作: 妃凪 亨さま

催眠術
作:妃凪 亨
              (1)


「………お前、ダレだ?」
「………え?」
 いきなり投げかけられた城之内の言葉に裏遊戯は固まった。

 ………今、今なんていったんだ?

 信じられずに城之内の顔を凝視する。
「だからー、お前誰だって聞いてんだよ……?」
「………」

『ダカラー、オマエダレダッテキイテンダヨ……?』

 城之内の別人のように冷たい声が頭の上を飛び過ぎていく。
「ゆ…遊戯だ、城之内くん、オレのこと……覚えてないのか?」
 恐る恐る絞り出すようにして言った裏遊戯の声に、
「ああ」
 全く感情の籠らない城之内の返事が帰ってきた。
 嘘だ……こんなの何かの間違いで…すぐに、いつもの冗談だって笑うに決まってる……。
「何で、オレこんな所にいるんだ?」
 周囲を見回して府に落ちないと顔を傾げると、もう裏遊戯には目もくれずに城之内は部屋からで、玄関へと歩き始めた。
「城……」
 呼びかけようとして裏遊戯は動きを止める。
 混乱している頭の中に、つい先ほどの出来事が鮮やかに浮かんできていた。
 やはり……原因はあの時の声、だろうか…?
 信じたくはなかったが、思い当たるのは一つだけ……。



「なぁ、遊戯。これって本当にかかるもんなのかなぁ……?」
 不思議そうな顔で問いかけた城之内の手には一冊の雑誌。
「……? ああ、催眠術だな」
「そうそう、よくテレビ何かでやってるだろ? こう目の前で指鳴らしたら、かかるってヤツ」
 ………いきなり何を聞くんだと顔を向ければ、城之内は手に持った雑誌を興味深げに読んでいた。
 くす…。
 城之内のその姿に裏遊戯の中に悪戯心が芽生える。
「そうだな……。催眠術なんて物は、単純なヤツがかかりやすいんだぜ? 城之内くんだって危ないかもな?」
 深く考えた訳ではない。
 ただそういえば城之内が乗ってくると思ったから言っただけ。
「んなにぃ! 遊戯……それを言っちゃ駄目だぜ? オレだってこれでも、一介のデュエリストを目指す男だぜー? 駆け引きだってするしさぁ、そう単純なんかじゃねえぜーっ!」
 かかった。
 ムキになって言い返す城之内の姿に、微かに笑みを浮かべて裏遊戯は思った。
「なら、試して見るかい? キミが本当に催眠術にかからないかどうか?」
「へ?」
 意外なことを言われたという表情を浮かべた城之内に、素早く目の前でコインに紐を通していく。
「これを……目の前で揺らしてオレが何か言うから、城之内くんがその通りにならなかったら、催眠術にはかからなかったということだな。」
「あ…ああ」
「そして、もしも城之内くんがオレの催眠術にかからなかったら、キミの勝ちってことになるな、城之内くん?」
 言う通りって何を言う気だよ…とか口の中で呟いていたが、裏遊戯が最後の言葉を言った瞬間に城之内の眼が輝いた。
 最近の城之内はいつもゲームで負け続けているせいか、何かと裏遊戯に対抗してくる。
 その癖負けると少しの間拗ねているのだが。暫くするとまたメゲズに挑戦している。
 いつか裏遊戯から、何でもいいからゲームで勝ちたいと虎視眈々とチャンスを伺っていた。
 裏遊戯の方も、ゲーム自体が好きだし何より城之内とゲームすることは楽しかった。
 次第に上達していく城之内の腕前も見えてきて、更に楽しみが増えていたりもする。
 だから、こう言い出せば城之内が勝負だと乗り気になるのも分かっていた。
「本当に? ……これでかからなかったら、オレの勝ち?」
「ああ」
「…………よっしゃ! 乗ったぜ遊戯!」
「フフフ…」
「これでようやく遊戯に勝てるぜ!」
「本当に単純だな…城之内くん……。そんなんじゃ簡単に催眠術にかかると思うな?」
「へん! 見てろーっ、そう簡単にかかってたまるかってんだ!」
 苦笑を浮かべた裏遊戯に城之内はひとこと言い返す。
 腕まくりまでしてかなりやる気になっていた。
「………いいか?」
「おおっ! なんでも来いや!」
「フフフ………」
 城之内の前にコインが差し出された。
 ゆらゆらと左右に揺れる。
 規則正しく揺れるコインを見る城之内の眼が次第にとろんとまどろんでくる。
「キミはだんだん眠くなる………」
 テレビなどでお馴染みの言葉を、笑いを堪えながら裏遊戯が唱えていると、城之内の頭はかくんと倒れた。
 おそらく催眠状態に陥ったのだろう。
「………もうかかったのか? やっぱりキミは単純すぎるのかもな………」
 俯いた城之内の姿に、裏遊戯は呆れたようにそれでいて可笑しそうに感想を述べる。
『ねぇ、何を言うの? 城之内くんにどんな催眠をかけるのかな?もうひとりのボク?』
 どこか楽しんでいる遊戯の声が頭の中に聞こえた。
「……起きたのか?」
『うん…、でもまだやっぱり眠いから、ボクはもう少し寝てるね?』
「そうか?」
『うん。だからボクは邪魔しないけど、城之内くんにあんまり無理させちゃ駄目だよ?』
「………分かってるさ?」
 一応注意だけはして、遊戯はまた自分の心の部屋に戻っていった。
 今朝方まで海馬とどこかへ出かけていたのだ、まだ眠気は完全には取れてはいない。
 その交代に今日は裏遊戯が城之内と好きに過ごせる日だった。
「さて……なんにしようかな?」
 瞳を閉ざし、深く俯き静かに寝息のように呼吸している城之内を楽しそうに裏遊戯は見遣っていた。



