誰より弱い仔と。
強く儚い君の前に、どれだけ道は、開くでしょう。
俺は道になれるでしょうか…俺は明かりになれるでしょうか。
愛しく、憎らしいキツネの仔
俺は、貴方を守りましょう。
君が、光にいる限り
君が、笑っていけるよに
俺は、貴方を守りましょう。
無くしたものは、大きくて
変わりに得たのは奇妙な仔
淋しい、淋しいキツネの仔
俺の心を埋める仔
それでも心は囁きかける。
家族を殺したキツネの仔。
心を許す、今ならば
力の弱い、今ならば
きっと楽に、殺せるよ？
家族にされた、その仕打ち。
総て、今なら返せるよ？
封印とける、その前に。
キツネを早く、殺そうと。
カミサマ俺は罪人です。
早く、俺を罰してください。
あの仔を守っていけるよに
あの仔を殺してしまう前に
あの仔に触れる、総てのものに
嫉妬を感じるその前に……
笑顔をくれる、あの仔の総てを
笑顔で壊す、その前に……