さぁ始めよう、連想ゲーム。
一つの言葉から君は何を想像する?
隣では、金色の髪が風に揺れている。
何をするでもないが、俺達はよくこの場所にきていた。
始めはおそらくこの場所に来ていたのはこの金色だけだろう。
次にヒナタが来るようになって…それに気づいた俺達が来るようになった。
この場所の空気が好きで。
この場所でしか見れないこの金色の雰囲気が好きで。
きがつくと…独りでもここに来るようになっていた。
「……花」
ぽつり、金色が言葉を発した。視線の先を見ると黄色い花が1輪花弁を広げ風に揺れている。
静かに咲き誇っているその花は、誰も気付かないだろうひっそりと、しかし気づけば目の離せない存在感をはなっている。
「色」
俺の言葉に金色…ナルトが驚いたようにこちらを見たのがわかった。…それから笑みを浮かべる。
「風」
柔らかく吹く風…そしてそれは時として総てを奪う強さを持ち…。
「きまぐれ」
…クスクスと可笑しげに笑う声。…この声も、風のように耳を擽る存在。
「大地」
言ってとんっと足で地を踏むナルト。その直ぐ側を、蟻が列をつくっている。
「住み処」
暫し大地を見つめ、頷くナルト、その表情は酷く愉しげで
「川」
言って耳を澄ますかのように目を細め、僅かに顎を上げる。…そう言えば、ここに来る途中、小川があった…。
空から降る水を受け、地上に現れるそれ…。
「出口」
ナルトは嬉しそうに、愉しそうに両足を前に投げだし片手を前に差し出す。
その先に蜻蛉が止まった。
蜻蛉の大きな目にはきっと金色の髪と青色の瞳が写っているんだろう。
「空」
蜻蛉がナルトの指から飛びだっていく…それを目で追い青い空を見ながら言うナルト。
空を見て…思うことは…。
「瞳」
ナルトの視線が下がる。そのまま俺を見る。
「…何で?」
僅かに首を傾げ、不思議そうに問う姿。
……気付いて…ないのか?
俺はナルトの瞳を指差し微かに笑う。…ナルトも言っていることの意味がわかったのだろう、小さく頷き。
「やっぱ…お前って何考えてんのかわかんねえ」
言いながら再び空を見上げる。その声は笑っているようで少し哀しげで…。
どうしてこうなんだろう。…そう思わずにはいられなかった。
誰かに認めて欲しいと口に出しながら…誰の中にも自分を言う存在を置くことを恐がっている。
ナルトの色は誰よりも強く心に残って…
ナルトの心はいつも気まぐれで…そして哀しげで…
俺の存在がナルトの心が休める…住み処になれればいいと強く願わずにはいられない。
その優しく孤独な心を出すことの出来る出口にいつかなれればいいと思わずにはいられない。
空色の…瞳が曇ることがないように…いつでも包みこんで護ってやりたくもなる。
それを…お前は望むだろうか。
護られる存在になれていないお前。
だからこそ…誰かを護れる存在になりたいと…そういい続けているお前。
自分で考えた事柄…それでも胸が苦しくなってくるのがわかる。
「何考えてる?」
ナルトの…青色の瞳が目の前に現れた。僅かに驚く俺の前で、ナルトは俺がナルトにするように…俺の頭に手をやる。
「思ってる事は口にだしたほうがいいよ。…シノは結構思い悩むタイプっぽいしさ」
伝わる優しさ……余計胸が苦しくなって来た。
俺の頭にあるナルトのて首を掴み、そのまま抱き寄せる。
「それは…お前もだろう」
いつも素直で、思っている事を口に出しているようなナルト…その中にある苦しみや悲しみは見せようとしないナルト。
だからこそ…伝わる悲しみが苦しくて…辛い。
「俺はいつもお前の側にいる…何を連想しても最後に行き付くのはお前だ」
ナルトの身体が…俺の中でびくっと跳ねた。
「お前は俺の中で存在している。…苦しみを吐き出しても…俺はお前から離れたりしない……だから…恐れるな」
お前が自分から触れる事を恐れるのなら、俺が手を差し伸べて触れよう。
お前が求めるもの総てを手に入れられるように…俺はよろこんで手助けしよう。
いつでも…お前が楽に息のできる存在でいよう。
だから…恐れるな…人に触れる事を。…己を…触れさせる事を。
ナルトは俺の中でじっと身動き一つしなかった。…ナルトが何を思っているのか、俺には何もわからず、それでもじっと抱きしめていた。
不意に耳に届くのは、小さな溜息。
「まだ……恐い」
己の心を吐き出そうとしないナルトが吐き出した小さな言葉。…その不安を少しでも取り除きたくて、俺は何度もナルトの髪を梳く。
側に来い。
裏切ったりはしない…ずっと側にいるから。
「時間はまだある」
焦らずともいいから…だから楽になれ。
俺の腕の中でナルトは身じろぎ…腕が背中に回されたのがわかった。
「…ん……」
伝わる温もり、小さな鼓動。
小さく…大きな…大切な存在。
金の色は太陽の光。
蒼の色は空の色。
零れる笑顔は柔かな空気。
独りの時は、月の光を身に纏い。
さぁ、君は何を連想する?
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