「遊戯、知らないわよ!」
 何気なく言われた言葉に城之内の耳が反応してしまった。
「ユウギ……シラ…ナイ…」
 何事か呼びかける母親の声に適当に返事を返し、城之内にかかった催眠術を解こうとしていた矢先だった。
 何度呼んでも、出てこない遊戯に向けて母親が最後に怒鳴った声。 深い催眠状態にあった城之内を正気に返そうとしていた最中。
 てっきり買い物に出かけたと思っていた母親が、いつの間にか帰ってきていた。
 驚いて急ぎ城之内の催眠を解こうとしたのだが、母親の声の方が一瞬早かった。
 術が解かれる瞬間に耳に入ったのだ。
 そして、城之内の瞳が開かれた。
 真っ正面から裏遊戯の顔を見る。
「…………お前、ダレだ?」
 裏遊戯の顔を眺めて一言言った。
 投げられた言葉に裏遊戯は愕然となっている。
 自分の声にしか反応しない筈だったのに……。




 城之内はそのまま何もなかったように裏遊戯の家から出ていこうとしていた。
「ど…どこへ……?」
「ん……なんだよ? 帰るんだよ家へな」
 今まで見たこともない冷たい表情。
「おい、離せよ……?」
 自分の腕を掴んだ裏遊戯を、見たこともない冷たい、そして迷惑気な瞳が一瞥した。
「………だ…だめだ…」
 意識せずに言葉が唇から滑り出る。
「…あ?」
 やや、ガラの悪くなった態度で、城之内は裏遊戯を睨んだ。
「何で、関係ないテメーの指図を受けなきゃなんねーんだよ?」
 吐き捨てるように裏遊戯に向けて答える。
「ユウギなんてヤツ知り合いにはいねーよ!」
 今まで見せたことのない顔だった。
「テメーなんて知らねーっ!」
 見たくなかった表情。
 まったくの知らない人間を見るように、自分を写す瞳。
 自分を拒む雰囲気を身に纏う城之内。
 自分を完全に否定する城之内の姿……。

 ミタクナイ…キキタクナイ……
 こんなキミは知りたくなかった…

「………城之内くん……」
 哀し気な眼差しで名を呟いた裏遊戯に、だがしかし、城之内はいつもの笑顔とは程遠い、鬱陶しそうに眉をひそめるという顔で睨付けてきた。
「……なんだか知らねーけどよ、馴れ馴れしいんだよ…テメー!」
 今まで他の者に向ける所を見ることはあっても、決して自分に向けられることはなかった城之内の罵声が、初めて裏遊戯に向け発せられた。
「っ!」
 ……その瞬間。
 何かが裏遊戯の中でプッツンと音を立てて切れた。

 こんなキミは認めない!
 認めたくない!
 元のキミに戻ってくれ……!
 いつもの顔で笑いかけて……。

 心の中で裏遊戯は叫んでいた。
 思いは裏遊戯を行動に走らせる。
 自分に背を向けた城之内の腕を無意識の内にきつく掴んでいた。
「城之内くん…………まだ、そんなんじゃキミを帰らせるなんてできないな!」
 強い力で城之内を再び部屋まで引き戻しにかかる。
 振りほどこうと城之内は腕を振った。
「テメーッ、何しやがるっ、離せよ……おいっ!」
 離れかけてはまた掴みかかる裏遊戯に、城之内は苛々と殴りかかろうとした。
 見上げた裏遊戯と視線が合わさる。
 手を振り上げ、裏遊戯の顔を見たまま殴りかかる姿勢で止まった。
「………?」
 何かを思い出そうとするように眉をひそめている。

