家伝の薬 1


(1)
アキラ6歳の時の話

アキラ「うーん、お腹が痛いよう・・・」
行洋「アキラ、どうしたんだ?」
ア「お父さん、お腹が とても痛いの」
行「むう、それはいかんのう。風邪が お腹にきたかもしれない」
明子「あらあら、アキラさん体の調子が悪いの?」
行「明子、アレを・・・」
明「ええ、今 持ってきますわ」

しばらくして明子は、手に古びた壺を手に携えてきた。
明「ハイ あなた」
行「すまないな。アキラ、こちらにおいで」
ア「はぁ〜い」
行洋は壺から直径1センチの丸薬を取り出す
行「いいか。この薬は、塔矢家の代々伝わる家伝の薬なのだ。アキラの痛いところは すぐ良くなる」
ア「すごぉおい お薬なんだねっ!」←目をキラキラしながら興奮するアキラ
行「そうなんだよ。この薬は朝鮮人参・蜂蜜・蓬・芍薬・団子虫・大ムカデ・ガマ蛙・鹿のフン・・・・・」
薬の配合内容が、次第に妖しくなるにつれてアキラのおめ目には失意が現れ、マサーオなお顔に七変化
なのに まだ説明するマイペースで困った碁バカオヤジ行洋

行「・・・芋虫の燻製、猫の耳、四万十川のエキス・・・」
アキラのお顔からはスッカリ血の気が引き、おめ目には涙がイパーイ溢れて体はガクガクプルプルな状態
行「すっぽんの生血、ツチノコのしっぽ、猿のチン―――」
明「い──いかげんに意地悪は およしなさい、あなたぁあああああっ!!!」
すかさず行洋の脳天にスパパーンと目に見えない神業の如くハリセンを喰らわす妻・明子の図

塔矢家の頭上には今日も天気良く、青空が晴れ渡っていた
                     <完>



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