恐怖の体験談 1
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夢と言えば先日こんなのを見た。
不思議雑誌『○ー』を開くと、大阪在住の少年Yの恐怖の体験談が掲載されていた。
Yくんはある用事で東京の知人の家に泊まる事になった。
彼の片思いの人、Hさんも一緒に泊まるとあって、Yくんの胸は期待に膨らんでいた。
しかも思いがけず一緒の部屋で眠る事になって否応無しに緊張と興奮が高まるYくん。
夜。Yくんの期待をよそにHさんは早々に眠ってしまった。Yくんは酷くがっかりした。
隣に眠るHさんが不意にくしゃみをしたので、Yくんは布団の上に出されていた両手を仕舞ってやった。
Hさんは、手に触れられた瞬間「ん、うぅん……」と悩ましい声で寝言を言った。
余りの可愛さに、Yくんは自制心を無くしHさんの身体にのしかかった。
その時だった。
Yくんは言い様のない恐怖にかられ、Hさんから身を離した。
Hさんは変わらず寝息をたてて眠っている。
誰かにじっと見られている。しかもそれはねっとりと絡み付くような視線だ。
Yくんはそう感じた。その瞬間。
彼はHさんの枕の向こう側にある襖が少しだけ開いている事に気付いた。
誰かがそこに立っている事は明白だった。
Yくんはあまりの恐ろしさに慌てて布団を被り、念仏を唱えたと言う……。
「隙間から覗いてたんです…おかっぱが………。呪い殺されるか思いました……」
見出しは『恐怖! 隙間の座敷童子!』だったような。
フロイト的解釈頼む。
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