 オレを殴れないんだ……。

 完全に忘れられた訳じゃない。
 城之内の態度に、裏遊戯の心に微かな光が灯った。



「なんの真似だっ!」
 室内に引き込まれ、奥にあるベッドの上に押し倒され、城之内は威嚇のように怒鳴った。
 自分に向けられることのなかった、本気の城之内の怒声だ。
 なのに、その体は決して抵抗しているとは思えなかった。
 言葉は荒くがなり続けていたが、城之内の身体はほとんど身動きせず、僅かな動きでもがいているだけだった。
「くそっ……なんで、……体が…動かねーん……だよ…っ」
 一方、城之内も思うように動かない自分の体に焦れたように唸っている。
 こんな見ず知らずの、自分よりも小柄な体だというのに押さえ込まれて身動き取れないなんて、信じられない。
 城之内の表情は言葉よりも雄弁にそう語っていた。
「キミの心がオレを忘れても、体は忘れてないんだ……」
 思いのほか嬉しそうな顔で裏遊戯は城之内を見下ろした。
 手が滑り降りてくる。
 素早い手つき、慣れた仕種で城之内の衣服を剥ぎ取って行く。
 肌に直接触れられ、城之内は焦ったように叫んだ。
「ちょっ……冗談っ、テメェなに考えてんだよ……っ!」
「オレとキミがいつもしていることさ。忘れたキミの単純な頭に思い出させてやるんだよ……」
 静かな声と共に、裏遊戯は城之内の体に這わせる手を止めない。
「……や…ウソ…だろっっ、……ひゃっ!」
 軽く触れるだけだった手が、脇腹を辿るように這い上がり一瞬突起を掠めた。
 思ったよりも敏感な城之内は、それだけのことなのに、体を走り抜けた電流に似た感覚に驚いたように退け反った。
「ほら……、忘れてないだろ?」
「う…嘘だ……、オ…オレ男だぜ? あんたも男じゃねーか?」
 信じられないと顔を背ける城之内に、裏遊戯は人を魅了する微笑みを浮かべる。
「だからなんだ? そんなこと…今更じゃないか?」
「………い、今更って……わっ、まっ待てって……」
「………相変わらず諦め悪いね……。城之内くん。どうせ最後までするんだからいい加減諦めたらどうだい?」
「…さっ…最後って……ばっ…んな簡単に諦められるかっ……て、ひゃぁっ…また……っっ!」
 一度反応した突起を再び摘まれて、指の腹でしつこく転がされ城之内は何度も体を震わせる。
「本当に、キミの体は正直だよな……。」
「……な、なんで……んなこと…」
「なぜ? 簡単なことだよ……まだ分からないっていうのか城之内くんは…」
 しつこくもがき続ける城之内に、裏遊戯は小さく舌打ちする。
「オレとキミはこういう仲だったんだ、その意味が分からないのか?」
 静かな声と共に上から瞳を覗き込んだ。
 澄んだ視線が絡まる。
 力のある催眠術士は、その視線だけで相手を術中に陥れられるという。
「……っっ」
 短く声を漏らしたっきり城之内は身動きを止めた。
 いや、自分の意思で止めた訳ではないことは、城之内の瞳を彩る驚愕の光が表している。
「おとなしくしててくれよ、キミがオレを忘れたのは、こうした後の無防備な心に命令を刷り込まれたからだと思うんだ……だから、また同じようにして催眠を消せば元に戻れると思うんだ」
 一度は普通に催眠を消そうとはしたのだが、城之内は《ユウギ》を思い出さなかった。
 ならばと勢いのままに城之内を押し倒した裏遊戯だった。
 城之内に忘れられたままでいるのは耐えられなかった。


