奴はメダロットか 作者:小林類さん
20××年夏・・・ひっそりとした山間部に小屋とも言える家が建っていた。
「じっちゃん、いる?」
「ここだよ、白吉。」
ごちゃごちゃとした部屋の入り口に白吉と呼ばれた少年が立っていた。
「俺に何か用?」
「来たか、すぐ終わるから帰る時間を気にしなくていいぞ。」
白吉の祖父は奥のたんすの中から何かを取り出した。白吉の祖父がほこりを取り終えた時やっと、白吉はそれがメダロットだとわかった。
「これをお前にやろう。」
「メダロットを?」
「メダルもついておる。」
白吉の祖父はメダロットからメダルを抜き、白吉の元に持ってきた。
「どくろの絵柄が書いてある・・・まさかこれは・・・」
「そう、デスメダルじゃ。」
白吉の祖父はデスメダルをメダロットにはめ込んだ。
「ボディはKBT型ブラックビートルだ。」
「たんすにしまって1ヶ月置いといたらほこりだらけになってしもうた。」
「これを俺にやるって?冗談じゃない!デスメダルって言ったら兵器として作られた感情が全くないメダル・・・」
「いいから貰ってくれ。メダロットが欲しかったんだろう?」
白吉の祖父が話を途中で切った。
「それもそうだな・・・よし、貰おう。ただし気に入らなかったら捨てるよ。」
「だが、安易に捨てるということだけはやめてくれ。」
「1週間は捨てずにとっておくさ。」
2分後、父や母とともに白吉は小屋から自宅に帰っていった