水底よりも深く プロローグ 1
(1) 五月のあの日、春風のようにあっさりと俺の前から消えたあいつ いつも一緒だったのに、急に俺を残してきえてしまったあいつの事を 俺はまだ待ち続けている。 全てを昔に戻して、あいつの我侭を全部聞いてやって、今度はずっと そばに居られるように――願って――願って――捜して―――。 なぁ、佐為、お前、今どこに居るんだ…………?