「ほら……ね、ここはオレのこと覚えてるじゃないか……」
 耳元に囁かれる言葉と同時に、中心を暖かな掌に包まれて城之内は切ない吐息を漏らした。
「………くっ」
 何度も絡みついた手を動かされ城之内は歯を食いしばる。
「………我慢しなくていい」
「……っ」
 裏遊戯の声に反応したように震えた城之内の首筋に唇を落とす。
「……んぅっ!」
 生暖かい感触と、絶えず煽り続ける裏遊戯に思わず城之内は涙ぐんでいた。
 身体はあの瞳に搦め取られてから、ちっとも自分の言うことを聞かない。裏遊戯に命じられれば、自分から足を開いてしまうという情けなさに、とめどなく城之内は涙を零した。
 潜り込んでくる異物感に眉をしかめれば、気遣いながら指を奥へと進めてくる。
「…………大丈夫だ。終わればすべて忘れてるから……。今のキミの気持ちも消えてる筈だ……」
 どこか労るように裏遊戯が耳元に囁いた。
 掻き回される感覚に、城之内の目尻から更に涙が零れ落ちていく。 歯を食いしばって城之内は声を漏らさないようにしていた。
 指先が探り慣れた場所を執拗につつくと、耐え切れなかったのか城之内の唇から、か細い嗚咽が上がった。
「………ふっ、…う……やめ…っ!」
 足を開かせて中心に身体を滑り込ませると、城之内が一瞬震えたようだった。
「……っっ!」
 ゆっくりと腰を進めると、嫌々というように城之内が首を振る。だがその表情は、裏遊戯には拒んでいるように見えなかった。
 何度か揺さぶるうちに城之内の顔が朱に染まっていく。
「……ウ…ウソだ…っ、こっ…こんな……ぁっ!」
 自分の身体の反応が信じられずに、城之内は動かない手を必死に口元へと持ってゆく。口を塞いで声を抑えようとしたのだ。
 だが裏遊戯はそれすらも許さなかった。
「〜〜〜〜いぁ…ぁっっ!」
 城之内の弱い部分ばかりを執拗に責めていると、動かない身体で必死に刷り上がり逃れようとした。
 頬を伝い落ちる熱い滴を舌先で拭いながら、裏遊戯は囁く。
「…こんな行為は………初めてだと、思ってるかもしれないな……キミは。でも、オレたちはこういう関係なんだよ……、城之内くんが忘れているだけで……」
「…う…ウソだ……ぁっ!」
 身体の奥深くにまで潜り込んできた裏遊戯に、城之内は熱い声で、しかし拒絶するように叫んだ。
 裏遊戯の瞳が哀し気に揺れた。
「……今のキミに信じて貰えなくても……構わない……。オレは、キミを手放す気はないから……」
 大きく城之内を揺さぶりながら裏遊戯は、城之内の耳元に囁き続けた。反り返った城之内の首筋に噛み付くようにキスをした。
 頬を朱に染めたまま城之内は首を振る。
「………こんな、キミを抱くのも…たまにはいいかもしれないな…」
 嫌がりながらも、慣れている身体は紛れもなく城之内を昂らせていた。快感には抵抗できず、散々煽られ乱れさせられた後、城之内はとうとう意識を飛ばし昇天した。
「城之内くん………武藤遊戯を思い出してくれ……。このオレを…パズルの中にいる、この『オレ』を………」
 気を失った城之内を抱き締めながら裏遊戯は何度も囁いていた。
「オレヲワスレナイデ……」



「なぁ……遊戯」
「……ん?」
 絨毯の上に直接座り込んで、雑誌に目をやっていた城之内は不意に裏遊戯を呼んだ。
 何気に顔を上げた裏遊戯を、じっと覗き込んでくる。
 今日も遊戯とは交代していて、遊戯は透き通った影となりながらも、眠そうな欠伸を噛み殺していた。
「この前のよ、お前の言い出した勝負……」
「ああ、催眠術のことか?」
「それそれ、結局気がついたら催眠術終わってて、オレは見事にかかってたって言ってお前の勝ちになったヤツ……」
「ああ…。城之内くんは見事にかかってたぜ? ………見事過ぎるくらいにな………」
 何か言い難そうにしながらも、頷いて聞いている裏遊戯に(語尾に何か引っかかるものを感じたが)、城之内は思い切って続けた。 ここ何日か気になっていたことだった。
「確かに間の記憶がないし、全然覚えてなかったってことは、確かにかかってたとは思うんだけどよ……その…」
「なんだよ?」
「あの時よ……その……目が覚めたらやたらと……その…だるいしよ………やっぱ…」
 それでも言葉に詰まる城之内に、裏遊戯は苦笑を浮かべた。
 実は、城之内の言いたいことなどとっくに分かっているのだ。
 裏遊戯はわざと気付かない振りをして、城之内にその一言を言わせたいだけだった。
 そうとは気付かない城之内は、顔を赤く染めながら、頭を掻いたりしながら、裏遊戯と視線が合わないようにしつつ口を開く。
「…………あの、そのよ、やっぱ術にかかってた間に、お前がしたことってのは……やっぱ…その……あれ……?」
 精一杯という風に声に出す城之内を、裏遊戯は楽しそうに目を細めて見ている。
「当たりまえだろ……? キミがオレの言う通りにしてくれるんだぜ? これを利用しない手はないじゃないか?」
「……言う通りにするって……何したんだよっ!」
 ただでさえ赤かった城之内の顔が、更に真っ赤に燃え上がった。
「……キミはいつも恥ずかしがるからな……たまにはいいだろう?」
「………な…なにが…いいんだよっ!」
 今や顔だけでなく全身から湯気を吹き上げている城之内に、裏遊戯の会心の笑顔の一撃が決まった。
「………フフフ」
「…………お前、その顔はずりぃーぞ…」
 文句を続ける気力を根こそぎ奪われて、ぼやく声を上げる城之内を裏遊戯は幸せそうな微笑みと共に見詰めていた。
『…………良かったよねー、城之内くんのあんな顔、ボクも見たくないもん……』
 背後で呟いた遊戯に、裏遊戯は一瞬動きを止めた。
「………見てた…のか?」
 恐る恐ると言う風に問いかける。
『……どこからって言うべきかな?』
「……ああ」
『………うーんと、城之内くんと催眠術しようって言い出した辺り………かな?』
「つまり……それは、あのまま寝なかったと?」
『そうともいえるよね……』
「………」
「……? どうしたんだ真っ赤な顔して、遊戯?」
 今度は一気に朱に染まった裏遊戯に、城之内がまだ幾分赤みの残った顔のまま聞いていた。
『………初めての城之内くんってあんな感じだったの? なんだか、初々しい感じで可愛かったよね、あの時。………密かに喜んでたでしょ? もうひとりのボク?』
「……頼むから、ああいう時は遠慮しててくれ……」
「へ?」
 遊戯の突っ込みに裏遊戯は更に赤い顔で俯いてしまった。
「…………まさか…」
 裏遊戯の態度に、城之内が俄かに引きつった。
「………もうひとりの方の遊戯に、見られてたなんて……こと…」
 こくん。
「う……う……うそだろうぉぉ………っっ!!」
 全身湯沸かし器状態の二人を残して、遊戯は楽しい笑い声と共に自分の心の部屋へと戻っていった。
「………」
「………」
 無言で見詰め合う二人が何を思っていたのかは、あえて言うまい。


          ちゃんちゃん♪

☆あとがき☆

ド…ド…どうしましょ……初めてのヤオイ小説と
相成りました………(恥///)
こんな予定ではなかったのに、ツレナイ城之内に
裏くんキレました。はい…そりゃもう…ぷっつんと……。
さりげ(?)に海×表(だよね?表×海じゃないよね?)。
ヒナトちゃん……どうよ……亨初めてのヤオイ……(><)
ナノにもかかわらず、強●ピーッ……ですっ!(ギャフン)
 ラブラブ城×裏世界のヒナトちゃん家に、貰われて行っ
ても良いんでしょうか……こんなの…ねぇ?
ギャグしか書けないと言っておきながら、舌の根も乾かぬ
うちに、はは…これできちゃいました……(恐るべし遊戯王…v)
しかも、4時間ほどしかかかってません(死)
いつも時間かかってヒナトちゃんにSOS打ってるのが嘘の
ようにあっという間に終わっちゃいました…(自爆) 
しかも有りがちなネタやし……。
ヒナトちゃん……こ・こんなのいいの?
いらないならそこら辺の海馬コーポレーション特製の爆破ボ
タンを一息に押してやってくれ! 
……と言うわけで、逃げますっ!
「こんなのイヤー」と言う方、スンマセン!犬に噛まれたと思っ
て、催眠術でもいいから忘れてやって下さい!
本当にお目汚しでした………(犬に追われながら脱兎!)


☆謝辞☆

亨ちゃん、裏ゲスト第一弾、ありがとー♪
大丈夫だよ、結局はラブラブなんだし。
オチがサイコー!
表くん、何か強かで好きですー♪
このネタ、ウチでも書きたいくらいですよ。
って、城之内が忘れちゃうと、マジ裏くん、アイタタだから、
裏くんが忘れる方が良いかなー。

でも、書けないってあれだけ言ってたのに、書いちゃったね。
ホントに恐るべし「遊戯王」だわ。
また、書いてくれると嬉しいんだけど。どうかなー?

ではでは本当に、ありがとうございました!


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